色々と書き込みたいですが最初はお待たせしてしまったことをお詫びします。
前話と数ヶ月離れているためある程度この世界線について書いてくださった感想を交えながら説明させていただきます。
・>少女、セリュー・ユビキタスはまだ十代の少女で
あれ? セリューってあの見た目で20歳だったはずだけど原作アカメが斬るより数年前だったのかな?
改めまして感想ありがとうございます。
私の凡ミスで見た目と振る舞いから少女ぐらいやろと思い込みで書いていたら成人してました。酒飲める歳でした。
一応原作開始の数ヶ月前、つまりタツミが帝都入りする数ヶ月前でエスデス軍による北の異民族殲滅前ぐらいだと思ってください。『GATE』の帝国による侵略によって北の異民族はとりあえず延命しました。やったね!
世界線とはまた別になりますが帝国の呼称をどうするかという点もありましたがこちらも感想を交えて説明します。
・帝国の名前に固有名詞なくても大丈夫かもしれない。
改めまして感想ありがとうございます。
当初は自分が分かるように名前を付けただけだったのでいらないかもなぁと改めて思いこちらも修正しました。
以上の点を踏まえて前話を多少修正させていただきましたがストーリー上影響は出ないはずのでご安心してお読みください。
追記:今回も人によって捉え方は様々なのですが流血などの残酷な表現がありますので苦手な方はお気を付けてください。
帝都の風景を一望出来る宮殿。ここにはこの帝国で幼いながらも統治する皇帝とその彼が信頼できるオネスト大臣がいた。
二人は共に敵と自軍により生み出す斬撃音と銃声、その音を掻き消すような叫び声を聞きながら帝都を眺めている。
「なぁ大臣。エスデス将軍に対処を任せても良いのか?確か北の異民族侵攻前だというのに」
「問題ありませぬぞ。彼女も最近は拷問する相手が少なくなってきた今、ちょうど新しい相手を見つけられたのですから。我々としても帝都を踏み荒らす不届者どもを殲滅できる。帝国にとっても彼女にとってもWINWINですな」
大臣がホイップをふんだんに使ったイチゴケーキ1ホール分を両手で持ちながら喰らいつく。その姿を皇帝はいつもの事だと思い気にする素振りもなく各地で煙の上がる帝都を眺めた。
宮殿内には帝国の皇帝がいるのは勿論の事、大臣や文官、武官などがいる。
皇帝や大臣、文官達の職務は主に帝国の国家運営を行う事であり帝国がより繁栄するよう政策や法などを定める。
一方で帝国軍やその将軍達などの武官は帝国と敵対する異民族の対応と帝国内で蔓延る反乱軍の殲滅である。
しかし前皇帝とその妻が突如亡くなってからは皇帝の血を引き継ぐ息子が新たらしく皇帝の座に座った。
まだ教育段階にある幼い皇帝は幼さ故に帝国の政策など何から手をつけ何をすれば良いのか分からずじまいでいた。
そこに今の大臣であるオネストが補助する立場となり彼の意見を真に受ける皇帝が誕生してしまう。それはほとんど皇帝の座にいるのも同意義な権力を持っている。
その権力を利用して親類や配下にいる人物達の汚職を隠匿したり邪魔者である真っ当な人物に濡れ衣を着させ処刑させたりしているが幼き皇帝は知る由もない。
それは大臣がうまく隠しており皇帝自身も彼を信頼している故に起きているのだから。
「しかし異民族の対応に反乱軍の対応、そして今回の所属不明の軍の対応。おそらく歴代皇帝の中で一番の山場となりますねぇ」
「全くだ。だがこの有事を乗り越えなければ余はこの父上と母上に顔向けできない。本来であれば余も立ち会うべきであろうが
「陛下の身に何かありましたらこの帝国は崩壊するでしょうから今はここで眺めるのが最善でしょうな」
そうこう話していると帝都の一角で大小様々な氷塊が突如として出現し同時に敵であろう兵士の絶叫も聞こえてきた。
