天与呪縛【アリス】   作:[ゆーや]

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最強はだぁれ?

「さて、お手並み拝見かしら?」

 

方や肩下まで伸ばした金の髪に白いリボンを付けた小さな少女。

特に気負った様子もなく後ろ手を組んで立っている。

 

「お前程度に見せるような力はねーよチビ」

 

方や白い髪にサングラスを掛け、自らの半分と少し程度の身長しかない少女を見下ろす大男。

 

グラウンドに立ち向かい合う2人を見たとして、彼らが同じ年齢の同級生で、しかもこれから戦うのだと理解出来る人はどれだけいるのだろうか。

少なくとも今理解しているのはグラウンドの端に座り彼らを見ている担任と同級生の3人だけであろうが。

 

「私が少し聞いたのは、自分の周りに無限を張って全部遮断するって話だったのだけれど、本当に届かないの?」

「そ、だからお前が何しようが絶対に俺には届かないって訳」

「へぇ…。なら、最初は私から攻撃していいかしら?下手したら死んじゃうかもしれないけど」

「ハッ、そんな術式で何言ってやがんだよ。ま、いいぜ。いくらでも攻撃してこいよ」

 

先手も決まり、2人ともが準備を終える。と言っても特に何かを変えたわけでは無い。強いて言うならばアリスの纏う雰囲気が変化したくらいであろうか。

それを感じたのか観戦の3人も余所見を止め2人に視線を移す。

 

「じゃあ、遠慮なく行くわよ」

 

先に動いたのは先程の会話通りアリス。後ろで組んでいた手を外し、1本だけ立てた左手の人差し指を突き出す。

 

『死んでくれる?』

 

チョンというような擬音が付きそうな動作であったが、次の瞬間彼らが感じたのは体の芯から冷えるような恐怖だった。

アリスの前に出現したクマのぬいぐるみのようなものが五条へと飛んでいく。

それは五条の前で無限によって止まり消えていったが、本能的に恐怖を感じたのは五条も同じなのだろう。既に発動していた無限による防御を確認する様に手印を組んでおり、顔には冷や汗を浮かべている。

その顔は先程までとは違い真剣そのものであった。

 

「凄いわ、本当に届かないのね!」

 

ソレを出した当の本人は先程までと変わらず、それどころか無限による防御を見たせいか笑顔を浮かべて目を輝かせていたが、先程までと同じようにあしらう気は五条には起きなかった。

 

「おい、何だよ今の!(六眼)ですら何も分からなかったんだけど!」

「ふふふ、後で教えてあげるわ。でも今はもう少し戦いましょう?」

 

そう答えたアリスに対し、構える五条。それこそが五条がアリスを“雑魚では無い”と認めた何よりの証拠であった。

 

 

 

 

 

 

 

その後、足元から赤黒いエネルギーが吹き出す様な攻撃*1や大きな針を飛ばす攻撃*2等も防がれたアリスは接近して直接攻撃していた。

 

「テトラブレイクも駄目なのね…。そもそも届いてないから効果が発動しないのかしら、この分だとガードキル系統も駄目そうね…。そもそもこのバリアに適応されるのかも分からないけど」

 

独り言を呟きながら殴る蹴る、が全て無限に阻まれ届かない。

それにアリスは格闘の心得がある訳も無い、今一方的に攻撃しているのはパンチやキックのキレとは真逆の高い身体能力、速度によるゴリ押しとあまりの身長差によって五条が動きにくいからだ。

 

「テトラとかガードキルとか分かんねぇけど、このままだと俺の勝ちだぜ?」

「ふふ、じゃあ貴方も遠慮なく攻撃してきていいのよ?安心して、私にも届かないから」

 

先程からの力を見るにその言葉が嘘ではないと感じた五条は手始めに殴り掛かる。そして壁のような物に弾かれ驚愕した。それだけではない、何故か自分がダメージを負ったのだ、意味がわからない。

 

「は?なんだ今の」

「あら、反射した?無限で殴られると呪怨判定なのかしら?呪力によって存在しているからかしら…?」

 

何故か当のアリスも疑問に思っている様で益々困惑する。

アリスの独り言を聞いた所無限、と言っていたので今度は無限を解除し素手で殴り掛かるが今回は自分にダメージこそ無いもののまた透明な壁のような物に阻まれる。

 

