進撃する綾小路   作:もと将軍

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よろしくです


Hyugge

 

オレ達3人は審議所に入り、最前列で待機をすることになった。

 

その後に憲兵団がオレ達の対面に並んだ。続いて、調査兵団団長とその部下たちが入り、オレ達と近い位置で待機する

 

その時、リヴァイ兵長と目が合った。そのまま数秒ほど視線が合っていたが、そこへエレンが入ってきたことによりその時間は終わった。

エレンは中央で跪き、両手を後ろで固定された。

 

そこへ、一人の老人が入ってきて、法壇に座った

この人が、3つの兵団のトップ…ダリス・ザックレー総統

 

「さぁ…始めようか。エレン・イェーガー君だね?君は公のために命を捧げると誓った兵士である…違わないかい?」

 

「はい…」

 

「異例の事態だ。通常の法が適用されない兵法会議とする。決定権は全て私に委ねられている…君の生死も…今一度改めさせていただく。異論はあるかね?」

 

「ありません!」

 

エレンは一度目を閉じ覚悟を決めてから言った。

 

こうして、審議は始まっていった。

 

「今回決めるのは君の動向をどちらの兵団に委ねるかだ。その兵団次第で君の処遇も決定する。

憲兵団か調査兵団か…」

 

「では憲兵団より案を聞かせてくれ」

 

「憲兵団師団長、ナイル・ドークより提案させていただきます。我々は、エレンの人体を徹底的に調べ上げた後、速やかに処分すべきと考えております。」

 

そこからもナイルの話は長々と続いた。内容はエレンを否定する王族とエレンを英雄視する民衆による紛争が起きかねないので、殺しておくべきだと言うことだ。

そんな中、割り込む奴が現れた

 

「そんな必要はない、ヤツは神の英知である壁を欺き侵入した害虫だ。今すぐに殺すべきだ」

 

確か5年前から急に支持を集めた宗教の…

 

「ニック司祭殿…静粛に願います。次は調査兵団の案を伺おう」

 

「はい、調査兵団13代団長エルヴィン・スミスより提案させていただきます。我々調査兵団はエレンを正式な団員として迎え入れ巨人の力を利用しウォール・マリアを奪還します。以上です」

 

「ん?もういいのか?」

 

「はい、彼の力を借りればウォール・マリアは奪還できます。何を優先すべきかは明確だと思われます」

 

「ちなみに今後の壁外調査はどこから出発するんだ?ピクシス、トロスト区の壁は完全に封鎖してしまったのだろ?」

 

「ああ…もう二度と開閉できんじゃろう」

 

「東のカラネス区からの出発を希望します」

 

「ちょっと待ってくれ!」

 

と、貴族の奴らが扉を完全封鎖するように言ったり、ニック司祭がその事に怒り喚いたりとし、無駄な時間が流れる

 

「話を進めよう。エレン…君に質問がある。調査兵団への入団を希望しているようだが…君はこれまで通り兵士として人類に貢献し巨人の力を行使できるのか?」

 

「は…はい、できます!」

 

エレンはそう断言した

 

「ほう…!今回の奪還作戦の報告書にはこう書いてある。巨人化の直後…ミカサ・アッカーマンめがけて3度拳を振りぬいたと…」

 

エレンはそれを聞き、ミカサの方を見る。そんなことがあったのか...それにしてもエレンはそのことを覚えてないようだな

 

「ミカサ・アッカーマンは?」

 

「はい…私です」

 

「エレンが襲い掛かったのは事実か?」

 

ミカサはどう言うべきか悩んだ末、正直に答えた

 

「はい…事実です。しかし、それ以前に私は2度巨人化したエレンに命を救われました」

 

さすが、ミカサだな...