空中を優雅に飛んでいた敵の飛竜も氷の礫によって乗っていた人間ごとズタズタに引き裂かれ墜落していき下にいた者達を潰していく。
「余は初めてエスデス将軍の戦いっぷりを見るのだが…あそこまで勇ましいものだったのだな」
今回侵略行為を行っている敵の殲滅として駆り出されている将軍がいる。
若くして帝国最強と呼ばれているエスデス将軍が現状の対応を行なっている。
彼女はまだ二十代前半という若さでありながらも数え切れないほどの異民族と戦い少数生き残らせては復讐を募らせ戦争をまた起こさせる程の戦闘狂である。
「まぁ彼女の産まれは北の辺境にいる狩猟民族のパルタス族でしたからな。勇ましさあっての彼女でしょう」
彼女が産まれたのはパルタス族という狩猟民族出身で幼い頃から弱肉強食を教え込まれている。
そのためか強者が弱者の生殺与奪の権限を持つのが当たり前だと思っている彼女はドがつく程の
ちなみに彼女の趣味は拷問・蹂躙で非番の日には宮殿の地下深くにある拷問室で日々相当の人間に地獄を見せている。
「やはや、相手も武が悪い。彼女の実力と帝具の前では並大抵の軍勢でも相手にならないというのに。異国の軍とはいえ無知とは罪ですねぇ」
ホイップたっぷりのケーキを食べ終えた大臣が次に持ったのは自身の顔ほどの大きさを持つ干し肉。先ほどケーキを食べたとは思えない食いっぷりで胃袋に収めながら氷柱を眺めていた。
エスデス将軍は数少ない『帝具』の使い手である。
彼女の保有する帝具は北の果てに棲んでいたとされる超級危険種の“血”。その名を
この血を少量飲み適合すれば“無”から氷を生み出し自在に操る能力を持つとされるが適合しなければ破壊衝動に呑まれ狂気に陥ってしまうもの。
しかし彼女はその血を全て飲み干し適性者になるどころか血の持ち主である超級危険種の意思すらも自身のものにしてしまい巨大な力を手に入れてしまっているのだ。
「エスデスを止める術を持たない限り敵は蹂躙されるでしょうな。彼女がこちら側に着いてる限り帝国も安泰です」
「うむ。…この事態が収集した報奨としてエスデスには金塊を用意しておくか。…それとも直接聞き出した方がいいか?」
「部下思いの彼女の事です。金塊には目もくれず部下に全て渡すでしょうから金塊とは別に本人から直接何が望みか聞いてからの方が良さそうですな」
干し肉を食べ終えたオネストが次の料理に手を伸ばした。帝国の領海内で獲れた魚を切り身にしご飯に乗せた寿司。
その一つを食べようと口を開けた時背後にあった扉から帝国兵が一名現れる。
「陛下、並びに大臣へ伝令。敵が出現したメインストリート並びにその周辺地域は我が帝国軍と帝都警備隊により制圧いたしました。その後ブドー大将軍が合流し甚大な損害を被った敵兵は敗走。各方面に逃走しましたが帝都警備隊と帝国軍による共同で逃亡兵を殺害・確保しております」
「流石は帝国が誇る将軍達。出陣してからまもないと言うのに敵を壊滅状態にするとは。彼らがいる限り帝国も安泰ですな」
持っていた寿司を一口で食べると今度は寿司の入っているすし桶を傾け一気に全てを口、胃へと流し込む。流石に横で見ていた皇帝もその姿にびっくりした様子だったが現れた帝国兵に向けて
「う、うむ。引き続き敵の殲滅と同時に捕獲を行うように。後に今回の件に関わった功労者には望むものを用意しようと伝えておいてくれ」
「はっ!陛下の心遣い感謝いたします。失礼致します」
部屋の扉が完全に閉まり再び皇帝と大臣の二人となった空間。
皇帝は相変わらず外に目を向け外の様子を眺めている中、大臣は外から聞こえてくる斬撃音や銃声音、ほとんどが敵による絶叫の声をつまみに不敵な笑みを浮かべながら肉料理を鷲掴みにし食していた。
時は少し遡り殲滅作戦開始時…
ー帝都内部ー
