【3月12日 07:00】
『異世界から失礼します。私は異世界の貴方です。』
朝起きると自分の机の上に丁寧にラッピングされた直方体の箱とその上に異世界から来たらしい手紙が置いてあった。
この地球は平和とは言い難い平和をずっと続けて行くものだと誰もが思っていた。あの日までは…
【1年前 4月7日】
入学して直ぐぐらいだった。俺、安室 勇生(あむろ ゆうき)は放課後帰り支度を終え学校の正門から出た。スマホを確認すると緊急ニュースが入ってきた。
『豪 南東部沿岸壊滅 侵略者か?』
ニュース記事に貼られた映像にはオーストラリア大陸南東部沿岸が燃え盛っている様子が映っていた。同じ様にスマホを見ている学生達も同じ話題で盛り上がっていた。盛り上がる内容では無い気がするが他人はどうでもいい。動画を見返すと奇妙な存在する筈のない見覚えのあるモノが映っていた。
勇生「これは、ヒトツメ?」
そう、ヒトツメだ。ビルドダイバーズRe:RISEに出てきたあのヒトツメだ。3、4m位の奴が大量に映っている。どうやらオーストラリアを襲ったのはヒトツメらしい。
勇生「なんで、ヒトツメが?ってか灰色なんじゃけど。」
その後オーストラリア空軍の攻撃を受けある程度反撃してからヒトツメ達は宇宙へ帰って行った。
その日の夜。世界各国へヒトツメ達を束ねるアルスと名乗る奴から音声だけで地球侵略を宣言された。ガンダム好きが知っているあのアルスでは無さそうな感じがした。
この日を境に毎日地球上の色々な場所へ降りてきては侵略活動を行っていた。勿論日本にも。俺の住む広島にも。
唯一の救いは近代兵器が通用するところだった。通用すると言ってもほとんどが怯ませるだけで撃破と言えるのは1回の戦闘で100匹来ていれば10匹程度だった。襲撃には必ず100匹以上。今迄で1番多かったのは半年前。アメリカに現れた1000匹をゆうに超えていた。
冒頭に戻る。
朝起きると訳分からん手紙とよく分からんプレゼントボックスが置いてある。…まぁいい、今日は休みだ。顔洗って朝飯食って頭をスッキリさせてからもう一度見てみる。
うん、思った通り、まだあるねぇ。取り敢えず手紙を最後まで読んでみる。
手紙の内容は大きく分けて2つ、アルス率いる侵略者の事とプレゼントボックスの中身の事だった。
先ず、この手紙とプレゼントボックスをここに送ってきたのはこの手紙を書いた張本人、異世界の俺らしい。時空を超えて俺の家の俺の部屋の机の上というピンポイントで物を送れる技術を持った世界らしい。異世界の俺が言うには一緒に送ったプレゼントボックスの中身の道具がヒトツメ、ひいてはアルスを倒す為の物で、異世界の俺は仲間たちと一緒にこれを使ってアルス達を敗北に追い込んだ。ところが、止めを刺そうとした瞬間、ほかのヒトツメ達と共に異空間転移してしまい、倒しきれなかったらしい。そしてアルスは消える寸前言ったそうだ
アルス『こうなれば、また世界を渡るだけだ!』と。
迷惑〜。んで世界を渡った先がうちの世界、と。ホントに迷惑。ってかホントにアルスか?
