オレがいた場所は、トロスト区である。
それは、一瞬だった。
超大型巨人が現れた瞬間、爆風でオレたちは飛ばされた。
立体起動で持ち直し、壁に張り付き下を見ると、門が破壊されていた。これにより、調査兵団が動き出すが、まだこちらに来るまでに少しの時間がかかる。しかし、トロスト区は一番破壊される可能性があったはずなのに、リヴァイ兵長の姿が見えない...
手紙の差出人を探っているのだろうか…すぐに対応すれば、そいつが怪しいと思われるな…
それとも、あの手紙が敵側の作戦だと考え、敵側による戦力分析だと捉えたか…
団長は部下数人を連れて、こちらの様子をジッと見ている。
調査兵団団長となら、対面してもいいのだが…このトロスト区襲撃事件の間はなるべく会わないほうがいいか…
「固定砲整備4班!!戦闘準備!!目標!目の前!!超大型巨人!!」
エレンが真っ先に動き出す。
「これはチャンスだ!絶対に逃がすな!!壁を壊せるのはこいつだけだ!!」
と、言って壁の上へ立体起動で飛んでいく
「…よう...5年ぶりだな…」
先に仕掛けたのは超大型
壁の上を手で払う。エレンではなく、固定砲を狙ったか...厄介だな
エレンは躱し超大型の背後に移動する。オレもエレンが殺ったと思ったが、次の瞬間蒸気により辺り一帯が見えなくなった。しばらく蒸気が滞り、それが晴れると目の前には驚いているエレンがいた。
オレはすぐに下を見るがもう誰もいなかった。アニかライナー若しくは自分の立体起動で逃げたか...あの超大型だけはかなり厄介だな
「エレン!お前が倒しちまったのか?」
「違う!5年前と同じだ…こいつは突然現れて突然消えた」
「すまん、逃がした」
「おい!そんなこと言ってる場合か!もう壁は壊されちまったんだ!早く塞がないと、また巨人達が入ってくるぞ!!」
「訓練兵!!超大型巨人出現時の作戦はすでに開始している!ただちに、お前らの持ち場につけ!!」
「ヤツと接触したものがいれば本部に報告しろ!なっ!調査兵団がいるだと!?」
と、駐屯兵団が指示をする。調査兵団がいることに驚いている。
調査兵団は次々に押し寄せてくる巨人を数人で一体を倒していく。さすがだな...新兵や駐屯兵団の動きとまるで違う。しかし、これだけの人数では抑えられないだろう…ここでオレは違和感を抱いた。この巨人の数はおかしい…超大型が巨人を引き寄せているのか…それとも、他の巨人が引き連れて来たのか…
まぁなんにせよ、戦い方や巨人の動きを見れたので良しとしよう。普通の巨人ならオレやミカサは今すぐにでも大丈夫だな、他の奴らも調査兵団のように戦えば倒せる。しかし、巨人の恐ろしさは数だな...分散させればいいか
オレたちは立体起動を使用し急いで本部へ戻った。
「所持する財産は最小限に!」
「落ち着いて避難してください!」
この騒然とした町の中で、兵士の声が際立って聞こえる
オレ達新兵と駐屯兵団は本部の前で集められた。
「現在、調査兵団の少数と駐屯兵団のみによって…壁の修復と迎撃の準備が進行している!お前たち訓練兵も卒業演習を合格した立派な兵士だ!今回の作戦でも活躍を期待する!!」
「それでは訓練通りに各班ごと通路に分かれ駐屯兵団の指揮の下、補給支援・情報伝達・巨人の掃討などを行ってもらう。
前衛部を駐屯兵団と調査兵団
中衛部を我々率いる訓練兵団
後衛部を駐屯兵団の精鋭部隊
我々はタダメシのツケを払うべく住民の避難が完全に完了するまで、このウォール・ローゼを死守せねばならない
なお、承知しているだろうが敵前逃亡は死罪に値する。みな、心して命を捧げよ
解散!!」
「ハッ!!!!」
「なんで!今日なんだ!明日から内地に行けたっつーのに!!」
ジャンが嘆く
しかし、これはジャンだけではない。周りの兵士全員だ
中には、嘔吐している者までいる…こいつらを囮にするか…それでもまだ、死なすのは惜しいか…
「戦闘が混乱してきたら私のところに来て」
そう持ち出したのはミカサ
「は⁉何言ってんだ⁉オレとお前は別々の班だろ⁉」
それを当然のごとくエレンは否定する
「混乱した状況下では筋書き通りには行かない、私はあなたを守る!!」
「お前さっきから何を「ミカサ訓練兵!キヨン訓練兵!」」
エレンの言葉を遮り、駐屯兵団の分隊長が割り込んだ
「ミカサ訓練兵は特別に後衛部隊だ。キヨン訓練兵は中衛部に着き次第、訓練兵の指揮を取れ!