エスデス将軍が率いる兵士たちには剣などの近接武器や銃火器、砲を用いて戦う兵士もいるのだが彼女に心身からの忠誠を誓いそして彼女と同じように各々の帝具を用いて戦う三人『三獣士』がいる。
『な、なんなのだ…なんなのだこの男は!?ただの斧如きの攻撃で重装歩兵10人が死んだだと!?それに投げた斧が戻ってくるなどどんな芸当をしているのだ!?』
『あのトロールが一刀両断された…。おのれ、蛮族ごときがこのような猛者を隠し持っていたとは』
各部隊長の指揮官たる男は幾度もの戦場を共にした愛馬に乗りながら自身の手で行われる侵略戦争を眺めていた。
忠誠を誓い血反吐を吐くような訓練と実戦を経験してきた兵士達が勇敢に奮闘したものの斧が全員の首を吹き飛ばしたからだ。
「ったく、こんな雑魚どもじゃ少しの経験値にもならねぇな。このデカブツはもっといねぇのか?こいつならたくさん経験値持ってから効率いいんだがなぁ」
兵士達の首を吹き飛ばした張本人である大男は死体となったトロールの頭に足を乗せまだまだ物足りないと言いたげな顔を向けていた。
聞こえてきた言葉は理解できなくとも大陸を支配する帝国軍を舐めるような言動だと感じ取った隊長はすぐさま部下に命令を出す。
『っ、盾を持っているものは前に出よ!槍兵は隊列を立て直せ!奴でも一斉突撃では対応もできず無様な死に様を見せるだろう!』
指示により兵士たちが陣形を組み直し突撃の準備をし始める。横列隊形を組んだ盾持ちの重装歩兵。そしてその後ろにいるのが槍を持った兵士たちで目の前にいる大男にぎらつく瞳を向ける。
先ほどまで単体、もしくは少数での攻撃で押し負けてしまった。ならば数を多くすれば良いだろうと物量差を生かした突撃を命令する。
『突撃!!』
隊長からの一声は突撃する兵士たちの一押しとなり大男に突撃していく。流石にあの蛮族も無様な死に様を見せ絶望するその顔を見せるのだろうと
勝ち誇っている。
「そんなんじゃつまらねーって言ってんだろうが。おーら…よっと!」
またもや異国の言語を喋りながら持っていた斧を文字通り“二つ”に分け各々を投げる。
隣にいる仲間の息を感じ取れるほどぎゅうぎゅうに密着した兵士たちは投げられたその斧の行方を見ていなかった。
『は?』
突撃していた兵士は首元に何か当たった感覚があったと思えば感じたことのない浮遊感が襲う。
同時に世界が反転したかのような視点となりどさりと音を立てながら甲冑に守られた足元を眺めていた。
『なん、…という事だ』
突撃していった部下達の後方にいた隊長は彼らの華々しい最期を見届けた。
大男の投げた斧は突撃していった兵士たちの左右から襲いかかり草刈機が雑草を切るように兵士たちの首を切り飛ばしていった。
体という支柱を失った全ての首は自身の身に何が起きているのかわからないのか素っ頓狂な顔をしている。そのほとんどが音を立てながら横たわる自身の身体を見ていたり青空広がる異国の空を眺めてながら絶命していく。
「つっても雑魚でも経験値は経験値だな。何だっけな…塵も積もれば山となるだっけか?だからよ。最強になるために俺の踏み台になってくれよ。な?」
大男の見せるその顔。自身が今まで侵攻してきた国々の民にしてきたような嗜虐的に口を歪ませ斧をこちらに向ける。
『三獣士』の一人。自由自在に操る事のできる斧の帝具、
場所は変わりオークやトロールといった図体のデカい怪異を先頭にし後方には弓兵による矢の攻撃や魔導士による鮮やかに光り輝く光球の攻撃がエスデスの兵士と帝都警備隊に向けられていた。
だがそれに負けじと銃火器を持っているエスデスの兵士が応戦している。
『いっで!』
『お前達!蛮族の未知なる攻撃は我らの防具を貫くぞ!盾を持つ者は前進し続け』グシャ!
タタタッ! タタタッ!