 

「これらの事実も考慮していただきたいと思います」

 

「お待ちください。今の証言にはかなり個人的感情が含まれていると思われます。幼い頃にミカサ・アッカーマンは両親を、キヨン・ジェイルーンは父親を亡くしイェーガーの家に引き取られたと言う事情があります。また、驚くべきことに、ミカサ・アッカーマンとエレン・イェーガーは当時9歳にして強盗である三人の大人を刺殺している。その動機内容は正当防衛として一部理解できる部分もありますが、根本的な人間性に疑問を感じます。」

 

その言葉に周囲の人たちは騒ぎ出す。

そして、その牙はオレにまで向いた

 

「あいつらもだ!人間かどうか疑わしいぞ!」

 

と。止まらない貴族たち

 

『トン!!トン!!』

 

「静粛に!!キヨン・ジェイルーンは?」

 

「はい」

 

「君から何か言うことは?」

 

「エレンを殺したいのなら、好きにすると言い」

 

「は⁉何を言って...」

 

真っ先に反論したのはミカサだったが、アルミンに止められていた

 

「それは…どうしてかね?家族なんだろう?」

 

「はい、そうです。

トロスト区襲撃時、エレンは一度巨人に食われたと報告を受けました。その時に、片手は食い千切られたと聞いております。ですが、今はどうでしょう…エレンは五体満足であり、巨人の腹から出てきています。先ほどエレンの人体を解体した後に処分するべきだと仰っていたと思いますが…本当にエレンを殺せるのですか?傷をつけた瞬間巨人になれば、解体する人の命はありませんね。そして、エレンが暴れだしたら誰が止めるのでしょうか?」

 

「っ…」

 

オレがそう言うとさらにエレンを化け物のように見る目が強くなった

 

「エレンがいればウォール・マリアを奪還することは可能かもしれません。先ほど、憲兵団師団長が仰っていた内乱も回避できると思いますが?

また、今後超大型巨人が出現し巨人が攻めてくるのならエレンなしでは戦えません。あなた方で巨人を倒せますか?」

 

オレはそう言い、エレンに目をやる

オレの言葉にエレンが続く

 

「あなた方は巨人を見たことも無いクセに何がそんなに怖いのですか?力を持っている人が戦わなくてどうするんですか、生きるために戦うのが怖いって言うなら力を貸してくださいよ。この…腰抜け共め!」

 

だんだんとエレンの言葉が強くなっていく

 

「いいから黙って!!全部オレに投資しろ!!!」

 

エレンは声を荒げて言った

周りは静まり返り、皆一様に怯えている

その静けさを破るように、『ゴスッ』っと鈍い音が響いた。

リヴァイ兵長がエレンの頬を思い切り蹴った。エレンの歯が吹き飛んでいく。それを、ハンジさんが大切そうにハンカチで包んでポケットにしまった…他人の歯を広い嬉しそうな表情をする辺り彼女は、どうやら奇行種らしい…

その後も何度もエレンを殴り蹴る。

それを見たミカサは止めようとしたが、またアルミンに止められた

エレンの顔はもう血だらけだ

 

「これは持論だが躾に一番効くのは痛みだと思う。今お前に一番必要なのは言葉による教育ではなく、教訓だ。しゃがんでるから丁度蹴りやすいしな」

 

その後も何度も蹴る。エレンが睨みつけても蹴り続けた。

それにしても…やはり、リヴァイは化け物だな…本気で戦っても勝てるかは分からない…いや...良くて引き分けかもな…

 

「待て、リヴァイ」

 

止めたのは、ナイルだ

 

「何だ」

 

「恨みを買ってこいつが巨人化したらどうする

 

「…何言ってる。さっきそこの根暗野郎が言っただろう」

 

ここでオレがさっき言ったことを思い出したようだ。

だが…誰が根暗だ…このドチビが...

 

「こいつは巨人化した時、力尽きるまでに20体の巨人を殺したらしい。敵だとするなら知恵がある分、厄介かもしれん。だとしても俺の敵じゃないが…お前らはどうする?」

 

「総統…ご提案があります。エレンの巨人の力は不確定な要素を多分に含んでおり、その危険は常に潜んでいます。そこでエレンが我々の管理下に置かれた暁には、その対策としてリヴァイ兵士長に行動を共にしてもらいます」

 

「ほう…できるのかリヴァイ?」

 

「殺すことに関しては間違いなく...問題はむしろその中間が無いことにある...」

 

リヴァイとミカサが睨み合っている…こわ

 