ミカサ訓練兵は付いてこい」
「私の腕では足手まといです!!」
「お前の判断を聞いているのではない。非難が遅れている今は住民の近くに多くの精鋭が必要だ!」
「しかし!」
「おい!いい加減にしろ!」
エレンはミカサに頭突きをしながら叱咤する
「いい加減にしろ!人類滅亡の危機だぞ!なにテメェの勝手な都合を押し付けてんだ!」
そう言われ、ミカサはしぶしぶ了承する
「悪かった!私が冷静じゃなかった…」
「でも…頼みがある…一つだけ…どうか…死なないで。キヨン…エレンをお願い…」
オレの心配はしてくれないんだな…一度エレンを死んだことにして、ミカサの成長を促したいが…ミカサの精神が崩壊して死なれるのが最も困るな…
「おい、キヨン!オレらの班は集まった。行くぞ!」
エレンが訓練兵を集めてきた。オレの班は6人であり、最初に移動を開始し中衛部に着く。最も危険な班だ。
「待て、今から隊列を組む。」
「隊列?急がねぇとやばいだろ!」
「急いで行って全滅になったら笑えないぞ、緊急事態のときこそ冷静にといつも言っているだろう」
「そ...そうだな」
「先頭はオレ、オレの右後ろにトーマス、左後ろにミリウスだお前たちは左右を警戒しろ。その後ろは、ミーナ、アルミン、エレンだ。アルミンはオレが出せない時、後ろから指示を出せ。エレンはアルミンを必ず死守しろ」
「「「「「了解!」」」」」
「34班!!前進!!」
オレたちは中衛部まで前進する
立体起動で空中を移動したり、屋根の上を走ったりして移動していく。
少し進んでから
「止まれ、奇行種だ」
オレは一声かけ止まった。
その瞬間、8メートル級の巨人がこちらに飛び込んで来た。オレはそいつに向かって飛び背後に回り込んでうなじを削ぐ。
「お、おお、さすがキヨンだ…」
「気を抜くな」
「わ…悪い…」
「今のが巨人を殺す要領だ。一人でできなくても三人、四人ならできるだろう。覚えておいてくれ」
巨人を一体倒すのに、30人いると聞いたが、建物に囲まれたこの場では、作戦を建てられれば3.4人でも問題ないな
「は…はい。できるかな…」
弱音を吐くヤツがいるが今はまだ仕方ない...まだこの場の雰囲気に慣れていないだろうからな
「今は見ているだけでいい...だが、警戒だけはしてくれ…もう少しだ、行くぞ」
オレは次々に襲い掛かってくる巨人を、見本を見せるように一番安全な方法で倒しながら、中衛部まで進む
オレの巨人の倒し方はフェイント...要は誘導である。本能で突っ込んでくる巨人は罠に嵌りやすい
▽▽▽
キヨンが次々に倒していくのを僕らはただ、後ろで見ていた。もちろん全員、周囲を警戒している。
「しっかし、すごいな...キヨンは」
エレンが後ろからそう言った。
「うん…確かにすごい...だけど、あれはキヨンやミカサしかできないからね?キヨンは4人で倒す方法を僕らに教えてくれてるんだよ。間違っても、一人で真似しようとしては駄目だからね…」
「わ…分かってるよ!それくらい…」
エレンも分かってはいるんだろう…でも、あの戦い方に憧れてしまうんだろう。エレンは全ての巨人を駆逐する目標があるから、あの強さに憧れずにはいられないんだ。
「でも…!本当にすごいよ!さすが主席だよね!」
「あぁ良い班に来たと思っている」
「だな!技術を盗んでおかないと!」
ニーナやトーマス、ミリウスも同じことを言う。
「うん!そうだね…」
キヨンはこの先、訓練兵全体の指揮に入る。僕たちを今すぐにでも成長させる必要があると思っているんだろう。本当に尊敬できる友人だ。
キヨンが巨人をなぎ倒して行き、僕たちは誰一人欠けることなく中衛部まで来れた。一呼吸つき、キヨンが僕らに指示をだす。
「ふぅ...見ていたか?まだ、他の班は来ていない。オレが見ているから、四人で倒してきてくれないか?」
「え…オレ達だけで?」
ミリウスが困惑するが、キヨンは変わらず
「ああ、危険だと判断したらオレが助ける。初めての巨人狩りなんだ。オレが必ずお前らを守る。アルミン…策は?」
「巨人狩りって…戦闘だよ…」
ミリウスが突っ込む
おじいちゃんが死んだあの日…僕はあの日からキヨンと共に様々な巨人への策を話し合っていた。そして、いつも冷静にいるように心掛けた。
今だって冷静に状況を分析できている。なら、答えは当然...
