GATE 自衛隊 彼の地にて、闇を斬る    作:四葉のギフト箱

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お待たせ致しました。
初めての戦闘シーンを書いております。人によって捉え方は様々なのですが流血、食人などの残酷な表現がありますので苦手な方はお気を付けてください。



第二話 混乱を斬る

 1000年もの歴史を持つ帝国。帝国で巨大な都市である帝都は現在進行形で大規模な侵略行為に遭っている。

突如として現れた敵はその場に居合わせた警備隊達や野次馬達を蹂躙し始めた。

最前線を駆け抜けてきた騎馬隊とは別に門から飛び出してきた巨大な影はすぐさま帝都上空を飛行し隙を見せれば急降下し襲撃してくる飛龍、そして各々近接武器を持つ見た事のない危険種も敵側として参戦していた。

 

飛竜には人が跨っており持っているランスロットで貫かれた国民と飛竜のキバによって警備隊員が噛み殺され血肉の破片が飛び散る。

犬と豚を掛け合わせたような醜い顔をした巨大な危険種が巨大な棍棒を振りかぶり近くの警備隊員を吹き飛ばしていき道を強引に切り開いていく。

その巨体の後ろには知性を持つのか各々武器を持つ危険種や盾や剣を持ち鎧を纏った人間の歩兵が肉壁として利用し混乱状態に置かれた警備隊員達に攻撃をしていた。

 

「くそ!こいつらどんだけ湧いてくるんだ!?」

 

「知りませんよ!!ともかく帝国軍が来るまでは時間を稼がないと!!」

 

飛龍が飛び交う真下。剣と剣がぶつかり甲高い金属音を奏でる地上ではカーマとフクトが互いに背中を合わせながら敵国の兵士を斬り殺していた。警備隊員の中には拳銃を持たされている者もいるため距離を離す敵には銃撃、接近戦を持ち込む敵には近接武器などで対応している。

 

『くたばれ蛮族ども!!』

 

「ぐはっ!」

 

「や、やめああぁぁぁーー!!」

 

それでも隙を見せた警備隊員もおり一度膝をつけば敵は数人で一気に畳みかけ確実に殺していく。既に周辺は死体と血の海ができ上がっており時間が経過すればするほどその数は増すばかりであった。

 

「なんなんだ!?この危険種は!?」

 

「撃ってもひるまねぇぞ!」

 

「!?足元に気をつけろ!」

 

「なんだこのすばしっこい奴は!?」

 

他の所を見てみれば敵国が連れてきた危険種が警備隊達を苦しませている。

豚の顔をした人間を巨大化させたような危険種が巨大なハンマーを振り回し警備隊によって放たれた弾丸や斬撃をものともせず攻撃を与え続ける。

他にも自身の体の小ささを活かし懐まで転がり近づく危険種も確認しており後ろから首を斬られる者も続出していた。

 

『ははは!!愚かなる蛮族どもは恐るに足らず!お前達!好きに蹂躙し続けよ!!』

 

『うぉぉぉー!!!』

 

この軍規模の敵を指揮していると思われる男が聞いたこともない言葉を大声で叫ぶと敵の群衆から雄叫びが返され攻撃が一層増してくる。

続々と門から流れ込んでくる敵に警備隊は徐々に押されつつあった。そして巨大で目立つ宮殿を見つけたや否や蝿が餌を見つけたかのように一部の軍団が一直線にその方向へと向かい始める。

その道中にいた逃げ惑う国民を馬で蹴り殺したり斬殺するのも忘れずにだ。

 

「!先輩!奴ら宮殿方向に向かって行きました!!」

 

「何!?…だが今はここで生き延びる事を優先しろ!いいな!?」

 

「は、はい!」

 

カーマが近寄ってきた敵の剣を教官から教わった方法で受け止め押し返す。押し返した事で怯んだ相手の首を掻っ切ると頭は近くの木箱に入り身体の方はその場に倒れ地面に倒れている死体の一つとなった。

 

「くそ、数が多すぎる!」

 

帝都警備隊の身につける鎧はある程度軽量なものであるがまだ新人であるカーマにとっては長期戦には向いておらず呼吸のたびに肩が動き流れてきている汗を手で拭う。

 

『ブヒィィー!!』

 

「うわ!?」

 

突然視界が揺らぎ肩に何かが乗る。

カーマの身長の半分も無い豚の顔をした小さな危険種は鳴き声を上げながら後ろに回り込みそのまま押し倒すと片手に持っていた短刀を首元に下ろす。

反射的に両手で柄の部分を掴み首を掻っ切られる前に阻止する事が出来たが危険種は見た目によらず力は強くあと数センチで首に届いてしまう。

 

