天与呪縛【アリス】   作:[ゆーや]

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夏油にはもっとさらっと毒を吐いてもらいたいんだけど自分で考えるとなると中々難しい。


アリスの力

体術訓練。それは物理無効や素で遠距離からの必中必殺を持つアリスには必要の無いものであるが、折角なのだからということで夏油や五条と共に訓練しているのが現状であった。

体術のたの字も知らないようなアリスだった故に基礎を身につけることに時間をかけたため、実際に模擬戦等を始めることになったのは2人よりも大分後の事であったが。

 

「いって!おい有栖!物理攻撃は無効であって反射しないんじゃないのかよ!」

「うーん、たぶん呪力で強化しているから実際の手や足の衝撃とは別に流している呪力の衝撃だけ反射したんじゃないかしら」

「本当かい?それなら呪力で強化した肉体や呪具で攻撃した場合も反射するのか…」

「マジかよ…。実質物理で殴るのも駄目なら訓練できねーじゃん。俺らが避けるのに専念するか?」

 

その結果がこれである。

呪術師は基本的には常に体に呪力を流して強化する。また流された呪力は攻撃に乗る為に呪霊を祓えるのだが、呪怨反射を持つアリスに対してだとそれが裏目に出たのだ。

因みに初日の五条は恐らく咄嗟に出た攻撃だった為そもそも威力がほとんど無く、それ故に反射された事に気付かない程度のものだったのだろう。

 

「とりあえず、これからは訓練中は反射を吸収に上書きしておくから気にしないで」

「き、吸収?吸収なんてことも出来るのかい?」

「出来るわよ。無効、吸収、反射、この3つね。因みに日常のちょっとしたことで発動しない様に物理無効にしてるけど、別に物理攻撃も威力の吸収や反射出来るのよ?」

 

空いた口が塞がらないのはこれで何度目だろうか。アリスの口から出てくる新しい情報を聞く度にこうなっているので、その内顎が外れてもおかしくない。

 

「なんつーか、ほんとチートだよな。1人だけ戦ってる方法が違うというか」

「たぶん悟にだけは言われたくないと思うよ。その無限も大概だ」

「そうよね、そもそも届かないのも可笑しいものよ」

 

ハハハ、と笑い合う。夏油からしたらどっちもどっちであったが、言うとまた話が長くなり面倒くさくなりそうなので口には出さなかった。

 

「全く、これじゃ赫使えてもホントに効くのかわかんねーな」

「そういえば最近よくその赫?って言ってるわよね。何なの?」

「確かに独り言でブツブツ言ってるよね、煩かったから話してしまいなよ」

「あー、まあいいか。いつも俺が使ってるのが引き寄せる力を生み出す順転の蒼。で、赫はその反対なんだよ。弾く力を生み出す術式反転」

 

ま、まだ使えたことねーんだけど、と言いながら何も無い方に向けて手印を組んで向ける五条。それに対し夏油が思い浮かべるのは今グラウンドの端で見学している硝子だ。

 

「反転…ということは硝子の反転術式に近いものなんだろう?やり方とか聞いてみたらどうだい?」

「無理無理。というか聞いたんだよ。そしたらあいつなんて答えたと思う?ひゅーんひょいだぜ?意味わかんねーっつーの」

「あー、アレは確かに分からないわね…。私も反転系は使えないし」

「まあそれは今はいいや。んで有栖、お前に赫効きそうか?」

 

本人に聞くようなことでは無いのだが、アリスが何を出来るのか分からないのだから仕方ない。本人に聞いて判断してもらうのが1番早いのだ。

 

「蒼での吸い込まれる力は反射出来ないからどうかしら。その弾く力そのものは反射するでしょうけど弾かれた力は当たるかも」

「お、いけそう?んじゃやっぱとりあえずの目標は赫だな。負けたまんまとかぜってー嫌だし」

 

それを聞き上機嫌になる五条。いくらアリスの力を認めているとはいえ、彼はまだ思春期真っ盛りの高校生だ。今まで唯我独尊に振舞ってきたプライドもあり、物凄く悔しく思っているのだ。