「もちろんだ!みんな!僕に任せてほしい!」
「分かった!頼んだぞ!アルミン!」
エレンは即答してくれた。他のみんなも首を縦に振る
「ありがとう!作戦はこうだ!」
僕はシンプルで安全に倒せる策を出し、みんなは持ち場に着く
▽▽▽
アルミンの策を聞き終えたみんなは持ち場に着いた。
シンプルな策であり、本能で動く巨人には効果的な良い策だ。
まず、最も立体起動に優れているエレンが巨人を誘導する。その際、エレンは地面すれすれを移動する。巨人の目線は下へ行き、前を見れていない。
そして、道の上にある渡り廊下をエレンが潜ると巨人は渡り廊下に激突する。そこへ、すぐ近くで待ちかまえていたミリウスがうなじを削ぐ。巨人はあっけなく倒れた。
他の二人は、見張りと仕留めそこなった時の予備だ。
「やったな!アルミン!!」
「ああ、僕らで巨人を倒せた!」
「危なげなく倒せたな、この調子で後2体倒しておこう」
「おう!!」
「うん!」
と、後の二体もオレが手助けすることなく倒した。
「いいんじゃないか?」
「うん!みんな!本当にいい感じだ!」
「ああ!やったぞ!討伐数1だ!」
トーマスが喜ぶ
「うん!私も討伐数1!」
「オレだけ0なんだが...」
「だが、エレンの活躍無く討伐はできなかった。なあみんな?」
オレはみんなに問いかける
「当たり前だ!」
「そうよ!エレンが居なかったら私たち討伐どころか食い殺されてたかもね…」
「エレン…補助もなかなか良い仕事だろ?」
「…そうだな、案外いいかもな」
「オレは今から中衛部の周りを見てくる。他の班の奴らの指示も出さないといけないからな…みんなはさっきのように巨人を一体ずつ倒してほしい。これからこの班はアルミンが指揮を取れ。」
「分かった…みんな、やるぞ!!」
緊張も大分ほぐれ、少しは自信が付いたな…
オレは他の班を見に行くことにした。まずは、ヒストリアとユミル、コニーの班がオレたちのすぐ後ろにいるはずだ。
この班は特に心配していなかった。訓練兵時代、上位の奴らで占めている班であり、オレたちのすぐ後ろなため巨人と出くわしていない可能性だってある。
案の定、この班は無傷であった。
「あ!キヨン!」
真っ先に気付きこちらに来たのはヒストリアだ
「クリスタ、無事だったか?」
「うん!巨人とは遭遇していないから…そっちはどうだったの?」
「こちらは、巨人を見つけ次第、倒している。犠牲はでていない」
「ほう…さすがキヨン様だ!この調子ですべての巨人を倒してきてほしいところだな!」
「そうか!それは良かったな」
「本当に良かった」
ユミルはさすがと言うべきか…すぐ調子の良いことを言う
「オレは今訓練兵の指揮を任されている。今からお前たちに指示をする」
「「「「「分かった」」」」」
「お前らの班は前へ進み、エレン達と合流して、巨人を倒してほしい。無理はしなくて良い…集団で来るならば逃げて構わない。基本的にアルミンの指示に従ってくれ」
そう言って別れた。ヒストリアを見ていなくても良いのはユミルが付いているからだ。
オレは次の班を見るべく空を駆け巡る。 他の班は横に進行する班もあったため、壊滅的なところもあった。中には全員が既に食いちぎられ、半身だけしか残っていないところもある
一人になり、絶望し声を掛けても反応しないやつもいた。そいつらを構っている時間は無いためオレは他の班に移動する
次の班も絶望的だな…
馬鹿夫婦がいる班だ。
