天与呪縛【アリス】   作:[ゆーや]

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次辺りで壊玉編いけるかな


後輩

アリスが働き方改革をしたり、夏油が問題なくどんどん階級を上げたり、桃鉄99年をしたりと1年で色々な事があったが4人は問題なく2年へと進級していた。

そして2年になったと言うことは新しい1年が入ってくるということである。

運が悪ければ1人もいない年もあるのだが、その年は問題なく2人の新入生が入ってきた。

 

まず1年の教室に突っ込んで行ったのは五条だ。精神が子供のようなものである五条は、初めての後輩ということでテンション爆アゲ、先輩を敬えとアニメや漫画で培ったイメージを持って走り出したのである。

もしこれが御三家や呪術師の家系からの出身であればそうでも無かったどころか、むしろあまり関わろうとしなかったのであろうが、そこは既に夜蛾から2人が非術師家系出身であると聞いていた。

 

それを追いかける夏油。それも最初は馬鹿みたいにはしゃぐ五条を止めようとするものであったが、夏油もその新入生に興味があったのだろう。結局止めることなく五条と一緒に突撃していた。まさに悪友である。

ただこちらは五条とは違い興味だけではない。夜蛾から非術師家系出身である他に、五条やアリスのような逸般人ではなく、まだ呪術を知ったばかりの素人であり普通の一般人であると聞いていた。彼なりに心配やお節介が先行した結果とも言えるだろう。

 

アリスと硝子はその後ろをゆっくり歩いて向かっていた。既に女性がいないことは聞いていて、そこは少し残念ではあったが単純に非術師家系出身というのは聞いていたので純粋に興味はあった。後は男2人が飛び出したのでその様子を見る為でもある。

4年であった歌姫が卒業してしまったのも関係しているだろう。今の3、4年は関わってこないのもあり、どうせなら仲良くしようという考えもあった。

 

「つーことで、後輩ども!パン買ってこい!」

「やめなよ悟。すまないね、2人とも。この通り世間知らずのボンボンなんだ。あまり真に受けなくていい」

「わかりました!良い人そうな先輩で良かったね!七海!」

「私はお前の目が見えているのか心配だ。はあ、こんな人が先輩だとは…」

「なんか言った?」

「いえ何も」

 

アリスと硝子が着いた頃には既に五条と夏油は既に教室の中に入り話を始めていた。軽く聞こえた感じではどちらも問題なさそうだ。少し安心しながら教室に入る。

 

「あなた達が新入生ね?私は節国有栖、こっちは家入硝子。あなた達は?」

 

こちらを振り向いた彼らはアリスを見て固まる。がその言葉を聞き咄嗟に挨拶を返す。

 

「あ、ああ。私は七海建人です。よろしくお願いします。節国さん、家入さん」

「僕は灰原雄です!よろしくお願いします!」

 

「うふふ、七海に灰原ね。私はアリスでいいわ、コンゴトモヨロシク」

「ん、よろしく。あ、有栖の挨拶はお決まりみたいなもんだし気にしなくていーよ」

 

お互いに自己紹介兼挨拶も終わったことで、やはり話題に上がるのはアリスの事だろう。その見た目は五条よりも目立つものなのだ。

 

「ところで…その、有栖さんは…」

「やっぱり気になる?ちゃんと16歳で貴方達の先輩よ?アリスって名前はわかりにくいけど、純粋な日本人でもあるわ」

「本当ですか!?ウチの妹と同じくらいにしか見えないのに…。あ、もしかして気にしてました?すみません!」

「気にしないで。今更気にするような事でもないわ」

「前に測ったけど身長どころか体重とかも変わらないもんねー。天与呪縛ってほんと意味わかんない」

「そういうものなんですか…。改めて、よろしくお願いします」

 

挨拶が一区切りした所で、後ろで空気を読んで待っていた五条…いや、夏油に止められていた五条が話に割り込んでくる。

 