しかしその上機嫌はアリスがでも、と続けた事で急降下する。この後何を言われるのか既に浅くない経験から悟ったのだろう。

 

「ザン…、衝撃無効でいけるかしら…?弾くっていうのが指向性を持たせた衝撃波のようなものならいけそうだけれど」

「有栖、そこまでにしておいてやろう。面白いくらい凹んでるからね」

 

是非とも写真でも撮りたい所だが、残念ながら今は携帯は持っていない。流石に体術訓練を携帯を持ったままやる訳にはいかないとはいえ、惜しい事をした。そんなことを考えていると後ろから聞こえたカシャッ!という音に振り向く。

そこにはいつの間にか近づいて来ていた硝子が笑いながら携帯を持っていた。

後で送ってくれ、と目で伝える。ここであまり調子に乗らないのがコツだ。基本的には五条が多いが、気を抜いた時は自分が撮られている時もある。夏油は既にそれを身をもって学んでいた。

 

 

 

 

 

 

五条が立ち直ったところで話は戻る。どうにかして勝ちたいのだろう。どうやったら攻撃が通るかアリスに質問していた。だからそれは本人に聞くような事ではないだろう。

 

「私に攻撃を当てたいならたぶん夏油の方が向いているんじゃないかしら」

 

急に話のスポットが当たった夏油は驚き聞き返す。とてもではないが今の自分がアリスにどうこう出来るようには思えなかった。

 

「私が?前のように全て反射されて終わると思うんだが」

「もっと強いのを調伏するのよ。1級以上なら術式を持った呪霊もいるらしいし、それで炎や雷を出せる呪霊を使えば私に届くわ。まあ死んでくれる?との相性が最悪なのは変わらないけど…」

 

その言葉に驚く。アリスと夏油はそこまで深く関わっていない。訓練も主に五条や夜蛾を中心にしているし、個人的に2人で出かけるようなこともしない。

硝子とアリスに付いていくことはあれど、それも結局は荷物持ちとしての面が大きい。

だからこそそこまで自分の事を評価しているアリスに驚いたのだ。

 

「呪霊操術って、1級や特級も取り込めるのだからその力を使えるってことはとんでもない事じゃない?それこそ五条の無限を突破出来るような術式を持った呪霊だって存在するかもしれないし」

「うっわ、確かにそうじゃん。呪霊なんてワラワラ湧いてくんだし可能性は0じゃないよな…」

「うふふ、そういう意味では夏油もある意味無限の力を持っているのかもね。五条と違って数としての無限だけど」

 

そういう2人を前に固まる。自分は彼らとは違うと思っていた。現代最強と言われていた無下限の使い手にそれを超える規格外、世界で唯一他者に反転術式を使える存在。彼らは確かに特別な存在で、逆に自分はレアではあるがありふれた術式を持っただけの人間。自分では彼らに並べないと思っていた。

だけどそれが違うならば?他ならぬ特別である彼らがそう言うのであれば?

自分は、夏油傑は彼らと並べられるのだろうか。

 

 

 

 

 

何かを考え込んでいる夏油を傍目に、五条とアリスはまだ話を続けていた。

夏油がアリスの耐性を抜きやすいというのは分かったが、五条としては肝心の自分が出来る方法が見つかっていないのだ。

 

「それこそ、別に自分だけに拘らなくても呪具とかを使えばいいんじゃないかしら。炎を出す呪具とか、鎌鼬を起こす刃とか存在しないの?」

「呪具、呪具か。俺、特に必要無かったから今まで戦闘系の呪具使ったことないんだよな。今度五条家の倉漁ってみるか」

「そうよ、使える物は使ってしまえばいいのよ。私も良いのないか探そうかしら…?」

 

お前は必要ねーだろと返してくる五条を無視して改めて自分の事を考える。

物理と呪怨、現実世界かつ呪術界ではこの2つの耐性が無類の力を発揮するが、無敵ではない。先程から話しているように炎や雷は通常時は耐性が存在しないし、それらで複数攻撃された場合、枠が8個しかないので攻撃に回す事も考えると対応出来ない場合もあるだろう。