「決まりだな…エレン・イェーガーは調査兵団に託す」

 

ここで、審議は終わった。

 

帰宅中…

 

「キヨン!冗談でもあんなこと言わないで!」

 

ミカサが鬼の形相で迫ってきた

 

「あれは、調査兵団が動きやすいように舞台を整えただけだ」

 

「それでも、家族としてーーーーーーーーーーーーーー」

 

ああ...また始まった

さっきから後ろで一人静かに歩いている金髪...助けろよ...こちらを一切見ようともしない

 

「ま…まあ…良かったな…エレンが救われて」

 

「まだ...完全じゃない…それに...あのチビはやりすぎた。」

 

こいつ…リヴァイのことを言っているのか

 

「まあまあ!一先ずは喜ぼうよ!」

 

ようやく、入ってきたか金髪...オレはアルミンと不機嫌なミカサを連れて宿に帰ることにした

 

その日の夜、オレの元に一通の手紙が届いた。

エルヴィン団長からだった。

内容は…

話がしたい

明日の朝、我々の元に来てほしいとのことだった。

 

オレはミカサ、アルミン、アニを連れて出向くことにした。

 

 

▽▽▽

 

 

審議を乗り越えたオレは、エルヴィン団長の仕事部屋に来ていた。

 

「すまなかった…しかし、君の偽りのない本心を総統や有力者に伝えることができた。」

 

「はい…」

 

エルヴィン団長の素直な謝罪にそう答えるしかなかった

 

「効果的なタイミングで用意したカードを切れたのも、その痛みの甲斐あってのものだ。君に敬意を…エレン、これからもよろしくな」

 

「はい、よろしくお願いします。」

 

「しかし、話を持って行ったのは彼か…やはり…」

 

話を持って行った?キヨンのことか…?

と、リヴァイ兵長が『ドガッ』と、オレの横に横暴に座った

 

「なぁエレン…俺を憎んでいるか?」

 

正直かなり怖えぇ..

 

「い…いえ、必要な演出として理解してます」

 

と、そう答えるしかない

 

「おい…まだ話は終わっていない…」

 

「は…はい」

 

「お前…あの審議場にいた根暗野郎と本当に馴染みなのか?」

 

「え…あ、キヨンのことですか?あいつなら、二歳のころからの付き合いです。物心ついた時には一緒にいたので、気を許せるやつですよ」

 

しかし...なぜ、みんなキヨンのことを?

 

「…そうか」

 

リヴァイ兵長はそれだけ返した

 

「あの...キヨンが何か?」

 

リヴァイ兵長はこちらを軽く見て答えてくれた

 

「…お前…よくあんな化け物と一緒に過ごせていたな…何も感じなかったのか?」

 

え…?キヨンが化け物?

 

「え?リヴァイ、化け物って?」

 

そう聞いたのはハンジさんだったが、リヴァイ兵長の言葉に全員が反応した

 

「雰囲気だがな…地下街にいた頃も少しの間一緒に過ごした奴も、あんな目をした奴を俺は見たことがねぇ…エレンと一緒に育ったのなら、普通の家庭で育ったんだろ?それであんな奴が育つとはな…」

 

キヨンのイメージがどんどん崩れていくんだが…

 

「危険だってこと?あの子が?でも、あの子の活躍で訓練兵は半分以上が生き残れたよ?」

 

「あぁ…敵なら危険だろうがな…味方なら調査兵団に何としてでも入れるべきだろうな」

 

「リヴァイがそこまで言うってことは、本当にすごいんだろうね…実際リヴァイより強いんじゃない?」

 

「さあな…それはやってみないと分からないが…一番戦いたくない相手であることは間違いないな…エルヴィン…根暗野郎があいつなんじゃねぇのか?」

 

「…ああ...そうだ。彼には明日の朝、話をする。聞きたいのならここに来ても構わない」

 

あいつ?一体何の話だ?キヨン…お前何をしたんだ?

