「お爺ちゃ〜〜ん!」
「孫よ〜〜!」
「お爺ちゃ〜〜ん!!」
「孫よ〜〜!!」
「お爺ちゃ〜〜ん!!!」
「孫よ〜〜!!!」
「うっっるさいな!もっと静かに歩けないのか、お前達は!?」
人里離れた山奥で、手を取り合って楽しくきゃっきゃと騒いでいた私とお爺ちゃんは叱咤された。猗窩座さん怖いよ?顔引き攣らせないでよ?
「お前達が浮かれ過ぎてるのが悪いんだろ!?そもそも、今日はお前のことで同行する羽目になってるんだからな!それを忘れるなよ!!」
でもそれってお兄さんからの命令でもあったでしょ?私に付いて行けって。
「そうじゃぞ猗窩座よ。あのお方の命令は絶対じゃ。ましてや可愛い孫の為なら喜んで引き受けようぞ」
「お爺ちゃん…!(キュン‼︎)」
「孫よ…!(キュン‼︎)」
私とお爺ちゃんは再び手を取り合って、くるくるくるりんと回り出す。異国の遊園地?にあるメリーゴーランドの如くだよ〜
「お爺ちゃ〜〜ん!」
「孫よ〜〜!」
「お爺ぃ-----」
「もォいい!わかったからせめて足を前に動かせ!!永遠に辿り着かないだろうがァ!!!?」
上弦の参、肆。そして無弦の零が仲睦まじく(?)歩く姿は鬼殺の剣士が見れば泡を吹いて倒れる光景だね。
じゃあ、どうして鬼の最高戦力が三人で行動してるのかについてだけど、それはもうすぐわかるよ。自分の目で確かめてほしいんだよ。
---------------
おぉ!大きな洞窟だね。あいんくらっど の洞窟の何倍もある大きな入り口なんだよ!
天井から鍾乳石みたいのが何本もある光景は圧巻だね。未知への好奇心が止められないよ〜!よし、先発は私に任せてね。一気に奥まで駆け抜けるよ!
「待て、一人で突っ走るな」
むぎゅ!?……走ろうとした瞬間に猗窩座さんに首根っこ掴まれた。やめてよね!痛く無いけど不快なんだからね。
「この洞窟の奥に目的の存在が居るんじゃな……怖ろしい怖ろしい!!」
頭を抱えてガクガクと震え出すお爺ちゃん。大丈夫大丈夫。お爺ちゃんは絶対に守るからね。全部任せておいてよ!……猗窩座さんに。
「自分で何とかしろ!何で俺に頼り切ろうとしてるんだ!?」
「猗窩座よ、子供に対してそんな口を聞くでない。今こそ大人の余裕を見せる時じゃろう?」
「お前が発端だろうが!何を仕切ってるんだ!?ここには阿呆しかいないのか!!?」
楽しい。この二人のやり取りは本当に楽しい。二人の会話からでしか得られない栄養があるね。次にいつ得られるかわからないから過剰摂取しとかないとね!
ギャアギャアと騒ぎながら暗い洞窟をヒタヒタ歩く。途中で蝙蝠とか洞窟蜥蜴が動く以外には生き物の姿は見られなかった。……そいつが現れるまではね。
「……おい、あれか?」
「あれじゃな…怖ろしい!」
「おっきぃ〜〜〜〜!!!」
洞窟の最奥、そこに目的の存在がいた。
ギョロリとした数多の眼。鋭く太い牙、チロチロと覗かせる無数の舌。太く長い胴体から分かれる八つの尾と頭。間違いないね。私の……私達の目的。
この国の神話に残る伝説の生き物の一体……
---------------
「-----術式展開!」
猗窩座さんの足下に紋様が広がる。それを危険と判断したのか、大蛇は尻尾で猗窩座さんを薙ぎ払う。洞窟の壁は抉れ、家屋を瓦礫に変える一撃がお見舞いされる。
でも、上弦の鬼は伊達じゃないよ!ほら、自慢の拳で受け止めたもん。でも、少しキツそう。流石は伝説の生き物だね。少しずつだけど、猗窩座さんが押されてるよ……。
一対一じゃ猗窩座さんだけだと厳しいよね。……でも、だからこそ複数で来たんだよ?