それに防ぐことが出来ない万能というカテゴリもある。この世界で万能に値する現象がどれほどあるか分からないが、無いとも言いきれない。

呪術において色々な知識を学んでいる最中であるアリスはその知識の中で1つ可能性を見出した。

 

「ねえ五条、黒閃って知ってる?」

「黒閃なんてものがあるのかい?教えてくれよ悟」

 

考えが纏まったのだろう、丁度会話に復帰して来た夏油も聞いた事のない言葉に疑問も浮かべ呪術歴の長い五条に質問する。

 

「あー、黒閃っつーのは打撃と呪力が当たる時の誤差が0.00なんちゃらだった場合に起きる現象な。空間が歪んで呪力が黒く光るから黒閃っつーらしいけど、黒閃がどうしたんだ?」

「空間が…歪む…。もしかしたら、その黒閃で空間が歪んだことによるダメージは物理無効や呪怨反射に影響されないかも」

「マジか。でも誤差0.0000…何秒だったか忘れたけど狙って出すのはまず無理だぞ?」

「そうだね、それに空間が歪んだダメージは通ると言っても打撃の無効化や呪力の反射は働くのだろう?あまり意味無いどころかデメリットの方が大きそうだね」

 

そういうものか、と考えを打ち切る。一応頭に残しては置くがあまり深く考えても意味がないことだろう。運が悪ければダメージを受けるくらいの認識でいることにした。

あまり黒閃による自身に対して影響は無いと判断を下したアリスの興味は黒閃そのものに移っていた。

 

「黒閃って黒く光る以外に何が起きるの?」

「まず威力が上がる。確か2.5乗とかそんな感じで比べ物にならんくらい上がる。後呪力に対しての理解度がする前とした後だと天と地ほど違うらしい」

「呪力に対する理解度か…。つまり有栖に効こうが効かまいが黒閃という現象は理解しておいた方が良さそうだね」

「ま、基本は運みたいなもんだけどな。後は1回黒閃発動すると暫くはゾーンみたいになるらしい」

 

「よくゾーンなんて知っているね」

「漫画で読んだ」

 

「ま、その内出来るだろ。これに関しちゃ有栖だろうと狙って出せるようなもんでもないけどな」

 

考える。五条が説明した通りなら確かに不可能だろう。そもそもアリスは元より人外じみた肉体をしているために呪力による強化なども甘い。そんな呪力コントロールでは尚更到底不可能。

しかしそれは普通であれば、だが。その普通に含まれないのがアリスという存在でありそのスキルだ。

 

「少し、やってみようかしら」

「は?いやいやいや流石に有栖でも無理だって。…無理、だよな?」

「そうだよ有栖、悟ですら狙って出来ないって言ってただろう?」

「いいから、やってみないとわからないでしょう?」

 

そう言って少し離れる。的はグラウンドの横に生えている木でいいだろう。

本当に出来るかは不明。だから過剰であろうとも使えるものは全部使う。

アドバイス・ブレイブステップ・ミナゴロシの愉悦・会心の覇気

全て本来アリスが使えないものであるが故に代わりにかなり能力が下がるが今は威力は必要ではない。

 

準備は整った。

術式に流す呪力をいつもより増やす。使うは呪力とは関係ないスキルである為、使用した時に呪力が付与されるようにする

起動。

 

『ヤブサメショット』

 

爆発、衝撃。黒き稲妻が迸る。

的にされた木は中ほどが消滅したかのように抉られて、倒れている。

その音でこちらの様子に気付いたであろう硝子と夜蛾も駆け寄ってくる。

 

「出来ちゃった」

 

手をピースに振り向いたアリスが見たのは、今日何回目かの呆然とした表情でこちらをみる2人の姿であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




クリ率上昇×クリ率上昇×クリ率大上昇×次攻撃確定会心化×確定会心攻撃 = 黒閃

アリスの話を書いていたらいつの間にか2人に強化フラグ生えてて草生えた。
赫を衝撃(ザン)無効で対処出来るかは考え中。
茈は確定で万能。
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