 

「ところで、エレン!口の中を見せてよ」

 

オレは言われるがまま口を開いた

 

「…え?もう歯が生えてる」

 

 

 

▽▽▽

 

 

 

「行くか」

 

オレは三人を連れ、エルヴィン団長の元へ向かった。

 

その途中で

 

「キヨン…本当に何をやらかしたの?」

 

と、アルミンがまた聞いて来た。昨日の夜からずっとこの調子だ

 

「行けば分かる」

 

「キヨン…トロスト区襲撃でエレンが壁を塞ぐ前、私とアルミンとエレンで作戦を考えるときに壁の上へ行ったの覚えてる?」

 

「ああ...覚えているが…?」

 

「あの時、エルヴィン団長にキヨンの動向を深く聞かれた...何かしたからでしょ…」

 

「まぁ…行けば分かります...」

 

これは…帰り道またうるさくなるな

 

オレ達はいつも通りの会話をするがアニは少し緊張しているようだ。

 

「アニ…大丈夫か?」

 

「…うん…大丈夫」

 

まあこればかりは仕方ないか…

そこからも雑談をしながら街中を歩きエルヴィン団長の下へ向かった。

扉をノックし、

入ると、中には、リヴァイ、ハンジ、ミケ、エレンがいた。

 

「やぁ待っていたよ…掛けてくれ」

 

「はい…失礼します。」

 

全員が座り、眼の前に飲み物が注がれる。一呼吸をついてからエルヴィンが話を始めた。

 

「それでは、始めさせてもらうが、私の方からここにキヨンを呼んだ理由を説明させてもらう。知らない人もいるだろうからな」

 

オレたちは黙って頷く

 

「今回のトロスト区襲撃では、本来我々調査兵団は壁外調査に出向いており、この襲撃には間に合わなかった。

だが、実際は襲撃されたすぐに対応することができた。それはキヨンが我々にその事を教えてくれたからだ。」

 

主にオレの同期が驚いている。

 

「は!?キヨンが!?なんで?いや…なんで、それをオレらに言わなかったんだ!!」

 

「まあ、落ち着け…エレン

話は最後まで聞け」

 

「だが、我々もすぐには全兵を出動できなかった。私のもとに届いた一通の手紙では、これが敵側による威力偵察の可能性があったからだ。その後に、これがキヨンから送られてきたものだと知り、私は全兵を出動した。

キヨン…私たちに教えてくれないか?君の知っていることを」

 

「構いませんよ…元々そのためにここに来ましたから」

 

「ありがとう…感謝する。では、一番知りたいところから…何故襲撃のことを知ったんだ?」

 

「敵がオレたち訓練兵にいたからです。オレはその敵を監視し、その密会でその事を知りました。」

 

「は!?オレたち訓練兵の中に…?誰が…」

 

エレンは最初こそ、声が大きかったが、段々と小さくなっていった。

 

「それを教えてくれるのかな?」

 

「それは嫌です」

 

オレがキッパリと断ると嫌な空気になった。エレンだけでなく、ミカサまでオレに突っかかってきた。

しかし、エルヴィン団長が手で制し、オレに問う

 

「それは何故だ?」

 

「敵の一人をこちらに寝返らせました。オレはそいつを信用していますが、ここにいる全員が信用できるとは思えないからです。」

 

「なるほど…この短い間に色々と動いていたんだね…」

 

ハンジが入ってきてオレを褒める

 

「だけどさ、我々だって常に仲間が死んでいるんだ…一回の壁外調査でも何百と死ぬときもある…たった少しの情報を求めてね…頼むよ…!教えてくれないか⁉私はその人物に一切の悪感情を抱かないと誓うよ」

 

オレの目を見て話す。

 

「しかし、ハンジさんだ「いや…ここにいる全員同じ思いだ。我々はその情報を手に入れられるのなら、君の言うことをある程度は聞く」」

 

ある程度か…だが…まあこの程度は聞くと言うことだろう

 

オレはエレン達に目をやる。エレンはしぶしぶだったが、二人は素直に受け入れた。

 

「分かりました」

 

オレのその言葉に皆が安堵した。リヴァイだけは鋭い目で見てくるが…

 

「ここにいるアニですよ…」

 

