天地無用!~いつまでも少年の物語~。   作:かずき屋

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また一波乱っと(^^;;;。


続いての章5

現代の隠れ里か。隠れ里するのも楽じゃないだろうな、今の時代。

 「ちなみに、自動的に、ここまでいろいろ明かした以上、田本さんは今までの役場業務と正木の里の隠蔽作業の片棒を担ってもらわなければなりません。充分な報酬も出ますしね。」

悪魔のささやきののように聞こえるが、気のせいだろうたぶん。 

 「天地君だからぶっちゃけて言っちゃうけど、今までの話を含めて、なんかすげ~危険な香りが式典前のおばちゃんの香水くらいするんですけどっ。」

 「あははは、何ですかその例えは?。・・・そうですねぇ、百歩譲っても危険でしょうねぇ・・・。」

 「う、やっぱり・・・。」

うえるかむとぅざ・あわ~わーるど!的な雰囲気はわかるんですけどね。

 「しかも、逃げられないってゆー・・・。樹に選ばれると言うのはそういうことですからね。あ、でも拒否る方法はあるんですよ。でも田本さん、あのかわいらしい子の望みを簡単に絶てるかなぁ。」そこでダメ押しかい(爆)。

 「へ?・・・、かわいらしい子?望み?・・・。」

 「ちなみに、金曜日のあのバースト、俺たちが押さえて、そして、田本さんがあの子を受け入れてくれなかったら、控えめに言ってもこの地球は瞬時に消し飛び、その衝撃波などで内惑星と言われるものはすべて今の軌道上に居ることは出来ず、木星と土星も大きなダメージを受け、太陽さえも無事ではなかったでしょう。皇家の樹というものはそれほど強い力を持ちます。鷲羽ちゃんのシミュレーションですけど。」

 「なんちゅうものを持ってるのかい君たちは・・・。ガイア(by横山光輝)の反物質爆弾以上じゃないか。そういえば、一緒に行こうと約束したんだっけか、あの種と。」

 「ええと、そのガイア言うのがよくわかりませんが(笑)、その約束が皇家の樹との契約と言い換えられます。非常に大きな力を持つものと友達になったとも言えます。どちらが上でも下でもなく、生涯を共にする約束。」

 「それって、その力を持つことだけで危険人物じゃん。」

 「ええ、そういうわけで、田本さんはある集団に組み込まれることが決定しています。望むと望まざるとに関わらず。」

 「できることなら、こう静かに普通の生活を送り、この地に埋もれたかったんだけど・・・。」

 「かつて、そう思ってこの地にその身を横たえた一族が居ました。鷲羽ちゃんの計測では、あなたはその末裔のようです。」

 「ええと、我が家の場合は自分が聞いているのは、江戸時代から小作人で近くの庄屋さんへお米を納めていたと・・・。」

うちは、ずっと農業をやっていて、特別な家系たとえば、武士の家系だの貴族がどうとかは全く聞いていない。もっと言うと暖炉の裏に不思議な青い石も隠していない。

 「いいえ、もっとずっと昔だそうです。」

うちがそんなに大昔から続いているのかどうかは、自分からは全く確かめるすべはない。

う~、なんだかいろいろなアニメやら小説やらの設定を検索している自分がいる。いやいや、そういうことを今やってる場合ではないだろう。結局何も言い出せず、無言でいると、

 「あの子は、うちの魎皇鬼に守られて明日樹雷から帰ってきます。まずは名前をつけてあげてくださいね。」

 「・・・・・、ええと、明日どんな格好で行けば良い?。」

 「そうですね、今日来てくれたような格好で良いですよ。仕事でもないのにそういう格好するのも怪しがられる一因ですし。そうだ、ご両親には友達の家のバーベキューに呼ばれた、位に言っておいてください。」

 「なんか、むちゃくちゃ重いこと聞いたような気がする。」

 「大丈夫ですよ、たぶん。俺もそこいら辺聞いたのは13,4年前だし。」

 「そういえば、樹雷ってどこにあるのよ?。」

 「それも、また明日。今日のところは、ひ・み・つ(はあと)。」

う、ちょっとドキッとしたぞ。この人、たくさんの女の人に囲まれていながら、そっち系の嗜好はどっち向いてんだろ。

 「それでは、長々とごめんなさい。お休みなさい。」

通話終了。左耳周辺が微妙に暖かいと言うか重い。電磁波ってやつかこれ?。あの子ってあの種のこと?名前?どうしましょ。自分の名前が一樹だからしかも樹がついてるから、同じ字で「一樹(いつき)」とでもしようか・・・。

