おいおいおいおいおいおいっ!
起きたら周りが死体だらけな件について。
理由は分かる。記憶もある。けど僕がやったという感覚がないんだが。僕が殺したという結果に動揺は無い。
感覚がないというのが人生で初めて自我に干渉されたような気分になり怖いだけだ。
こんなヤツらのことはどうでもいい。
それよりもこんな状況下で冷静で居れる僕自身に驚きだ。そうなったのも全部あの老婆のせいなんだろうけど。あの老婆の眼を見てから僕の中にもう1つの人格が生まれたような、そんな奇妙な感覚があったし。
今はもう元の人格と新しい人格みたいなものが混ざって人より少し強い程度の鋼の心を手に入れた。
あれだけ話したのに名前も知らない老婆、ありがとう!
唯一の惜しい所は戦闘欲求がかなり高い人格が混じったってことぐらい。こうやって考えてる今でも戦わないといけないっていう義務感がなんか湧いてくる。でも総合的に見てプラスだから問題ないな。
問題と言えばこれからどうしよっ。全員殺しちゃったしな、、。
作戦考えないと。
10分ほど必死に考えて絞り出したのはただのサバイバル作戦。そうです。あんまり頭は良くならなかった。融合したもう1人の僕も頭脳労働は苦手だったみたいだ。
作戦も決めたし、この血なまぐさいところから出て離れることにする。
というかこんな子供が1人でサバイバルなんて出来るわけないって?
できるんです!なんせ僕の肉体は自画自賛だけど最強な気がするし。
理由はほぼこれだけだけど刃も出せるし、拠点だって自然の力も借りながら形を整えて骨を出せば犬小屋程度なら建てることも難しくは無いと思うんだよね。
まあぐだぐだ考えていても仕方ないから出よっかここ。幸い外は明るいし、街中じゃないみたいだし。
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森の中で落ち葉を踏みしめる音、草木を掻き分ける音が響く。
「おい、本当にこんなとこにカグヤ一族がいんだろうなぁ?」
背中に銃を背負った男が隣を歩く小柄で背中が曲がった男に問いかける。
「旦那、それは間違いありませんよ。あっしが1度確認してるんでね。そんな心配よりも報酬の件忘れんでくださいよ、、?」
「ああ、分かってる。30%ぐらいくれてやるよ。売る奴を間違えなきゃ残った金で人生2回は遊んで暮らせんだからよ。」
男達は楽しげに会話をしながら森の中を歩を進んでいく。
「俺も希少動物の密猟の繰り返しで指名手配されちまってるからな、そろそろこんな仕事やめねぇといけねぇんだよ。だから安心しとけ、装備は充分だ、失敗は無い。」
「ならいいんですがね、、。」
似たような会話をしばらくしながら男たちが歩を進めていく。
しばらく歩いた男達は森を見渡せる崖の先に着く。
「旦那、あそこです。見えますかい?」
小柄な男が木々の葉に隠されるように作られている村のようなものを指し示す。
「ああ。だが人気がないが大丈夫かよ。」
「寝てるんじゃないですかー?恐らくとしか言えないですがね。
近場で確認できたとこはあそこだけですから。
それに、あいつらは常に狙われてる超希少動物みたいなもんですからね。できる限り人目につかないようにしてるんじゃないですかね。」
「まあいい。お前はここにいろ。俺はできる限り近づいて狩れるやつを待つからよ。」
男はそう言うと銃を背負い直すような動作をして歩き始める準備し始めた。
「さすがハンターさまだっ。大量のお宝待ってますよ。」
「ああ。」
(案内もさせたし、叫ばれても面倒だから狩りが終わったら始末するか。)
銃を背負った男はそんなことを考えながら歩き出し、村に近い木の上に姿を隠し、双眼鏡を取り出し監視の姿勢に入った。
「流石の俺でも一族全員は狩れないからな、、。単独行動してる奴を狩っていくか。」
