早いもので妹紅が修行を始めてから3年が経つ
俺達は旅を続け、村に寄りながら気ままに歩き続けた
妹紅の妖術も大分使える様になった
妖力を隠す事も出来る様になった
「灰刃、村はまだ遠いのか?」
ただ、口調が変わった
初めはグレたのかと思ったが、妹紅曰く
「この口調の方が舐められない」
らしい、俺になのか妖怪になのかは怖くて訊けなかった
「ああ、あの山を越えればすぐだ」
「そうか、ならさっさと越えちまおう」
・・・・・昔の可愛かった妹紅は何処へ
まぁ、山を越える度に休んでいた頃に比べれば頼もしくなったと思う事にしよう
でも何かこの辺りに見覚えがある様な気がする
「なぁ、灰刃。何か良い香りがしないか?」
山の中腹辺りで妹紅が言う
確かに良い香りがするなぁ
「これは・・・花の香りか?」
何の花かは分からないけど
「行ってみたいな」
妹紅も女の子だな。顔が少し嬉しそうだ
「じゃあ、少し寄り道だな」
生い茂る草を掻き分けて進んでいく
すると、すぐに広い空間に出た
そこには一面に色々な花が咲き乱れていた
「おぉ、これはまた・・・綺麗なもんだな」
金木犀や水仙や向日葵もある
・・・向日葵?向日葵は確か夏に咲く筈。今は秋だ
「妹紅、此処は何だか可笑しい。早く行こう」
花を見ながら感動している妹紅を促す
「可笑しい?それって「あら、失礼ね。私の花畑の何処が可笑しいの?」誰だ!」
声のした方を見ると、何時の間にか1人の女性が立っていた
日傘を差し赤いチェック柄の服を着た緑髪の女性だ
「私は風見 幽香。こんな所で何をしているの?」
間違い無い、妖怪だ。しかも大妖怪だ
馬鹿みたいな妖力撒き散らしやがって
これはちょっと妹紅には荷が重いか
幽香の妖力に当てられたのかさっきから震えてるし
「何って、良い香りがしたんでね。ちょっとした寄り道だよ」
いざとなったら能力を使って逃げよう
「そう。それよりその娘はどうしたの?辛そうだけど」
「多分、持病が出たんだよ。さっさと山を下りないとね」
妹紅を抱きかかえ立ち去ろうとする
「嘘ね。私の妖力を感じ取ったのでしょう?つまり力のある人間って事ね」
「嫌々、只のしがない旅人だよ。それじゃあ急ぐから」
急いで此処を離れよう
勝てない事も無いと思うけど妹紅が危険だ
「あら?そんな事言わずにゆっくりしていきなさい」
言った瞬間、幽香の姿が消えた
右側面に強烈な気配を感じる
咄嗟に能力を発動し衝撃とダメージを減らす
わき腹に子供に殴られた程度の衝撃を感じた
「こっちの体制が整う前に殴りかかるなんて行儀がなってないな」
「?・・・何をしたの?」
自分の日傘を見ながら妙な手ごたえの原因を訊いて来る
「どんな攻撃も俺に届く前に威力が減少する」
「・・・可笑しな能力を持っている様ね。でも、これならどう?」
幽香が日傘をかざすと先端に莫大な妖力が集りだす
「マスタースパーク!」
極太のレーザーみたいな光がまっすぐこちらに向かってくる
慌てて能力を使う
やばい、距離が近すぎる。減らしきれない
仕方ない、妖力で障壁を張ろう
バリバリバリバリッ!!!
障壁とレーザー?がぶつかり凄まじい音をたてる
妹紅を守りながらの相手はちょっときびしいな
これは、逃げるが勝ちだな。幸い土煙も大分あがっている
今の内に紛れて逃げ出そう
後ろに向かって全速全身だ
「何処に行くの?」
あー・・・何で後ろにいらっしゃるので?
「人間のくせに妖力を使うなんて生意気ね」
人間?あ、姿が人間のままだ
妖怪の姿に戻ったら見逃してもらえるかな?
・・・・・無理そうだ。幽香の妖力の高まりが半端無い、臨戦態勢って奴だ
やっぱり何とかして逃げよう
「逃がすと思う?」
お見通しか
「逃げるさ」
虚勢でも張って強がっておこう
「私についてこれる程の強さを持った人間なんて初めてよ。楽しませてね」
遊び感覚で戦うなんて真似できないなぁ
こうなったら最後の手段だ
妹紅を小脇に抱えなおし手を前方に向け妖力を集中させる
集中させながらも能力を使って増やす
巨大な球状になった妖力を幽香に向ける
「な、何!?その巨大な妖力は!?」
「出来れば撃ちたくないんだが・・・逃がしてくれない?」
多分、これを撃てば幽香どころか山も吹き飛ぶ
「分かった、分かったわ!私の負けよ!」
それを聞いて安心した。妖力を散らし減らしていく
「よかった、それじゃあ俺は行くから」
とんだ寄り道になっちまったよ
さて、さっさと山を越えよう
「あんなに強い人は始めてみたわ・・・・・いつか越えてみせる、待ってなさい」
「さて、何とか逃げれたな妹紅?・・・妹紅?」
気絶しちゃってるよ
仕方ないか、寝かせておこう