間に合うか…
馬鹿夫婦以外は全滅であり、フランがハンナを救い自分が犠牲になろうとしていた。
オレは先に刃を巨人の目に投げた
『おおぅぅぅああヴぁあああ』
巨人が叫ぶ
オレはその隙に地面を蹴ると同時にガスを強く吹く。一瞬にしてトップスピードに入り巨人に接近しうなじを削ぐ。
なるほど、この使い方は消費を抑えられるな
「キヨン!!!!」
ハンナが泣きながらこちらにやってくる。フランの方は固まったままだ
「キヨン!ありがとう!」
「ああ、だが、すぐに警戒しろ。近くに巨人はいるかも知れない。」
「あ…そうだね、わかった。それにしても…さっきの立体機動凄かったね…」
「まあ、オレも始めてやったからな、上手くいって良かった。それよりも大丈夫か?フラン」
固まっていたフランがようやく動き出した
「あ…ああ、もう駄目かと思った。ありがとう」
「大丈夫ならいい…お前ら二人は、本部に行って補給班の確認だ。多分その近くにジャンやアニたちがいる。その班と合流してほしい」
「「了解!!」」
オレは、馬鹿夫婦に指示を出してから、エレン達の方へ戻ることにした。
「エレン無事か?」
「キヨンか…無事だが、巨人がひっきりなしに来やがる」
「巨人の数が多いのか…それでも調査兵団の精鋭もいたからな…そう簡単に崩れるとは思えないが…アルミンは?」
「あっちでアルミンとミリウスで前衛の先輩方の報告を聞いているよ」
「なるほど」
顔面蒼白な顔をした先輩兵士が報告をしていた。
報告を聞いたアルミンがこちらにやってきた。
「キヨン…戻って来ていたのか…先輩から報告を受けた」
「どうだった?」
「どうやら…前衛はほぼ壊滅らしい…」
「調査兵団もか?」
「うん…報告によると怖気づいた駐屯兵団の下っ端が調査兵団を囮にしたりして、自分の身を守ったから、崩れてしまったようだ...」
「そんな!!何をやってるんだ!普段威張り散らしてるくせに!」
エレンは怒り立ち上がった
このままでは、不味いな…持久戦はこちらが圧倒的に不利だ…ガスの補給所の方もまだ確認を取れていない
エレンを巨人にさせて戦わせるか、リヴァイ兵長を呼ぶか…どちらもリスクがあるな
エレンはまだ一度も自分の意志で巨人になっていない…絶対になれるとは限らない
リヴァイ兵長は一度見たことがあるだけだ。一目見ただけだが、強いと分かるほどの実力を持っている。だが、リヴァイ兵長が現在どこにいるのか不明である。その呼び出すカギとなる人物は前衛にいたが、今生きているのか分からない。
と、そこへ5人ほどがこちらにやってきた。
前衛からやってきたので先輩だな…全員が立ち上がって先輩を迎え敬礼をする
「やぁ!すまないね、君たち!私は調査兵団の分隊長をしている。ハンジ・ゾエだ!よろしく」
元気な挨拶だな、この状況で…
「「「「あ、はい…」」」」
皆も同じことを思ったようだ。そして、皆の目は一人の男に向く。
「ああ、すまない、私は調査兵団団長のエルヴィン・スミスだ。我々だけでは手に負えないと判断し、一度撤退をしようとしていたんだが、まさか訓令兵が中衛部で止めてくれていたとはね…驚いた」
「光栄です。しかし、全てを止めきれずかなりの数を後ろに行かせてしまいました。」
アルミンが返す
オレたちはこの中衛部の最前線の真ん中辺りを守っていた。ここは巨人が最も通り抜けてくる場所だ。端の方は、駐屯兵団の残党と訓練兵が派遣されたが、オレが行く頃には全滅していた。なので、端のほうからは巨人が素通りしている。
