モンスターと仲良くなろう!   作:ポケモンにわか

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 はい! 原作突入……なのかな?

 すみません、原作にないシーンを書いてしまいました。



一級術師・千歳凛

 

「もう一人の同級生と顔合わせぇ〜??」

 

 釘崎は面倒に思った。

 

 先ほど、高専の同級生――伏黒と虎杖――と顔合わせをして、そして流れで呪霊まで祓ったのだ。(※責任は五条にある)

 

 ステーキもしくは寿司を食べなきゃやってらんない、釘崎は大真面目にそう考えていた。

 

「おっ、千歳に会うのか! あれ、でも千歳って出張任務で忙しいんじゃなかったっけ?」

「それがね〜、ちょうど東京に戻ってるらしいんだよね。まぁそれも任務で来てるだけなんだけど……ここから近いし、せっかくだから君たちに『一級術師』を見せたい」

 

 五条は楽しそうに歩く。もはやスキップだ。彼のお眼鏡に叶った生徒は、玩具にされるのだから全員不幸かもしれない。

 

「その千歳(?)とかいうやつ、知らないの私だけ?」

「俺は任務とかにも随行したことがある」

「俺は〜……いや、割とマジで思い出がない。会ったらすぐに出張でいなくなったんだよなぁ。あ、でもすっげぇいい奴なんだよ!」

「ふ〜ん、あっそ」

 

 釘崎は虎杖のいい奴という評価に、それ以外どこも褒めるところがない特徴のない奴なんだろう、と辛辣に見てもないのに相手を評価した。

 

 呪術師は、全員イカれている。

 

 

 

 

「な・ん・でッ! 東京にいるのに、今度は森の中に行くのよぉおおおおお!?」

「だから行ったじゃん、『ここから近い』って。凛は今回、森の中にある心霊スポットが任務地らしいからね」

 

「五条先生ってさ、なんか説明足りなくない?」

「いつものことだ」

 

 釘崎は激怒していた。東京に来たらキラキラのビルに囲まれてイケてる男子達ときゃっきゃうふふな青春を送れると思っていたからだ。

 

 その理想と現実の落差に激怒した。

 

 ―――こんなクソ田舎みたいな場所に連れてきた千歳とかいう奴、いっぺんシメるわ。

 

 理不尽の権化極まれり、虎杖が正論(ツッコむ)なら「いや言い出しっぺは五条先生!」と言うだろう。そう、悪いのはいきなり予定を加えた五条である。

 

 

 

「「――ッ!!」」

 

 

 

 刹那、虎杖と釘崎は心臓を掴まれるような威圧感(プレッシャー)を感じる。

 

 それはただ呪力を解放しただけの、本人達からしてみれば準備運動ですらない事前動作。

 

「こ、これやべぇんじゃねぇのッ! 五条先生、この先に千歳がいるんだろ!?」

「間違いなく特級ね……死んだでしょ、その千歳ってやつ」

 

「あ、これ千歳と千歳のモンスターの呪力ね。いや〜、モンスターに関してはレベルアップしすぎて僕でも底が視えないんだからすごいよね〜」

 

 虎杖と釘崎は、五条の言葉を飲み込むのに数秒の時間を要した。

 

「……えっ、これって呪霊の呪力じゃなくて、千歳のなの? え、マジ?」

「化け物じゃない。私帰るわ」

 

「因みに、俺は千歳が『一級術師』だっていうのに全然納得してない。あんな規格外、特級術師でいいでしょ。五条先生」

「んー、僕としては別にどっちでもいいんだけど……なーんか、シン・陰流の最高師範(笑)とかいうお爺ちゃんが邪魔してるみたいだね〜」

 

 ―――儂の弟子が師匠()を超えるとか嫌じゃッ! 凛には一生『一級術師』で留まってもらって将来は、「あの人が『あの』千歳術師の生みの親……!」とか、「噂によれば、『あの』千歳術師よりも実力は上らしい」……とか言われたいッ!

