幼女だよ。異世界を巡って自分探しをしてるよ   作:KDAL

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第十三話 嘘も方便って言うけど、実際に使う機会は少ないよね。使わない方がいい場合の方が多いし、使っても裏目に出ることが多い。扱い難いけど、適切なタイミングで使えたら、相手にはとっても響くんだよ

 

 

 

 

 

世界を移動出来なくなった。

 

え?お前いつ世界を飛んでるのに気付いたんだって?お兄さんに青い彼岸花とは別に私のことも調べてもらってたんだけど、その時に今までのことを話したら『お前は別の世界から来たんだろう。そうでなければ、その化け物じみた力の説明が付かん』……て言ってたからね。なるほどな〜って思いながらビンタ喰らわせました。首が360度回りました。童磨さんと笑いました。瞬きの間に童磨さんがいなくなっちゃった。……死んでないよね?

 

消えた童磨さんの謎は置いといて本題に戻るけど、私の別の世界に飛ぶ力…… 『世界渡り(せかいわたり)』が使えなくなっちゃった。

 

これまでの経験から、たぶん強く意識しながら両手を握るんだと思う。でも、何度やってもそれが出来ないの。ずっとここに留まってる理由でもあるね。

 

でも、全く原因がわからない訳じゃないんだよ。世界渡りに失敗する度に……なんかこう、力が溜まってないと言うか、何かやり残してる感じがすると言うか、そんな感覚があるんだよね?

 

たぶんだけど、この力って移動した世界で私が何かしらの役目を終えない限り次に進めない感じだと思うの。それが何かまではわからないけれど、何となくそんな気がするんだよ。

 

……て、お兄さんに話したら『青い彼岸花を見つけることだろう。間違いない。断言しよう』とか言ってた。それって私の世界渡りに託けて程よく使おうとしてるでしょ?いくら私が お馬鹿でも流石に気がつく……ん?お兄さんの手に持ってるのはもしかして!限定発売のケーキだね!!え?くれるの!やった〜嬉しい!ありがとう!お兄さん大好き〜〜!!

 

奪うように貰ったケーキを幸福に包まれながら食べた私は、さっきまで何を話していたのか すっかり忘れて、日課の青い彼岸花探しに向かった。あぁ、ケーキ美味しかった〜‼︎

 

 

 

 

 

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酷い嵐の夜だ。雨は打ち付けるように降って、雷が耳を叩いて瞼を焼く。そんな嵐の夜だね。

 

でも、私は気にせず山の中を鼻歌交じりに歩きながら青い彼岸花を探す。

 

いやね、お兄さんが何百年も探してるのに見つからないって嘆くから、私なりに考えて色々質問したんだよ。

 

探した場所、時間、天候なんかをね?だから、そこ以外の場所や時間帯を探したら良いんじゃないかなって思ったんだ。

 

そしたら夜しか探してないとか、雨が降ってる時は濡れるのが嫌で探してないとか言うんだよ?

 

え?朝にしか咲かない花だったらどうするの?とか、嵐の夜にしか現れない花だったら?とか聞いたの。そしたら……

 

( ゚д゚){……‼︎⁉︎

 

みたいな顔するんだよ。笑うなって言う方が無理だよね?笑ったよ。一人で ずっと笑ってたよ。

 

……こんな時はいつも童磨さんが現れて一緒に笑ってくれるんだけど来なかった。……本当に殺してないよね?生きてるよね?上弦の月が欠けた(欠けさせた)とか言わないでよね!?

 

兎も角、そんなガバガバなお兄さんの代わりに私が汗水垂らして探してあげてるんだよ。優しいでしょ?聖母って崇めてくれてもいいからね?信者が集まったら万世極楽教と宗教戦争を起こすのも面白そう。童磨さんが既に他界してるなら、今のうちに丸ごと吸収しても良いかもね(過激派の思想)

 

なんて考えてると、私の耳に誰かの悲鳴が聞こえた。男の人の声だった。何処だろう。何でこんな嵐の夜に?

