アレから起きたことを話そう。
侵入者、伏黒甚爾──名前は捕らえた後に聞いた──を無力化し、五条と合流したアリスがまずやった事は、その五条をシバくことだった。
別に巫山戯ているわけではない、単純に必要なことだった。
合流した時、五条は死にかけたせいか反転術式を使用したせいか、物凄くハイになっていたのだ。一応会話にはなっていたものの明らかに言動がおかしく、目に至っては薬物をキメたのではないかと疑うくらい逝っていた。
それ故、このままでは話にならないと判断したアリスはメギドラオンをぶち込んだのである。それはもう、全力で、思いっきり。
反転術式を習得したから問題ないだろう、と思っての行動ではあるがもし五条が反転術式を使用出来なければもしかしたら此処で死んでいたかもしれない。
そんなこんなで無力化され倒れ伏す伏黒甚爾、倒れながら冷静になった頭で全力で反転術式を使用する五条、それを見下ろすアリスというカオスな状況が出来上がったのだが、理子と黒井を連れた夏油が戻ってきたことで落ち着き、改めてこの後の事について話し合うこととなった。
まあその3人もこの状況を見て疑問符を大量に頭に付けていたが。
改めて、まず3人がしたのは侵入者から情報を引き出すことだ。
アリスによって完膚無きまで叩き潰されたソレを拷も…尋問する男2人は間違いなく子供には見せられるようなものでは無かったが、特に拒否することも無くペラペラと喋ったので時間自体はすぐだった。
因みに黒井は理子の目と耳を塞いだ。
その中で懸賞金を掛けて野良の呪詛師を仕掛けさせたことや、黒井を襲い誘拐した事などでキレそうになった2人を抑えつつ話を聞き、盤星教からの依頼の仲介者まで吐かせ…聞き出した。
そこからの行動は早かった。覚醒した五条が蒼による高速移動等を利用し仲介者、孔時雨へと接触、脅…脅し、星漿体暗殺の依頼を出した盤星教代表役員である園田茂に接触、これまた脅すことによって暗殺の依頼を取り下げさせたのだ。
元より動くことが出来ずこれ以上やるつもりはなかった伏黒甚爾であるが、明確に依頼が取り消された事で天内理子を害する意思は完全に消失。
夏油が出していた呪霊も納められた。
ただ、いくら依頼が無くなり敵対意思が無くなったとはいえ襲ってきた事実は変えられない。有名な術師殺しであることもあり、とりあえず高専で拘束することとなった。
この時、電話越しに五条が並の術師では拘束越し、素手でも負けかねないと言った為、明確に対応出来ることが分かっているアリスが監視の1人として付く。
高専としては問題はこの後だ。
夜蛾を含めた術師達も集まりある程度事態は収束、星漿体を薨星宮に連れていく、となった所で五条と夏油が理子と黒井を連れて逃亡したのである。
高専はこれを命令違反とみなし術師が追跡、しかし特級に近いと言われている2人を捕まえる事は出来ず逃亡を許した。
この時、2人を捕らえることが可能であろうアリスは伏黒甚爾の監視の為不参加だった。
2人はそのまま逃亡を続け、天元と星漿体の同化の時間が過ぎる。
高専はそれにより明確に敵対したと見なし、五条悟及び夏油傑を呪詛師として認定しようとしたが、何故か天元より直々に許しが降りた為それを撤回。
硝子から連絡が届きその事を知った2人は何食わぬ顔で高専へと戻ってきたのである。
まあ、あくまで呪詛師認定されなかっただけで、命令違反等をした事には変わりないので夜蛾からは教育(という名の拳骨)を受けたそうだが。
こうして無事、星漿体の護衛という依頼を終えた3人はいつもの日常へと戻り、硝子を含めた4人で雑談を交わしていた。
「まったく、無茶をするわね。最悪今頃2人とも呪詛師として逃亡生活していたかもしれないのに」