 

 幸い、虎杖達にこのシン・陰流の最高師範(笑)の声(空耳)は聞こえなかったようだ。聞こえていてもそれはそれでいいのだが、その場合彼の呪術界での評判は地に落ちるだろう。

 

「あ、終わったか?」

「そうだねー。今回の呪霊は真正面から戦ったのかな? 千歳相手に無謀だねー」

 

 呪力の気配が消えると、夜の森にまた静謐が戻る。

 

「……え、五条術師っスか? な、なんでここに?」

「やっ、お疲れサマンサ! 実は凛に新しい同級生(クラスメイト)を紹介しようと思ってね。それで来たわけ」

「な、なるほどっス……ですが、補助監督(自分)は千歳術師からなにも聞いてないんスけど」

言わない(サプライズ)で来たからね♡」

 

 新田明は頭痛がした。

 

 新田達―――補助監督の間で人気の千歳は、思いやりがあって、気遣いができて、そして『ほうれんそう』を欠かさないまさに補助監督達の理想の呪術師である。

 

 補助監督の間にある有名エピソードでは、深夜に千歳の運転をしていてコンビニで休憩がてら休んでいると、車に戻ってきた千歳に珈琲とドーナツを差し入れられ、「疲れた時は珈琲と甘いものが食べたい……って、前に父が話してたから買ってきました。運転お疲れ様です」……と労いの言葉をかけられ、その補助監督は元気100倍になったそうだ。あと、千歳本人は甘いミルクティーを買ってきていたのも補助監督的にはポイントが高かったと言う(伊地知談)。

 

 長々とエピソードを話したが、つまり―――五条は『ほうれんそう』と思いやりと気遣いのできない大人で、補助監督の間では伊地知を生贄に捧げることで決定しているほど嫌われている。

 

「ってことで、凛には僕たちがいるって言わないでね! あ、車乗ってていい?」

「……どうぞっス」

 

 

 

 

「えーっと……」

「お疲れ様っス、千歳くん」

「あ、はい。ありがとうござます、新田さん……あのー」

「さぁ、早く車に乗って帰るっスよ」

「いや――五条先生達が来てますよね?」

「ははっ、何言ってんスかー。そんな訳ないじゃないっスかー」

「すごく棒読みだ」

 

 ガチャリと後部座席を開ける新田。

 

 

 

「――うぉらぁあああああああッ!! テメェのせいで銀座(ザギン)寿司(シースー)に遅れちまうじゃねぇかぁああああああッ!!」

 

 その瞬間、車で待ち構えていた釘崎は怨敵(?)へとその呪力の篭ってない拳を本気で振るう。

 

「――は?」

 

 拳が当たった瞬間、釘崎に見えたのは―――見渡せない程に大きく分厚い壁。

 

「あっ、ごめん! いきなりだったから反射で呪力でガードしちゃった! 痛くないっ?」

「お、おう。大丈夫」

 

「釘崎ぃ……初対面で殴りかかるのはダメだろ」

「イカれてんだよ」

「やっ! 千歳、サプライズだよぉ〜。どうっ、ビックリした?」

「は、はい。まぁ、ビックリしたと言えばビックリしました。いきなり殴られたので……」

 

 千歳は苦笑いで無礼失礼無作法(その場)を流した。

 

 新田はそんな千歳を「自分よりも大人(アダルト)っス……!」と感嘆の目で見つめた。これからは、この話も千歳の有名エピソードとして補助監督の間だけで狭く深く広がっていくだろう。もちろん、広めるのは新田明である。

 

 

 

 

「じゃあ改めて――静岡県出身、千歳凛です! 趣味はゲームとスポーツ観戦! 好きな食べ物はドーナツ! よろしくね!」

 

 ―――相変わらず、自己紹介慣れてるな。何度もやってるからだろうけど。

 

 ―――さっきの威圧感、今は全然感じねぇな。普段は呪力を抑えてんのかな?