攻撃が効かないと理解する、と同時に五条は無意識でアリスを遠ざける事を選択した。

 

術式順転「蒼」

 

アリスの後ろに出した蒼によってアリスは引き寄せられ、2人の距離が空いた。

 

「きゃっ…。引き寄せるのはあくまで副産物なのかしら、反射が反応しないのね…」

「よくわかんねーけど蒼は効くのか。ほんとに訳わからねーな」

「そうみたいね、でも術式で作った引き寄せる点みたいなのがあるのでしょう?私にそれを触れさせない方がいいわ、どうなるか私にも分からないから」

「お前にもわからねーって怖いこと言うなよな。しっかしお互いに当たらねーんじゃここで終わりか?なんとも締まらねーなぁ」

 

そう言って力を抜こうとする五条をアリスが手で制す。

 

「待って、さっき思いついたのだけど少しやってみたいことがあるのよね、上手く行けばその無限突破出来るかもしれないし」

「マジで?面白そーじゃんやってみてくれよ」

 

それが自身の無敵性を突破するかもしれないものだと知りながら五条は止めない。寧ろそれを望んでいた。

今まで存在しなかった自分に匹敵し、それどころか越えようとするアリスに興味津々なのだ。

 

「少し辛いわね…、元々アリスとは相性悪いし、呪力や術式とも相性最悪。でもやれなくはないわ…」

 

だからそこ見たい、アレは自分を超えるのか。知りたい、世界は自分が思っているよりも広いものなのかを。

 

「五条」

「おう!こい!」

 

「いくわよ!『コウガオン』!」

 

そしてそれは成された。

 

傍から見たらそれは今までと同じ様に見えただろう。しかし五条とアリスは確かにソレを理解した。

円を書きながら上から降り注いで来た光の束が地面に当たり、光の蝶を散らしながら弾けた時、無限が相殺され消えたのを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあ!さっきまでの奴教えろよ!」

「そうだな、俺も知りたい。場合によっては仕事が増えるかもしれないのが憂鬱だが…」

「そんな暗いことばっかり言ってたらハゲますよ先生。まあ、私も色々知りたいかな、とんでもないものだったしね」

「そーそー、なんかよくわかんなかったしさ、説明してよ」

 

アリス対五条の模擬戦?が終わり、一旦観戦していた3人の所に戻ったアリスは見事に後ろから来た五条を含めた4人に詰め寄られていた。

 

「落ち着いて、ちゃんと説明するわ」

 

その言葉に気を取り直したのか少し離れる。

それによって場所に余裕が出来たため、アリスは座って説明を始めた。

 

「まずは座りましょう…?さて、まずは私の術式ね。五条は知ってるんだっけ?」

「ああ、俺の六眼で見たからな。名前で言うなら表出術式。けど明らかにあんな事が出来るもんじゃねーだろ」

「そうね、この術式は私の中にある力を外に出すだけ。本当にそれだけ。」

 

けど、と続ける。

 

「私にはもう1つ、特別なものがあったのよ」

 

わかるでしょ?と4人の顔を見渡す。

報告書で読んだ夜蛾、先程教室で話を聞いていた夏油と硝子、そして自分の眼で見た五条。

全員がその答えに簡単にたどり着いた。

 

「「「「天与呪縛」」」」

「そう、その通り。私の天与呪縛は簡単に言うと[アリスになる]とでも言うものなんだけどね、そのアリスは呪力とは別の力を持っていたのよ」

 

絶句。術式と天与呪縛が奇跡的に噛み合って生まれた規格外。それを信じられないのが呪術界をよく知る夜蛾と五条で、そして先程自分の目で見た為に信じるしかないのも夜蛾と五条だった。

夏油と硝子は凄いと思っているけれどまだこちら側に来たばかりの為それがどれほど異常な事かは理解出来ていない。

 

「最初に使った即死攻撃も、その後の攻撃もアリスが持っていた呪力とは別の力よ、あくまでそれを私の中から外に出すのに使ったのが術式に過ぎないの」

「ということは術式無しでは力を使うことが出来ないのかい?」

 

まだ衝撃が小さかった夏油が疑問を零す。

夜蛾と五条も少し遅れて立ち直り、答えを待つ。

 