 じつは、今日起きてから、不思議な波動とでも言うべきものが心を満たしている、そんな感じがずっと続いている。欠けた部分を補完してもらったかのような充足感。そして、一緒に居られると言う喜びが増してきている。ま、気分良いから大盤振る舞いしたんですけどね(笑)。見返り?下心?期待していないと言えば嘘だけど、まあ、ほとんど的外れに終わる田本さんですから、まあね、ハードディスクごとき、お酒ごときで笑顔が見られるのなら、嫌な言い方だがコストパフォーマンスは高いと。バリューフォーマネーでもあると・・・・。それなりにぽわぽわ~~と(ええ、おっさんでもぽわぽわは好きなんです。)していると眠気が忍び寄る。そうだ、今日のイメージは、光速の90%を越えると見えるというスターボウを想像しながら寝るとしよう。1Gの重力加速度相当を二十日間ほど維持して加速すると(エンジンはどういうものか想像もつかないが)、光の速度の80%くらいまで加速出来て・・・・・・(眠)。

 

 

 その頃、地球まであと数光年まで帰ってきていた魎皇鬼は、

 「みゃみゃみゃみゃびゃ~~~~~~~~~~~~~~~~(大泣)。」

 田本さんの夢だか妄想だかと強烈にリンクしている第二世代皇家の樹、仮称「一樹君」

の超強加速に振り回されておりました。田本さんが見たいと思ったスターボウ、がっつりとリンクしている「仮称一樹君」も強烈に見たくなったわけですね。

 「鷲羽、魎皇鬼が大変だっ!。」

 魎呼が階段下の鷲羽ちゃん研究室の扉を血相変えて叩いている。

 「・・・魎呼、夜は寝るもんだよぉ、・・・どうしたのさ。」

緑色のくるくるカールを朱紅色の髪のあちこちに巻いた鷲羽が、パジャマで抱き枕を抱えて研究室から出てくる。

 「あの、社務所でバーストした種、運んでんだろ?そしたらあの種、あの田本の夢だか妄想だかにリンクしてるから、いっしょにスターボウが見たいって亜光速まで加速しまくってるって・・・・。」

 「は?。魎皇鬼が止められないのかい?」

 「必死で重力ブレーキかけて、慣性制御かけてもダメだって。」

 「なんと!。」

半透明のノートパソコン上の端末を目の前の空間に展開する鷲羽ちゃん。ポチッとなとエンターキーらしきものを操作すると、レッドアラートを示すディスプレイがぱぱぱぱぱっと半径2mくらいの空間に閃き、魎皇鬼の泣きじゃくる顔がドアップで映る。

 「みゃあみゃあ~~~、びゃあああああ~~~。」

 「見事に光速の95%に達しているね~。しかも太陽系目指して突っ込んできているね、こりゃぁ。」

 「感心している場合じゃないだろ、なんとかしないと!・・・。」

 「そうだね、このままの速度で太陽系に入ると見事に亜光速ミサイルだね、こりゃ。」

(説明しよう!。亜光速ミサイルとは、とにかく亜光速まで何らかの方法で加速した比較的大きな物体(廃艦処分の宇宙船など)を敵の恒星や惑星に突入させることである。ほとんど質量無限大に近いような物体が亜光速で突っ込んでくると、だいたい皆さん止めることはおろか目標をそらすことも不可能な悪い冗談みたいな兵器である。)

 「って、鷲羽、誰に向かって説明してるんだよっっ!。」

すぱこ~~ん、とスリッパが奏でるシンフォニーのソロパート。深夜の柾木邸に響き渡る。

 「・・・。魎呼おねーちゃん、魎ちゃんいじめちゃダメぇ。」

砂沙美ちゃんまで目をこすりながら起きてしまっている。

 「・・・・、うるさい子たちだねぇ。ちょっとお待ち。」

頭にでっかいバッテン絆創膏がお茶目である。

 「砂沙美ちゃん、天地殿を起こしてきてくれるかい?。」

 「わかった・・・。」

数分後、天地も目をこすりながら起きてくる。

 「鷲羽ちゃん、・・・どうしたの?」

 「魎皇鬼が、あの子の力に振り回されているんだよ、で、その根本は田本殿の本日の夢に引きずられちゃってるんだな、これが。というわけで、転送するから、田本殿を起こして訳を話してきてくれるかい?。」

 「ええ~~。俺が~っ?鷲羽ちゃん行けば良いじゃん。綺麗なお姉さんの方が喜ぶと思うけどな。」

ふっ、と一瞬悲しい顔をしながら。

 「ええい、ごちゃごちゃ言ってないで行った行った。」

鷲羽が手をひらひらと振ると天地の姿が足下から白い光と共に空間に溶けていく。


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