『ブヒヒヒ!』

 

「な、舐めやがって…!」

 

死の瀬戸際に置かれたカーマを嘲笑うかのような笑みを見せる危険種。この帝都を襲っている敵全員が逃げ惑う国民や守る為に戦っている帝都警備隊を楽しんで蹂躙しているのだと考えると腑が煮え繰り返るように怒りが込み上げ手に力が入る。

 

『ブヒッ!?』

 

「この野郎!」

 

押し倒した危険種を逆に押し倒し形成逆転する。持っていた剣は押し倒された時に地面に落としてしまったから先程まで自身に向けられた短剣を奪い取り子供ぐらいの頭に向けて振り下ろす。

 

『ブヒィィィーー!!』

 

「暴れんな!くそ!」

 

左目に勢いよく突き刺さった短剣をもがき苦しみながらも危険種は抜こうとカーマの短剣を握る腕に爪を食い込ませる。

しかしカーマも対抗するように危険種の首元を抑えていた手を離し突き刺した短剣を両手で持ち思いっきり力を入れた。

短剣がさらに奥へ突き刺さったのと同時にゴキリと骨が割れる音が聞こえると危険種の手はだらりと力を失って地面に落ちる。

 

『…』

 

「はー…はー…」

 

現実では数十秒ほどの戦闘であったがカーマにとってはその倍ほどの時間が過ぎたと錯覚させ極度の疲労感が体を覆っている。

完全に動かなくなった危険種の近くに落としてしまった剣を手に取り足のおぼつかない様子で立ち上がる。

 

 

「!?新入り!上だ!」

 

「え…?」

 

フクトの叫ぶような声はカーマの耳に届き上空を見上げる。

上空から戦場全体を見ていた飛竜は一瞬の油断があったカーマに向けて一直線に降下してきており

大きく開かれた口には大量の牙が生え揃え犠牲となった人の血もこびり付いていた。

 

(あっ、これ終わったわ)

 

急速降下してくるはずの飛龍が遅く降下しているように見える。周囲も遅くなっていることから死に際に全てがスローモーションになる現象(タキサイキア現象)を体験している。

 

「カーマ!『くたばれ!!』っく!邪魔をするな!」

 

フクトがカーマの元に駆けつけようとするも横から敵が斬りかかってきたためその対応に追われてしまい近づく事が出来ない。

 

(あぁ、もう少し親孝行しておけばよかったかなぁ)

 

地方に残してきてしまった両親の顔を思い出しながら自身の死を自覚しカーマは瞼を閉じる。

飛竜の広げられた口が頭をすっぽりと覆い牙が首を掻っ切ろうとした瞬間、

 

「コロ!捕食!!」

 

『ーーーー!!!!』  

 

先ほど話しかけようとしていたセリューの声と怪物のような雄叫びが聞こえた時には血肉の臭いが酷い飛龍の口の中から晴天広がる空になっていた為カーマは何が起きたか分からないでいたが…

 

「良かった!間に合いましたね!」

 

セリューが敵の返り血で汚れた顔で満面な笑顔をしてこちらを見ていた。

見た所傷一つついてない事から彼女の身についている血は全て敵のものだとしたら彼女自身強いことを証明していると同時に彼女の純粋無垢な笑顔から底知れぬ闇が垣間見えるのだが今は非常事態の為後回しにする。

 

バリィ!!ボリィィ!!

 

『やめてくれ!!痛いぃ!いだいいいい!!!!ゆ、許してくれ!!!嫌だ!!喰うな!!喰わなぁぁぁー!!』

 

状況判断している背後では何かを食す音が否が応でも聞こえてくる。

音源を見てみればセリューが抱えられるほど小さかった動物、コロと呼ばれた彼女の相棒が今や飛んでいた飛龍ぐらいに巨大となり肉を喰らっていた。

 

飛龍のみならずその上に乗っていた敵兵も装備ごと噛み砕かれ次々と口に入れられる。

敵の乗っていた飛竜はすでに絶命しており抵抗も鳴き声もあげる事は無かった。

逆に乗っていた敵兵の方は喰い千切られた所から臓器が飛び出しており異臭を放つのだが辺り一面に広がる血の海の臭いと混ざる為意識して嗅がなければ気付かないだろう。

敵兵は喰われながら聞いたことの無い言葉を叫んでいるのだが喰わないでくれ、助けてくれと最期の懇願をしているのだろう。

 