「それは仕方ないだろう!よくこんなにも生き残れたもんだ。しかし、一体どれくらいの数が入ってくるんだろうね」
「そうですね…分かりません」
今度はオレが返す
オレはエルヴィン団長の方へ向き直った
「エルヴィン団長…」
「ん?何だ?」
「…ありがとうございます」
それだけを言う。エルヴィン団長は一瞬目を細めたが、にやりと笑った。ハンジは少し警戒したが、後ろの人達やエレン達は頭の上に?マークを出している
エルヴィン団長は何も言わず、腰に差していた拳銃のようなもので上に打つと、緑の煙が上がる。これが信号弾か
この合図でリヴァイ兵長や調査兵団が動き出すんだろう。これで、前衛は一安心だな…やはり、敵側による威力偵察を警戒したか…この団長も壁の外で人類が滅亡したと言うことに疑問を抱いている…
「ここは我々に任せて、君たちはガスの補給に向かうと良い」
「「「「「ハッ!!調査兵団の健闘を祈ります!」」」」」
「ああ、それから…君は…?」
「キヨン・ジェイルーンです」
エルヴィン団長に聞かれたため、オレは敬礼をしながら答えた
「そうか、覚えておこう」
オレ達はヒストリア達を回収しながら本部へ帰った。
横側の壁の上から調査兵団が雪崩れ込んで来るのが見えた。どうやら、前衛と中衛は任せても良いみたいだ。
本部についたオレ達が目にしたものは酷いもので、建物が巨人に囲まれていた。その周りで、ジャン達が青ざめている。アニたちは少し離れたところにいるな…しかし、班が同じとは言えマルコが近すぎる。この壁の中で特に何もしないと思うんだが…
「やっと撤退命令が出たってのに…ガス切れで、オレ達は壁を登れねぇ…そんで死ぬんだろうな全員…あの腰抜け共のせいで…戦意喪失したんだと…気持ちは分かるけどよ」
「オレ達への補給任務を放棄して本部に籠城は無ぇだろ…案の定、巨人が群がってガスを補給しに行けねぇ…」
ジャンはうだうだと嘆き続けている。
「だから!一か八かあそこに群がる巨人をやるしかねぇだろ⁉オレらがここでウダウダやってても同じだ!ここにも巨人が集まる!!いたずらに逃げ続けてもオレ達の残り少ないガスを使い果たすだけだ!機動力を完全に失えば本当に終わりだぞ!」
「珍しく頭を使ったな…コニーだが…今のオレ達の兵力でそれができるのか?前衛の先輩方はほぼ全滅だ...残されたオレ達、訓練兵の誰にそんな決死作戦の指揮が取れる?まあ…指揮ができたところでオレらじゃ巨人たちをどうにもできない…おそらく中には3~4m級が入ってるぜ?当然そんな中での作業は不可能だ」
ジャンがそう言い切る。オレはここに近付いてくる、一人の兵士に気付き今回の策を決めた。
「大丈夫だ、ジャン...オレは今訓練兵の指揮を任されている。そして、オレ達の班は誰一人欠けることなく巨人を倒してきた。策はある」
「おいおい...本気か?お前がいくら強かろうと、あの数はきついだろ…」
「当たり前だ。オレとミカサで左右から仕掛ける。ある程度反応したらオレたちは、囮になりつつ逃げまわる。『三人一組』になりバラバラになった巨人たちはお前らが倒せ。」
「おい…それじゃあ、お前が逃げている間誰が指揮をするんだ?」
「お前だ...ジャン」
「は?」
「聞こえなかったか?お前だよ、ジャン...」
オレは固まったまま動かないジャンを一度無視し,アルミンに向き直る
「アルミン...お前はもう片方の指揮を取れ」
