進撃する綾小路   作:もと将軍

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宜しくです


操作された運命 弐

 

操作された者の独白 弐

 

『俺達はどうすれば良いんだ。

キヨン…お前は本当に最初から気に入らねぇ奴だった。 

あいつだけは信用しては駄目だった。

…………

……

…疲れたな…

……

…………

一体…いつから休みがねぇんだ…?

…………

くそっ…思い出したくねえ事を思い出しちまった。

ダズは……何て言ってたか…確か…

人類の敵が!

だったか…?

何言ってやがんだよ…ほんっとにどいつもこいつも適当なことを言いやがって…

俺達がどれだけ働いたと思っているんだ…?

なぁ…ベルトルト…お前は気絶するまで戦ったってのに…誰も褒めてくれねぇじゃねぇか。 

そう言えば…クリスタは無事なのか?

巨人の手の中にすっぽり収まってしまっていたじゃねぇか…

苦しそうで可愛そうだった…

本当にいい奴で可愛いんだよな。

お漏らししちまってクリスタに見られたときは死んでしまおうかと思ったが、クリスタはその後も普通に話しかけてくれた。

ありゃあ絶対気があるよな…

わりぃなキヨン…クリスタは俺の方が良い見てぇだ。

………

………………

………あれ…この立体機動装置は…あぁ!はっ…ぁあ!はぁっ………

 

そうだった…俺がダズを…

もう引き返せねえんだ。

俺は戦士として責務を果たすだけだ。

だが…どうすれば良い…

そうだ、アニはまだ裏切って無かったんだったか…?

いや…あれはキヨンが言ったことだ。

後ろにいた皆はキヨンの発言に驚いていた…やはりキヨンが適当に言ってただけか…?

いや…あいつはトロスト区襲撃を皆に話していなかった。

分からねぇ…

もう望月には間に合わん。

なら…少しでも情報を集めて、アニも奪い返す。

ベルトルトのためにも…なぁ』

 

 

 

 

 

 

ライナーが逃げていったのを確認し、オレはコニーやジャンの下に戻ると皆が詰め寄ってきた。

 

「キ…キヨン…お前アニを殺すつもりだったのか…!?」

 

ん…?まさかこいつらまで信じてたのか…?

コニーやサシャは分かるがジャン…お前まで…

ヒストリアは分かっているようで安心した。

 

「そんな訳がないだろう。」

 

「い、いいやお前のことだがら分からねぇぜ」

 

だが、ジャンは信じてくれない。

一体…オレのどこに信じられない要素があるのか…

 

「はぁ。あのな、アニにはもう全ての情報を貰っている。だがら、ライナーやベルトルトの弱点を知っているし、敵国の事も知っているんだ。」

 

「お…そ、そうか…良かったぜ!さすがキヨポンだな!」

 

「ええ、ええ!流石は私のキヨポンです!」

 

オレがそう説明すると納得したのか、二人はいつも通りになった。

サシャ…後ろにヒストリアが居ることを分かっているのか…?

 

「あっ…げっ…ヒィィィ」

 

今気づいたのか…それでまたオレの後ろに隠れるな…

 

「だが…何であんなこと言ったんだ?」

 

「ああ…あれはライナー達に敵国に帰られるよりは、アニを取り返そうとしてくれる方が良いだろう。

お前らとしてもまた話せる機会があった方が良いだろうしな。」

 

「さっすが!キヨポンです〜私達の事も考えてくれてるなんて!!」

 

「 やっぱりお前は良いやつだな!」

 

この馬鹿二人は楽で良いな。

ここにミカサやアルミンが居なくて良かった。

ジャンは訝しげに見てきたが何かを言って来ることはなかった。

ユミルはまた力尽きて倒れてしまった為、ヒストリアに任せて、オレとリヴァイ班の人達でエルヴィン団長の下へ向かった。

 

そこには、リヴァイ兵長とハンジさん達が集まっており会議が開かれていた。あと、ミカサも何食わぬ顔をしてエレンの横に居た。

普通の人なら躊躇するような場所へオレは構わず入って行く。

 

