ルーミアがふよふよと何処かに飛んでいくのを確認してから再びスキマを開いて移動する
スキマを開くのも慣れてきた
後は出口の調整だ
何故、鬼の集落のど真ん中に出るんだ
ほら、鬼たちがすっごい睨んでくるじゃないか
「あんたは・・・何だい?再戦でもしに来たのかい?」
この鬼は、確か藍が勇儀とか言ってた鬼か
「いや、偶然迷い込んだだけだ」
「何だ、詰まらないねぇ」
詰まる詰まらないじゃなくて
周りの鬼たちを何とかして欲しい
これじゃ全然落ち着かないよ
「勇儀!何を暢気に話してるんだ!そいつは妖怪を喰う妖怪だぞ!」
鬼のお兄さん登場
やっぱり警戒するよねぇ
「それがどうしたんだい?あいつが私たちを喰うつもりならとっくにそうしてるさ」
喰うつもりは毛頭無いけど
「大丈夫だって、アイツは俺が死ななきゃ出てこないから」
「信じられるか!それにアイツって誰だ!?」
鬼のお兄さん・・・鬼(おに)いさんは人を信じる事を学ばなきゃ
「そうだ、あんた名前は何ていうんだい?」
「俺は灰刃。しがない妖怪さ」
「私は勇儀。しがない鬼さ」
自己紹介した鬼の第1号だ
やったね!
・・・・・俺、社交性無いのか?
いや、きっと鬼と相性が悪いだけだって
2回とも鬼に殺されてるし
「どうだい?お茶でも飲んでいくかい?」
「周りの鬼の視線が痛いから帰るよ。元々、偶然来ただけだしな」
「そうだね。じゃあ今度、私が灰刃の家に遊びにいくよ」
「ああ、それなら良いな。待ってるよ、勇儀」
とりあえず、歩いて鬼の集落の外に出る
さて、今度こそスキマを家に繋げよう
さて、このスキマ
全然安定する気配を見せない
何度開いても家に辿り着けない
山の中、湖、森、薄暗くて気味の悪い川、桜が咲いてる庭、多分外国の街の中、海
スキマを開く度に頭だけ出して確認してみる。1回溺れかけたけど
一度、無数の向日葵が咲いてる所に出た時に見覚えの有る緑髪が居たので慌ててスキマを閉じた
しっかり目が合った気がするけど、大丈夫だろう
何時になったら帰れるのか・・・・・・・って
飛んで帰ればよくね?
なんで気付かなかったんだ!
スキマで帰らなくちゃいけないなんて誰も言ってないじゃないか!
あ~~~、しなくても良い苦労をした
帰って不貞寝しよう
よし!そうと決まれば早速最後のスキマを開こう
ようやく家に帰れるぞ
「何で貴方が此処にいるのかしら?」
スキマを開いた先はスキマの中でした
「え~っと・・・ちょっと通りかかって?」
俺のスキマは何を考えてるんだ!!
「私のスキマの中に通りかかる妖怪なんて居る訳無いわ。
それに貴方、今スキマを開いていた様に見えたのだけれど?」
「これには深い事情があってね」
「ならその事情とやらを聞かせてくれないかしら?」
「いや、長くなるんでまたの機会にでも」
「時間ならたっぷりあるから平気よ」
「俺は時間が「あるわよね?」・・・はい」
何だろう?片腕が無いのに威圧感が半端無い
覚悟を決めるか
「と、言う訳だ」
「出鱈目な話ね」
何とか理解してもらった
因みに、俺が元人間って事は言ってない
その方が面白そうだから
俺が死んだ時にアイツが出て来くる事と食べたものを吸収する程度の能力の事を話しただけだ
「もう帰って良いか?疲れたよ」
「まだダメよ、鬼たちが言っていた鬼は結局貴方の仕業なの?」
「ああ、あの鬼に殺されたからな。ある意味、仕方なかった」
「そう、それは良いわ。で、本題よ」
本題?まだ何かあったか?
「私の腕を食べた責任を取ってもらうわ」
嫌な予感しかしない
いざとなったらスキマを使って逃げよう
「責任を取って私と結「離脱!!」こ・・ん・・・」
不穏な空気を感じ取って!今!開け!俺のスキマ!!
出口が何処だろうと構わない!
この場を離れるのが先決だ!
「また、逃げられたわね」
彼が開いたスキマがあった場所を見つめてみる
「でも、覚えておく事ね。傷が癒えればもう逃げる事は出来ないのよ?」
とにかく今は傷を治す事を最優先にするけど、スキマの扱いは私の方が上手いのだからね?
何時までも逃げ続けるなんて出来ない事を嫌って程、味あわせてあげる
「さて、逃げたは良いが・・・何で家の前?」
散々俺を裏切ってきたスキマが行き成り素直になった
「・・・帰って来られたし、まぁ良いか」
さて、寝るか
幸い布団は出しっぱなしにしてある
すぐにでも布団にダイブ出来るぜ
「あ、やっと帰って来た!」
「遅かったじゃないか」
「道にでも迷ってたんですか?」
何で俺の家に河童と鬼と天狗がいるんだ?
「あ、私は天狗じゃなくて烏天狗です」
「さらっと心を読むな!」
何なんだよ
やっと寝れると思ったのに
「お兄さんが倒れたって聞いて心配になって来たんだよ?」
「さっき、家に遊びに行くって言ったろ?」
「何だか事件の匂いがしたんで取材に来ました」
「にとりは心配してくれてありがとう。勇儀は普通は別の日に来ると思うだろ。射命丸は帰れ」
人が疲れてるって言うのに取材なんて受けたくないっての
「良いじゃないか。上等な酒を沢山持ってきたんだ、皆で宴会といこうじゃないか!」
勇儀、また俺の肝臓にダメージを与えるつもりか?
断らないけど
「そうだ、にとりに渡す物があったんだ」
下っ端故に宴会の準備に慌しい射命丸を横目ににとりに話しかける
「え?何々?」
押入れからでかいリュックサックを持ってくる
「これだ、前に家を建ててもらったからその礼だ。能力で強化してあるから見た目の数倍の物を入れられるし破れない燃えない濡れないの三拍子揃ってる」
中の容量を増やして耐久力と耐火性と防水性を上げてある
中々の仕上がりだと自負していたりする
「おー!ホントにもらっても良いの?」
「ああ、お前の為に俺が頑張って縫ったんだぞ」
「ありがとう!大事にするよ!」
これほど喜んでもらえるとは思わなかった
実は家事全般が得意なんだぜ?
普段は面倒だからやらないけど
「準備ができましたよー!」
お、出来たか
行くか宴会場と言う名の戦場に
次の日、しっかりと二日酔いになったのは言うまでも無い