 

相変わらず白いワンピースに裸足の私は、何となく断崖絶壁の岩場まで歩いた。

 

わぁ……ビンゴだね。でも、ちょっと遅かったみたい。悲鳴を上げたであろう男の人は、既に亡くなっていたからね。

 

上を見上げると、不自然に斜面が抉れてた。たぶんあそこから落ちたんだろうね。手には草……いや、薬草を持ってる。まだ色が薄い、これは殆ど薬草の効果を有してないね。

 

自分が使う為?それとも誰かに届ける為?

 

後者だとしたら、この付近にこの人の家か、誰かの家がある筈だよね。

 

……これも何かの縁だと思う。それに、私の目の届く所にいるなら助けてあげないと。

 

そうと決まれば善は急げだよ。手を何回か叩いて、付近の『隣人達』に協力を要請する。

 

すると、地面や崖の斜面から、ボコボコと何かが盛り上がる。それはズボズボと音を立てて出現した。骨だ。白骨化した動物の死体だ。皮も臓物も何もかも失って、骨だけが不可思議な力で繋がって、生前の姿を模っている。鳥や野犬、小さなトカゲ、猿なんかの形が目立つ。

 

この世界での私の左手の力は、あいんくらっど に居た時の『モンスターテイム』じゃない。今は『死者の呼び起こし』だね。蘇生じゃないよ。生き返る訳じゃないからね。本当は元の体に戻してあげたいんだけど、それは無理だって何となくわかる。

 

みんな、こんな雨が降る夜中に起こしてごめんね。実はこの男の人の家……もしくは付近に人が住んでる家を探したいの。協力してくれないかな?後者の場合だと病気か何かで苦しんでる人がいるかも知れないんだけれど?

 

そう言うと、彼らは男を取り囲み、何かを話し合い始める。残念ながら、私には彼らの言葉はわからない。死者の言葉と生者の言葉は違うからかな?それとも勉強すればわかるのだろうか。

 

お?崖に埋まってた骨の小鳥さんが知ってたみたい。案内してくれるらしい。ありがとう。それと、悪いんだけど、残りのみんなで この男の人を運んでもらえないかな?もちろん私も手伝うから。

 

私が男の人を下から おぶる様にして抱える。体が小さな私では一人で支えられないけど、そこはみんなに協力してもらって、何とか持ち上げることが出来た。

 

そのままズルズルと引き摺りながら、ゆっくりゆっくり移動する。見た目よりも重たい人だね。みんなも骨だけで筋肉が無いから、力が入り難いみたい。ごめんね。頑張って!

 

 

 

 

 

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やっと着いた。すっかり朝になって雨も上がっちゃった。青い彼岸花探しはまた後日だね。

 

さてと、件の家は此処みたい。……あぁ、不幸は重なるものなのかな?

 

家の中から泣き声がする。子供の声だ。泣きながら母親の名前を呼び続けてる。

 

……中に入りづらいなぁ。と、背負ってる男の人に顔を向ける。皮膚が青白くなり始めていた。冷たい雨風に晒されたせいかな。ちょっとこのまま子供に見せるのは酷過ぎるよね。

 

でも……現実は変わらない。避けては通れない。私も失うツラさはわかってるつもりだよ。

 

今でも鮮明に思い出すことが出来る初代達の顔がフラッシュバックする中、私は家の戸を数回叩いた。

 

 

 

 

 

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泣くよね。そりゃ泣くよ。泣いて当然だよ。寧ろこのくらいまで泣かなかった私の方が異常なんだよ。

 

目の前の子供は出来立ての二つのお墓を前にして わんわん泣いている。お父さん…お母さん…と口にしながら、顔中を涙と鼻水だらけにして。

 

その子を慰めようとしているのだろう。骨のお猿さんは背中を摩り、骨の犬が優しく隣に寄り添っている。骨の体をしたみんなに最初は二人とも驚いてたよ。息を呑むって言うのかな、そんな感じで。

 

でも、私が『天の遣いです。お父様をお家までお送りに来ました』と告げたら、その言葉を信じてくれた。

 

この世界の人達は信仰心に溢れてるんだね。私がこんな白い姿をしてるからか、よく天女と口にされるんだけど、それが今回は活かされたことになるね。

 

骨の動物達は私の付き添いってことにさせてもらった。勝手にそんな役目にしてごめん、と視線で謝罪したけど、みんな気にしてないみたい。優しい子達ばっかりだね。嬉しい。

 

「天女様…」

 

子供のうち、泣いてない方の子……いや、泣くのをグッと堪えてる方の子が私に話しかけてきた。そんなに畏まらないでいいよ。私は見ての通りの幼女だからね。君たちの方が背だって高いでしょ?