「可楽!押し返してしまえ!」
「言われずともぉ、わかっとるわー!」
お爺ちゃんから分裂した積怒さんの怒声と共に旋風が起きる。もう一人の分身、可楽さんの能力だ。狭い洞窟内だと威力も絶大だね。猗窩座さんを後押ししてる。小柄な私は余波で浮き上がりそうだけどね。
「哀しい程に軽い。しっかり掴まってるんじゃぞ……」
ありがと、哀絶さん。槍を地面に突き刺して、突風で私が飛ばない様に抱いてくれてる。私の体は軽いからこういう攻撃には弱いんだよね。死なないけど、揉みくちゃにされると動けないし、今後の為にも対策を考えておかなくちゃ。
「ほらほら、蛇めぇ!猗窩座ばかりに気を取られていて良いのかの〜?」
そんな声と共に空から大蛇の目を爪で突き刺したのは空喜さんだ。更に怯んだ所に超音波まで喰らわせてる。
今の攻撃で尻尾から力が抜けたみたい。猗窩座さんが全身に闘気を巡らせたね。オーラになって可視化される程 強い力だよ。普通の人間なら側に居るだけでビリビリ震えると思う。
そのまま強く地面を蹴って跳んだ。狙うは作戦通り首。八つの首を全部落とせば、私達の勝ちだね!
「-----破壊殺・滅式!!」
おぉ!いきなりの大技だね!初手からあの技を出すということは、さっきの尻尾の一撃で相手を強者と看做したのかな。油断も舐めプも無しの渾身の一発だね!
その角度からなら首が全部狙える。でも、敵もさる者。猗窩座さんの攻撃が迫る瞬間、胴体の軸を捻って避けたね!でも、避けきれなかった。首が一気に四つ飛んだよ!流石は上弦の参だね!!
あっと、カウンターだ。あの蛇さん、体を捻りながら尻尾を振り抜いてきた。猗窩座さんにクリティカルだよ。大技の後で受け身も取れなかったみたい。壁まで音速で吹っ飛ばされちゃった。
そして迷わずこっちを狙ってきた。猗窩座さんの攻撃で完全に本気モードだ。残った首を私達に向けて突っ込んできたよ。
「儂が止める。その隙に残りの首を刈れ!」
言うが早いか、積怒さんが錫杖を地に刺して赤い稲妻を生み出した。迫ってきた首はモロに直撃。動きが止まったね。
私を下ろした哀絶さんと空喜さんが首を狙う。太い首だけど、上弦の力なら掻き切るのは難しくない。それぞれが一本ずつを切り落とした。残りは二本だよ!
ん?……うわぁ!毒液を吐いてきたよ!?
八岐大蛇って毒を吐くの!?ここの情報を得て来たお兄さんはそんな話してなかったよ!?ちゃんと仕事してよパワハラ上司〜!!
積怒さんが直撃しちゃった。錫杖から閃光が消えて大蛇が動きを再開する。と、同時に無傷な尻尾を八本全て天から振り下ろした。上弦の陸、堕姫さんの八重帯斬りみたいだね。
大地がひっくり返る程の地響き、洞窟が崩れないのが不思議なくらいの激震だ。あの蛇さん命の危機に我を失ってるんじゃないかな?みんなで仲良く生き埋めは勘弁だよ!
今の一撃でお爺ちゃん達の分身は全滅。猗窩座さんも……うわぁ、体があり得ない方向に曲がって千切れてる。治るのにはまだ時間が掛かりそうだね。
ありゃりゃ、そうだよね。今度は私だよね?
残った二本が迫ってくるよ。鋭い牙は一本でも私に刺されば真っ二つになりそう。私の体は細くて小さいからね。
まぁ、刺さらないのはわかってるんだけど、一応今の立場は上弦の更に上『無弦』だからね。そこそこ強い所を魅せておかないとね。
猗窩座さんと遠くで隠れてるお爺ちゃん本体の視線を感じつつ、私はパンパンッと手を叩いた。刹那、私の足元から轟音と共に『眷属』が姿を現した。
数えきれない脚をバタつかせ、猛毒を持つ顎でガチガチと音を鳴らす。百どころじゃない脚を持つ巨大で長大な毒虫。………
いいねぇ…。大蛇と敵対したっていう大百足の伝説を現実にしてみようね!
