天与呪縛【アリス】   作:[ゆーや]

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またの名を夏油強化パート


目指せ!ポケモンマスター!

これは夏油と五条が校舎半壊喧嘩を起こした数日後、改めてアリスや七海等も含めて夏油に色々と詰め寄り、本音を聞き出した時の話である。

特にあんな事をしたのに未だに曇りなき眼で慕ってくれている灰原が眩しかったのか、ポツポツと話し始めた。

 

「つまり、五条が色々強くなったから劣等感を刺激されてたってこと?」

「はー、ガキじゃん。クソガキだったんは五条だけじゃなかったってことか」

「まあ…、そういことかな。あと一応有栖が領域展開で灰原を救ったというのもあるね。まあ、有栖に関しては半分くらい諦めてはいるけれど」

「たっく、そういう事はさっさと言えよ傑。言ってくんなきゃ分かんねーんだよ」

 

はぁー、とため息を着きながら頭を搔く五条。その声には覇気が無く、夏油を責めているというよりは親友だと言っておきながら何も気付いて居なかった自分を責めるようなものだ。

五条の周りが少し暗くなったが、それを吹き飛ばすのが生来の根明である灰原だ。

 

「夏油さんは全然凄いですよ!僕達から見たら五条さんや有栖さんと遜色ありません!前に死にかけた土地神も夏油さんならすぐ祓えていただろうし!」

「そうですね。むしろ貴方がそんな事を言っていたら2級程度でしかない私達に立場がない。上を見上げるのではなく、下も見て欲しいところです」

「そ、そうですよ!私なんて未だに4級なのに…」

「うーん、伊地知は術師より補助監督を目指した方がいいかもしれないわね」

「はは、いーじゃん。そっちのが向いてそーだし」

 

笑うのは同じく戦闘力が無い硝子。伊地知も思うところはあるのだろう。まだ1年ながらある程度先のことを考えているようだ。

話は戻る。

 

「劣等感に関しては私の問題だからね、こればかりはすぐにはどうにもならないよ」

「うーん、何か新しいことが出来るようになればマシにはなるのよね。反転術式とか練習してみるのはどう?」

「反転術式か…。硝子は参考にはならないし、悟はどういう風にやっているんだい?」

「あー…。いや、マジで硝子が言ってるみたいな感じなんだよな。口では表せないっつーか感覚が全てというか…。俺は死にかけた時に呪力の核心を掴んだ感じがして使えるよーになったんだが」

 

そういう五条をジトーっと見つめる2人。元より超天才型故教えるということが究極的に向いてない五条だ。こうなるのは必然であった。

 

「死にかけた…ね。ふふふ、私に少し良い考えがあるわ。グラウンドに行きましょう?」

「え。いや、先にその考えを話して欲しいんだが」

「いーじゃんいーじゃん。ほら、行こうぜ傑」

「ま、待て悟。押すんじゃない」

 

少し黒い笑みを浮かべるアリスと五条に押されながら歩く夏油。

周りの4人はそんな光景にある程度察し、笑いながらその背中についていった。

 

 

 

「さて、夏油。弱いのでいいから適当に1体呪霊を出しなさい」

「あ、有栖?先に説明をして欲しいのだけど…」

「いいから、早く。…うん、もう戻していいわよ」

 

呪霊を戻していいと言われた瞬間夏油は未来を悟った。

その顔を真っ白にしながら助けを求めるが、死神の鎌は容赦なく振り下ろされる。

 

「ちょっまっ!助けてくれ悟ッ!?」

「死を感じるならこれで行けるわよね。『死んでくれる?』」

 

その後、高専には何度も悲鳴が響き渡った。

 

 

 

 

「ハーッ…!ハーッ…!さ、さとる…。見てくれ…これが、反転術式…だ…」

「す、傑ー!しっかりしろ傑ー!」

「灰原、伊地知。有栖先輩は怒らせないように気をつけろ…」

「そ、そうだね七海」

「ひ、ひぇぇ…」

「ウケる。写真撮っとこ」

「…少し、やり過ぎたわね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、反転術式が使えるようになったからね、術式反転を少し試してみたから話を聞いて欲しい」

「…夏油、少し遠くないかしら?」

「い、いや、気にしないでくれ。時間が経てば元に戻せると思うから」

「まだ前の時のこと引きずってんのか。いや、アレは確かに傍から見ても中々のもんだっだからな…」

「悟、その話は終わりにしてくれ。術式反転の話をしよう」

 