 

「俺達の父さんを送っていただき、ありがとうございました。……母さんも、喜んでると、思います」

 

……この子は強いなぁ。上部だけの強さじゃない。心はもう大人になりかけてる。でも、その分壊れやすい心だ。急いで大人になろうとしてる崩れ易い心。小さな裂け目から一瞬で真っ二つになりそうな……そんな心だ。

 

「ほら、お前も天女様に、御礼を……うぅ、…ぅ……」

 

「……いいんだよ、泣いて。泣いてあげて。きっとお父さんもお母さんも、そう言うと思う」

 

たくさん泣いて、ないて、鳴いて、泣き疲れて、眠って……全部の『哀しい』を出し切って、明日からは二人で力を合わせて生きていってと、そう言うと思うから。

 

そんな軽い言葉を吐いた自分が酷い存在に思えたけど、幼い二人には響いたみたい。二人はそのまま お互いに抱き合って、山に木霊する程に泣いた。泣き続けた。何時間経っても声は枯れず、私も、骨のみんなも、黙って彼らの悲しみを共感してあげていた……。

 

 

 

 

 

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次の日になって、二人の子供……双子は、私達を見送ると言って近くの山道まで送ってくれた。

 

二人の目元には泣き腫れた痕があった。でも、その瞳の奥には確かな光がある。前に進むと決めた人の目をしてる。安心したよ。

 

それに、なんだか二人の表情が柔らかい。昨日会った時は、一人は気弱そうで一人は非情そうな、そんな雰囲気があったけど、今はとても穏やかだ。

 

そのせいか、二人の違いがイマイチわからなくなっちゃった。本当にそっくりだね。着るものくらいは変えた方がいいんじゃないかな?

 

「天女様、ありがとうございました。本当に見送りは此処までで?」

 

「最後までお見送りしたいです。何もお返し出来てないし、僕たちに出来ることなら今からでも!」

 

その気持ちだけでいいよ。もしも何か返してくれようとするなら……そうだね。青い彼岸花を見つけたら教えてほしいかな。私はそれを探してるんだ。もしも君たちが見つけてくれた時には、この小骨を壊してね。すぐに私に伝わるから飛んでくるよ。

 

そう言ってポケットから小指程の動物の骨を渡した。中はスカスカだから、地面に叩き落とせば簡単に割れる。これは左手の応用で作った一方的な通信機みたいなものだよ。

 

双子の弟が大切そうにそれを受け取った。見つけたら必ず知らせますと言いながら。

 

うん。改めて二人とも良い顔だね。両親も安心してると思うよ。実際に呼び戻して聞いた訳じゃないから真実はわからないけど、同じ立場ならきっとそう思った筈だからね。

 

それじゃ、私は天に帰るね。あ、天女が空に帰るのを見た人は閻魔に睨まれるから、二人は十数えるまで後ろを向いて耳も塞いでおくんだよ?

 

二人は名残惜しそうに私を見つめた後、最後に「ありがとうございました」と言って言い付け通りに後ろを向いた。よしよし、素直でよろしい。

 

……あ、鳴女さん。待たせてごめんね。お願いするんだよ。

 

小声で呟くと、私の足下に襖が展開され、その中へと身を投じた。付き添ってくれた骨の隣人達も、私が消えた後、お互いに お疲れ〜って感じで元居た眠りの地へと戻って行った。

 

 

 

-----この何年か後、私と双子の片割れは再開する。無限に近い時を生きる鬼の王との最終局面。その際、命を取り合う敵同士として、最悪の形で………。

 

 

 

 

 







お兄さん「化け物のお前が天女とは、幼子達に随分と酷い嘘を吐いたものだな」

化け物天女「勝手に覗き見ないでって言ったよね!絶対にこの目の文字を取り除いてもらうからね!!」

死に損ない「やぁやぁ、天女さん!異国で流行ってる甘〜い菓子が手に入ったよ〜」

ちょろい化け物天女「わ〜い!食べる〜〜〜!!(童磨さん生きてたんだ。良かった)」


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