全員が驚愕していた。それもそうだろう…まさか、ここに連れてきているとは思っていなかっただろう。

オレは一番警戒しているリヴァイ兵長の指がピクッと動いたのを見逃さなかった。目をやると視線を逸らした。

居た堪れない気持ちになったアニは俯き、腕が震えていた

 

「は?アニが…?おい!?アニ!」

 

「え…まさか、アニが…?」

 

「…」

 

そう、エレンやアルミン、ミカサは反応したが、

 

「ハッ…これは驚いた…まさかここに連れてきているとは…端から教えるつもりだったのか…」

 

「ええ…まあ…団長に話せば今後動きやすくなると思いまして」

 

「ほぅ…まあ先ずは話を聞こう」

 

若干1名は話を聞けるどころじゃなく興奮しているが…話をつづける

 

「ここからは、オレが見てきた事を話していいですか?」

 

「ああ、頼む」

 

「オレは生まれて2歳の頃、エレンと出会いました。その時に、エレンの父親…おじさんと呼ばせてもらいますが、おじさんともそこで会いました。ですが、初対面なのに訝しげな顔をされたのを覚えてます。そこからおじさんとは余り上手く話せていませんでした。そして、シガンシナ区の門扉が破壊される朝、オレ達は朝食を皆で取っていました。その時にミカサが[エレンが調査兵団になりたい]と言い、エレンは母親に強く反対されていました。

しかし、おじさんは違いました。何も驚くこと無く、エレンに何故調査兵団になりたいのかと聞いたのです。そして、その理由を聞いた後、エレンを止めることをせずに、こう言いました。[エレン…帰ったらずっと秘密にしていた地下室を見せてやろう]と」

 

「ほう…」

 

地下室の事はもう知っているだろう…

しかし、団長も少し引っ掛かるところがあるようだ。

 

「そのことを言った際、おじさんはあるところを凝視していました。おじさんは、偶に何も無いところを凝視して話してました。おじさんは別段、人と話すことを苦手としておりませんし、家族なので目を逸らして話す理由もありません。また、その凝視しているときの顔は、何かに憑かれているような顔になっているときもありました。

オレは一人で、おじさんを追いかけ問いかけました。さっきは何処を見ていたのか、巨人の正体を知っているのか…

を質問したのですが…それはまだ教えられないと言われ、教えてくれませんでした。

その日の夕方にウォールマリアが陥落し、オレ達はウォールローゼの食料庫に避難をしました。その日の夜、足音が聴こえ、目を覚まし辺りを見渡すと、おじさんがエレンを森の中へ連れていく所を目撃し、付いて行きました。森の中で、松明もなかったので、追跡は不可能だと思い帰ろうとしたのですが、その時、森の中で丸い雷のような光が発生しました。オレは向かおうと思ったがのですが、一人の兵士が向かって行くのが見えたので、オレは帰ることにしました。その後、エレンを連れてきたのはおじさんではなく、兵士でした。その兵士は、元調査兵団団長であり、訓練所の教官をしている。キース・シャーディスです。」

 

「「「あの人が!?」」」

 

皆が驚愕していた。

 

「ああ…オレは教官にその事を聞きました。しかし、[私にも分からない…エレンが森の中で一人で寝ていた]と言ってました。

その時に、オレはある仮定を立てたのです。エレンは巨人になったと…そう仮定すれば、あらゆることが繋がります。歴史書のことも…」

 

オレがそう言うとエルヴィンもピクッと肩が反応した

 

「いや!いやいやいや!!キヨン!お前…なんでそんなことをオレに黙っていたんだ⁉トロスト区のことだって、住民を助けられたんじゃないのか?」

 

「お前におじさんが巨人であり、今はお前が巨人だと言って、お前は素直にそれを受け入れられたか?お前は巨人を、あれだけ恨んでいたから、到底受け入れられなかっただろ?だったら、お前が自然と巨人になる方がベストだった。本当はもう少し後にするつもりだったが…」

 

「っ…」

 

「もういいか?トロスト区のことは後で話す。

そして、翌年オレたちは訓練兵になりました。オレは、壁を破壊した巨人はエレンと同じことができるのだと思い、もしかしたらこのオレ達の代に入ってきているかもしれないと思い、怪しい奴を片っ端から監視していきました。

