幼女だよ。異世界を巡って自分探しをしてるよ   作:KDAL

11 / 57
鬼と鬼狩りの世界
第十一話 失ったものばかり数えるな。ないものはない。お前にまだ残っておるものはなんじゃ?…え、この台詞を言った人って ろじゃの世界にいるの!?


 

 

 

 

 

……酷いよ。

 

最期くらい……一言くらい……一目くらいの猶予があっても良かったのに。

 

神様なんて、いないんだね。

 

……何を暗く沈んでるのかって?

 

お前は悲しみに暮れる性格じゃないだろって?

 

どうせ ろじゃ達や初代の時みたいにケロッといつもの私に戻るんだろって?

 

……。

 

…………。

 

付き合ってた時間が違うんだよ、バカ。

 

ろじゃ達とは一週間も行動してなかったよ。

 

でも二号達は違う。二ヶ月以上暮らしてた。

 

愛着に違いが出るのなんて当然でしょ?

 

それに二号達とはずっと一緒だったよ。

 

森で遊んでた時も、ご飯を食べる時も、風が冷たい夜も、お仕事の時も……。

 

どんなに希薄な私だって、それだけ濃密な時間を過ごしてたら……。

 

どうせなら、最期まで一緒に居たかったな。

 

二号達は、あの後どうなったんだろう?

 

ありゅごさんみたいに一瞬で消えたのかな?

 

手足が少しずつ輪切りになるみたいに分解したんじゃないのかな?

 

痛みはなかったのかな?

 

せめて、せめて一瞬で逝けたと、苦しみなく死ねたのなら………

 

 

……。

 

…………。

 

 

いつまでもこうしてはいられないね。

 

そろそろ顔を上げないと。

 

私は『私』を探してるんだもん。

 

『宙渡り』(そらわたり)を使った感覚はある。

 

ここはまた別の場所なんだろうね。

 

匂いが全然違うもん。

 

きっと、遠い遠い所なんだと思うよ。

 

這いつくばってた体を無理矢理に起こして、頭を上げる。

 

ヤケに固い感触だと思ったら、前みたいに草原じゃないんだね。木の床だ。何かの建物の中…かな?

 

時間は夜? 随分と薄暗いけど……

 

なんて思いながら顔を上げたら……あぁ、第一村人発見だね。

 

ペタンと座る私を見下ろしてる。若い男の人だね。

 

「貴様…何者だ? 突然私の前に現れたな……鬼狩り共の仲間か?」

 

……せっかく ありゅごさんに言葉を教わったのに、また何言ってるかわからないよ。弱くてニューゲームだよ。

 

整った顔、紳士的な雰囲気、なのに険しい表情で私を見下ろしてる。

 

取り敢えず、にっこりと笑っておこうかな…

 

……ん?……ありゃりゃ、驚いた。

 

私、泣いてるみたいだね。

 

頬を生暖かいのが流れてるもん。

 

せっかくの可愛い顔が台無しだよ。自画自賛だね。

 

……そうかぁ。涙かぁ…そっかぁ…

 

私は…まだ涙が流せるくらいには、人の感情が残ってたんだね。

 

……。

 

…………。

 

ありがとう…二号…みんな。

 

私と一緒にいてくれて本当にありがとう。

 

もしも天国があるなら、私の代わりに神様を気が済むまで殴った後で、楽しく過ごしてね。

 

大粒の水が木製の床にパタパタ落ちるのも気にせず、私は満面の笑みを男の人に向け続けた…。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 

やぁやぁみんな、おはよう。朝だよ!夜が明けて早朝なんだよ!!

 

日の光が眩しいね。どこに行っても太陽が明るいのだけは一緒だ。

 

いつも変わらず見守ってくれる太陽さんありがとう。

 

あなたのお陰で私は前を向いて歩けるよ。

 

ん?何かな?鬼メンタル!…みたいな文句は受け付けてないよ。当社では対応しかねるよ。

 

終わったことは仕方がないもん。

 

いつまでもクヨクヨしてたら散って行った初代達が悲しむもん。メソメソしてる私なんて見せたくないし『私』にも面目が立たないんだよ。

 

もちろん、初代達を忘れるつもりなんてない。『忘れてやらない』を歌いたいくらいに忘れないよ!

