モンスターと仲良くなろう! 作:ポケモンにわか
過去編は2話で終わらせる予定です。
時系列が破茶滅茶でわかりにくいですが、生暖かい目でご覧ください。
「これ、なに?」
「これは猿、お猿さんよぉ」
「これは?」
「これは……鳥かな?」
「これは?」
「これは亀さんね!」
幼年期の千歳は、よく動物について周りの大人たちに聞いていた。
聞けない時は自分でも本を開き学ぶ姿は、両親に千歳の将来を安心させるに足るものだった。千歳は手のかからない、可愛く賢い息子として甘やかされて生きてきた。
財産も将来を不安視しないぐらいにあったこともあり、千歳は基本的に何でも買ってもらえた。
その中に、『ポケモン』というゲームがあった。千歳はこれにハマった。のめり込んだ。幼稚園のころは友達と遊ぶとき以外、ずっと本を読むかゲームをする子だった。
この頃から、両親の目から見る千歳は著しく変化した。
それは千歳が、自分の術式を理解したが故の成長だった。
*
「“サル”! またアイツらがいるよ! 僕たちでやっつけよう!」
『ぁあ? ちゃんとオレサマが満足出来るような強い奴何だろうなぁ?』
「分かんないッ! でもアイツら、人をいじめたりする奴なんだ! きっと悪い奴なんだよ。だから倒そう、僕たちなら出来るよ!」
《“サル”、凛の言う通りです》
《ボクも……アイツらは悪い奴だと思うな》
『チッ、わぁ〜ったよ!』
深夜、三日月が淡く世界を照らす時、千歳は自分が通っている小学校に来ていた。
隣には、炎を纏った茶色い毛並みの“サル”と呼ばれるものが千歳を守るように立つ。
「ボォーボァー!」
見据える先には、異形。カエルの見た目に、人間のような腕が生えた、奇妙で生理的嫌悪を抱く例えようのない存在。
『フンッ、やっぱり雑魚だぜ』
それを、“サル”は炎を纏った拳を一振りするだけで倒してしまう。
「うーん、確かにレベルアップはしなかったね……」
《もう少し相手が強ければ、ワタシタチも強くなれるんですがね。中々会えませんね》
《もう、この辺りには……ボクタチに勝てるのっていないんじゃないかな?》
「そうかもね……。じゃあ“サル”、お疲れ様。また呼ぶから」
『あぁ、今度はもっと強いやつを頼むぜ』
「約束はできないよ。今度は“トリ”と“カメ”の出番かもしれないしね」
そう言って、隣にいた“サル”は忽然と姿を消す。
千歳凛、齢9つにして単独で二級呪霊を祓う。呪術師としては十分に二級術師の要件を満たす、簡単に言うと天才である。
*
「結局、君たちはなんなんだろうね?」
《知らねぇ》
《既存のデータには、ワタシタチの存在は書かれていません》
《ボクは……自分のこと動物だと思ってるけど》
千歳は考える。
炎を生成し、操る“サル”。戦う時には自身に炎を纏って格闘戦をする超近距離タイプのモンスター。
水を生成し、操る“トリ”。生成できる水には毒や熱湯など手札が多く、戦う時には空中から一方的に攻撃をする遠距離タイプのモンスター。
草を生成し、操る“カメ”。その身体はレベルアップするごとに大きく硬くなり、最硬の盾となる。遠くの敵には草を巻きつけたり、近くの敵には踏みつけを行う攻守揃った万能タイプのモンスター。
―――やっぱり、皆んな『ゲーム』から飛び出してきたモンスターみたいだ。
《どうした? 凛》
「ううん、何でもないよ“サル”……ところで、この名前変えたほうがいいかな? 子供の時に適当につけたものだから、皆んな嫌じゃない?」
《 《 《嫌じゃない》 》 》
「そ、そっか……ごめんね」
モンスター達に食い気味に否定された千歳は驚く。
千歳としては、幼稚園の時に自分がつけたネーミングセンスドブカスの彼らの名前が気に入らないが、モンスター達が気に入っているのだから変えれない。諸行無常。
*
「おはようみんな!」
「千歳か、おはよう!」
「今日も元気いいな〜お前」
「千歳くん! お、おはようございます!」
初夏、生活しやすい環境から一気に蒸し暑くなる季節。
千歳は中学1年生になり、交友も増え、充実した学生生活を送っていた。
「やば、千歳くん今日も可愛いわぁ」
「イケメンの高田くんと男の娘な千歳くんが絡みあって……あっ、鼻血が」
「押し倒したい」
………少しだけスリルのある学生生活を送っているようだ。
「なぁなぁ千歳、今日ゲーセン行かね?」
「いいよ! 実は今日、お母さんからお小遣い貰ったばかりなんだ!」
「お、ならハメ外せるな!」
「金あるならさ、今度の土曜日皆んなでサッカー観に行くんだけど、お前もどうだ?」