と連続して聞こえてくる耳障りな音と同時に隣にいた仲間が見えない何かに押し倒されたように地面に転がり血を垂らしていく。
ならばと盾を持つ兵士が前に立ち彼らから放たれる礫を防ごうとするも剣や矢を弾く能力はあっても火薬の力で弾き飛ばされた鉛には通用せず全て貫通し後ろの兵士を倒していく。
そんな中特攻の攻撃手段としても彼らよりも貧弱な人を守る盾としても運用できるオークやトロールは怯みはするものの彼らの後ろにいれば突き進めると理解した者達は後ろに隠れながら進む。
彼らの考えは正しくほとんどの兵士が巨大である怪異の後ろに隠れると損害報告が少なくなっていく。
『このまま前進せよ!奴らの放つ礫は怪異どもには効かぬ!奴らの懐まで進み前線を乱せ!』
「鉄砲隊はそのまま撃ち続けあのデカい危険種を足止めしろ!」
「全く効いてないですよ!一度後退して体制を整えましょう!」
「馬鹿野郎!俺たちはエスデス将軍に仕える兵士だぞ!ここで退いたら将軍に顔を合わせられねぇよ!」
銃火器を持つ者たちの攻勢は最初は良かったものの徐々に撃破する数が少なくなっていく。
デカい図体の危険種は厚い脂肪で守られているからなのかそれとも骨が太いのか彼らの持っている銃火器などでは貫くことが出来ず後方で遠距離攻撃に専念している敵兵に当たらないでいる。
それどころか盾にされている危険種は弾丸が体に当たっているにも関わらず顔を鬱陶しそうに顰め若干怯むだけで有効打にはなっていない。
何より彼らを苦しませているのが危険種の後方から放たれる矢が腕や足などの防具を纏ってないところに刺さったり色鮮やかに光り輝く光球が近くまで飛来し何かにぶつかると爆発するため徐々に負傷者が続出し始め被害が大きくなっている。不運な者は光球が直に当たり四肢が爆散する者もいた。
鉄砲隊の所持していた銃火器の残弾数も少なくなっており残りは剣などの近接武器しか残されてない。
もし自分たちが将軍級の力量を持っているかこの場に一人でも帝具を持っていればこの場を挽回できるだろうにと自身達の力量の小ささに悔やんでいた。
兵士達が支給されている銃や剣などを強く握り自身の非力さを実感した。所詮我々何の能力持たない歩兵にはこの状況を瓦解できないのだと。
「お前達、これでもエスデス様の元で戦い続ける兵士たちか?」
突如として聞こえてきた男の声にほとんどの兵士が意識を向けるだろう。
将軍だった頃の威厳を持ち大臣による濡れ衣さえ被らされなければ今でも多くの部下を率いて前線で戦い抜いてきた男の声。
その男は先ほどの敵による光球で爆散した兵士の血を触ると手の指に嵌めていた指輪が光始める。
血は何かに吸い寄せられるように空中に滞空すると槍のように尖ったものが幾つもの作られていき全てが敵の方向に向けられる。
「あの危険種は私が引き受けよう。この程度の
男が指輪を敵兵達に向けると槍とかした血が勢いよく危険種の目掛けて飛んでいく。空を切る音が聞こえてくることから相当の速度が出ている。
勢いよく飛んでいく血の槍は鉄砲隊達が撃っていた弾丸よりも危険種の肉体に奥深く食い込んでいきほとんどが上半身より上に命中して顔に、特に眠たげに瞼が半分ほどしか開かれていない隙間を潜り眼球にめがけて飛んでいく。
眼球を潰した血の槍は勢い劣らず分厚い頭蓋骨で唯一薄い箇所を砕き直接脳に突き刺さる。
その状態に陥った危険種数体が脳を損傷しもがき苦しみながら前のめりに倒れていく。
中には先ほどまで危険種を盾として使用していた弓兵や魔導士達の方向に倒れるため下敷きになった者も絶えなかった。
「すげぇ…銃すら効かなかったのにあのデカい危険種を一瞬で戦闘不能にさせるなんて。これが始皇帝が作らせた帝具の一つ、『ブラックマリン』の力…」
「何をぼさっとしている。敵の防衛陣形が崩れ混乱し始めた今が好機。鉄砲隊は近接戦闘を行う者を援護射撃し敵の前線を押し進めるのだ。エスデス様に使える兵士として最後まで職務を全うせよ」
