進撃する綾小路   作:もと将軍

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ほぼ原作通りです。


エレンの夢

 

 

入団から2年

 

「走れ!!このノロマども!!」

 

雨が降る中、私は声を張り上げる。訓令兵に森の中を装備を背負って走らせていた。本日の訓練である

 

「どうした?アルレルト遅れているぞ」

 

後方でアルレルトを叱咤する。

 

「貴様には重いか、貴様だけ装備を外すか?これが本番なら貴様はここで巨人の餌だ!」

 

我ながらいつもきつい言葉を掛けなければいけないことに嫌気がさす。しかし、本番では、気を張っていたとしても一瞬で命を落とす。この程度、着いてこれなければすぐに命を落とすだろう。ならば、兵士など辞めて田舎へ帰るべきだ。

私は私のような後悔ばかりする人を増やしたくない。そのためなら訓練兵に嫌われたってかまわない

 

「くそ!」

 

アルレルトの方へライナーが向かった。

 

「貸せ!このままじゃ脱落組だぞ!今日の訓練は採点されてる」

 

「そんなことしたら、ライナーまで減点されるよ」

 

「ばれねぇように尽くす!オレの気が変わらねぇうちにな!」

 

ライナー・ブラウン…屈強な体格と精神力を併せ持ち、仲間からの信頼も厚い。

 

「お荷物なんて死んでもごめんだ」

 

そう言ってライナーから自分の荷物を奪い担ぐ

 

アルミン・アルレルト…体力面で劣るものの、座学で非凡な発想を見せる。

 

場所は変わり立体起動装置の訓練へ

三人の訓令兵が、疑似巨人のうなじを削ぐ。

 

アニ・レオンハート…斬撃に非の打ちどころはないが、連帯性に難があり孤立気味。だが、気が合うものとの連携はできる

 

ベルトルト・フーバー…潜在能力は高いが、積極性に欠ける

 

ジャン・キルシュタイン…立体起動はトップクラス、だが、抜き身すぎる性格が軋轢を生みやすい

 

ジャンは別の位置に移動し、巨人を探しに行く

 

「見つけた!」

 

「ありがとよ!ジャン!」

 

「いやったー」

 

サシャ・ブラウス…型破りな勘の良さがあるが、それゆえに組織行動には向かない

 

コニー・スプリンガー…小回りの利く動きが得意、しかし頭の回転がやや鈍い

 

続いて二人が巨人に向けて飛んでいく

 

「やっぱり、まだミカサより浅い」

 

ミカサ・アッカーマン…あらゆる科目を完全にこなす。歴代でも類のない逸材と評価は妥当

 

エレン・イェーガー…目立った特技は無いが、他ならぬ努力で成績を伸ばした。そして、人一倍強い目的意識を持つ

 

最後に一人の男が巨人に突っ込む

 

キヨン・ジェイルーン…一度見たもの、体験したことは全て完璧にこなす洞察力を持つ。また、頭の回転の速さは常人とは比較にならない。そして、特定の人物からは頼りにされている。

 

これで、採点は終了だ

 

 

「うぉぉぉおおおおお」

 

ライナーがエレンに向かって木のナイフを持ちながら突進をする

エレンはその突進力をいかし、ライナーを投げ飛ばす。

オレはヒストリアと組みながら、横目でエレン達を見ていた。

 

「エレン…お前強いな、誰からか教わったのか」

 

「あぁキヨンにな」

 

「あぁなるほどな、と言うかキヨンはまじでどうやってあんなに強くなったんだ?」

 

「さあな、二歳のころから一緒にいるのによく分からんやつだよ」

 

「そうか…おい、それより見ろよ…あれ」

 

「また、教官にばれないようにサボってるな」

 

「教官の頭突きは嫌か?それ以上、背を縮めたくなかったらここに来た時を思い出してまじめにやるんだな」

 

と、ライナーはアニに近付いていき、なぜか煽り始めた

 

「おい、なんだよ…その言い草」

 

あいつ…死にたいのか?アニは怒ると怖いぞ…あ、やっぱ怒っていやがる。

 

「そら、始めるぞ!エレン!」

 

「えっオレ?」

 

アニとエレンの対決が始まった。アニは独特の構えをする…あれは、ムエタイか?