「どうだった…?」  

 

オレが入っていくと真っ先に気付いたリヴァイ兵長がそう聞いてきた。

 

「すみません。逃がしてしまいました。」

 

「そうか…だが、マーレに帰ることは防げたんだろう?」

 

「それは大丈夫かと…

それと…すいません。リヴァイ班の2人が…」

 

「誰だ…?」

 

オレがそこまで言うと、察したのかそう聞いてくる。俺の後ろには2人のリヴァイ班がいて俯いている。それを見て理解したのかリヴァイ兵長は二人にこう言う。

 

「………ペトラ、オルオ…切り替えろよ。」

 

「…はい」

 

「すいません…」

 

それでも流石と言うべきか、仲間の死を目の当たりにしてもリヴァイ兵長にそう言われただけで、もう立ち直っているように見える。

余程リヴァイ兵長を頼りにし尊敬しているのか…それとも、仲間の死を見るのは至極当然のことなのか…まぁ両方だろうな…  

 

日が完全に沈み、巨人の活動も無いので壁外でもそこまで緊張感はない。

現在、オレはリヴァイ兵長達と共にいる。まだ会議が続いたからだ。その会議が今ようやく終わり、エルヴィン団長とハンジさんがユミルの下へ向かった。そろそろユミルも起きる頃か…オレも後で向かわないとな…

 

ライナー達は近場にいるかもしれないが、まだ行動不能なベルトルトがいるため今は仕掛けてこないだろう。そして、偽の情報で混乱もさせた。

 

「た…助かった。ありがとな…」

 

オルオが不承不承ながらもお礼を言ってきた。

余程オレはこの人に嫌われているらしい。

 

「キヨンって呼ばせてもらうね!助けてくれてありがとう!後少しでも遅れていたら私は死んでたよ。」

 

対して、このペトラと言う人は距離が近いな…

凄く感謝されているのが分かる。

 

「いえ…結局二人は死なせてしまいましたし、オレは兵士としての責務を果たしただけですので、お礼は結構ですよ」

 

「 あははは…聞いていた通りの人なんだね!」

 

「…?」

 

「あぁ…ごめんね。

キヨンのことはこっちでも結構話が上がっていてね…エレンからよくキヨンのことを教えてもらってたの」

 

「そうなんてすか…」

 

「ああ…キヨン、オレに感謝しろよ!

オレがキヨンを褒め称えておいたおかげで、お前は危険人物から有能人物へ成り代わったんだからな!」

 

エレンが急に立ち上がって息を粗くしながら言ってきた。

 

「そんなに褒めてたっけ?」

 

ペトラさんが可愛く首を傾けながら言う。

やはり嘘か。

 

「ほ、褒めてましたよ!」

 

「すぐバレる嘘は自分の身を滅ぼすぞ」

 

「それはキヨンもよ」

 

ミカサにジトッとした目で睨まれた。

ミカサはエレンに甘いくせにオレには厳しい。

家族のはずなんだが…

 

「エレンと一緒に居られるようにオレが進言してきたから、今お前はエレンと一緒に居られるんじゃないのか?」

 

「……」

 

そっぽ向かれた。都合が悪くなるとすぐこれだ…

 

「それよりもキヨン…お前、ペトラさんにまで手を出すなよ…?」

 

「手を…?どういう事だ?」

 

「お前な…いつもキヨンは女を引っ掛け回しているだろう。」

 

心外だな…

 

「そんな事は一度もしていない」

 

「へぇ~そうなんだ、キヨン…」

 

さっきまで、にこやかにしていたペトラさんが急に真顔になり、そのさっきまでとは異なる雰囲気に思わず怖いと思ってしまった。

 

「い、いえ…ですから、していないと…」

 

「敵が多そうね」

 

アカン…

全く聞く耳を持ってくれない。

一切こちらの話は受け付けてくれないようだ。

そして、ペトラさんは不気味な笑みを浮かべていた。

 

「ペトラさん…」

 