「そうね、たぶん別の世界の力なのよ。だからその世界側の存在に近くなってるアリス…私だけで完結するものは使えるんだけど、攻撃みたいな自分以外を対象にするものは術式を使わないと外に出せないの」

「そんじゃ有栖は宇宙人とか異世界人とか、そーいう存在ってこと?」

「そうね、それに近いかも。そういう意味ではさっき言った純粋な日本人とは違うかもしれないわね」

 

そう答えたアリスの調子が少し下がったのを見逃さなかったのか、硝子がそのまま絡む。“でも特に変わんないんだねー”等と会話しているのは硝子なりの気遣いだろう。

その光景を微笑ましいと思うが、夜蛾はそれよりも自分の疑問を問うことにした。

 

「節国、俺にはさっき五条の攻撃が止まっていた様に見えたんだがアレはなんだ?」

「そーそー!しかも俺の方がダメージ受けたんだけど!」

「アレはアリスの体の力ね、呪力とか術式の攻撃を反射するの。術式無しで常に働いてる力だから、無限で殴られたのを反射が発動したんだと思うわ」

 

また意味が分からない。

呪力や術式の反射?しかも術式が必要ない体質のようなもの?

もはや呪術界に喧嘩を売っている様なものである。

 

「因みに呪霊の攻撃も反射して勝手に消えていくわ。だから今までは無視してたのよね」

「うっわ何だよそれ。あ、でも俺術式切って素手で殴ったんだけどそれはどうなん?」

 

物理攻撃も無効化するのよ。と答えられ更に意味が分からなくなる。もはや宇宙を背負っていた。呪術界どころかそもそも世界の法則に真っ向から殴りかかっている。

ただ宇宙を背負わせた本人を見るに、まだ終わりではないのだろう。

もはや諦めの境地に達しながら続きを促す。

 

「本来アリス自体は物理攻撃の無効なんて力を持っていないんだけどね、アリスが1度に使える力の枠が8個あって、その中に物理無効の力を入れることで実際にそうなるの」

「どーいうことだ?元々使えない力なら枠に入れること自体無理じゃねーの?」

「それがね、いつかどこかの世界でその力を持っていたアリスに成ることで使えるのよ。条件はあるけどね」

「何か縛りがあるのか?」

 

せんせー、縛りって何ー、という横からの問いに後で教えてやると返しながら答えを待つ。どれほど存在自体が規格外とはいえ、本来存在しない力を使うなんて事に代償が無いとは思えなかった。

 

「そこまで重いものでは無いけどね。単純に他のアリスのカタチに繋いで変える必要があるからその分の力が必要なの。だからその分身体能力を下げたりする事で釣り合いを取るのよ」

「つまり色んな力を使えるけどその分弱くなっていくのか」

「そういうこと。まあ使う力の枠が8だからその分が限界ね。それに下げる能力もある程度融通が効くから結構便利なのよ?」

 

それを皮切りにどんなことが出来るのか等の質問が始まり、炎や氷も出せる等の発言にまた盛り上がる。ビックリ人間のように次から次に新しい事が出てくるアリスの力に子供の様に目を煌めかせて色々質問している五条だったが、流石にそろそろ話が終わりそうだと感じ、自分の最大の疑問を聞くことにした。

 

「なあ、さっきの最後のやつ、アレは…なんだ?」

 

先程までとは違い真剣な声に夏油や硝子も口を閉じ、そちらを見る。

 

「最後の光、アレは確かに無限によって俺には届かなかったけど、その無限は消えた。何が起きたんだ?」

「あれはね、祝福…いえ、破魔の攻撃よ」

 

はま?と繰り返すのは夏油か硝子か。

 

「破魔は魔とか呪いに効くわ。確か反転術式で生み出す正のエネルギーは負の力である呪力を中和するのよね?破魔の攻撃も同じように呪力や、それに準ずる存在に特に効果を発揮する」

 

「貴方の無限はあくまで呪力によって術式が起動しているものだから、破魔によって消えたのよ。無限によって攻撃が届かないということは無限そのものには触れているということだからね、術式や呪力そのものに効果を発揮するものは無限に触れた時点で発動するのでしょう」

 

「私が気づいたのは無限で殴られた時に物理でも他でもなく呪怨反射が働いたからなんだけどね?」

 