「いいだろ別に、そうならなかったんだし。それに俺と傑ならそうなっても捕まらねーし」
「まあ、確かに色々問題があったのは確かだが終わり良ければ全て良しというだろう?」
「反省の色が無い…。硝子からも何か言ってやって頂戴」
「私としてはクズ共がどうなろうがどうでもいいし。有栖がやろうとしてたら止めるけど」
「嬉しいけどそうじゃないわ…」
頭を抱える。アリスは夜蛾の苦労が少し理解出来た。今度胃薬をプレゼントしようと決めた。
色々と問題はあるが1番はやはり五条だ。確かに五条本人はどうにでもなるだろう。今回の事で反転術式を習得したため更に磨きがかかった。
だが、周りはそうでは無い。五条家次期当主であり、ワンマンプレイである五条が呪詛師に堕ちたなんて事になってしまえば呪術界がどうなるかわからない。呪詛師認定を進めるのが早かったのも、上層部が五条を蹴落とす為に手を回したのだろう。
その辺の事を理解させる必要がある。
ただ、今はそれよりも気になることがある。ここ数日を伏黒甚爾の監視役として過ごしていたアリスにはあまり情報が届いていない。
理子や黒井がどうなっているのか、件の伏黒甚爾をどうするかなどを五条に聞いていく。
「天内と黒井さんに関しては問題ない。よく分からんが星漿体としての任も解かれてこれからは普通の生活だ。まあ流石に完全にって訳にはいかんから窓、これから次第では補助監督や高専事務員辺りとして過ごしていくことになるだろ」
「悟が五条家の保護下に無理やり入れたからね、基本的には問題ないだろう。後で会いにいってあげるといい」
「伏黒の奴はそれこそ即死刑でもおかしくなかったんだがな。上としてもなんか色々あったんだろ、禪院家が口出してきたのかもしれん。縛りでガチガチにして高専の下で色々やることになったらしい」
「なるほどね…。そういえば彼、息子がいるらしいわよ。五条に押し付けてやろうか、とか言ってたけど」
「はあ?なんで俺がアイツの子供なんて押し付けられないといけないんだよ」
「なんでも、術式持ちだからって禪院家に売ったらしいの。まあ本人は最近まで忘れていたらしいけど。五条より酷いロクデナシね」
「あん?喧嘩売ってんのか?」
「事実よ」
「しっかし禪院に売れるような術式持ちか…。後で少し聞きに行ってやるか…、はぁ、めんどくせ」
「そうだ、硝子。これから五条のお金で七海と灰原にご飯を奢るんだけど、一緒に来る?」
「五条の奢りなん?いくいく」
「なんで俺が奢るんだよ…」
「当たり前だろう?悟がぐっすり寝てる間2人は寝ずに空港で警戒していたんだからね。先輩として後輩は労らないと」
既に店は五条名義で予約してある。こういう時に五条家の権力というのは便利だ。
今日は七海と灰原も近い上に弱い任務で既に終わっている。電話をかけて呼び、これまた五条家の車で移動する。
「五条さん!ありがとうございます!俺こんな店行くの初めてです!」
「この店はパンの評判もかなりいい。1日警護が延びると聞いた時は頭の血管が切れるかと思いましたが、この見返りは中々のものですね」
「2人とも、今日は悟の奢りだからね、遠慮せず食べるといい」
「んじゃ、私も遠慮なくー」
「ふふふ、私はお金はあるのだけどツテが無いからこういう店とは縁がないのよね。有難く堪能させてもらいましょう」
「お前らな…。まあ、いいか。よっしゃ!俺も食うぞ!」
それは、本来は有り得なかった日常かもしれない。
けれど、ここでは確かに存在する日常だった。
もう少し書いてもいいけど、次で3年生行っちゃおうかな。
灰原と夏油のフラグを死んでくれる?しに行こう
別に毎日投稿を絶対する!って決めてる訳じゃないからそろそろ間空くかも?