まぁ、来たものはしょうがない。このプレゼントボックスの中身に掛けるしかない。リボンを解き、テープ止めしてある所をカッターで切り、丁寧に包装紙を剥がす。蓋を開けると
勇生「PMS、パワードモビルスーツ顕現装置、通称Gリアライザ取り扱い説明書…」
トリセツだった。それも退けるとやっと それ が出てきた。白をベースに青と金で彩られていた。
勇生「これが、Gリアライザ…」
何処か既視感のある見た目、ちょっと考えて思い出した。ポケモンBWのミラクルシューターと大怪獣バトルのバトルナイザーだ。足して2で割った様な見た目をしている。
マスター設定が必要らしいのでトリセツをみながら設定していく。
どうやらこのGリアライザは使用者にMSと同じ能力と見た目をした鎧を0.1秒で展開、装着する事が出来るらしい。MSは好きに選択出来るが1度決めると初期化しない限り再変更不可。中々厳しい。でも選べる機体が多すぎる。アニメ、ゲーム、漫画、小説に出てきていて人型であれば何でもいけるらしい。フリーダイヤルまで選べるのは恐れ入った。
そして機体を選ぶ方法はもう1つ。箱の底にあった付属の台座をコードでGリアライザと繋ぎ、自分の作ったガンプラを載せることで俺ガンが使えるようになるらしい。マジか。やろ。
Gリアライザの接続基部のカバーを外し、コードと台座を繋ぎ、ガンプラを乗っけた瞬間、台座が一瞬光り『登録完了しました』と言う音声がすると、Gリアライザのディスプレイに登録させたガンプラの3Dモデルが出来上がっていた。因みにガンプラの方は最大3機まで登録出来る。もし戦闘時にアーマーが壊れる程の攻撃を受け顕現解除となった時、使用者が無事であれば選び直して戦闘継続が出来るらしい。顕現解除された機体は1時間後にまた変身可能らしい。
…あ、これ俺が戦うのか。武術を習ったことも無ければ喧嘩もした事無いんだけど。え、大丈夫かな、ホントに俺戦える?不安を覚えながら一応装着してみる。右腕前腕にベルトを巻き、グリップを握る。その瞬間、
勇生「うおごがぁっ!?ぐふっ…!おごぉっ!」
頭に膨大な量の情報が流れ込む。脳が焼き切れそうな感覚。
片手で口を押さえ、床に手をつき吐き気と頭痛を我慢しながら呻くこと30秒。今度は自分な体の奥底にある何かを無理やり引っ張り出される感覚に襲われる。傍から見れば呆然と口を半開きにして座っているようにしか見えないだろう。それもその筈、体が動かせないのだ。何も考えられない。ただその何かが引っ張り出されるのを待つしかなかった。
【09:41】
気が付くと床に寝ていた。時計を見ると箱を開けてから1時間が経過していた。どうやら気絶していたらしい。周りに固い物とか無くてえかったぁ、なんて考えているとある事に気が付いた。
勇生『感覚が鋭敏になっとる?』
今まで気付きもしなかった小さな音や空気の流れ等々、それこそ恐ろしく速い手刀も見逃す事はない筈だ。
勇生「…1度変身しといた方がええよね…?あ、そうだ!」
俺の頭の中にフレクサトーンの様な音が響く。それと同時にとある考えが思い浮かんだ。すぐさまパソコンを立ち上げノート、シャーペン、消しゴムを用意してYouTubを開き検索バーをクリックし、先程思いついた単語を入れていく。
勇生「ガンダム、戦闘、市街地っと。」
俺にはガンダムに対する知識はあれど戦闘経験がある訳では無い。でも勉強する事は出来る。市街地戦をしているシーンの切り抜き動画やガンダム解説動画を片っ端から見て開いたノートにまとめていく。少しでも知識を仕入れておかないと自分が危ない。
自分が危なだけならまだいいと思う。でも自分今から扱おうとしている物はガンダムの武器だ。等身大サイズとはいえ携行武器の中では世界中何処を探し回ってもビームライフルやビームサーベル以上の殺傷能力を持つ武器は存在しないだろう。人に当たれば文字通り当たった場所が消え去ってしまう。
そもそも威力がどの程度なのかも分からない。流石に実寸大と同威力とは思えんけどビームライフルを地面と平行に撃った時、アスファルトがちょっと抉れる位はありそうだ。
もっと言えば飛距離も分からない。もし撃って避けられた場合その時後ろに逃げ遅れた人がいたら…。もし撃って当たったとしてビームの威力が落ちることなくそのまま敵を貫いたその先に建物があったら…。
…基本使わない方向で考えよう。ビーム実弾関係なく。使うとしたら本当に何も無いだだっ広い所か敵の向こうが空だった場合ぐらい、かな?
それこそ周りの事を考えずに「撃っちゃうんだなぁこれが」なんてやった日には街はボロボロ、ネット上ではボロクソだろう。…海の上に上手い事連れ出せればそこまで周りを考えんでも戦えるか?
【11:06】
…ある程度は調べられたけど不安しかない。どんな形であれ自分の体を使って戦ったことなんて一切無いのだ。そもそもまだ変身したことも無い。…考えても仕方ない。飯にしよう。どっか食べに行こうかな。幸いお金はほかの家よりは多くある。よし、街中に行こう。ササッと準備をして家を出る直前、
勇生「あ、やっぱ持ってっといた方がええよね。」
いつも使っているウエストバッグにGリアライザを入れ家を出る。20分少々電車ででーんと揺られ、路面電車に乗り換え10分少々。目的の駅には着いたがノープランなので…
勇生「…何処で食べようか…。」
こうなる。
勇生「何時もの所でええか。」
近くのつけ麺屋に並ぶ。
【13:02】
食べ終え外に出る。そのま近くのアニ〇イトへ。欲しいものがある訳でもなく、食べたら帰るつもりだっのだが街中に来たら何故か足が向く。誰かジャングルの奥地へ足を運んで真相を調べて欲しい。それにしてもここは凄い。1歩足を踏み入れると1、2時間は出られないのだ。例によって今回は2時間いた。
【15:09】
別に何か買った訳ではないが楽しかったし疲れた。明日も休みで良かった。もう直ぐ春休みというのも嬉しい。路面電車のホームへ行くため赤信号の横断歩道を待つ。
その時だった。
ウー!
