タイトルはノリ
「ってなわけで、新しく入ることになった虎杖悠仁君でーす!」
「おっす、よろしくお願いします!」
拍手ーパチパチ、といつもの様にふざけている五条とその隣で礼儀正しく礼をしている青年。
これだけでも頭痛がするのに、隣に座っている2人の女子は夏油先生はー?と青年のことをスルーしており、更に頭が痛くなる。
どうしてこんなことになったのだろうか。自分は別に悪いことはしていないのに、と伏黒恵は記憶を探る。
きっかけは普通の任務だった。学校や病院等に置かれている魔除けの代わりに使われている呪物、その封印が緩んでいているかもしれないと窓から報告が入った。最近になってとある学校周りで呪霊をよく見るようになったのだという。
任務内容は単純にその呪物の回収。
しかし簡単なものだからと急に丸投げされた恵が到着した時には既に日が暮れかかっており、また残穢が残っていて保管されていたであろう百葉箱には呪物は存在していなかった。
たまたま学校の近く見つけた残穢を付けていた青年──虎杖悠仁に話を聞くと、オカルト研究部で先輩がその呪物の御札を剥がそうというのだという。
それを手伝う為に学校に戻ってきたと。
虎杖にある程度事情を説明しつつ案内してもらい、オカ研の先輩と合流、呪物を回収─したまでは良かった。
問題はその呪物が軽く見ただけでも1級相当であったこと、そしてこの学校にいる呪霊が何故か多かったことであろう。
ほとんど意味を成していないほどに緩んだ封印、そこに非術師であろうと干渉を加えてしまったが故に呪力が漏れ出したのだろう、呪霊が襲ってきた。
恵1人ならば問題なく対応できたかもしれないが、ここには非術師が3人いた。
1人、とある先輩やクソ父親を思い出すような馬鹿げた身体能力をしていたが、呪力を扱えなければ何も出来ない。呪具を持ってきていれば貸すことも出来たかもしれないが、生憎と手ぶらだった。
玉犬を3人…特に人外じみていない虎杖以外の2人に付けつつ、もう片方の玉犬でどうにかしていたが、2級だろう呪霊に襲われ負傷。
そんな時に虎杖が呪物を食ってしまったのである。
呪霊に関しては呪物を食べた影響か呪力を纏うようになった虎杖の攻撃が効くようになり、その隙に鵺や玉犬で祓う。
校内の呪霊を祓い、落ち着いたところで担任とこの任務を投げてきたほぼ副担任のような2人に連絡、近くに来ていた副担任…五条に説明し、先に治療のため高専に戻った恵が2日後辺りに教室で見た光景が今のコレである。
「で、どういう事か説明してくれますよね」
女子2人は興味を示していなかったので、遠慮なく詰め寄る。
とりあえずあの後どうなったのか、そして虎杖の状況を説明させた。
「いやー、驚きだよね。1級呪物を食って何の影響も無いどころかその呪力をモノにするなんて」
「そうなの?俺って凄い感じ?」
「もちろん!その感じだと、もしかしたら特級呪物でもイけるかもしんないね!」
「笑い事じゃありませんよ…」
収まらない頭痛に加え、胃まで痛くなってきたかもしれない。五条先生がこんな態度はいつものことだが、呪物を食った本人がよく分かってないのも問題だろう。
「お前は運良く生きてるけど、普通呪物なんて食ったら死ぬか、最悪呪物に乗っ取られるんだぞ。先生も、ちゃんとその辺教えといてくださいよ」
「まーまー、結果的にはなんの問題も無かったんだしいいでしょ」
「そーだよ。それに、夏油センセ?だっけ。あの人も呪霊食べてるんでしょ?」
「あの人はそういう術式持ってるから話が別なんだよ…」
項垂れる恵。五条先生と違い虎杖はまあまともな人間なのだが、今は呪術に関する知識が全く無いせいで色々と話が合わない。
もう医務室に行ってサボって休んでしまおうかと思いかけたその背中に、新たに物理的な衝撃が加わり恵は潰れた。グエッという声を最後に動かなくなる。
「当たり前だろォ?夏油様は特別なんだよ、オマエみたいな奴とは違うわけ。なあ美々子」
「菜々子、夏油先生って呼ばないと。でも、確かにオマエと夏油先生は全然違う」
今まで我関せずだった2人が恵を潰して急に話に入ってきた、しかも自分を貶されるものだったので、流石の虎杖であろうと少し怯む。
オ、オウとカタコトで返事を返すしか出来なかった虎杖に代わり五条が話を続ける。