お互いに目を見て深く頷き合う。そんな2人だがアリスは自分が原因でもあるので何も言えないようだ。

 

「つっても、呪霊操術の反転なんて想像もつかないぞ?」

「そうね。操る…自由にさせる?」

「簡単に言うと、取り込んだ呪霊の解放だ。正の力で呪力による主従契約を中和、破棄し、外に出すものだったよ」

「なんだそれ!意味ねーじゃん」

「体の中の呪霊が消えるってことは体には良さそうだけど、確かに戦力にはならないわね」

 

まるで自分の事のように残念がる2人を見てつい笑みが零れる。

まあ、2人の考えも間違っていない。自分も最初はそう思っていたし、色々試さなければ気付けなかっただろう。

 

「ただね、それで少し面白い事が出来たんだ」

「面白いこと?」

「複数の呪霊を同時に解放したんだけどね、その時に出口を1つにしたんだ。そうしたらどうなったと思う?」

「…まさか、混ざったの?」

「正解だ」

 

自分のことながら、それを見た時は度肝を抜かれたものだ。

4級の呪霊で色々実験をしていた時に、出口を1つにしたら出てきたのは明らかに4級ではない呪霊が1体だけだったのだ。

 

「つまり?スライムがスライムキングになったみたいな?」

「だからなんでゲームで例えるんだい?まあ、その通りではあるね」

「えぇ…。悪魔合体みたいなことしてるわね…」

「おもしれーじゃん。制限とかはあるのか?」

「制限、と言うかはわからないが、準1級以上の呪霊だと形が強いのか混ざらなかったよ。ただ、弱い呪霊と合わせることで吸収したように呪力が増えていた。つまり餌だね」

「なるほど、弱い奴らを合体させて強くしたり、強いやつに餌を与えてステータスを上げたりできるのか」

「それは使えそうだけど…、そればかりしてると呪霊操術の数という利点が使いにくくなりそうじゃない?」

「まあ…それに関しては任務を受けてどんどん補充して行くしかないだろうね。私としてはあんなクソ不味い物大量に食いたくはないが」

「やっぱアレって不味いん?」

「クソ不味いよ。例えるなら…吐瀉物を処理した雑巾を丸呑みしてる感じかな」

「うっげ」

「呪いの塊を食べているようなものだものね。ムドオンカレー…、呪殺クッキング…。うっ、食べたことないはずなのに胸が…」

 

夏油は否が応でも思い出してしまうその味に、五条とアリスはその想像故に(アリスの想像はちょっと違うものであったが)3人ともが顔を歪め口を塞いでいる。傍から見たらなんとも珍妙な光景だっただろう。

 

「それ、口の中や舌に反転術式を使いながら飲むことで中和されたりしないかしら?」

「なるほど、呪力が不味いなら中和しちまえばいいのか」

「有栖、君は天才かもしれない。弱い呪霊だと早く飲み込まないと中和されて消えてしまいそうだけど、可能性はある。次の任務でやってみるよ」

 

可能性を見出したのだろう。その表情は先ほどとは打って変わってとても明るい。明日に希望を持っているような表情だ。夏油としてはアリスに後光が差してるように見えた。天使か?

 

「反転で他には無かったのか?」

「そうだね、今話したので全部だったよ。あ、ただ、術式順転でも合体出来ないか試したら圧縮して高濃度の呪力砲を打つことが出来たよ。あまり使う機会は無さそうだけどね」

「へー、呪霊操術の極ノ番ってとこか?」

「極ノ番…。たしか領域展開以外の術式の奥義のようなものだったかしら」

「極ノ番。いいね、じゃあ名前は極ノ番『うずまき』にしよう」

 

その後は嫌な想像をしたのもあって、3人で食事を食べに出かけた。

因みに今までそんな不味いものを食っていたということで、今回夏油の分は五条とアリスの奢りだ。

 

 

反転術式による味の中和の結果に関しては、後日夏油が任務の後に上機嫌にお土産を買ってきたとだけ記しておこう。

 

 

 

 

 

 

 

 




反転術式を覚えるためとはいえ夏油には酷いことをした。
すまない夏油、呪霊の味の件で許してくれ。

あと最初の本音聞いた時のは書いてないけどちゃんと非術師関連とかの話も裏でした
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