「分かった!」
「危なかったら、すぐに撤退だ」
「ああ!」
オレが指示を出している間に先ほどこちらに向かってきていた兵士…ミカサが来た
「エレン!無事で良かった!あと、キヨンも」
こいつ…もういい…
「あ…ああ、ミカサも無事だったか…」
ミカサに手を掴まれたエレンはそう返した
「それで、今どう言う状況?」
オレはミカサに策を伝えた。二つ返事で了承してくれた
「ジャン...もういいか?」
「なぜ、オレが指揮役なんだよ」
その答えはマルコが言った。
「怒らずに聞いてほしいんだけど、ジャンは強い人ではないから弱い人の気持ちがよく理解できる。」
「なんだそりゃ」
「それでいて現状を正しく認識することにたけているから、今何をするべきかが明確に分かるだろ?まあ...僕もそうだし大半の人間は弱いと言えるけどさ…それと同じ目線から放たれた指示ならどんな困難であっても切実に届くと思うんだ」
「今...何をすべきか...か」
「そう言うことだ、できるな?ジャン」
オレとミカサが囮になるより、二人であの巨人を皆殺しにすることの方が正直なところ楽であり誰も死なない。しかし、今後、ジャンやサシャの成長なく敵と善戦できるかと考えれば、不可能に近い
「ああ!やってやる!」
気合の入った良い顔をしている
オレは少し声を張る
「決まりだな。ここで巨人を多く倒した奴にはサシャから肉を貰える。倒して生き残れ」
はぁ…いやだ...やはり、オレはこう言う士気をあげるのに向いていない
「「「「「「「「「「ううううおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」」」」」」」」」」
オレの言葉に全員の指揮が高まった
「ヒィィ~~~~~~~~~~~」
一人を除く…
そして、オレとミカサが動く
オレは先ほど発見した地面を蹴ると同時にガスを噴出する方法で移動を開始する。やはりこの方が燃費がいいな
あっという間に、巨人の群れに近付き何体か倒していく。オレに気付いた巨人たちは一斉にオレに向かってくる。オレは一本道を移動し行き止まりで右に曲がった。そこで、反対方向に移動する兵士が一人...エレンだ。そのエレンにつられてエレンの方にも2体ついて行った。
オレの方はまだ6体いるためさっきと同じ方法で巨人を誘導していく。最後の巨人を他の班に任せた後、本部に戻ることにした。
▽▽▽
キヨンがみんなの士気を高め、ミカサと二人で飛び出した。
「なんだ!?今のは!?」
キヨンのいきなりのトップスピードにより、その場にいた全員が驚愕していた。ミカサは最初こそ出遅れていたが、キヨンの動きを真似てスピードを上げていった。
全く...嫌になるね…この壁の中の兵士は、時折ずば抜けた強さを持つ者がいる。私はこんな奴らを敵に回してしまったんだと今更ながらに思った。
そして、ここに来る前は悪魔だなんだと聞かされ、ライナーたちは始祖を奪還するだ何だと言っていたが、私はそこまで興味が無かった。情報を集めすぐに故郷に帰りたかった...お義父さんに会うために…それだけだった。しかし、今はどうだろう…訓練兵になってから度々思う…この人たちは本当に悪魔だろうか…そうは見えない…初めて気の許せる仲間もできた。エルディア人だ…でもそれが、何…?
私はもう壁の中の人達と戦いたくない…でも、自分がしたことは取り消せない..
私はどうしたらいいのか分からない...