言われたことを飲み込み、考える。

やった事は単純だ、無限そのものを消したのではなく無限を現実に持ってきている自分の術式とそれを動かしている呪力を消した。ただしそんなことを出来る存在がどれだけ存在するのかわからないが。

 

「つまり、無限そのものは問題無いけど術式に対する攻撃だと無限は意味無いのか…?。」

「そういう事ね。術式を消す術式をもった人とか、もしかするといるかもしれないしね」

「ハハハ、確かにアニメとかゲームだとありがちな能力だよね、可能性は0ではないかもしれないね」

「私でも知ってるよ。確かと○るとかだっけ?有名だよね」

 

五条にはそのありがちな能力やらと○るなんかは分からなかったが、無限が無敵ではないというのがよく理解出来た。

そもそも、自分はまだ経験したことが無いが五条家に保管されていた資料では領域展開による必中で無限を突破されることや、戦いで死んだ無下限と六眼の使い手が居ること等も書いてあった。

今まで自分を襲ってきた呪詛師や祓った呪霊は自分に対し何も出来ていなかったが、この世界には自分に相対するような存在が居て、それを自分が知らなかっただけだとその身を持って理解した。

五条悟はこの瞬間、1つ高みに登ったのだ。

 

そして数奇な出会いによって本来より一足先に進んだが、この世界にも彼の隣を歩く親友が出来るのは変わりないのである。

 

「じゃあ次は私の力を見せる番かな、どちらか相手をしてくれないか?」

「うーん、たぶん私との相性最悪だから五条に頼んだ方がいいわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ&入れる場所を考えれなかった会話

 

「じゃあ、行かせてもらうよ、有栖」

「いつでもいいわよ」

 

今まで取り込んでいた呪霊を放つが、アリスに触れた途端反射されたのだろう、消えていく。強かった大きい呪霊も消えてこそいないがダメージを受けているのだろう。

 

「本当に相性が悪いね…。これはどうしようもないかな」

「本当にね。じゃあ、私も1回だけやるわね」

 

『死んでくれる?』という声と共に上から降ってきた槍を持ったトランプ兵のようなもの。

前からどんどんと呪霊が消えていくのを見る。

そして自分の所にも降ってきた瞬間、足から力が抜けた。

 

「どうしたの!?」

 

前からアリスが駆け寄ってくる。他の3人も駆け寄ってくるのが見えたが、それに対応するような余裕は無かった。

最初に見た時の数倍、下手すれば数十倍の恐怖に体が冷え、呼吸が安定しない。力が抜けて座り込み、全身から滝のように汗が流れ出る。

 

「今の感じ…。体内にいる呪霊にも即死が届いて即死が発動した時の感じを自分の体の中で感じてしまったかしら…?先生、五条!とりあえず保健室に連れて行ってあげて!」

「あ、ああ、分かった。夏油、立てるか?肩を貸すから捕まれ」

 

 

 

無事、夏油はトラウマになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「炎とかも出せるってことはさ、回復とかも使えないわけ?使えるなら私が楽出来そうだし」

「無理ね、回復とかは完全な正のエネルギーが必要だから、外に出すための表出術式と呪力と反発しちゃって使えないの」

「そうなのかい?破魔の力が使えるのなら回復も出来そうだけど」

「破魔はね、あくまで与える結果が相手を害する、つまり負の側面があるから使えるの。それでも元々アリスと相性が悪いこと、表出術式で出す時にある程度反発する事で物凄く弱くなっちゃうのよ。

元々さっきのだって無限貫いて五条に当てようとしてたのに無限を相殺するだけで消えちゃったしね」

「なーんだ」

 

「ところで、自分の事といえどなんでそんなに詳しいんだい?」

「何故かある程度わかるのよね、後は夢を見るの」

「夢?」

「そう、別の世界のアリスとその仲間/仲魔の夢」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
エイガオン

*2
夢見針




夏油より先に五条と打ち解けてしまった。

祝福/破魔の攻撃の呪力や術式に対する特攻、及び無限の突破はオリジナル。
実際どうなるかはわからないけど、そのためのタグ追加。
ただ天逆鉾や黒縄を考えると術式に対する効果が無限に触れた瞬間起動するというのはちゃんとした考え。
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