東方増減記   作:例のアレ

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フラワーマスターと

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コンコンコン

 

 

ある夏の暑い日

 

家の戸が叩かれた

 

しかし、俺は周囲の温度を下げて快適に寝ていた

 

 

コンコンコン

 

 

「…ん~…違うって…そこは回す所だから……」

 

 

コンコンコン

 

 

「…違うって…捻るんじゃなくて……回す所……」

 

 

コンコン……ドガァァァァァァァン!!!

 

 

「おぉぉ!?何!?何事!?空襲か!?」

 

「お邪魔するわね?」

 

そこに立っていたのは緑の髪の女性だった

 

「あれ?…どっかで会った事ある?」

 

使い古されたナンパみたいだ

 

「ええ、少し前と大分前に」

 

少し前……スキマに翻弄された時か

 

けど、大分前って何時の事だ?

 

俺って忘れっぽいしなぁ

 

「思い出せない?」

 

何だろう?満面の笑みなのに寒気がする

 

「少し前ってのは覚えてる。確か花畑にいたよな?」

 

「正解よ。大分前の方は?」

 

大分前…大分前…

 

……………………………………………………………………………………………………………………………

 

……………………………………………………………………………………………………………………………

 

『私の花畑の何処が可笑しいの?』

 

 

…今なんか思い出したような気がする

 

どこで聞いたんだっけ?

 

あれは確か…妹紅が近くにいたような…

 

山の中で…妹紅と別れる少し前だったような……

 

「思い出せたかしら?」

 

「ちょっと待ってくれ、もうすぐ出てくるから」

 

……あ………思い出した

 

慧音さんの家の近くの山に居た妖怪だ

 

「思い出したよ。極太レーザーをぶっ放して来た妖怪だろ」

 

「れーざー?マスタースパークの事?まぁ、多分正解ね。風見 幽香よ」

 

俺が思い出したのが嬉しかったのか、にんまりと不吉な笑いを向けてくる

 

「それで、何故あなたが妖怪になっていて、尚且つ此処に住んでいるかを聞かせてもらいましょうか?」

 

妖怪になっていて?……ああ、初めて会った時は人間の姿だったっけ

 

「俺は元々妖怪だぞ?」

 

「そんな筈無いでしょう?あの時、確かにあなたは人間だったわ」

 

「あ~、それはだな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふぅん、そう言う訳だったのね」

 

納得してくれた

 

俺って事ある毎に説明している気がする

 

めんどくさー

 

もう疲れたよ

 

「なら、私と戦ってもらうわ」

 

何がどうなってそうなるのか?

 

全然解らないよ

 

「面倒だから嫌だ」

 

「あなたに負けてから私も随分と自分を鍛えたのよ?もう遅れを取る事はないわ」

 

「話聞けー?」

 

「さぁ行くわよ」

 

「話を聞けって」

 

「場所は…そうね、山の向こう側に開けた所があるからそこにしましょう」

 

「もしもーし?聞こえてるー?」

 

「そうと決まれば早速向かうわよ」

 

「はぁ、分かったよ。行けば良いんだろ?」

 

俺の家の中で暴れられるより素直に従っておこう

 

家が無くなるよりもずっと良い

 

その後、幽香によって破壊された玄関を見て絶望したりもしたけど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幽香に案内されたのは人里とは真逆の方角の荒野と言う表現がよく似合う場所だった

 

「始めましょうか?」

 

「もう好きにしてくれ…………」

 

なんて事を言ったのがいけなかった

 

言い終わった瞬間、幽香がこちらに飛び掛ってきた

 

迫る拳を能力で威力を減らす

 

人間の大人に殴られた程度の衝撃がくる

 

確かに鍛えたと言うのは嘘ではないらしい

 

昔は子供程度だった事を考えれば随分と強くなった

 

生憎、妖怪の身体では全然効かないのは変わらないけども

 

その後も幽香の放つ拳や蹴りを一見無防備に受け続ける

 

その悉(ことごと)くを減じる

 

「相変わらず厄介な能力ね」

 

動じた様子も無く幽香が言う

 

「ああ、俺も気に入ってる」

 

家を壊された恨みも込めて挑発してみる

 

「そう、だったら私も奥の手を使わせてもらうわ」

 

言った瞬間、幽香の右の拳に妖力が集まりだす

 

って言うか、奥の手だすの早くね?