盾であったデカい危険種が地面に突っ伏せば見えるのは後方で遠距離攻撃を行なってきた敵の弓兵や魔導士達。彼らの狼狽える姿を確認したエスデスの兵士たちは再び自身の持つ武器を構える。
男の一声によって背中を押された兵士たちは盾を失いガラ空きとなった敵に再び銃弾の雨を降らす。阿鼻叫喚の叫び声が再び聞こえ始め前線の崩壊と同時に剣などで武装した兵士達が更なる混乱を生み出した。
『三獣士』の一人。触れた液体を操る事の出来る指輪の帝具、
再び場所は変わり帝都内の建物内。
そこには窓のついている壁を背に縮こまっている二人の兵士がいた。
先ほどまで彼らは外でこの国に住まう民を蹂躙しており道中で見つけた生きの良さそうな女性と酒瓶片手に“お楽しみ中”だったのだが今は全てを放って自身の身を守ることに徹している。
初めに言わせてもらう。窓から見える光景は地獄絵図だと誰もが言えるだろう。
先ほどまで同じ汗を流し同じ釜の飯を食べ同じ場所で眠ってきた仲間が逆に蹂躙されているのだ。突如として大小様々の氷塊が天から降り注ぎ門を守備していた兵士達に降り注いでいるのだ。
たとえ盾で防ごうとも魔導士の生み出した結界の中にいたとしても熟練の魔導士が生み出すような氷塊が幾つも出現し身体を引き裂くのだ。
しかもその惨状を生み出している敵が下手したらこちらの隊長である中年の男よりも若い、兵卒と同じぐらいの若さである女が楽しげに殺戮ショーを行なっているのだ。
『ふざけんな…なんで、なんであんな奴がいるんだよ…』
『あぁ、エムロイよ。我々は一体“何”と戦っておられるのですか…。あのような化け物がこの世に存在して良いのですか…?』
一人の兵士が自分たちが信じている神に祈りの言葉を呟く。
その言葉はこの異世界においても神に届いてるのか定かではないが祈らずにはいられなかった。
たとえ戦いの神であっても、自身が望んでいるわかりやすい殺戮・わかりやすい自分の死があったとしてもあのような一方的な蹂躙はあってはならないだろと神に祈っている。
『逃げねぇと…あんな奴と戦うなんてまともじゃねぇ』
『何故ですか?…何故なのですか主よ』
『おい!早く逃げるぞ!とりあえず他の奴らと合流してどうにかするぞ!…聞いてんのか!?』
真っ先に逃げ出そうとする兵士は今起きている現実を直視出来ず神に祈り続ける兵士に逃げ出す提案を出すものの正気ではない様子に舌打ちしつつ自分だけでも助かろうと動き出す。
♩〜
『…あ?なんだこの音』
ふと自身の耳に戦場に不釣り合いな笛の音が突然聞こえてくる。
その笛の音は何かしらの音楽を奏でているのだが音の良さを知らなかったその兵士は戦場に流れる場違いな音と認識するだろう。
しかし聴いているうちに徐々にその音楽に引き込まれていく。まるで何かに導かれるように。
まるで何かに操られるように。
『あー…あっ、…あ?』
ふと気が付けば先ほどまで神に祈りをしていた仲間の首元を剣で首を斬っており溢れんばかりの血が流れて池を作っていた。反射的に剣を落とし自身が何をしたのか理解できないでいた。
再び笛の音楽が聴こえてくる。
同じような音楽が聴こえてきており今度は意識がはっきりした状態なのだが身体が言うことを効かない。
だが不快に思うことは無い。逆に解放されるかのように清々しい気持ちになれるのだ。
今の自分であればなんでもできる。たとえ仲間を斬り殺した剣で自分の命を断つという狂気じみたことも今ならできるだろう。
(あぁ、心地いい。このままこの曲に包まれていたい)
剣で動脈を斬ったその兵士は先に逝っていた兵士と同じ末路を辿ることとなった。
『おいやめろ!!俺だ俺だ!味方だぞ!』
『貴様上官に対して何故攻撃するのだ!蛮族である敵を狙え!私ではないぞ!!』