---------------
いやはや、よもやよもやだったね。まさか毒を吐いてくるなんて。大百足の『むーちゃん』とキャラが被っちゃったよ。参ったね。今度から毒要員はどっちの子を使ってあげれば良いと思う?
ホクホクしながら洞窟を出た私は猗窩座さんに話を振った。何故かイライラ度が上がっている猗窩座さんは……
「知らん。好きな方を呼べば良いだろう…」
「じゃが猗窩座よ。蛇は嫉妬深いという逸話も残しておるぞ。それに大百足も孫を甚く気に入っておる。双方とも可愛がってやらねば、いずれ呼び出しに応じなくなるやも知れんぞ?」
初代達の時も言ったけど、私はペット全員を等しく愛せるよ。大丈夫大丈夫。他の眷属の子達とも仲良くやれそうだし、任せておいてよ!……猗窩座さんに。
「だから何で俺に振るんだ!?お前の眷属だろうが!最期まで責任持って面倒を見ろ!ついでにそこのジジイの下の世話もしてやれ!!」
「怖ろしい怖ろしい、しばらく会わぬうちに猗窩座は記憶力が下がっておる。儂は糞を垂れ流したことなど一度もない。まだまだ締まりの良い健康な尻よ」
「皮肉を言ってるんだ!真面目に返すな糞ジジイ!!」
あぁ、戦いの後の二人の会話は沁みるなぁ……この為に生きてるって感じだね。この会話を記録結晶に保存出来ないのが残念だよ。あいんくらっど から何個か持って来られたら良かったのに。
「何を訳のわからないことを言ってるんだ!?とにかく、俺は二度とお前の眷属集めには同行しないからな!誰か連れて行きたいなら他を呼べ!!」
あぁ、猗窩座さん一人で帰っちゃった。せっかちさんだね。でも、無事に眷属も集められたし、何よりも楽しかった!また伝説の生き物が見つかったらみんなで迎えに行かないとね。
それに私が行こうって言っても聞かないなら、お兄さんに言わせれば良いもんね。へっへっへっ、猗窩座さん、あなたは永遠に私の栄養剤として行動してもらうんだよ。次は童磨さんも連れて行こう。きっと波瀾万丈な光景が見られるよ。今から楽しみだね!(愉悦)
私は自分の胸の中で蠢く数多の眷属と新入りの八岐大蛇が仲良く親睦会を始めたのを感じながら、鳴女さんに回収が終わったことを告げた。
〜お兄さんの楽しい化け物解説〜
あの化け物はそのままでも十分に常軌を逸した怪物だ。だが、本当に恐ろしいのは左腕の力だろう。あれは死者を呼び、自由に使役する力だ。何千年何万年前の生命であっても、その一部が残っていれば呼び起こせる。
だが、蘇った存在は死後経過した年月に比例して弱い。肉も皮も臓物も無ければ力が満足に出せないのは当然の理だ。
だが、逆に死の直後に蘇った存在はどうだ?
肉体が万全な状態で あの娘の『眷属』となれば、文字通り永遠の命が手に入ったも同然。死なず、朽ちず、衰えない。完璧な状態での保存。ある意味では私が欲して求めるものでもある。
だが、あれの眷属など御免蒙る。奴の下に付くことはどんな辱めも霞む程の屈辱だ。
故に、青い彼岸花の捜索は継続する。全ての鬼、人間、そして あの化け物の力を頼ったとしても、私は必ず太陽を克服してみせる……‼︎‼︎
化け物「…私達の力に頼ってる時点で十分恥ずかしいんじゃないかな?」
学習しない死に損ない「ぷくっ…ダメだ…、笑いを堪えきれない」
孫溺愛爺「アイツ死んだわ…」
栄養剤「本当に死ねば良いのにな…」
壺「無惨様〜!この前の新作の壺が高値で売れましたぞ〜〜!!」(空気読めない子)