「まあまあ、確かに傑は特別だと思うけど、悠仁も中々特別だよ。同じ1年なんだから仲良くするよーに」
ケッと悪態を吐く2人を気にせず続ける。
「えーっと、明日は2人は傑と任務か。僕達は最後の1年迎えに行くけど、その子は女の子だから皆も仲良くしてあげてね」
そう一方的に言い終わると、衝撃から立ち直った悠仁に紹介する。
「さて、改めて紹介しとこうか。こっちが菜々子でこっちが美々子、双子だよ。夏油傑が保護者で、まあ色々と苛烈ではあるけど悪い子には育ってないから仲良くしてあげてね」
「お、おっす!了解っす!」
元気いっぱいに改めて挨拶する虎杖、それを興味無さげに流す2人、そしてダウンした体勢のままめんどくさがり寝てしまおうか考える恵。
傍から見て笑っている五条を含め中々にカオスな状況は、遅れて夏油が教室に入ってきたことで落ち着いた。
まあ、女子2人がやる気を出したので別の意味で騒がしくなったりはしたが。
翌日。
「さて、悠仁と野薔薇の力もわかった事だし、後は東京観光といこうか」
「待ってました!」
「よーし!あんたら荷物持ちね!色々回るわよ!」
六本木の廃墟で虎杖と合流した釘崎が呪霊を祓い終わった。
その後の観光中の話である。
「そういや、節国有栖っていつ会えるの?高専によく来るって聞いてたんだけど」
「あー、有栖か。ごめん、数日前に来たばっかりだから次来るのはちょっと先かも」
「有栖って誰?」
「虎杖は有栖さん知らないか。というより釘崎は有栖さんの事知ってるんだな」
虎杖は数日前まで一般人だった。知らなくても不思議は無い、というより知っている方が不自然だ。しかし釘崎は呪術師であるとはいえ本人の申告通りならクソ田舎であるはずだ、それなのに知っているのかと驚く。
「当たり前でしょ。まあ、知ってるのは名前くらいだけど…むしろあんな田舎で名前知られてること自体有り得ないくらいなのよ」
「ま、有名だしねぇ。今や呪術界で名前さえ知らない人なんていないんじゃないかな」
「そんなすげー人なの?」
「ああ、今言われた通り滅茶苦茶有名だし、その実力もその知名度に劣らず高い。よく言われるのが有栖さんと五条先生、夏油先生だと誰が1番強いかとかそんな話題があるな」
そんな話をすると、自然とその話題の本人である五条に視線が行く。
その視線を感じたのだろう、何やら嬉しそうに口を開く。
「ま、本当に強いよ。本気の殺し合いならともかく、試合とかだと僕ですら手も足も出ないからね。傑はお互いに相性が良くて最悪同士だけど、とりあえず傑が勝ってるとこは見たことないね」
「俺も有栖さんの力は見たことがあるけど、次元が違う。そもそも俺としては五条先生が殺し合いなら有栖さん倒せるっていうの信じてない」
えー、恵酷い〜と笑いながら恵の頭をポンポンと叩く。
その表情はさっきから変わらず常に笑っており、そんな顔をみて釘崎がキモッと言葉を漏らした。中々酷い。
「あんた自分より強いとか気にしないの?男ってそういうもんだと思ってたんだけど」
「有栖も傑も同期だからね、あんまり思わないかな。頼りになる親友たちさ」
「ってことはタメの3人で最強争ってんの!?すげー!」
「因みに家入さんって人もその同期で、凄い人でもある。お前らもその内世話になるよ」
そんな日常の一幕。
「ところで、その有栖さんってどんな人なんだ?性格とか見た目とか」
「それは私も気になる。おらキリキリ話せ」
「そう急かすな。簡単に言うと滅茶苦茶いい人だよ。対応も優しいし、色々相談にも乗ってくれる。それこそ、五条先生らの同格としては有り得ないくらいに」
「恵は小さい頃から懐いてたもんね〜。津美紀もそうだけど」
「あんたは黙ってろ。で、見た目は…そうだな、五条先生と同い年には見えない。見たら全員驚く。俺は驚かなかった人知らん。年齢さえ知らなければって感じだけどな、俺は先に見たから年齢聞いた時夢かと思った。」
「後は実際に会ってからのお楽しみにしとこっか。僕も悠仁と野薔薇が驚いてるの見たいし」
「性格悪すぎんだろ、それでも教師か」
「俺はそういうの好きだけどなー!会うの楽しみになってきた!」
多分その内夏油ミミナナ含め皆で竹下通りのクレープ食べに行ったりする。
1話見直した感じ宿儺の指じゃなくても似たような状況になれば虎杖は呪物食う。
虎杖が食った呪物はあんまり考えてない、いい展開ありそうなら後付け設定付ける。