『死こそ救済…死こそ解放…』
「あーあー、仲間割れし始めちゃった。このままじゃここの奴らも全滅しちゃうかな」
異世界の兵士によって蹂躙されていた帝都内で建物の屋根にて笛を持った少年が味方を斬りつけ合う様子を楽しそうに眺めていた。
時より持っている笛を吹き音楽を奏でると先程まで共に進軍していたはずの味方が突如として狂気に犯され攻撃するという暴挙に驚愕の顔をする敵兵士を楽しんでいる。
「はぁー、僕のコレクションに合いそうなやつがあればそ顔剥ぎ取って集めようと思ったけど時間かけすぎたらリヴァに怒られるからなぁ…飽きたし全部殺しちゃお」
再び笛の音で音楽を奏で始める。そうすると敵の団体は近くにいた味方同士で首を斬り飛ばしあう混戦状態へと変わり完全な崩壊状態となっていく。
『三獣士』の一人。感情を操ることのできる笛の帝具、
ー『門』出現場所付近
門の出現と共に現れた異国の兵士達はこの国最強の将軍と剣を交えたことで門周辺は殺戮場と化した。
現在門周辺にいる兵士は怪異含めれば数千の戦力。そして上空にはヒナの頃から手懐けられた飛竜とそれにまたがる兵士によって制空権を有していた。
そんな彼らを出迎えたのは空からの氷塊の雨。
この雨によって身体を引き裂かれた哀れな最初の被害者は門を潜り異国の各地に散開した兵士たち以外、つまり後からこの異国の地を踏み唯一の玄関口でもある門を守る者たちであった。
暇を持て余した彼らは戦闘の跡が残る建物に立ち入り金品を略奪し生き残っていた異国の民を奴隷として売ろうと門の中に連れていったその直後に天から降り注ぐ氷塊に引き裂かれた。
拳一つ分の大きさから人一人分の大きさを持つ氷塊が降り注いだのだが幸運だった者たちは身体を掠めた程度にとどまっていた。
だが反対に不運だった者たちは頭上から氷塊に押しつぶされ赤く輝く華を咲かせる。
『上空から敵の攻撃魔法だ!盾を持っているものは亀甲隊形を取れ!』
『ここまで広範囲を埋め尽くすほどの氷を生み出すなど見た事もないわ!』
『飛竜は何をしているのだ!?敵は!?敵はどこにいる!?』
盾を上空に向けて攻撃を弾こうと亀甲隊形を行っている者達もザクロを潰すが如く潰れていく。
長年魔法や魔術に勉学を注ぎ込んできた魔導士達ですらも最初は幾分かの氷塊から身を守れたとしても彼らを驚愕させる氷塊の量で圧倒され同じ末路を辿っていく。
上空を飛んでいる飛竜も制空という任務を遂行できず氷塊により墜落していき下にいた兵士たちを下敷きにしていく。
先ほどまでいた兵士たちはあっという間に半分、さらに半分と数を減らしていき最終的には最初の数より十分の一程度しか生存者しか残されていない。
さらに生き残った全員が無傷であるかは別でその彼らのほとんどは剣を持つ事も歩く事もままならない者ばかり。
全くの無傷で継続して戦える者は相当の幸運の持ち主だったのか両手で数える程度でしかなかった。
『なんだよ…。なんだったんだよ…今のは。まさかこの地での天災だというのか。常識外すぎるぞ…』
ある者は幾つもの戦闘で愛用してきた剣を支えに隊が壊滅したのはこの地での天災だと思い始め
『なんとういうことじゃ…長年研究し続けた儂の魔法で防げぬ攻撃など無かったというのに…。
…敵が儂よりも数段格上だというのかっ!』
ある者はこれは異国の魔導士による攻撃だと理解し自身の今までしてきた苦学はなんの意味もなかったと理解し持っていた杖を投げ捨てその場に蹲っていた。
各々が自暴自棄となっていたり悲観していたり現実を直視できなかったり己の力量の無さに打ちひしがれているその間にもこの惨状を生み出した張本人は彼らに近付いてくる。
その足音は戦場であるこの場でもしっかりと聞こえてきておりこちらに忍び寄ってくる死神の足音にも聞こえてくるだろう。
「私の氷塊を防げたのはたったこれだけか。久方の戦で子供のように興奮して殺りすぎてしまったな」