おい…何故…エレンがそんな顔する…

分からんぞ…だが…分かることはある。

オレは密かに立ち上がり逃げる準備をする。

 

「エッエレン…?ど、どうしたの…?はっ…!ぐっぬぬ」

 

ミカサが反応した。何故オレを見る…

オレは危険を感じ、この場を離れることにした。

 

「キヨン!!」

 

ミカサが叫んでいるのを無視して外に出る。

ペトラさんの下を逃げるように離れたあと、ユミルの下へ移動する。

真っ暗で立体機動で移動するのはかなり危険だったが、木々の隙間から漏れる月明かりと松明を頼りに移動する。

 

ユミルのテントに行くとハンジさんとエルヴィン団長がまだユミルの側にいた。

ユミルはまだ寝ており、その傍らでヒストリアが座ってユミルが起きるのを待っていた。

 

「キヨン!!」

 

オレに気付いたヒストリアがライナーのタックルのように抱き着いてきた。

2回も巨人の手に掴まり、自分のために何人もの仲間が死んでいったから色々と不安だったんだろう…

だが…エルヴィン団長達が見ているところでは控えてほしい所だ。

 

「悪い…遅くなったな」

 

「ううん…助けてくれてありがとう。ユミルのことも」

 

ヒストリアはオレにお礼を言ったあと、抱きついたまま顔をグリグリとオレの胸に押し付けてきた。

そこで、見ていられなくなったハンジさんが口を開く。

 

「あぁ〜…そのぉ〜ここではぁ〜…おっぱじめないでくれよ…な!」

 

「分隊長!!貴女じゃないんですから!」

 

流石はモーブリットさん…生きていてくれてありがとうございます。

 

「ユミルの事は調査兵団でも一部の者しか知らない。隠し通すことは可能だろう。」

 

エルヴィン団長がそう言う。

有り難い事に他の団には隠してくれるみたいた。

 

「そうして頂けるとありがたいです。」

 

「今日のところはもう良い。起きたら明日私の下へ来るように伝えてくれ」

 

「はい」

 

と、エルヴィン団長が立ち上がり出ていく。

 

「くれぐれも…ここでは…「分隊長!!」…そ、そうか」

 

続いて2人が出ていってくれた。

さっきから黙ってオレにしがみついているヒストリアに声を掛ける。

 

「大丈夫か?」

 

「うん…もう駄目かと思った。」

 

「ユミルが守ってくれたんだってな」

 

やはり、怖かったのだろう。

ヒストリアは震えていた。その震えはオレの身体に伝わってくる。

 

「うん…でもユミルだけじゃない…色んな人が守ってくれた。でも…そのせいで何人も死んだ…

ユミルもこんな事に…

何でなの…?

私はただ生まれてきただけなのに…

何も知らないのに…」

 

オレを抱きしめる力が更に強くなる。 

オレもヒストリアを安心させる為に少し強めに抱きしめる。

 

「ヒストリアが何者なのかはオレも知らない。

だがな…オレにはそんなことはどうでも良い事だ。

それに言っただろう…お前の家のことはオレが何とかする。

だから、お前はそんな事は考えなくていい。

お前はただ…」

 

「いつものように居ろって言うの!?

やだよ!

守られてばっかは嫌だ…!

キヨン…私はそんなに頼りない人…??

私だってできるんだよ…私を皆みたいに使っても良いんだよ…?」

 

悪いが既に十分使わせてもらっている。

そして、これからも…

 

「そうか…だがな、オレとしてはお前が死なれるのが一番困る」

 

「??どうして…」

 

「さぁな…だがまぁ…お前がそう思うなら今後は行動してもらうとする。」

 

「うん!!」

 

オレがそう言うと、ヒストリアは今日一の笑顔で頷いた。

と、ここでユミルが起きた。

 

「.…お前ら…うるせぇよ。人が寝てる傍でいちゃつくんじゃねぇよ」

 

「あ!ユミル!」

 

「…ここは…私のテントか…」

 