そこで、見つけたのがアニです。

アニはウォールシーナへ行き、壁をよじ登り王都に侵入していました。オレはそこで追跡を諦めましたが、アニを監視すれば、色々と分かると思い監視し続けると、アニとその仲間が密会をしているのを見たのです。その人物は、ライナー・ブラウン、ベルトルト・フーバーです。この二人は、アニをこちらに引き込む時に決別し、二人は逃げましたが、あいつらがいるのはカラネス区かと...それかもう少し北へ移動しているかもしれません。

これが、オレが見てきたものです。」

 

「あいつらが…!?」

 

エレンは悲壮な顔で呟く

 

「なるほど…」

 

「アニたちは10歳くらいの時にここに来ています。普通では、その年で何かを任され任務をこなすのは不可能です。そして、密会を聞いた時、ライナーはオレたち壁の中の人たちのことを[エルディアの悪魔]と言い、強い憎しみを感じました。10歳くらいの子供がどうすれば、そこまでの感情を持てるのか…それは洗脳でしょう…」

 

「え…ちょっと待ってよ…と言うことは…まさか!?」

 

「え、何が…?」

 

エレン以外は気付いたようだ

 

「人類は滅びていないと…」

 

「え!?ですが…!」

 

「…歴史書から鑑みるに王家が巨人のことを秘密にしていると言うことだ。あの書き方は不自然だ。」

 

「は!?そんなこと…」

 

「アニ…話せるか?」

 

「分かった…

私達はマーレと言う国から来ました。マーレはこの島のことをパラディ島と呼んでます。

私達の任務は、[始祖の巨人]を奪還すること。始祖の巨人とは…全ての巨人を操ることができます。その後は、パラディ島にある莫大な資源をマーレのものにするため…

マーレには…マーレ人とエルディア人がいます…

私達はエルディア人…壁の中にいる人達もエルディア人です。

エルディア人は過去に世界を恐怖に陥れた存在で、今も[始祖の巨人]がある限り、その脅威は変わらない…マーレにいるエルディア人はマーレの収容区にいて、過去の償いをしています。

そして、壁内人類は我々を見捨てた[エルディアの悪魔]と呼ばれ、いつこちらに攻めてくるか分からない、マーレ国がエルディア人に解放されるのは、壁内人類を絶滅する事でしか解決しない…」

 

「何と言うか…とんでもない話だね。」

 

「巨人になることが出来るのはエルディア人だけですから、マーレ人からすれば怖く見えるのです…私達も…マーレにいた時は壁内人類を恐怖の象徴と呼び、マーレにいるエルディア人は迫害を受けてきました。なので…ライナーは酷く壁内人類を憎み…ここに来ました…ですが、ここに潜入してから、悪魔が…本当にいるのか…分からなくて………」

 

少し、嗚咽を漏らしながら言うアニ。

それが、伝わったのか

 

「そうか…教えてくれてありがとう。だけど、今は取り敢えず…考える時間がほしいな…」

 

ハンジがそう言うと

 

「ああ、そうだな…だが、始祖の巨人とは…エレンのことなのかい?」

 

エルヴィンがそう聞いた。

 

「確証は無い…ただ可能性があった…王家がそれを所持しているものだと思っていたので、シーナに何回か侵入しました。後...壁の秘密を知っているのはウォール教です」

 

「ええ⁉ウォール教が⁉いや...今日はもう止そう...」

 

ハンジが頭を抱えそう言った。オレはそこにヒストリアが関わっていることを知っているが、今はヒストリアのことを言わないように指示を出していた

 

「分かった…今日の所は帰ってもらって構わない。先程ハンジが言ったように、時間がほしい。アニのことはキヨンに頼んでもいいのかい?」

 

「はい、アニには憲兵団に入り内部の情報を流してもらいます」

 

「そうか…」 

 

「エルヴィン団長…全ての話をアニに任せず、オレの見てきたことを話したのは、この戦争ではエレンの父親が鍵を握っていると思っているからです。エレンの地下室なのか、エレン自身なのかは分かりませんが…」