 

 ―――でたでた! ぶりっ子の自称可愛い系男子! 絶対自分のこと可愛いと思ってるわね、それで色んな女子にかわいさ(それ)でアピールしまくるタイプ! 私、コイツ嫌いだわ〜。

 

「まぁ、今は僕のことなんて皆んな興味ないかな? 寿司に目がいってるの、簡単に気づくよ? ……ふふっ、じゃあ五条先生、ごちになりま〜すっ!」

「「「ごちになりまーす」」」

 

「いいよ、可愛い生徒達の頼みだ。じゃんじゃん頼みなさい」

 

 一行は新田に運転してもらい、銀座(ザギン)で回らない寿司(シースー)と洒落込んでいた。

 

 少しだけ遅い、新入生歓迎会のようなものである。費用は全額お前貯金いくらあんの?(五条悟)負担である。因みにお店を貸し切っている。

 

 そのため生徒達の口も旨い食事と静かな店内により、自然と軽くなる。

 

「えー? 千歳ウニ嫌いなの? こんな美味いのに!?」

「うーん、嫌いっていうほどじゃないけど……なんか後からくるエグ味が苦手なんだよね」

「じゃあここのウニ食ってみろよ! そんなの全ッ然感じねぇから!」

「分かった……うん? うん! 美味しいね!」

 

 千歳と虎杖はすぐに仲良くなった。それはお互いの相性が元々いいのもあるし、この場所がそれを促進させたのもあるだろう。

 

「野薔薇ちゃんは田舎が嫌いなんだって?」

「名前呼びかよ……まぁいいけど。私は田舎が嫌で、東京に来たのよ! あんな場所二度と戻りたくないわね!」

「ふふっ、そうなんだね」

「何がおかしいんだよ?」

「いや、なんだか野薔薇ちゃんはもう少ししたらホームシックになりそうだなって」

「あ? 喧嘩売ってんの?」

「そういう『都会に出たい!』……って言う人ほどすぐに、『実家に帰りたい』……ってなっちゃうの、僕の経験上あるあるなんだよね。多分、理想と現実のギャップ差で起きる変化だと思うけど……もし野薔薇ちゃんが『東京もそんなにいい場所じゃないな』……って考えるようになったら、故郷が恋しく想えるかもね」

「………」

 

 ―――なんか、無駄に説得力がすごい。私、東京嫌いになったら田舎(あそこ)戻りたくなるのかな? 全然考えれねぇ〜。

 

 

 

 その若人達が繰り広げる光景を、五条は目隠しの奥の瞳で見る。

 

「恵も、こんなところじゃなくてあっちに行きなよ。悠仁たちと仲良く慣れないよ?」

「俺、食事中に騒ぐのとか好きじゃないんで」

超冷たい(スーパードライ)……悠仁ぃ、恵が独りになってるよー! そっちのテーブルに入れてあげて〜」

「ちょっ! ごじょ」

 

「本当だ! 伏黒も来いよ! 今変顔大会やってんの、参加しろって!」

「おい、いつ私がやるっ()った?」

「僕、変顔したことないからできるか不安だなぁ」

「は? 変顔とか絶対やらねぇからな」

 

「そんなこと言うなよ……ほら、これが変顔ッ」

「ぷっは! 悠仁、顔すごいことになってるよ!」

「マジ笑える! 写メ撮っとこ〜」

「……ッ……ぐ」

「お、伏黒笑ってね?」

「うわぁ、僕恵が笑うの初めて見たよ!」

「わらっ……ッて、ねぇっ」

「いやツボりすぎだろ。アンタ変顔で笑うタイプなのね」

 

 

 

 そこには確かに、『青春』があった。

 

 五条は目隠しの奥で、眩しいものを見たように目を細める。

 

 彼が見ているのは彼等の姿か、それとも『あの日々』を彼等に重ねて見ているのか。

 