「え、行きたい行きたいッ! 対戦相手はどこ?」
「なら俺も行こうかな」
「千歳くん行くんなら私も行きた〜い」
「むさ苦しい男子の中に千歳くんだけって可哀想だしねぇ〜」
「はぁあああ? 意味わかんね! 千歳は男子だろうが」
「言わなきゃ分かんない? これだから男子って子供〜」
「ぁあ? んだとコラ!?」
「やんの??」
「ふふっ、2人とも仲良しさんだね! なら皆で行こうよ、そしたら絶対楽しいしさ!」
学校での千歳は明るく、社交的で友達想い、そして男女関係なくモテるようだ。男女誑しである。業が深い。
そんな順調な昼の学校生活に反し、夜の方は停滞が始まっていた。
無論、呪霊との戦闘についてである。イヤらしい妄想をした諸君は、千歳に謝りなさい。彼はまだ清い身である。
*
「なんだか最近、コイツら多くなってない?」
『毎年のことです。ワタシが記憶している範囲では、恐らく初夏が最も多い。つまり、今の時期です』
「へぇ、そうだったんだ。僕全然分からなかったよ……凄いね、“トリ”は!」
『ふふっ、ありがとうございます』
“トリ”の上に乗りながら、千歳は楽しく“トリ”と談笑していた。
千歳は“トリ”の背中に乗り、空を駆けるのが好きだった。飛行機やヘリコプターなんて目じゃない、最高の感覚だと確信している。
―――あぁ、今日はこのまま家に帰ろうかな……。
『ッッ!! 凛、逃げて!!!』
「え……………うわぁああああああああッ!!!」
突如の急転落下。“トリ”から放り出された千歳はパラシュート無しの落下を行った。
―――まずいまずいまずいまずい!!! 下は海? なら大丈夫? 違う! この高さからなら普通は死ぬ! 守らないと、どうやって?
「――自分の身は、自分で守るッ!!」
意外に思われるかもしれないが、千歳は今まで実践経験がなく、イレギュラーに対してはすぐパニックに陥る。
それは彼のモンスター達が強かったせいもあるし、環境が彼らに対して弱すぎたのもある。だからこそ順調にモンスターは成長できたが、千歳の呪術師としての成長の機会は奪われ続けた。
千歳は溢れ出る規格外の呪力を本能のまま操り、その稚拙な呪力操作を出力で補い、そのまま海へ落ちた。
―――! そんなに、ていうか全然痛くない! これなら大丈夫だ、戦える!
海から顔を出す千歳は、すぐに“トリ”に捕まえられ運ばれる。
「“トリ”! さっきは何があったの!?」
『敵から攻撃を受けました! 今回の敵は強すぎます、引きましょう!』
よく見ると、“トリ”の身体は傷だらけだった。千歳は後ろを振り返る。
そこには静かに佇む、“強者”がいた。
―――あ、これってもしかしてヤバい奴?
“トリ”を攻撃した張本人――呪胎から孵ったばかりの
「……踊れ、風よ」
「これ、無理ゲーだ」
千歳は、既に諦めかけていた。
吹き飛ばされた“トリ”は遠くの方で傷つき倒れており、立つことすら儘ならないほどだ。
たったの一撃で、これなのだ。
千歳凛には、圧倒的に“理不尽の場数”が足りていない。今までモンスターに任せるだけで勝てるイージーゲームだったのだ。例え、一級呪霊であっても成長したモンスター達にとっては戦い甲斐のあるやつ、と言う認識でしかない。
その脆き強者のあり方は、別の強者が現れることで簡単に崩れる。
「脆き者たちよ、私は台風の“呪い”。天災であり、変災であり、生物にとって不祝儀である……私を畏れよ、弱き者よ」
「……はは、君たちって話せるんだ。初めて知ったよ」
「貴様は一体、いくつの同胞をその手にかけた?」
「え?」
「私が刈るのは生命だけ、呪いは刈らない……そんな愛すべき同胞たちを、お前はいくつ殺したのだ?」
千歳は知らない。相手が“呪い”だということを。
だから、信じてしまった。相手は人間とは違う、しかし同じ“心”を持った
「ご、ごめん。その……覚えてないけど、子供の頃から悪さをしているお前達をずっと倒してたんだ。だから、何人倒したのか覚えてない……」
「……そうか。分かった」
呪霊は高速で移動すると、千歳の頬をその桁違いの威力で殴り飛ばした。
「ならば、同胞を殺すという“悪さ”をしているお前を、私が倒そう」
『逃げなさい凛! ここはワタシが時間を稼ぎます!!』
―――やめてよ、これはきっと罰なんだ。
―――今まで、君たちが敵を倒して強くなる姿が、まるで『ゲーム』みたいだったから。
―――そのゲームをやりたくて、“悪さ”をしている敵なら倒してもいいんだって、納得してたんだ。
―――でも違ったみたい。一体、僕は何人殺してきたんだろう?
