「ちぃ……この私が!」
神機を使い、現れたる黒いヴァジュラの爪を受け流す。黒いヴァジュラいや、ディアウス・ピターは寄りにもよって私を捕食対象として狙ってきた。
「完全であれば」
現在、プリディ・マータ48頭のダム襲撃という地獄が何故か発生し、ダムに居る《私製ゴッドイーター》達と何とか切り抜けたのだが、幼子を守る為に私が深手を負ってしまった。
そして、さらなるプリディ・マータを率いて現れたのがこのディアウス・ピターだ。
「ええぃ!邪魔をするな!」
動きは所詮ヴァジュラ、にも関わらず素早い。
ダムの私製ゴッドイーター達はプリディ・マータのせいで動けない。
「ちっ……今までのどんなアラガミよりも」
私はロングブレードからハンマーに切り替え、奴の頭を吹き飛ばす。
奇跡的に崖だ、奴はそのまま落ちていく。
「……強いな、いや……私がこの頃アラガミを捕食していなかったからか」
私は自身の強化を疎かにしていた。
理由は、ノヴァに覚醒したくないからだ。
ヴァジュラやボルグ・カムランを捕食して強くならなければ、守れない。
「なに?」
その時だ、黒い影が物凄い勢いで消えるのを見た。理解できない、貴様は何を狙っている。
「ノヴァ様、プリディ・マータの討伐完了致しました。コアは此方でリソースとして」
プリディ・マータ、まだこの時では新種である。
だからこそ此方で名付けた。
新種ではなく、こちらが名付けたコード・ネーム。ゴッドイーターのコンソールのもどきも作った。技術も教えた。
私のアラガミ細胞をとうして設備整備の知識を植え付けた。
「班を別けて常に警戒を怠るな。我々にはアラガミ障壁は無い。このダムこそが生命線だぞ」
アニメでリンドウが木にアンプルを突き刺し、アラガミ化させていたが、それも行っている。
ダムの人間達の血と与えた私の血で彼等は仲間と認識しているから襲わない。
そして、ダムの人間がともに居れば襲わない。
木は既にアラガミとして知識も得た。
仲間という知識、だからこそ仲間に食べ物を分け与えている。
木の実を食べれば体内にオラクル細胞が溜まる。
既に、このダムにいる人間で私のオラクル細胞が無い者はいない。
そう、『木』達も仲間の為に戦い破壊された。
直ぐ様復活はするが、子供達が泣きながら水を与えている。
「神様、皆大丈夫だよね」
「あぁ、大丈夫。一週間もすれば皆元気になるさ」
子供達が触れれば枝が揺れる。
自然が意思疎通を行い、人間が感謝を告げる。
ここではそんな『奇跡』が起こっている。
だが、今はそれよりもディアウス・ピターだ。
「私は、かの黒いヴァジュラを追跡する」
「判りました、ご武運を」
翼を出し、ダムから飛び降りる。
羽撃くよりも、滑空の方が速い。
「……既に変わっているか」
ディアウス・ピターが向かった先では地獄が起きていた。喰われる人間達、墜落したフェンリルのヘリ、そして、怯える赤い少女。
何とか戦おうとしているバスターブレードの少女ゴッドイーター。俺は一芝居打つことにした。
「いや……ユウ……ユウ」
「アリサ!立って!皆、皆死んじゃう!お願い!」
「新兵か」
「誰?!」
前に拾っていた神機を使い、少女達を援護する。
「極東支部第四部隊所属ゴッドイーター。ノヴァ・デウスだ。黒煙が見えたんだが……しかし、黒いヴァジュラ種だと?」
アサルトから炎属性弾を撃ち出す。
何とか狙いをこっちに向けさせる。
「あの……貴方は」
「救難は送ったのか!」
「えぇ、既に送って」
「なら良い、俺はコイツの相手を」
「そんな無茶で」
私は腕輪の無い腕を見せてやる。
「どうせ待つのはアラガミ化だ、死ぬには良い日だろうが!」
私は、アサルトの引き金を引きながら、ディアウス・ピターの視線を此方に誘導する。
「ちぃ…人間を食いたいってか!」
1vs1を行うには正直難しい物がある。
だが……やらなければ彼女達が死ぬ。
「フフッ……あはは…あはははっ」
その笑い声と同時に、スナイパー弾が私の真横から飛んでくる。
「お前を……殺す」
そこには血走った目でロングブレードを構える新型ゴッドイーターの姿があった。
神薙ユウside
「まず、お前達にはロシアから極東に赴任する要人達の生存を優先してもらう」
「ユウ、少しは落ち着け」