「コロ、悪人は全員食べていいからね」

 

だが敵の願いとは裏腹にセリューの一声で敵兵は上半身が残されたまま丸呑みされた。

意識は呑み込まれる瞬間まで保っていたから胃の中で溶かされながら苦しみもがき絶命する最悪な死に方だと敵ながら同情してしまう程である。

 

「あ、ありがとう」

 

「お礼を言うならコロにです!それにしても危機一髪でしたね。大丈夫ですか?怪我とかされてないですか?」

 

「首を切り飛ばされそうになったけど、大丈夫」

 

「良かった!では残りの悪を殲滅するために元に戻ります!お気を付けて!」

 

そう言い残すと食べ終えたコロを引き連れて別の場所で捕食を繰り返しこの場に残っている敵の殲滅を再開し始めた。

よく見れば遠くで戦っているオーガ隊長も意気揚々とした動きで敵の首を自前の剣で斬り飛ばして行き自身の倍大きい敵の危険種とも相手をしていた。

 

周囲を見渡してみると敵の数が少なくなってきたからか動ける警備隊員は治療のため撤退する人や手のあいた者は別のところへ向かった敵を追撃しに向かう人もいる。息のある国民に処置する者も現れ始めた。

 

(俺、助けられてばっかりだな…)

 

各々が動き始めた頃先ほど戦っていた危険種が対抗するために爪が皮膚に食い込むまで掴まれていた手を見つめる。爪の食い込んだ箇所からは自身の血が流れているのだが手についているほとんどの血は先ほどの危険種のものである。

 

(俺がもう少し強ければ…足手纏いにならなかった筈だ。もっと強くならなくちゃ…)

 

「おーい、お前無事だったか!」

 

「!先輩!」

 

カーマが自身の非力さに悲観しながら拳を強く握っていると左肩の出血箇所を押さえながら駆け寄ってきたフクトはカーマの無事を確認できたからかホッとした顔付きであった。

 

「お前喰われそうになっていたが大丈夫だったか?」

 

「なんとか首が繋がっていますよ。セリューの引き連れていたコロ?と呼んでいた動物のおかげです」

 

「そうか…お前まだ動きそうか?」

 

「は、はい!まだ剣は握れます!」

 

そう元気に返したカーマにフクトは笑い

 

「よし!お前は南東に逃げた敵を対処してくれ!俺も応急処置を終えたらすぐ向かうからな。絶対に死ぬなよ!!」

 

「っ!はい!!」

 

再び駆け足で帝都の街中を走り始める新入りのカーマは逃げた敵兵の対処するために向かう。向かう方向でも人々の叫び声が聞こえ始めていた。

 

 

 

 

 

場所は変わり帝都宮殿周辺には門を潜り警備隊員達の包囲網を抜けた兵士たちが皇帝の住まう宮殿前に到着していた。

 

彼らにとって他国への侵略と蹂躙は大陸の支配者たる『帝国』にとって当たり前の権利だと述べるだろう。

それを証明するように彼らは途中で略奪してきた金品を身に纏い露店で手に入れた食料を貪りながら次の略奪場所を品定めする目で見ている者もいる。

 

宮殿前に到着した軍団の隊長は手に持つ旗を近くの死体に突き刺すと

 

 

「蛮族どもよ、よく聞くが良い。

我が帝国は、皇帝モルト・ソル・アウグスタスの名においてこの地の征服と領有を宣言する!!」

 

 

そう意気揚々と言ったものの周辺には部下と死体しかなく先ほどの宣言を聞く生者がいなかった。聞く者がいるとすれば自国の城壁なんかと比べられないほど巨大な壁の向こうにある宮殿の皇帝や関係者だろう。

 

であれば中に突入すれば良いのだが唯一の出入り口は固く閉ざされており全く開く気配がない門に苛立ちを覚えた隊長と思われる男が弓矢を構え矢を射た。

 

軌道に乗せた矢はギリギリ壁を越えて宮殿内に入り込むものの誰の叫び声が上がらない。そのため弓矢を構え始め矢を射ようとしたとき門がゆっくりと開かれた。

 

「お前達!蛮族どもは我らに降伏し服従する気になった。我らの武力に奴らは恐れ入っている!奴らの王の首を切り落とし我らの勝利宣言としようではないか!!」

 

「「「うぉーー!」」」

 