《“トリ”じゃやべぇ!! オレサマを出せ凛!》
《ボクならアイツの攻撃も防げる! ボクを出して!》
―――僕は………極悪人だ。皆んな、ごめんね。
*
「厄介な……お前がいくら頑張っても、アッチは諦めているぞ? 無駄な努力だ」
『凛なら大丈夫――凛なら、立ち上がってくれます』
凛は昔から、自分の為に頑張れない人でした。
《何をしているんですか?》
「え、冬休みの宿題?」
《……それは、あなたのものではないでしょう》
「うん、寛太と修斗、あとは瑞希と陽菜の分かな」
《頼まれたからやっているのですか? そう言うのは世間で、『都合のいいように利用されている』……と言うそうです》
「確かに、寛太達は面倒くさがって僕に
《不良……というのは、素行が良くないと言うことですか。ならば、その友達は正しいことを言っている》
「……寛太はね、お兄ちゃんが高校でいじめられて不登校になってから、周囲に舐められないようずっと威嚇してるんだ」
「修斗は昔、中学生とゲーセンで遊んでただけで噂が広まって」
「瑞希は親が厳格で、家では物音が立っただけで注意されちゃう。それが嫌で学校では不真面目になっちゃって」
「陽菜は高校生と付き合っただけ」
「寛太達は、環境のせいで真っ直ぐじゃなくて曲がっちゃったけど、それでも“優しい”んだ」
《………》
「『お前は話せば誰とでも仲良くなれる』……前に“サル”に言われた言葉、実際はそうじゃないかもしれない」
《……………》
「でも、きっと……これに意味はある。ふふっ、今度は
《……ふふ、悪い人ですね》
「うん! 僕ってすご〜っく、悪い奴なんだ!!」
そんな事はない。貴方は優しい。
知っている。その後、罪悪感で心苦しく思っていた寛太達とゲーセンで遊び、彼らを心変わりさせた事を。
貴方は自分の為に頑張らない。頑張れない。
なのに傷ついてる人がいると、居ても立っても居られず、手を差し伸ばそうとする。
「くっ…! 面倒なァ!」
『はぁああああああッ!!』
ワタシの
今まで、攻撃を単調にしていたのは意味がある。
貴方にワタシの攻撃は水を飛ばすだけ……そう
水を、鎖のように伸ばして拘束する。
「こんなもので…!? なんだ、くっ…!
水にも性質というものがある。ワタシはそれを変えられる。
例えば実際になくとも、“粘着質な水”というものを作れる。
飛翔する。
ワタシの、最後の攻撃。
これを打った後、ワタシがどうなろうといい。
だから、ありったけを……ぶつけるッ!!
「ガハッ!」
『? 今のは一体……』
黒い、火花…?
だがこれまでにない、今までで一番いい打撃だった。
「調ォ子に乗るなぁああああああッ!!」
『ぐあっ?!』
鎌鼬のような反撃を喰らう。
翼が傷つきすぎた……これでは、もう飛べない。
「ふぅ、ふぅ……くっ、羽虫がッ。それではもうブンブンとは飛べまい……ここで葬ってやる」
翼も、もう飛べない。
何も、出来ない……。
「……何をしている」
『ワタシが……するのは………時間稼ぎッ!!』
エネルギーが尽きても、身体がある。
翼が使えなくとも、脚がある。
ならば敵の足元に噛みつき、少しでも時間を稼げ!!
「……ククっ」
「クッハハハハハハハハハ!! なんだそれは! なんだ
「よし、決めた。あの弱き者を、お前の目の前で引き裂き、喰らってやろう」
「愉しみだなァ」
*
「……違うな」
「ッ! なァン?!」
千歳の拳が、呪霊に激突する。
その膨大な呪力と出力で底上げされた威力は、特級と言えども簡単に吹き飛ばされるほどだ。
「お前は、
「さっきの見て、ハッキリ分かったよ」
「お前らは、
「僕の友達とは違う」
そう言って、千歳は“トリ”を軽く撫でて、消す。
そして顕れるは、業火を纏いし憤怒の猿猴。
『やっとだぜぇ……おい、テメェ』
「……今度は猿か」
『オレサマのダチを傷つけた……その大罪、身体で支払ってもらうぜぇええええええッ!!』
なんだ………この、『ヒーローア〇デミア』でヒーロー目指してそうなキャラ達は。
ジャンルが違いすぎるぜ! 呪術師じゃなくてヒーロー目指せよッ!!(ド正論)
もうそろそろPlus Ultraaaaaaaaaa‼︎ って言うんじゃないかな、言わんか。