「若人から青春を取り上げるなんて許されないんだよ……何人たりともね」

 

 

 

「先生もなに一人でそっちいるんだよ〜! 一緒に変顔大会しよ〜!」

「俺らがこんなことしたんだ……あの人にも同じ恥辱を味わってもらう」

「伏黒アンタ……顔が真剣(マジ)ね」

「五条先生――いこっ」

 

 五条は、千歳に手を引かれ、虎杖に背中を押され、伏黒に嫌味を言われ、野薔薇に足を蹴られ――そして、彼等と同じ卓に着く。

 

「『独り』ぼっちは寂しいもんね、五条先生!」

「――くくっ、じゃあ僕の本気の変顔を披露しようかな〜。『親友』にしか見せたことない、とっておきをね」

 

 





「うぅ〜っ、皆んな楽しそうで羨ましかったっス〜」

 新田明は、車の中でベソをかいていた。

「自分もぉ、銀座の回らないお寿司を食べたかったのにぃ……今日の晩飯は、自分だけ! コンビニ弁当っス! うわぁああああああああッ!」

 お店から出てきた千歳達を見る新田の目は、嫉妬に狂ったヘラのようだった。しかしそれをなんとか我慢して、今、全員を高専に送り届けたところだ。

「お腹……ちょっと減ったし、またコンビニで惣菜パンでも買うっスかね」
「あのー、新田さん?」
「いやパンよりもおにぎりとかの方がお腹に溜まるっスかねー」
「新田さ〜ん、車開けてくださ〜い」
「いや……でもこの時間におにぎりは乙女として如何なものか……」
「――新田さーん!!」
「うわぁ! って、千歳くん?」

 新田は自分を呼んだのが千歳ということもあり、急いで車から出た。

「もしかして、緊急の任務っスか! 場所は!?」
「いや、そういうのじゃなくて……はい、どうぞ」
「――え、これって」
「食べたかったでしょ、銀座の回らないお寿司。大将に、五条先生には内緒で包んでもらってました」

 差し出されたビニール袋、その中には保冷剤と綺麗な木目の弁当箱が入っていた。
 正直、新田はもう既に優しさで涙腺が崩壊しそうだった。

 しかし、新田に次の攻撃が来る!

「あと、さっき自動販売機で買ってきた『イェーイ、お茶』! やっぱり、冷たいお寿司にはあったかいお茶が合いますもんね!」
「え、あぅわ?」
「ふふっ、どうしたんですか新田さん? 口調、おかしくなってますよ」

 新田は目の前の少年が、自分よりも年下であることが信じられなかった。

 ―――え、気遣いというかもう心を洗われる魔法みたいなことされてるんスけど……明日、自分死ぬんスか?

 そしてビニール袋を受け取った新田は、思ったよりも中身が軽いことに驚いた。

「あれ、軽い」
「そうですよ、こんな時間に女性が食べるなら脂質が少なくて量も少ない方がいいかなって思って……大将に選んでもらった甲殻と貝類を中心に、6貫しか入ってません」

「――これなら『乙女』でも安心して食べられますか? 新田さん」

 昼に見たならば、その笑顔は犬のような人懐っこい表情に見えただろう。
 しかし夜に見ると、薄く影ができ、まるで揶揄われているような、そんな昼とは全く違う小悪魔な雰囲気が漂う。恐ろしい少年である。

 新田はその場に膝から崩れ落ちた。

「て、えぇえええ!? ど、どうしたんですか新田さん!」
「尊すぎて……灰になる………っス」
「意味わかりませんよ!?」

 これもまた、新たな千歳の有名エピソードとして補助監督の間で広まっていくだろう。もちろん、新田が広める。使命感が、彼女を突き動かすのだ。



 因みに、千歳は寿司屋の大将に「アンタ……将来立派な嫁さんになるだろうな」と言われ、「僕、男です」とカミングアウトし、その後寿司屋の大将はギックリ腰になったそうだ。なんでだろうね。

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