 

「ああ...大丈夫だ、その辺りは分かっている。行くしかないだろう」

 

どうやら、考えは伝わっていた様でなによりだ。

と、ここでずっと黙っていた人が口を開いた。

 

「おい…根暗野郎…お前の目的を言え…俺にとっては、洗脳教育を施すマーレや巨人になるエルディア人よりもお前の方が危険な存在なんだよ」

 

「根暗って…それに危険とは、失礼ですね…

オレはただ自由がほしい。この狭い壁の中では、自由を得られない…何者にも縛られることのない生活を送りたいだけです。」

 

「…なら、今回のトロスト区襲撃…何が目的だった。わざわざ、調査兵団を4箇所に分断させる意味も分からねぇな…」

 

「この先、戦うのは巨人だけではない。人間とも戦わなければならい。圧倒的に数で不利だったからな…兵士の成長が必要だった。その為にも、調査兵団が揃っていれば、訓練兵の出る幕がない。そして、アニをこちらに引き入れる為にもあの襲撃は色々と利用価値があった。」

 

「利用価値か…いかれた野郎だ…戦争の準備ってことか」

 

「戦争って…僕達はただすれ違っているだけじゃないか!アニのように…僕たちが危険じゃ無い事を知ってもらえば、分かりあえるだろ!?」

 

「アルミン…いきなり話し合いで解決することなど不可能だ。人は自分の信じたいように信じて行動する。況してや、オレ等が脅威じゃないと言っても信じて貰えるはずがない、アニが故郷に帰って言ったってエルディア人であることに変わりはない…戦争とは…話し合いをするための前段階だ。ここまで、齟齬をきたしていれば、話し合いのみでの解決はできない」

 

「まあいい…お前の考えは良くわかった。犠牲は少なくしてほしいところだがな」

 

「それは当然ですよ。オレだって好き好んで仲間や住民を見す見す死なせているわけではありませんから」

 

「だと良いがな」

 

「ふぅ…まぁ!一先ず解散しよっか」

 

ハンジが総締めくくり解散することになった。

 

 

 

帰り道は、気まずさの塊であった。

 

「「「「…」」」」

 

誰も話さない…距離も少し遠い…

それを打ち破ったのは、アルミン

 

「キヨンは…僕達を信じてないの?」

 

「ん?信じてはいるぞ」

 

「僕らに相談くらいしてくれても良かったんじゃないか?」

 

「お前達なら、住民を優先してライナー達を止めに行くだろ…

オレはお前達のことを信じているからこそ、話さなかっただけだ。」

 

「…」

 

「でも…キヨンは私達を頼らない…」

 

「それは違うな。直接は言わないかが、いつだってオレはお前らを頼っているだろ?特にアルミンにはこないだもを頼ったばかりだ」

 

こないだの事とは、エレンを敵では無いと証明してくれた時のことだ

 

「そう…でも、これからはもう少し直接言ってもらいたいんだけど…」

 

「そうだな…悪かった」

 

「それで…アニは」

 

「謝っても済むことじゃ無い事は分かってる。償いのしようもないし、今何をすれば良いのかもよく…分からない

でも…あんた達と戦いたくないと言う気持ちは本当…」

 

「そうか…それは良かったよ…僕らもアニ達と戦いたくはないから…」

 

「今は、時間をかけて信用を取り戻すしかないな」

 

「うん…」

 

オレ達が宿に帰ると皆が集まっていた。そこには、明後日の夜に兵団を決めるとのことだ。明日は休みを貰えた。

皆それについて、日が暮れるまで話し合った。

 

そして、その日の夜、オレ、ミカサ、アルミン、ジャン、サシャ、コニー、ヒストリア、ユミル、マルコ、トーマス、ミーナ、ミリウス、アニの13人でフード付きの黒いコートを着て、宿を抜け出した。壁の下まで走り、立体機動を使用し、一気に壁の上にあがった。

そして、また走る。

オレたちはトロスト区の破壊され、大岩で埋めた所で止まった。

ここは、超大型巨人が手を払い、固定砲を全て破壊した所だ。

 