エレンがまず仕掛けるが、アニはエレンの左脚に向かって右足で蹴りを入れる。エレンは右足を軸に左足を下げ、アニの攻撃を避けながら右足で軽いステップとともにアニに近づき、ジャブをいれる。だが、それもアニの高く上げた腕でガードされる。

さすが、ムエタイのディフェンス力は高いだけあるな。そして、その近くなった距離を利用し、アニは首相撲でエレンを投げ飛ばした。そのままエレンの首元に木のナイフを突きつける

 

「うっ…」

 

「あんた強いんだね…つい本気でやってしまったよ」

 

「それはこちらのセリフなんだがな…誰からか教わったのか?」

 

「お父さんに…」

 

「親父さんがこの技術を…」

 

「どうでもいい、こんなことやったって意味なんかないよ」

 

「この訓練のことか?」

 

「対人格闘術なんか点数にならない、普通はああやって流すのさ…憲兵団に入って内地へ行けるのは、上位10人だけだからね。真面目にやってるのはあんたらのような馬鹿正直な奴らか、単なる馬鹿か」

 

アニは周りを見ながら話す。確かに真面目にやってるのはオレたちくらいだ。

サシャとコニーに至っては、本気でふざけあっている。そこへ、教官が近付いていき二人を縛り上げる

 

「まずい!教官だ!!」

 

「なぜか、この世界では巨人に対抗する力を高めたほど巨人から離れられる。どうしてだと思う?」

 

「さぁ、どうしてだろうな?」

 

「それが、人の本質だからでは?とにかく、私はこのくだらない世界で兵士ごっこを興じられるほど馬鹿になれない」

 

そう言って、去っていった

 

「お前は戦士にとことん向かないようだな」

 

ライナーの一言でオレは敵であるはずなのに、一瞬ヒヤッとした。こいつら…隠す気あるのか?

 

訓練が終わり、食堂に移った

 

「一瞬だけ強めに吹かせばいい。そうやって慣性を利用したほうがガスの消費は少なくて済む」

 

「簡単に言ってくれるよ…」

 

「まぁ誰にでもできるわけじゃあないからな」

 

と、ジャンはミカサを見ながら話す。幼稚だな…

 

「覚えておいて損はないぜ、憲兵団に入りたいならな」

 

「あぁ、王の近くでの仕事なんてこんな光栄なことはない」

 

「おいマルコ!!お利口ぶらないで言えよ、本音を!憲兵団に入るのは、内地での安全で快適な暮らしが待っているからだろうが…」

 

「そんな!少なくとも僕は…」

 

「内地が快適?ここだって五年前までは内地だったんだぞ」

 

さっきから妙に静かだったエレンが突如割り込んだ。昼間の訓練のことでなにか思うところがあったのだろう…

 

「なにが言いてぇ?」

 

「ジャン…内地に行かなくてもお前の脳内は『快適』だと思うぞ?」

 

エレンは壁を破壊された日(修行を開始した日)から、あらゆる面で成長したが、一番成長したのは煽り能力だと思う。特に汚い言葉をよく覚えた

 

「ぷっ…」

 

エレンの一言で周りから嘲笑われたジャンは、当然怒りエレンと喧嘩になる

エレンとジャンはお互いが胸倉を掴みあったが、すぐにミカサに止められエレンは引き下がる

しかし、ミカサに対して恋心を抱いているジャンは、嫉妬し怒鳴り散らした。

 

「ふっざけんなよ!てめぇ!」

 

「あぁ⁉離せよ!服が破けちまうだろうが!!」

 

「服なんてどうでもいいだろうが、羨ましい!!」

 

「はぁ?何言ってやがんだ?」

 

そこでエレンは自分が感情的になっていたことが分かったんだろう。掴まれていた手を掴み、足払いでジャンを倒した。

 

「あぁ?何しやがったてめぇ!」

 

「格闘術は得意なんだよ。楽して感情任せに生きるのが現実だって?お前、それでも兵士かよ?」

 

押し黙るジャン…しかし、倒れた音が大きかったのか[ガチャ]と、扉が開いた。

 

「今しがた、大きな音が聞こえたが…誰か説明してもらおうか?」

 