警報が鳴り響く。ヒトツメ達が来たのだ。ドキッとした。何時もなら早く逃げようとしか考えないのに。
今ここにヒトツメ達が来たのはたまたまか、それとも異世界の俺が今日に間に合うように送ってくれたのか、それとも、
…俺が居るからか。
通行人「君!早く逃げるんだ!」
勇生「え、あ、はい!」
呆然としていた所に声をかけてもらえたので小走りで街の人達が逃げる方へ行く。俺がGリアライザを持ってこなければ、みんな怖い思いをせずに済んだんだろうか。
ドゴーン!!
ヒトツメ達の破壊活動が始まった。
俺がGリアライザを設定しなければ良かったのか…。
次第に項垂れていく。
ドガーン!!ガシャーン!!
…俺が、箱を開けなければ…。
次第に足が止まっていく。
ズガーン!!ドゴーン!!バリン!!バキッ!!
足は完全に止まった。
……俺が…
子供「助けてー!」
はっ、となった。それと同時に頭を上げた瞬間、
「助けてくれー!!」 「誰かー!」
「もう嫌ァー!」 「なんでこんな事に…」
「何なんだよ本当によォー!!」 「あぁ神よ…」
「おかあさーん!」 「こっちだ!早く!」
何時もなら逃げ惑う人々の声としか認識してなかったが今日ははっきりと悲鳴として聞こえた。
誰かを必死で探す声。
やり場のない怒りを叫ぶ声。
助けを求める声。
ウエストバッグからGリアライザを取り出す。触れていない筈のディスプレイに文字が浮かび上がる。
『 最終警告
Gリアライザの使用により貴方の生活は大きく変わる事が予想されます。それでも使用されますか?
YES/NO 』
巫山戯んな。そっちからこんな物送っておいて初戦闘直前に出す警告じゃねぇよ。本当についさっきじゃけど腹は決まった。俺に人が救えるなら、
勇生「やるよ。やってやるよ!俺はまだこの世界でやりたい事がようけある!今やらにゃあ絶対後悔する!」
近くの路地に入り逆方向へと走る。
勇生「まだあの娘とも会っとらんのんじゃけぇ。今死なれんのんよ。」
YESを押す。
勇生「それにこの街には育ててもろうた恩がある。返すには丁度ええチャンスじゃろ!」
周りに人が居ないのを確認して、Gリアライザのディスプレイをタッチ。するとさっき登録した俺ガンが映る。機体をタッチし、手首の方へスライドさせるとSALLYという文字が表れる。
勇生「リアライズ!」
俺の体は一瞬白い光に包まれた。
【三人称視点】
人が走るよりも早いスピードでヒトツメは破壊活動を行っていた。
人が追いつかれるのも時間の問題。そんな時だった。
子供「うわぁ!」
1人の子供がつまづいてこけた。起き上がって振り向くともうヒトツメは目の前だった。恐怖に怯え立ち竦んでしまい動けなくなっていた。
子供「う、うあ、ああ…」
子供に触手が伸ばされる。
母親「テチ!」
無意味だと分かっていても母親は抱き締める様に庇った。
貫かれる!より一層強く抱き締めた。
だが何時までたっても痛みを感じない。恐る恐る目を開け振り返ると
ギュドーン!!
さっきまで触手を伸ばしていたヒトツメが爆発した。
ゴォッ!
という音と共にピンク色の光や高速で飛ぶ何かの塊が飛んできてヒトツメ達を撃滅していく。
通行人A「な、何が起きてるんだ?」
子供「助かったの?」
【推奨BGM:SALLY】
シュゴォーッ!っという音と共にビルを超え何かが飛んできて人の前に降り立った。
?「皆さん!早く逃げて!」
振り向きながら それ はそう言った。
「あ、あれって…」 「な、なんか、ちっちゃいけどさ…そうだよな!?」 「あぁ、間違いねぇ。」 「おいマジかよ…」 「今度は何なんだよ!もぉー!」 「落ち着けって、よく見ろ!」 「多分そうなんだろうけど初めて見るぞ。」 「ガノタで通ってるお前が知らねぇってどういうことだよ!」 「しゃ、写真、写真撮っとこ!」 「んな暇あるか!早く逃げるぞ!」 「き、奇跡だ…」 「お、俺達を助けてくれるのか!?」 「みんな!今のうちに早く!」
それ はビームライフルとバズーカをヒトツメに構え直した。
子供「ガンダムだ!」