▽▽▽
オレは巨人を他の兵士に預けたあと、全体の見回りをした。今のところ計画通りに行っている。ここまでくれば、エレンを巨人にせずに終わりたいところだ。
しかし、計画とは思うように行かないものだ…
アルミンが顔面蒼白な顔で報告をしにきた。
「キヨン!!」
「どうした?」
「エレンが巨人に喰われた!!」
「なに…?」
「巨人を倒すことは順調だったんだ...だが、逃げ遅れて隠れていた子供が巨人に見つかり喰われそうになっていたところ、エレンが助け出したんだけど…エレンがそのまま…」
「その巨人は?」
「エレンを失った僕たちでは倒すことは危険だと判断して何もできていない…ミリウスが子供を避難場所まで運んでいる」
「いや...それで良い、取り合えず...その巨人のところに案内してくれ」
「え…どうして?」
「まぁ…エレンの敵くらいはとってやらないとな」
「あ…ああ、こっちだ」
オレたちはエレンを喰った巨人の元に向かったが…その巨人は異様な身体の破け方をして、消滅しかけていた。
「な…なんだ…あれは」
「…アルミン…本部に一旦戻るぞ、ガスもそろそろやばい…」
戻ろうとしたとき、ミカサがこちらにやってきてしまった…
「アルミン、キヨン…エレンはどこ?」
その言葉にアルミンは悲壮な顔をし、涙ぐんだ顔でミカサを見る。その顔を見たミカサは理解したのだろう…一気に顔が暗くなる。
「キヨン…!なんであなたがいながら!」
と、オレの胸倉を掴む
「ミカサ!キヨンは関係ないんだ!僕が今呼んだんだ」
「あ…ごめんな…さい」
「かまわない…取り合えず本部に戻ろう」
オレはそう言い、先に立体起動で移動するが、後ろから物凄い勢いでミカサがオレを抜いていく…分かりやすく動揺しているな
「アルミン...お前は先に本部に戻りみんなをまとめていてくれ」
「ああ、分かった…キヨンは?」
まだかなり落ち込んでいるな
「オレはミカサに着く
アルミン…エレンが死んで悲しいのは分かる。だが、今はやるべきことをしろ。でなければ、次々に仲間が死んでいくぞ。」
「っ…そうだね…うん…その通りだ。ミカサは頼んだぞ」
「ああ」
オレはスピードを上げ、前でガスが切れ落ちていくミカサを受け止める
「キヨン……」
「ミカサ…お前らしくないな」
「まただ…また…これだ…家族を失った…残酷な世界だ…いい人生だった」
そんなミカサをオレは優しく抱きしめる
「ミカサ…お前はオレに二人の家族を失わせる気か?」
オレとミカサの目が合う
「…あ」
「お前にはエレンしか見えていないのか?オレも家族だったはずだ…友達のアルミンも置いていくのか?」
ミカサに問う。
「お前が死ねば…大好きなエレンを思い出すこともできないな…」
「っ…」
ミカサの目に生気が蘇る
「ごめんなさい…私はもう諦めない!なんとしてでも生きる!」
「ああ、そうだな」
巨人が前からと後ろから来た…挟まれたか…いや、あの巨人の容姿は…
オレはミカサを担いで屋根の上にあがる
「キヨン…私にかまわなくていい…私はもう大丈夫」
「いや…あの巨人なんだが…」
「え?」
その瞬間、一体の巨人が駆け出しもう一体の巨人を殴り倒した。そして、何度も何度も首を踏み潰す
「い…一体なにが…」
立ち直れたミカサならもう教えても大丈夫だろう…
「ミカサ…あの巨人はエレンだ」
「え…?ど…どう言うこと?」
「エレンはマリアの壁が破壊された日、巨人になったはずだ」
「な…何をいってるの?エレンが巨人?人が巨人になるの?」
「詳しい話は後だ。取り合えず、あの巨人はエレンであり、エレンは生きている」
「え…なら…なんで先に言ってくれなかったの?」
聞かないでくれるとありがたいんだが…
「…まあ...なんだ…お前が成長できるいい機会だと思ってぐっ」
腹に一発
「キヨン…エレンを使って私を騙すなんて家族に対してするべきことじゃないんじゃないかしら…」
やばい…まじで怒っている…そりゃそうだ
「ごもっともです...すいませんでした」
「そのことは後でいい…後で覚悟していて」
もういっそのこと今死んだ方が楽かもしれん…
「ちゃんと生きてて」
「あ…はい」
先回りされた
「まぁ早く戻るぞ」
「分かった」