 

……さぁ、寝起き一発目の謎台詞が出た所で、早速現状の報告といくんだよ。

 

まずは、私の後ろで地べたにつくばって転がるお兄さんについてだね。

 

お〜い。お兄さんお兄さん!生きてる〜?

 

「がはッ……化け物…めぇ………」

 

何となく貶された気がするんだよ。イントネーションとその目付きから伝わってくる。……吐血って結構苦しそうだね(無関係)

 

でもね。こうなったのはお兄さんが十割悪いと思うんだよ。

 

しくしくと涙を流す幼気な私の首をいきなりチョンパしようとするなんて、お兄さんもモラルが無いね。調教してあげようか?この小説には保険としてR-15が含まれてるから何して上げても良いんだよ?(何の話?)

 

そんな怖い顔しないでよ。ほらほら立って!でも、せっかくの第一村人だし、このまま逃したりはしないからね。

 

さっきみたいに細かく分裂しても無駄なことはわかったよね?すぐに見つけられるんだから。

 

左手の力が少し変わっちゃったのにはビックリだけど探索に秀でた力が備わって助かったよ。

 

よろよろと立ち上がったお兄さんに付いた土埃をパタパタと払ってあげる。室内で戦ってたのにお兄さんが逃げ出すから、こんな だだっ広い荒野まで来ちゃったんだよ。そんなに怯えた顔しないでよ。私は優しいでしょ?

 

お兄さんの体を捥いで千切って三枚におろしたのだって、首チョンパ(未遂)が原因なんだから、そこの所は間違えないでよね。

 

……いや、ちょっとやり過ぎたとは思ってるんだよ。大切な二号達をマルっと亡くしたから喜怒哀楽が激しくなっちゃって…ね?ごめんってば!お許しくださいませぇ…どうか どうかぁ……

 

頭に思い浮かんだ謎のヨボヨボ角生えお爺ちゃんの声色と仕草を真似しながら謝罪してみる。

 

お!効果ありかな?妙な顔付きになったけど、敵意は下がったような気がするよ。名も知らないお爺ちゃんありがとう!ところでお爺ちゃん、貴方は誰だったのかな?面識ないのに頭に思い浮かばないでほしいよね。せめて名を名乗れやぁ!

 

ん?お兄さんが何か聞いてきてる。

 

あぁ、ごめんね。言葉はわからないんだ〜。日本語でおけ!……にほんごって何だろ?

 

今更だけど、ここに来て妙な安心感というか懐かしさを感じるんだよね。

 

もしかすると『私』のことを探すヒントがある場所なのかも!ありがたいね。なんか普通じゃない分裂お兄さんにも会えたし幸先がいいよ。異常者同士仲良くしようね!(サムズアップ)

 

あ、お兄さん何処行くの?私が思考の海でバタフライしてるのを良いことに逃げようとしてるでしょ?ダメだってば、一人でなんて行かせないからね!そんなことしたら日の光に当てちゃうよ?……何でバレたんだ!?……みたいな顔になってるね。バレバレだよ、夜明けが近くなるに連れてお日様の出る方を気にしてたもん。お前のやった事は、全部お見通しだ!(TRICK風)

 

そんなこの世の終わりみたいな顔しないでよ。私が泣かせたみたいじゃん。泣いてたのはこっちなんだよ?ほらほら、純白幼女だよ?ノー下着だよ?これ見て元気出してよ。男の人だもんね?見たいでしょ見たいでしょ?え?そんなの珍しくもない?ここの人達って下着付けてないの???……わぉ。

 

なんか変なテンションになってきちゃったね。空元気じゃないことを祈りながら、必死に背中にしがみ付く私を引き剥がそうとするお兄さんに、このまま文字通り くっ付いて行こうかな!

 

 

 

 

 








パワハラ上司「なんだこいつは…切り刻めない、潰せない、喰えない……殺せない。逃げても面妖な力で見つけられる。血鬼術ではない。もっと強力で膨大な何かだ。………私の意志を継いでくれ、お前が!(気が早い)」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。