白の軍服を着た異国の女兵士。
堂々とした振る舞いは幾度もの戦を経験してきた猛者としての風格を醸し出している。
“生き残ってしまった”兵士たちは目の前の女が何を言っているのか全く理解できないのだが何か行動を起こさなければ確実に待っているのは“死”なのだと生物としての本能がそう告げていた。
『お、俺は降伏する!!盗んできた金品も全て返す!だから頼む命だk』
「命乞いなど弱者のする事。弱者は強者に淘汰されるのが自然の摂理。判断を見誤った貴様には死が妥当だ。さて…お前達はどうする?」
一人の兵士が持っていた武器を捨て両手を上げ降伏する事を選んだのだがその姿を見たその女は氷の如く絶対零度まで冷やされた瞳を降伏してきた兵士に向けて首を切り飛ばした。
戦意を失った者の首を切り飛ばすなどどこまで蛮族な輩なのだ!と本来であれば罵っていただろう。
だが今この場を支配しているのは異国を侵略しにきた自分たちではなくこの国の兵士である目の前の女。発言権のみならず生殺与奪すらも奪われている兵士たちは行動も発言もしない選択を無意識にしていた。
そんな絶望的状況下に置かれた彼らの目の前に現れたのは友軍の増援だった。
『ウオオオオオーー!!!』
まさに怪物が出す様な咆哮が聞こえてきた方向《門》を見てみれば建物の4,5階ほどの巨体にあった棍棒を持つ怪物、ジャイアント・オーガーが進軍していた。
怪異使いというオーガーなどの巨大な生き物を操る存在が必要なもののその力は絶大。
一体いるだけでも敵の前線を崩壊させるほどの力を持つがその後ろからは同じ巨体が二つ。そして足元を見てみれば甲冑を身につけた帝国兵士と怪異の増援がいるのだ。
『やったぞ!この兵力ならばあの女も倒せる!』
生き残っていた兵士が歓喜の声を上げれば伝播していき多くの歓声が門付近から上がる。
やはり我々大陸を支配している帝国がこの様な蛮族を生み出す国などに負けるはずがないのだと士気が上がり始める。
「少しはタフのありそうな奴を連れて来れるじゃないか。新しい拷問の実験体としては及第点というところだが…この巨体と量では拷問室に入りきらんな。…残りは串刺しになっていろ。『グラオホルン』!」
女の兵士はオーガーの出現による絶望的状況に頭を下げ赦しを乞うどころか地面に手を置き何らかの呪文のようなものを叫ぶ行動をした。
生き延びた者や後に駆けつけてきた増援の中に魔導士達がいたのだが目の前の女は何らかの口頭魔法を唱えたのだとすぐさま理解し友軍に警告を発せようとした。
しかし時すでに遅し。
『ウオオオオオ!!』
最初の被害者となったのは友軍で一番の存在感を出すジャイアント・オーガーである。
見事な巨体は突如として現れた氷の柱により身体を突き刺していく。最初は手や足などの四肢を中心に刺さっていき身動きをさせなくした後胴体に突き刺して二体分のオーガーの死体が門の出入り口前に飾られる事となった。
残りの一体は無事であることを確認した怪異使いはすぐさま目の前の女に攻撃するように指示すると棍棒を掲げ女の元に走っていく。
女の元まで後数メートル。幾人もの血肉で汚れた棍棒を振りかぶった。
「新たな拷問の検体だ。お前は仮死状態で連れてってやろう」
そう言い放ち再び地面に手を当てるとジャイアント・オーガーの足元から徐々に氷が張っていき踵まで氷に覆われるのを確認したオーガーは持っていた棍棒で氷を割り続け体全体に広がるのを防いでいく。
しかし氷の侵食スピードの方が上回っており数秒後には腕まで侵食した氷によって棍棒を振るうこともできなくなりあっという間に氷漬けにされ一体の氷像と化した。
『あ、あぁぁ…』
この場において一番絶望しているのは氷塊の雨による初撃を運良く生き延びた者である。
門からの増援が駆けつけその中に前線を崩せるほどの力を持つジャイアント・オーガーが一つの戦果も出さずに散っていったのだ。