オレはミカサを抱えて本部に戻った。まだ本部には巨人がいたが、中に入れるほどには減っていた
「キヨン!ミカサ!無事だったか!!」
アルミンが気付き、こちらに向かってきた。それに気付いたみんなもこちらに来た
「ああ...大丈夫だ。これで全部か?」
「ああ、そうなんだ...でも半分以上は生き残れた」
「十分だな...取り合えず、下から入るのは危険だな...窓から入るか」
「分かった」
「だが、それじゃ...何人か死ぬぞ」
ジャンがそう言う
「下から入れば立体起動を使うことは難しい...窓から入るより死ぬだろうな」
「っ…」
「やるしかないだろう…ジャン」
「ああ!全員、今だ!!窓から突っ込め!!」
「「「「「「「「おおおおおお!!!!!」」」」」」」」」
オレたちは一斉に窓から入り込む
何人か巨人に捕まれ喰われた
「オレの合図で何人死んだ?」
ジャンは頭を抱え嘆いていたが、ふと、横を見るとジャンは隠れていた補給班の奴を見つけた
「お…お前ら…補給班の奴らだよな!?」
「ああ…」
ジャンはそいつらを投げ飛ばし、ぶん殴った
「こいつらだ!オレ達を見捨てやがったのは!!てめぇらのせいで余計に人が死んだんだぞ!」
「補給所に巨人が入ってきたの!!どうしようもなかったの!」
「それを何とかするのがお前らの仕事だろうが!」
「伏せろ!!」
『ドォゴォォオオン』
その時、建物に穴が開いた。その穴から二体の巨人が顔を覗かせていた。
「きゃぁーーー!!」
「うわぁぁああああ!」
兵士たちが次々に叫ぶ
だが、二体の巨人が吹っ飛んだ
「なに!?」
皆は何が起きたのか理解できていない。
巨人になったエレンが来たのだ。ミカサがこちらを向く。どう説明するのか...と言うことだろう
「あいつは、巨人しか襲わない奇行種だ。オレたちは襲わないから安心しろ。」
「なぜ、そんなことが言える?」
ライナーがオレに問うた
「さっき、ミカサがガスを切らしたときにあの巨人に助けられたんだ。オレ達には一切の反応を示さなかった」
「何だって!そんなことありえるのか!?」
「これが事実だ。それ以上でもそれ以下でもない。今は補給のことを考えるべきだ
「そうだな…」
「アルミン…策はあるか?」
「そうだな...こんなのはどうかな」
アルミンが策について話し始めた
「ああ...いいんじゃないか?」
「ジャン、銃を探してきてくれ」
「ああ、分かったよ」
策はこうだ。
十数人程が乗ったリフトで下におり巨人を引き付ける。リフトに乗った人たちが下でウロウロしている7体の巨人の目を狙って発砲する。その次に天井に隠れていた7人が巨人の急所に切りかかる
オレは、切りそこなったときの予備だ
「あったぞ!」
ジャンが銃を持ってきた
天井に隠れる奴らが配置に着き、オレたちはリフトに乗る。
みんな緊張した面持ちである
リフトが下り、巨人がオレ達に反応しこちらを向く
「ヒィ!!」
「待て!用意...」
ギリギリまで引き付け
「撃て!!」
一斉に発砲した。よし…すべての巨人の目をつぶした
隠れていた奴らが一斉に動き出し、巨人を倒していくが、二人…コニーとサシャだ。失敗したか…
「キヨン!」
オレはサシャの方へ行き切り倒す。
コニーの方は何もしない。
なぜなら…
「すまねぇな…」
「どうも…」
「さすがだな…アニ、やはり、お前がいてくれて助かった。ありがとう」
アニがコニーを助けていた。
「ど…どうも」
頬をかきながらアニは返事をした。
オレはアニの表情や仕草をよく観察し…
頃合いだな…
その時を待つことにした。
オレたちはすぐに外へ出て、屋根の上にあがる。
「共食い…?」
オレ達が見た光景は巨人がエレンを食べようとしているところだ
ミカサが助けに行こうとするが、オレはそれを止める
「なんで…?」
「オレ達がエレンのことを知っていたことはバレたくない」
「なら…どうするの!」
次の瞬間、エレンは最後の力を振り絞り周りの奴らを蹴散らした
その光景に皆、唖然としている
「さすがに…力尽きたみたいだな」
「もういいだろ…あんな化け物が味方なわけねぇ、巨人は巨人なんだ」
しかし、うなじ部分から蒸気を発し、出てくる一人の男が現れその場にいる全員が目を離せなかった。