「覚えてる?ライナーと戦ったことを…」

 

「…ああ、確か負けたはずだったが…そうか…キヨンが助けてくれたのか…

悪いな…結局お前に頼ってしまった…」

 

「構わない。それより調子はどうだ?」

 

「最悪だな…ホントに…さいっあくだ」

 

「そうか…だが、もう仕掛けてくることはない。

今日はゆっくり休めばいいさ。」

 

ヒストリアとユミルの無事も確認できたので自分のテントに帰ろうと立ち上がったのだが…

ユミルに腕を掴まれた。

どう見てもこの握る力は、憔悴しているやつのそれではない。  

 

「何だ…もう行っちまうのか?

こっちは、さっき死にかけたか弱い少女だぞ…?

お前には人の心ってもんがねぇのか?」

 

「…分かった」

 

何だか…物凄く責められてしまった。

どこに居ても今日は女が怖い日だな…

ここはもう大人しく従っておくしかないようだ…

せっかく…ゆっくりと休めると思っていたんだが…残念だ…

 

ヒストリアはオレに身体を預けてきたので、ヒストリアを左手で抱き、右手でユミルの左手を握る。

二人とも安心したのか、すぐに寝てしまった。

空を見ようにも木々に囲まれたこの場所では見ることもできず、寝ようにもこんな態勢で寝ることのできないオレは長い長い夜を過ごすことになってしまった。

 

 

 

 

翌日

 

 

 

 

 

急ピッチで樹の上に小屋が建てられていく。

調査兵団は壁外へ遠征に行くこともあり、こういった戦闘に関係ないこともできる。

 

荷物(テント等)を置いておく小屋。

食料を保管しておく小屋などを建てていく。

オレがするべきことは、建てている兵士に近付こうとする巨人を排除する役目だ。

巨人を倒し木を飛び回っていると…

 

「うそだろ…」

 

オレはある人物を見て驚愕して固まってしまった。

リヴァイ兵長が巨人を倒さず、小屋を建てていたのだ。しかも、信じられないほどの速度で…

 

役不足なんじゃないだろうか…?

 

リヴァイ兵長と言う男は巨人を倒す為に存在するような男だ。

それを眼の前に迫りくる巨人をガン無視し小屋を建てていた。

確かに、綺麗好きで手先が器用とは聞いていたが…

 

お前は巨人を倒せよ…

 

と心のなかで突っ込んでしまった。

だが、リヴァイ兵長の働きにより工期よりも早く建てることができたみたいだ。

その結果予定では10日間になる筈だったが、七日目にして帰ることになった。

 

20人ほどがここに残り、1ヶ月近く過ごすことになるらしい。

巨人をかなり倒したし、60メートル程の高さに小屋を建てた為安全ではあるが、既に木登りを学び始めている巨人も何体か確認されている。

危険ではあったが、ここにライナーやベルトルトが住み着かないようにするためにも必要な事らしい。

そんな訳で、265名でここまできた調査兵団だったが、帰りは200名前後の人数になった。

犠牲は40名程と壁外調査にしては少ない方だった。新兵からは20名程の犠牲が出た。

だが…よくベルトルトの爆風からこれだけ生き延びたものだ。

ここで、これだけの犠牲で済んだことは後ほど活きてくる。

 

 

▽▽▽

 

 

「今回僕は、全く出番無かったんだけど…」

 

「あぁ?良い事じゃねぇか!」

 

僕達、東の半は主に新兵で固められていた。

僕はその班の指揮役であったが、特に何もすることは無かった。

クリスタを西へ配置し、最も狙われるエレンを中央に配置した。エレンだけ狙われれば、なお楽だったんだけど…やっぱりクリスタも狙われたみたいだ。

理由はキヨンがクリスタの家が関係しているとか言っていたけど…それはキヨンも良く分かっていないらしい。

いや…絶対知ってるよね…?

そのクリスタが狙われたため、東から数人の応援を出したけど、何もすることなく帰ってきた。

 

「そうですよ!

私達が全員出動となれば最悪の事態何ですから!