 

「私の能力は『花を操る程度の能力』所詮、戦闘には向かないわ。だったら小手先でもなんでも良いから自分を鍛えるしかない」

 

続いて左手の日傘に妖力が集まる

 

「行くわよ?マスタースパーク!!」

 

突き出した日傘から昔にも見たレーザー、マスタースパークとか言ったっけ?が放出される

 

あれは距離が近すぎると減らしきれない

 

今回も距離は5メートルも無い

 

減らしきれる距離ではないので当然避けるしかない

 

しかし、避けた途端、マスタースパークがいきなり途切れ、背後に気配を感じる

 

最早、物理的な衝撃があるのでは?と勘違いしそうな強烈な殺気だ

 

咄嗟に後ろを向いて防御をしようとするが間に合わない

 

妖力を纏った幽香の拳がクリティカルヒットして強制的に空を飛ばされる

 

痛い、かなり痛い

 

が、耐えられない程でも無い!

 

着地と同時に幽香に向かい飛ぶ

 

あまりにも予想外だったのか、驚きで身体が硬直してしまったらしい

 

「妖力を込めるならこれぐらいは込めろ!」

 

幽香と同じように拳に妖力を込め、更に能力で妖力を増やしてやる

 

その拳を振り上げる様に幽香にぶつける

 

ギリギリで何とか防御した幽香が有得ないくらい高く飛んでいく

 

100メートル程上空に飛んだ所で幽香が姿勢を整える

 

「まいったわね、あれが通用しないなんて…………」

 

滞空しながら呟く幽香

 

独り言のつもりなんだろうけど……

 

生憎、俺は遠くの声なら能力の所為で聞き逃さない

 

「だけど、素直に負けを認める訳にもいかないわね」

 

そう呟いて幽香は妖力を集中しだした

 

そして、マスタースパークの雨が降り注いだ

 

半ば自棄になった幽香が極太レーザーを乱射しだしたようだ

 

だけども、100メートル近い距離があれば十分だ

 

能力を使用してレーザーの威力、妖力を減らす

 

結果、幽香の手からでたばかりのマスタースパークは徐々に小さくなっていき、ついにはか細い光の線になってしまう

 

これなら、あたったとしてもダメージなんて微塵も無い

 

……何か良いなぁ

 

俺も必殺技みたいなのがほしい……

 

……手始めにマスタースパークを真似してみようか

 

光の雨の中でそんな事を考える

 

同じ様に手から出すんじゃ芸が無い

 

となると、どこから出すのが良いかな?

 

足か?……俺の身体はそんなに柔らかくないな

 

上空に足を向けるなんて・・・股関節が外れる。却下だ

 

口か?……これも却下だな

 

どこの怪獣だよって話になる

 

翼から?…………良いじゃない

 

翼のどこから出すか

 

やっぱり、先端?それとも真ん中辺りから?いっその事全体からとか?

 

そうだ!翼を両方とも前に突き出して真ん中からだしてみよう

 

前に突き出して、と

 

名前は何にしよう、ウィングスパーク?オリジナルスパークとかも良いな

 

まぁ取り合えず

 

「必殺技試作1号!!」

 

叫んでから妖力を解き放つ

 

すると、幽香のマスタースパークの倍近い太さのレーザーが飛んでいく、飛んでいくんだが・・・

 

「前が見えねぇ」

 

なんてこった!とんだ欠陥技だ!

 

要再考だな

 

とりあえず、幽香は試作1号に直撃こそしなかったけど、余波を受けてどこかに落ちてった

 

……まぁ良いか、流石に死にはしないだろうし

 

さて、家に帰って玄関の修理だ

 

自分でやるか、にとりに頼むか

 

……自分でやろう

 

最近、建築作業してなかったからなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

負けた…………

 

完全に負けた…………

 

これまで自分を鍛え続けて、これなら勝てると勝手に思い込んでいた

 

最初に会った時に彼の力の強大さに怯え思わず負けを認めてしまったのが悔しくて

 

大妖怪と呼ばれてから初めて出会った自分より強い相手に憧れて

 

何時か越えて見せると誓ったのにも関わらず

 

彼は私を軽々と越える力を持っていた

 

しかも、人間だと思っていた相手は実は妖怪だった

 

人間の寿命は短い

 

彼が生きている間に彼を越えなければと思っていた

 

「フフッ……フフフッ……アハハハハハハハハハハ!」

 

自然に笑いがこみ上げる

 

相手が妖怪ならば何も問題は無い!

 

彼の背中を追い掛け続ける事ができる!

 

自分を鍛え続ける理由ができる!

 

だから私はここにまた誓いを立てる

 

「何時か私は貴方を越えてみせるわ!!」

 

何年、何十年、何百年掛かるか分からないけれども、必ず私は貴方を越える!

 

首を洗って待っていなさい!

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