現れたのは、頭と顎が反転した人物…教官だ

エレンとジャンは黙り込みそれぞれの席に戻った

助け船を出しても構わなかったが、今回は感情的になったエレンが悪いな

そう思っていたが、ミカサが助け船を出した。

 

「サシャが放屁した音です」

 

イヤ…あの音が放屁なわけないだろう…もっと上手い誤魔化し方もあったはずだ…

 

「なっ…」

 

サシャは自分に火の粉が降りかかり、驚愕していた。

 

「また、お前か…少しは慎みを覚えろ…」

 

まじかよ…それで良いのか…改めてサシャの都合の良さを理解した

周りは笑いを堪えきれていない。変顔祭りになっている。サシャはミカサに詰め寄ったが、パンを与えられたことにより、すっかり機嫌は直ったようだ。

 

その後の訓練はジャンも対人格闘術に真剣に取り組んでいた。

 

そして、訓練生218名が卒業に漕ぎ着けた。

 

「心臓を捧げよ!!!!!!!!」

 

「「「「「「「「 はっ!!!!!!!! 」」」」」」」」

 

「本日、諸君らは『訓練兵』を卒業する…その中で最も訓練成績が良かった上位10名を発表する。呼ばれたものは前へ

 

同率主席 キヨン・ジェイルーン

     ミカサ・アッカーマン

 

3番   ライナーブラウン

 

4番   ベルトルト・フーバー

 

5番   アニ・レオンハート

 

6番   エレン・イェーガー

 

7番  ジャン・キルシュタイン 

 

8番   マルコ・ポット

 

9番   コニー・スプリンガー

   

10番  サシャ・ブラウス

 

   

 

以上10名」

 

「本日をもって訓練兵を卒業する諸君らには、3つの選択肢がある

 

壁の強化に努め各街を守る『駐屯兵団』

 

犠牲を覚悟して壁外の巨人領域に挑む『調査兵団』

 

王の元で民を統制し秩序を守る『憲兵団』

 

無論、新兵から憲兵団に入団できるのは、成績上位10名だけだ

 

後日、配属兵科を問う

本日は、これにて第104期『訓令兵団』解散式を終える...以上!」

 

オレとミカサは主席だったか...全科目満点なら同率は当然か…

 

「すごいじゃない!主席って!」

 

この訓練兵期間でかなり明るくなったな

 

「たまたまだ」

 

「またまた~」

 

「それは私らのような上位10名に入れなかった者からすれば嫌味にしか聞こえないが?」

 

「…主席取れて良かったです。」

 

こういう時、なんて言えばいいのか、まだ分からない

 

「それで?前から言ってたように調査兵団にするのか?」

 

「ああ」

 

「もったいねぇなぁ…私なら絶対、憲兵に行くのに…」

 

「調査兵団になるために兵士を志願したんだ。二人は?」

 

ヒストリアはオレの近くにいる約束をしているため、調査兵団だろうが一応聞いておく

 

「まぁ…私も調査兵団かな…壁が壊されてからどこも危険だしよ。キヨンがいるところの方が安全だろ?」

 

「そんなことは無いと思うが…」

 

「そうだよ!ユミル!キヨンに任せてばっかりじゃ駄目だよ!あ、私も調査兵団にする」

 

ヒストリアとユミルはかなり仲良くなったみたいだな。

 

「そうか…生きていられるといいな」

 

「そうだね…」

 

「キヨン様が守ってくださるだろ」

 

「まだ言うか…」

 

「勝てるわけない!」

 

突如、大きな声が響き渡り、その場にいた訓練兵がみなその方向を向いた。そこでは、エレンを中心に集まっていた。声を張り上げたのはトーマスだった

 

「お前だって知ってるよな…今まで何万人食われたか...人口の2割以上を失って答えは出たんだ。人類は…巨人に勝てない」

 

「それで…勝てないと思うから諦めるのか?確かに、ここまで人類は敗北してきた。それは巨人に対して無知だったからだ。巨人に対して物量戦は意味がない。負けはしたが、戦いで得た情報は確実に次の希望に繋がる!オレたちは何十万の犠牲で得た戦術の発達を放棄して大人しく巨人の餌になるのか?冗談だろ⁉オレは!巨人を1匹残らず駆逐して狭い壁の中から出る!それがオレの夢だ!人類はまだ本当に敗北したわけじゃない!!」