跨っている馬を走らせ宮殿内に駆け込もうと完全に開かれていない門目掛けて走る。

現在進行形で開いていく門の中央には人影だが立っており堂々とした立ち姿で乗り込もうとする兵士達を見ていた。

刃物以上の鋭利な瞳は歴戦の強者や獣であれば戦闘してはいけない部類だと本能で理解し死を覚悟し戦うか恥じらいなく逃げるだろう。

 

「隊長!!門の中央に女がいます!」

 

「構うものか!所詮蛮族の女!串刺しにしろ!」

 

だが今まで圧倒的物量と力で弱者を支配してきた兵士たち。長年侵略戦争を経験してきた老兵を中心に怖気つく者もいるがこの数では押し勝てると慢心していた。

全員が各々持っている剣や槍などを門の中央で佇む女性に向けて串刺しにしようと躍起になっていた。

一方で佇んでいる女はため息をつき期待外れだったと言いたそうな目をして突進してくる彼らを見ている。

 

『はぁ…つまらん。久しぶりの獲物だと言うのに無策で突撃してくるとは拍子抜けだな』

 

そう呟くと腰からレイピアを抜いた。

 

突撃している彼らは戦う意志を見せたその女をどういたぶってやろうか、どんな命乞いをして媚びるのだろうかと嗜虐の笑みを浮かべた瞬間だった。

 

女がレイピアを構えた直後、迫ってきた兵士達の急所を一瞬で斬り込み馬の首を斬り飛ばした。

首を斬り飛ばした馬の死体や瀕死でありつつも息がある状態とかした兵士達から流れる血が地面に染み込んでいく。

 

「…何が…おき…た…」

 

何が起きたのかわからず斬られた兵士は彼女の後ろ姿を見ていた。彼女の腰まで長い髪や白の軍服は一滴の血もついておらずレイピアについた血を払い落とすと瀕死である敵兵のトドメをささずにある所へ向かう。

彼女が向かったのは唯一急所を外した兵士の一人。

この国の大臣であるオネスト大臣にある程度生き残りを連れてきなさいと言う命令を受けた彼女は一人を生かしておいたのだが無事であるかは別であった。

 

「あ”あ”あ”あ”ぁ”ぁ”!!!?!?!?俺の鼻!!??俺の鼻ァァァアー!!!!ぐぶぇぇ!!!」

 

『喚くな。その程度の怪我で騒ぐとは生温い環境でしか戦を経験してこなかったのか?本当に期待外れだな』

 

おそらく先ほどの一瞬で鼻だけを切り取ったのだろう。鼻を切り落とした傷は綺麗で繊細であり切り落とした人物の技量を測れる。しかし鼻を切り落とされた本人はそんな事気にする余裕もなく空虚となった部分を手で押さえながら大声で喚く。

ヒールのようなブーツを生き残りの頭に乗せると地面とキスをさせるように押しつけられた兵士はさらに絶叫をあげる。

 

「やめでぐれー!!!いでぇぇぇーー!」

 

『何を言っているのかさっぱりだな』

 

女の足が頭から離れ自由に動かせるようになった。

蛮族だと罵っていたこの女も自分たちの言語を理解し解放してくれたのだと思い頭を上げようとする。

 

「がびぇ!」

 

だがそれはただの自身の思い違いで実際は違った。結局避ける動作も許されず女の顔を見る事なく回し蹴りをまともに喰らいぽきりと骨が割れる音がした。

鼻は無くなっているから頬骨か顎の骨が割れたのだろう。

気絶した兵士を気にせず横を通る。彼女の後ろ、宮殿内からは三人の男を先頭に帝国軍が装備する装甲を着た彼女の部下たちが次々現れ始め数人は気絶した“捕虜”を宮殿内にある尋問室(拷問場)へ引き摺っていく。

 

 

『さて、暇を持て余したお前達には物足りないだろうが久しぶりの狩だ。楽しんでいけ』

 

『了解です、エスデス将軍』

 

多くの部下を引き連れ帝都の街中へと向かう女性、エスデス将軍。その後ろ姿を最期の光景としてみた兵士の瞳は光を失っていた。

 

 

➖帝国最強の女将軍は戦場に舞い降りた。

 




と言う事で帝国最強であるエスデス将軍を出させていただきました。
しかし改めて読んでみたらあまりエスデスって感じがしないですかね?

お試し感覚で多機能フォームを使いつつ書いてみました。次回以降も活用しつつ物語を盛り上げようと思います。

次話は前半皇帝・大臣視点、後半エスデス軍による無慈悲な蹂躙を予定しております。 更新までお待ちください。
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