「丁度良かった!有栖、ちょっと七海の事で気になる事があってな」

「私の事ですか?どうかしました?」

「あー、お前の術式、相手に強制的に弱点作るってやつなんだけどさ、それが有栖に効くのか気になるんだよな」

「へぇ、いい術式ね。たぶん効くと思うけど、せっかくだから今度試してみましょうか」

「いや、しかし…」

「気にすんなって。有栖、滅茶苦茶つえーから。むしろ自力で有栖に傷付けられるのなんて世界に何人いるかわかんねーんだぞ?」

 

俺も自力だとまだ無理だしなーとボヤいている五条に七海は何も言えなくなる。見た目からして明らかに普通では無いアリスではあるが、そこまでだとは軽く言われた所で納得出来るようなものではない。

 

「まあ、今度色々見せてあげるわ。貴方達としては私や五条よりも、夏油の方が参考になると思うけど。灰原は既に仲良くしてるみたいだし七海も仲良くしておくといいわ」

 

アリスが横を見るとそこでは灰原が夏油と硝子に色々と話しかけていた。硝子は多少相槌を打っているくらいで、あまり会話には参加していないが灰原は気にしていないようだ。夏油とは話が合うのか、色々と盛り上がっていた。灰原の声が大きい為余計にそう見える。

 

その後も話を続けたが、4人を探しに来た夜蛾が来た事で一旦この場はお開きとなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6人は任務がなく揃っている時間を見つけ、グラウンドに集まっていた。

前に話したアリスに対する七海の術式を試すつもりなのだ。本来は五条とアリスが揃っている時にやるつもりだったのだが、夏油も見たいということで少し遅れたのだ。因みに1年2人はまだ任務は多くなく、硝子はそもそも治療が仕事であり、任務で出かけることはあまり無い。

 

「じゃあ、始めましょうか」

「よっしゃ!七海、自分の術式は分かってるな!」

「はい、対象を7:3に線分した点に強制的に弱点を与えるというものですね。今日のために五条さんから何回も詳しく説明されましたし」

「そうだっけ?まあいいじゃん、とりあえず始めようぜ!」

 

そう言って五条は夏油達がいる所まで少し離れ、アリスと七海は向き合う。

 

「まずはそうね、術式無しで私に攻撃してみて頂戴?五条の事だから私のことはあまり説明してないでしょうし」

「今更ですが、本当にいいんですか?」

「いいから、気にしないで。本当に大丈夫だから」

「…。そういう事なら、失礼して」

 

七海はあまり気乗りしないがアリスが的のように前に出している手のひらに向かって拳を突き出す。

しかしその拳は寸前で壁に阻まれたように止まった。

それを初めて見る七海と灰原は驚くが、4人の先輩は何も動じていない。故に彼らにとってこれは当たり前の事なのだろうと察したし、五条が色々言っていた事も理解した。

 

「まあ、最初は驚くよね。けどアレがアリスという存在さ。その内慣れるよ」

「凄いです!夏油さん!今の有栖さんのアレ、どうなってるんですか!?」

「あんな感じだから、有栖1回も治療した事ないんだよねー」

「七海ー!どういう事か分かっただろ?だから術式試してみてくれ!」

 

横から掛けられる言葉に気を取り直す。

改めて少し離れて向かい合い、術式を使う準備をする。

 

「準備は良さそうね。もし何かあっても硝子がいるから、遠慮なく来なさい」

 

長い方がいいと判断したのか、今度は手のひらではなく肘を曲げ、腕を突き出すアリス。

 

「行きます。十劃呪法!」

 

腕を7:3した場所に拳を突き出す。先程は壁のようなものに遮られた拳は、今度はその腕を殴りつける。

それはアリスを大きく動かすようなものでは無かったが、殴られた腕は少しではあるが確かに動いており、しっかりと当たった事が認識出来た。

腕を引き、アリスを見る。その口が開かれようとした所で、七海の肩に強く腕を回された。

 

「マジで当たってんじゃん!俺の見立ては正しかったっつー事だな!」

「そうだね、有栖に攻撃を当てたのは七海が初めてだ。誇っていい事だよ」

「なんかよく分かんなかったけど、先輩達すっごい褒めてるし凄いよ七海!絶対強いんだよそれ!」

「そうだね、有栖に手も足も出てない悟より強いんじゃないかい?」

「そ れ は な い。確かに有栖には当てられたけど七海じゃ俺の無限は無理だからな、絶対負けねーよ」

 