オレたちはここに、あるものを探しに来た。

 

それはオレたち訓練兵に取っては希望である。

 

隈なく、あるものを探す。

そして…

 

「あ!!!ありましたよ!ここです!」

 

「見つけたか!」

 

全員でサシャの周りに集まった。

そして、その箱の中を開けて中身の無事を確認した。

 

「無事だ!」

 

「き…奇跡だ!」

 

「本当に生きてて良かった!!」

 

無事を確認出来たことで、ハシャギ出した。

近くにあった、廃材に火をつける。そして、持参したコップに飲み物を淹れ、日を囲むように座った。

オレが代表して人数分、等しく分ける

オレたちが探していたもの…それは、サシャが教官から盗んできた【肉】だ。

金串で肉を刺し、火で炙る。

良い感じに焼けたら皆に配っていく。

もちろん…サシャは最後だ。

 

「えー、それではトロスト区襲撃を無事に生き残り、多くの巨人を倒した我らに乾杯」

 

初めてやった…こんなんでいいのか?

 

「「「「「「「「「「「「

    かんぱーーーーい!!!!!!

」」」」」」」」」」」」

 

一斉に肉に齧り付く

配られた肉は一口で食べ切れるほど少ない。しかし、オレたちにとっては夢のような食材…

この地獄を生き残り仲間の死を目の当たりにし、辛く悲しんだ。

しかし、

肉とは、そんなことを忘れさせてくれる…皆の表情に一切の悲しみの表情がない。

 

オレたちが明日、選択することは死地に飛び込むようなもの。

 

オレたちが生き残れるかなど誰にも分からない

 

皆、不安だろう…

 

だが、今だけは…楽しむ。楽しむことのできる時間を決して無駄にしたりはしない。

 

皆、終始笑顔であった。ミカサやアルミン、ヒストリアにユミルまでも笑っている。そして、ぎこちなくではあるもののアニも笑っている

 

オレは、この皆の笑顔を守りたいと思っているのだろうか…

マーレとの戦争が終わり、壁の外へ自由にいけるようになったとき、オレはここにいる皆とまだ一緒にいたいと思うのか…

 

ここにいることは、決して悪くないと感じる。それどころか、居心地が良いとさえ思っている。

 

この一緒に居て、居心地の良さを感じることを中間と呼ぶのだろうか…

 

オレは新たな感情が芽生えたことに、楽しさを感じていた。

 

 

「ねぇ…キヨン」

 

俺の隣に来て座ったのはミカサだった

 

「なんだ?」

 

「楽しいと思ってる?」

 

「ああ…思ってる」

 

「なら、もっと笑って。もっと感情を出して」

 

「そう言うのは苦手なんだ。それにミカサも人のこと言えないだろ?」

 

「私は笑うときは笑ってる」

 

「…まだ…不満だったのか?」

 

「当たり前…頼ってほしいとは思うもの」

 

「十分に頼ってると言っただろう」

 

「そうは思えないけど…」

 

「それを言うならミカサからも余り頼られたことはないと思うが?」

 

「…そうかもね…なら頼ることにする」

 

「ああ…そうしてくれ」

 

「ねぇ…キヨン…さっそくなんだけど…」

 

ミカサは姿勢を正して、真面目な顔をする

 

「ん?」

 

オレもつられて、姿勢を正す

 

「今すぐエレンをここに連れてきて」

 

ブヂッと音がした。そうだ…深呼吸深呼吸…オレは心を落ちつかせ、ミカサを見ると…おっ

 

「フッ…」

 

と、ミカサはいい笑顔で鼻で笑い、立ち去っていった。

ミカサが笑う所は何回も見たことがある…だが…先程の笑顔は…初めて見たな…

何がしたかったのかは分からなかったが…

 

オレたちは満足するまで、他愛もない話で盛り上がり、この時間を謳歌した。

それからは、疲れて寝てしまった奴らを起きているやつで宿まで運んだ。ヒストリアはオレが抱えて行った。

 

帰ってから、一人の少女と夜が明けるまで話をし、次の日の昼まで寝ていた。

 

 

 

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