監視に集中していると日が落ち始め、夕暮れになってきているようだった。
電気が通っていない人の生活圏での時間が過ぎようとしているのに誰1人村人が見つからないことに男は焦りを覚え始める。
(時間が経つのが早いな、、。そろそろ現れてくれよな。)
そんな男の願いが叶ったのか1人の白髪の子供が村に入ってくるのが見えた。
(村の外からガキが1人で来たってことは一族の人間じゃねーのか。いや、あの白髪はカグヤ一族の特徴にも合う。ってことは別に拠点があるってことか、、、。やっぱあのナビゲーターは始末決定だな。)
(完全に日が暮れちまったら狩りはきついからな、この村は放棄されたものとして考えるか。あのガキは忘れ物でもとりにきたんだろ。運が悪ぃな。)
都合良く筋書きを妄想で作り上げ、男は口角を上げて目付きを厳しくする。
「始めるか。」
スコープを覗き、白髪の子供に銃の照準を合わせていく。風向きや障害物、地形、監視の有無を確認し、トリガーに指をかけ、撃つ。
空気が破裂するような発砲音が響く。直ぐさま着弾位置を確認する。白髪の子供は後ろに倒れていく様子が見えた。
(1発か。この腕を腐らせるの勿体ないねーなぁ、、。まあ次は金の転がし方を磨くとすっかな。)
楽しげな未来を想像しながら狩り終えた獲物に近づいていく。
獲物の死体の前に着き、見下ろし、髪を掴み目の前まで持ち上げる。
「いいね。容姿も悪くない、特徴もはっきりと出ている。
何より、傷跡が完璧だ!綺麗な渦巻きになってやがる。
聞いてた話と全く一緒だな。」
カグヤ一族は傷を負えば直ぐさま傷の再生が起き、その修復過程では傷を中心として周りの筋肉や皮膚が渦巻き状に動き傷を縮めていく。それは自らの意思で行われるものではなく、瀕死の状態でも身体が勝手に再生をしてしまう。その修復途中で死ぬと再生の痕跡が残り、綺麗な渦巻きがそのままになる。
そんな下調べした通りの状態になり、男は興奮を隠せない。
(って言っても、これが再生と不老の象徴として薬や芸術として高値で取引されるっつーのは気が知れねぇな。しかもこの再生、寿命を縮めるっていうのが大分前の研究で判明してるんだがなぁ。)
「へぇー、何を聞いたか僕も知りたいな。教えてよ。」
死んだと思われていた子供の目が開き、独り言を零していた男の目を見ながら口を動かした。
「っ!!!!!」
男は暫く放心した後に直ぐさま子供を放り投げ、投げた方向に銃を構える。
「なんでっ!」
「うーん、僕はカグヤで最強だと思うんだけど、世間知らずだからお前から色々聞こうと思って。」
「そんなことを聞いてんじゃっ!なんでっ、、。なんで生きてやがるっ!」
「それはお前がこれから説明してくれるんでしょ。
僕がわかってる事実だけ答えると再生したからだよ。
すごく痛かったんだよ?」
白髪の子供の落ち着いた様子は反対に密猟者の男を動揺させる。
「誰か近づいてくるのが分かったからさ、死んだふりして捕まえようと思って。
そしたら再生も止まっちゃうからびっくりしたよ!
けど弾は僕の骨に弾かれてたし、僕の生命力があればこのくらいの傷を放置してても暫くは問題なしみたいだよ。
ん?あっー、血が垂れてきたし、そろそろ治すね。」
子供はそう言うと額にある傷がすぐさま再生され、傷の痕跡が一切無くなった。
男はそれを見て腰を抜かしかけ、渇ききった瞳で離さない。
「初めにも言ったと思うけど、お前には色々聞くからさ。とりあえず今は寝ててよ。」
子供がそう言った途端、軽く男のこめかみ近くに衝撃が来た。
男の体に力が無くなり、完全に倒れ込む。
「楽しくなってきたかもね、、。」
白髪の子供が男の髪を掴み、引きづりながら森の奥に消えていく。その歩はとても軽々としているようだった。
融合の影響ということでカグヤの情緒は敢えて不安定にしています。だから口調だったり、行動も今後変わっていくことがあると思います。