ワイワイガヤガヤ。七海は五条と灰原に揉みくちゃにされる。夏油に助けを求めるがニコニコと笑うだけで何もしてくれなかった。この人もクズだ。

夏油に助けを求めるのは諦め、先程から話に入ってきていないアリスの方を見るがそこには硝子に腕を見られているアリスがいた。

「別に何もなってないわよ」「せっかくだから治されときな」と言った言葉が聞こえたため、水を差す気にもなれず、七海はため息を吐いて揉みくちゃにされることを選んだ。

 

 

 

 

 

 

 

そんなこともあったが、何だかんだ1年と仲がいいのは夏油である。

五条はよく絡んでいくのだが、その性格が問題である。生来のコミュ強、根明である灰原は特に気にしていないのだが、七海は慕えるような人ではないと思っている。

アリスはそういう問題は無いのだが、性別の壁だ。硝子とよく話しているのもあって、そもそも男2人の先輩よりも交流が少ない。それでもよくこちらの事を気にかけてくれるので、2人とも慕っている。

硝子に関してはあまり積極的に関わってくるタイプではない。任務や訓練の怪我の治療でよくお世話になったり、アリスと話しているところに出くわしそのまま話すことなどはある為悪い関係では無いのだが、アリスらと比べるとその関係は浅い。

 

また、体術等でも夏油が2人を教えることが多いのだ。

五条はその天才性よりかなりの技術を持つが、人に教えられるようなものでは無い。アリスは体格差故にあまり向いていない。それに体術の練度自体も夏油や五条に比べると劣る。

2人も練習相手こそ務めているが、教えるのは専ら夏油の役割だった。

 

「灰原、いったん休もうか。お疲れ」

「ハアッ、ハアッ…。すみません夏油さん。ありがとございます」

 

座り込む灰原に水を渡す。七海の方をみると先程は持っていなかった呪具を持って五条と訓練をしていた。呪具を取りに行った時に既に1度休憩を挟んでいるのか、アリスが空のペットボトルを潰している。あの分ではまだ続けるのだろう。

 

「夏油さん、本当に強いですね…!手も足も出ませんよ」

「私の呪霊操術は私自身がフリーになるからね、かなり鍛えているんだ。運がいいことに体格にも恵まれているからね」

「凄いなぁ…。五条さんやアリスさんも凄いですけど、素の力が強すぎるのか雲の上の人みたいに感じるんですよね。だから、僕は夏油さんみたいに成りたいです!夏油さんも2人と同じくらい凄いですし!」

「灰原…。そう言われると、先輩としては張り切らないとね。厳しくいくよ」

「望むところです!」

 

灰原は、話していて気持ちがいい人間だ。呪術師には珍しい根明な性格は決して嫌な気持ちになるようなものではなく、また本人の話し方も上手い。そして周りをよく見ている。

 

「そういえば、夏油さんってこういう訓練とかであまり有栖さんと組みませんよね、何かあったんですか?」

「 …。よく見ているね。いや、気にするような事でもないよ。ただ少し、有栖と戦うのはトラウマがあってね…。前に七海が有栖を殴れたのを見て、私も有栖と改めて模擬戦をしたんだよ。それで私も有栖に攻撃を通すことが出来たんだけど、その時にトラウマが再発してしまってね…」

「そんな事が…。夏油さんがそうなるってことは、五条さんもトラウマになったりしたんですか?」

「いや、これは私しか感じれないものでね、だから灰原や七海も気にする事はないよ」

 

体内で発動する即死を認識するなんてことはそうそうない、これは他人には共有できない体験だろう。まあそれを見て爆笑してくる悟には1度でいいから味わってみて欲しい、と思う夏油であったが、対アリスにおいて1歩先を行かれたことを知ったあの表情は中々愉快なものだった。

 

「さ、十分休めたかな、続きをやろう」

「そうですね!よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 




七海の十劃呪法はあくまで術式そのものが害を与えるものではないので呪怨ではなくデバフのような判定。
簡単に言うと物理ガードキル判定。
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