 

エレンは涙を少し浮かべながらそう言った。言い終わると、外へ出ていき、それをミカサやアルミンが追いかけて行った。

 

「お前は行かなくてもいいのか?」

 

と、ユミルが聞いてくる。

 

「ああ、大丈夫だろ」

 

エレン…たまには良いことを言う。本心からの言葉に皆の心に響いたようだ。嬉しい誤算とはこのことだな…

 

 

 

そして、壁が破壊される日…当日

 

オレたちは壁の上にある大砲などの掃除するため、街を歩いていた

 

さすが、団長だな…町の人たちは、何も知らない…知らせていないと言うことだ。それは、つまりここの街の人を見殺しにしても巨人の謎を暴くと言ううこと…やはり、オレと似た考えをしている。

調査兵団の人たちはコートを被り、裏道をひっそりとその時を待っている。壁には調査兵団は見当たらない。

 

「しっかし、最前線の街だってのに人が増えたよな…」

 

エレンが、街の人たちを見て言う。

 

「もう5年も何も無いんだもん」

 

そう…人間と言う生き物は、すぐに慣れ油断をする生き物だ

 

「数年前の雰囲気のままとはいかないでしょ」

 

「この5年間で壁もずいぶん強固になったしね!もう大型巨人なんて来ないんじゃないかな」

 

どうして、こいつらはすぐに希望的観測に持っていくんだ…しかし、この馬鹿夫婦はそれなりに優秀であり、余裕ができれば次に助けるべきはこの夫婦だ。この夫婦は場の雰囲気を明るくする。

 

「何、腑抜けたこと言ってんだ!!馬鹿夫婦!!そんなことじゃ」

 

と、エレンが叱咤するが

 

「そ、そんな夫婦だなんて…」

 

「お似合い夫婦だなんて…気が早いよ、エレン!」

 

エレンはその二人の反応にイラッとしていた。

 

「諦めろ、エレン、こいつらには何を言っても無駄だ。二人とも巨人が来たときは切り替えろよ」

 

「「もちろんだよ!!あ…ハモっちゃった」」

 

照れくさそうに言う夫婦にイラッとしたが、心を落ち着かせる

 

「お前らな!!」

 

 

 

オレは壁の上へ行き、下を見る何やら下でこそこそしている奴らがいるな

 

「はぁ…調査兵団にするって?コニーお前9番だろ⁉前は憲兵団に入るって…」

 

「憲兵が良いに決まってるだろ…けどよ…」

 

頬をかきながらコニーが言う

 

「そう照れるなよ。やるべきことは分かっていても踏ん切りがつかないこともあるさ」

 

そう言うのは、トーマス

 

「それにオレも…「あのぅ…皆さん…」」

 

サシャが割り込むが、こいつ…手に何を持っていやがる

 

「上官の食料庫からお肉を盗ってきました。」

 

「サシャ...お前独房にぶち込まれたいのか…?」

 

まじかよ…

 

「お前…本当に馬鹿なんだな」

 

「馬鹿って怖えぇ」

 

「後でみんなで分けましょうスライスしてパンに挟んで…むふふふふふ」

 

「戻してこい」

 

「そーだよ、土地が減ってから肉なんてすっごく貴重になったんだから」

 

そうだ…オレを巻き込むな

 

「大丈夫ですよ…土地を奪還すれば、また牛も羊も増えますから」

 

「え?」

 

エレンが素っ頓狂な顔をする

 

「ウォール・マリアを奪還する前祝いに頂こうってわけか」

 

「食ったからには、腹くくるしかないもんな」

 

「オレもその肉食う!!」

 

「私も食べるんだから!取っておいてよ!」

 

口々にそう言う。調査兵団になって巨人と戦うことへの決意表明だろう。実に結構なことだ

だがな、その肉を食うと言う問題行動にオレを巻き込むな

 

エレンの手が震えている。そして、顔を上げた。その顔はやってやると言う意気込みがあふれ出ていたが…

 

その時

 

超大型巨人が爆音と共にエレンの真後ろに現れた

 

 

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