「はい、すみません」
「……お前の幼馴染みが乗っているらしいな。なら、簡単な事だ。救い出せ、神薙ユウ、お前なら可能だろう」
「はい、ツバキ教官」
「リンドウ、及び、ユウ、お前達は他の第一部隊員が露払いを行う中、二人で突撃してもらう。これはお前達の戦闘能力からだ」
「了解!」
僕はリンドウさんの運転するバギーの後ろに乗る。そして、スナイパーを構える。
「砲台やります、来たら確実に仕留めます。行きましょう」
「運転は任せろよ、ユウ!」
リンドウさんの運転は荒かった。でも、速い。
「お願いだ………」
喪った左腕を再度確認する。
これは未熟の証、僕が守れた証。
「見えたぞ!」
そこにはアサルトを撃つゴッドイーターと幼馴染み達がいる。
退治しているアラガミも見えている。
「フフッ……あはは…あはははっ」
「おい、ユウ?!」
俺はバギーから飛び降り、奴に向けて弾丸を撃つ。
「お前を……殺す」
両親の仇、俺を、俺の意志が渇望している。
「お前の血……浴びさせてみろ!」
「おい、お前!」
アサルト使いのゴッドイーターが何か言っている。でも、体が止まらない。
「おいおい、アンタ……まじかよ」
「雨宮リンドウ、丁度いい。狩るぞ、手伝え」
奴の雷球が飛んでくる。
でも、それは簡単に避けれる。
こいつが、あの翅を開く迄にコアを抉り取る。
「ユウ!」
「くそ……」
黒いヴァジュラの顔に傷を付けた。
それだけで、奴は即座に引いていく。
「巫山戯るな!」
スナイパーで狙う、だが
「キャァァァァ」
そこには守ると誓った存在が居る。
ヴァジュラに、あのときのように襲われようとしている。
「クソっ!!!」
先走り過ぎた、奴との戦いに集中しすぎて周りを見てなかった。
「まったく……」
ても、ヴァジュラが襲うことはない。
「危な、嬢ちゃん達。大丈夫か?」
「あ、ありがとう…ございます」
「んじゃ、俺任務の続きあるから」
僕よりも歳上そうなゴッドイーターは、ヴァジュラを殺し終えると直ぐに歩き出した。
「待て……お前、誰だ」
「リンドウさん?」
「どうしたんだよ、仲間」
「極東でアンタみたいなゴッドイーターを見たこと無いんでな。それに……腕輪が無い。そして、その神機。腕輪無くて良く使えるよな?」
リンドウさんの言葉で冷静になり、スナイパーを向ける。
「名前は、ノヴァ。ノヴァ・デウス」
そう呟いたゴッドイーターは僕等に向けて弾を発射した。と言っても、目的は煙幕だったようだ。
炎爆発弾で地面から土を巻き上げた。
「何処に」
付き煙が晴れたらその姿はなかった。
平原で隠れられる場所は無いというのに。
「……ユウ?」
「アリサ……どうして」
「怖かった…………凄く」
「あ〜〜、神薙ユウ衛生兵曹長。さっきの戦闘でバギーがいかれてな、整備するから……まぁ、中深めとけ」
「リンドウさん?!」
色々と言いたいけど、今は僕に抱き着いて泣いているアリサを慰めることからだ。
ノヴァside
「オオグルマ・ダイゴだったか?」
かつての記憶の中にある悪人の顔。
オウガテイルに捕食され、無様に死んでいる様は見ていて面白いものがある。
この男の正義は何だったのか、黒幕である支部長殿は彼なりの正義があった。
だが、この男にそれはあるのだろうか。
判らない。死んだら終わりだからだ。
「食う気にもならんな」
「神様、随分と派手に動きましたね」
「アマテラスを討伐し、この救出任務にまで動くか。流石だな、ティータ」
「隊長!っと、ノヴァはこの前振り!」
「あぁ、イロハ」
イロハは友達感覚で、ティータはどういう感じなのだろうか。いや判る、崇拝だ。だが、私は共に歩こうという気持ちはあるのだが……
「雨宮リンドウとの接触は避けてください」
「実力者か?」
「いえ、私も特務を与えられています。彼もです、もし上層部に通達が行けば」
「判った、殺すことはしないさ。神と人では差があるすぎる」
「それって」
「手加減しても、死んでしまうんだよ」
捕食しなければ守れない、私は獲物を喰らうために。守る為に、再び、進化する為に。
「大型種のコアを……!」
私の妹の分は残しつつ、大型を喰らうんだ。
でなければ、私は弱いまま、何も守れない。
痩せ我慢すらできないのだから。