それに、今回はもう作戦成功でしょう!帰ったらお肉が待ってるかもぉぉぉおおお!!!ウヒョーー!」

 

「サシャ…ウォール・マリアを奪還しなければ、そもそも肉が無いよ。

食べられるのは、お偉い人か憲兵団くらいだよ」

 

浮かれてハシャギ出すサシャに現実を突きつける。

 

「まじかよぉぉ…」

 

一気にテンションが急降下し膝から崩ちてしまったサシャを見ながら僕は考える。

そうだ…ウォール・マリアを奪還しなければ何の意味もない。今回の作戦もウォール・マリアを奪還するための準備だ。

そして、キヨンは言った。

王政を打倒するまでウォール・マリアは奪還しないと…あのキヨンが王政打倒の策を考えて居ない筈がない…

本当に帰ってから考えるのだろうか…

いや…もしかしてもう…

 

 

▽▽▽

 

 

巨人になってしまい皆にバレてしまったユミルは自分の人生を話した。

オレたちよりも長く生きているユミルだが…オレと同じまだまだ何も知らない少女何だと感じた。

ユミルの処遇は殆どエレンと同様だった。

だが、壁の中では憲兵にバレないように努めなければならないため一般的な兵士として扱われることになった。

 

その後、調査兵団は帰路につく。

行きと同じようにして、長距離索敵陣形を展開して馬を走らせる。

そして、壁に近づくにつれて兵士が真ん中に向かって行く。

 

「よう!キヨン何か久しぶりじゃねぇか!」

 

ジャンか…6日振りか…ライナー達と戦闘があって以来会っていなかった。

 

「まだ、壁にはついてないぞ…」

 

「かってぇ事を…おっ…皆も生きていたようだな」

 

ジャンは遠くからこちらに向かってくる皆を見て一安心したようだ。

 

「そうみたいだな…だが、今回は樹の上によじ登ってきた巨人を倒すだけだったろ?」

 

殆ど的だった巨人のうなじを削ぐ作業だった。

 

「それでもビビるもんはビビるんだよ。

実際、トロスト区で何体か倒したことのあるオレやサシャでもビビっちまったからな」

 

「そう言うものなのか…?」

 

「当たりメェだろ。ったく…それに新兵には初めて倒す奴だっていんだ。

と言うか…初戦でビビらねぇお前らが異常なんだよ。エレンと言いミカサと言いなぁ。

お前もあいつらと同じ育ちなんだろ?

何か特訓とかしてたのか?」

 

「いや?特に何もしてなかったぞ…そういうのは覚悟なんじゃないか?

オレたちはウォール・マリアを破壊された現場に居たからな…」

 

「それだけとは思えねぇけどな」

 

まぁ実際アルミンは怯えてたしな…

ジャンはそれだけでは信じられないらしい。

丁度いいか…

 

「……オレは…オレが勝っているなら人類が滅亡しようとどうでもいい」

 

「は…?」

 

オレが本音で語ると理解できないと言った声を漏らした。

 

「お、お前…何言ってんだ…?」

 

「それがオレの本心だ。

オレは自由を得るためなら何だってする。

それと、オレが守りたいと思ったものを守ることができればオレはそれで良い。

その為なら人類が滅んでも構わない。

だが…今回は人類が味方である必要があるから人類のために心臓を捧げているだけだ。

エレンも大体同じだ。自由を得るためなら何だってする。

何かを捨てても自分にとって大切なことを理解しているかで大きく変わってくるのかもな」

 

「はっ…まぁ理解はできたが…それは普通じゃねぇだろ。オレにはそんな考えは一生できねぇよ」

 

普通か…それはそうだろうな。

だが…オレはその普通と言うカテゴライズには含まれない。

 

「ああ…その方が良い。

お前はオレのようにはなるな」

 

ジャンは最も人間らしく皆を引っ張って行って貰わないといけないしな。

 

「何でだよ?」

 

「…さぁな。そろそろ着くぞ。」

 

「おい…何でだよ。

少しは教えといてくれねぇとな…人類滅亡してもどうでもいいとか言う奴と一緒にいると恐怖しちまうんだがなぁ?」

 

「はぁ。安心しろ。

オレが守りたいと思っているのはお前達同期だ。

人類を滅ぼしてでもお前らは守る。」

 

「うぉぉおぅおうおおおまっお前良くそんな恥ずかしい事を真顔で言えるな!