増援で駆けつけた兵士たちのほとんども圧倒的力量差に絶望し立ち尽くしている。
『違う…違う…!こんな、こんな戦などあってはならないだろうが!!畜生!』
一人の兵士が叫び門とは反対側に逃亡し始める。
自分たちが出入りしてきた門は今や芸術作品と化したオーガーの串刺し死体と女の出した氷によって完全に塞がれており退路は無い。
だがこんな状況下を耐えることもできない兵士はこの場から逃げようと走り出したのだ。
恐怖というものは最も伝播しやすいものだ。
『や、やってられるか!』
『父上、母上助けてくれ!!』
『お前達!敵前逃亡だぞ!剣を持って戦え!相手は一人なんだぞ!』
一人が逃げ出せば次とその次と武器を投げ捨て僅かな生存の可能性がある各方面に逃亡し始める。部隊の指揮官であろう男が叫びながら逃げる者達を止めようとするが誰も聞く耳を持たずに我先に逃げ出す。
中には貴族の長男も兵士として参戦しているのだが顔を引き攣りながら他の兵士たちを押し除け逃げ出している始末だ。
事実上軍は崩壊し敗残兵となった彼らであっても敵からの攻撃が緩むなんてことは無いのだ。
敵前逃亡をしてまでも命を優先した彼らの上空から雷鳴が鳴り響き眩い光が目を襲ったと思ったら深淵の世界にいた。
突如として出現した石造の門と敵の兵士。それらを制圧したと同時に上空から派手に現れた男にエスデスは視線を向ける。
「お前にしては遅い登場じゃないか?ブドー」
「練兵場で部下と鍛錬を行なっていたが内部から侵略を受けていると伝令を受け駆けつけた。だが…貴様が対処していたんだな」
先の敗残兵を黒焦げにした雷電。それを生み出したのは帝国の皇帝に忠誠を尽くし宮殿を守護する大将軍、ブドー。彼も帝具、
「大臣の命令で私が出た。私の背後にある門から敵が出現し帝都の各方面へ進撃したがそいつらは私の部下が対応している。敗残兵と化した奴らは今でもこの帝都に潜んでいるだろうな」
「そうか…ではその敗残兵を始末してこよう。貴様の部下を下げろ。陛下の統治する帝国を踏み荒らした輩は私と私の部下で殲滅する」
「残念だが私の部下達は久方の戦で奮戦しているんだ。そこを横から割り込むのは野暮じゃないか?」
先ほどまで空中から話していたブドーが敵の兵士だった血肉をふむ音と共に地上へと降り立ちエスデスと対面する。
「「…」」
「…勝手にしろ」
「あぁ、そのつもりだ」
しばらくの沈黙後、ブドーが折れる形で宮殿の方向に向かう。己の職務である陛下を守る事に徹する事にした彼は帝具を使い空中を素早く移動する。
一方で残されたエスデスは帽子を被り直し未だ斬撃音や射撃音、敵味方の叫喚でぶつかり合う戦場へ足を歩み始めた。
➖帝国最強による反抗戦は始まったばかり➖
以上蹂躙回でした。うまく書けていたでしょうか?正直言うと全体的に無理矢理感があるなぁと思ってます。特にニャウの部分は修正した方がいいかなと思いますが気力が無いので不評だったら直していきたいと思います。
他にもここがよかった!この展開をもっと出して!やなんかここが違う…。この人はこんなこと言わない!!などなど感想お願いします。
一応公式ファンブックを参照に書いていますが間違えていたらすみません。『アカメが斬る!』の公式ファンブックは持っているものの『GATE 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり』のファンブックは持ってない為ネット情報と独自解釈が含まれると思います。
ちなみに余談ですが最近自衛隊の記念行事に参加しました。初めてのことばかりで興奮して変な声出そうでした。間近で20式小銃見たり迫力ある訓練で鳥肌もんです。録画した時の映像を見ながらこんな感じにしたいなぁ…などと考えつつ書いていきたいと思います。