こっちが恥ずかしくなるわ!」

 

急に顔がトマトになったジャン。

驚きすぎて馬からも落ちそうになっていた。

 

「そうか…悪い。

どう言えば良いのかはオレも良く分からないんだ。」

 

「何だ…お前…いきなり人間らしさを出してきやがって…

って、まぁたお前のペースに載せられる所だったぜ。

お前のようにはなりてぇとは端から思ってねぇよ。俺はただ…ミカサやお前のように冷静に戦えるようになりたかっただけだ。まっ…聞いてみりゃ俺には不可能な事だったが…

あの死に急ぎ野郎見てぇに突撃するよりかは、ビビって死なねぇようにする方がマシだな…」

 

「そうだな。その通りだと思うぞ。」

 

「お~い!キヨン!ジャン!」

 

ヒストリアが笑顔で手を振りながら近付いて来た。後ろからも兵士が三列になるように集まり並んで馬を走らせていく。

 

「クリスタも無事だったか!おっ…!ミカサもいるじゃねぇか」

 

「どうも…」

 

「お…おい…どうしたんだよ…すげぇ隈ができてんぞ?」

 

「キヨン…後で話がある」

 

「お前…また何かやらかしたのか?」

 

「いや…今回は本当にオレの責任ではない。

ミカサ…それはもう片付いたことだろう」

 

ミカサはどうやらまだ立ち直れていないみたいだ。どうせ勘違いだろうに…しかもそれをオレの責任にしやがって…

その調子で良く無事に任務を果たしたな…

 

「まぁまぁミカサも生きて帰ってきたことを喜ぼうよ。

作戦成功だよ?

人類がまた一歩前進したんだよ!

これは快挙なんだからさ!」

 

ヒストリアがミカサを励ます。

 

「……そうね…でもキヨン…先輩にまで手を出したら駄目」

 

こいつ…

何故今それを言う…

ヤバイ…ヒストリアの顔が一瞬にして暗くなった。そして、後ろを向いていたヒストリアだったが、ゆっっっくりとオレの方を見る。

 

「クリスタ…喜ぶんだろう?無事に帰ってこれたことに」

 

「キヨンはここから無事に帰れるつもりでいるの?」

 

いや…ヒストリアが言ったんだよ…

当たり前だろ…後一分もしない内に壁に着く。

周りにはもう巨人の姿は一切見当たらない。

逆にどうして帰れなくなるのか分からないな。

 

「クリスタがそう言ったんだろ?」

 

「それはさっきまでの話だよ。

まだ少しあるから」

 

本当に何が起きると言うのだ…

 

「クリスタ…本当に何もしていない。

クリスタを護衛してくれてた人がいただろ?その人をオレが助けたんだ。それでお礼を言われただけなんだ。

それをミカサが勘違いしただけだ。」

 

「ふーん…そう…まぁ今はそれで満足する。」

 

口先を尖らせて言った。

不満はあるようだが、納得してくれたみたいだ。

 

 

 

着いたか…

 

 

『カンカンカン』

 

鐘のなる音が聞こえ門が開く。

調査兵団は続々と壁の中へ入って行く。

最後尾が入った所で、門が閉まる。

………

カラネス区の中は静かだった。

 

いつもなら出迎えに来る住民が殆ど居ない。

 

老人や子供だけだった。

 

その異様な光景に調査兵団の皆がざわつき始めた。

 

すると、駐屯兵団の女兵士が駆け寄ってきた。

 

「調査兵団団長!!エルヴィン・スミスへ報告します!!

 

ウォール・シーナが………!!!

 

突破されました!!」

 

 

 

 

 

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