幼女だよ。異世界を巡って自分探しをしてるよ   作:KDAL

15 / 57
第十五話 ラスボスの前に裏ボスルートに入ったことある人この指止まれ!…あれ?私だけが異端なの!?

 

 

 

 

 

「如何ですかな〜?こちらの壺は色味に重きを置いた逸品です。その分艶を敢えて!……敢えて抑え、着色料本来の良さが際立つ趣向になっているのです!ヒョッヒョッヒョッ!」

 

無限城の一角。そのスペースを借りて、品評会を開いているのは上弦の俉……玉壺さんだね。自分の大作に惚れ惚れしながら解説してる。そして、その解説を唸りながら聴いているのが……

 

「そうねぇ…。綺麗だとは思うけど、もうちょっと豪華さが欲しいわね。うちのお店の入り口に飾るなら、もっと大きくて目立ってほしいし……」

 

上弦の陸……堕姫さんだね。この世界では珍しい露出多めの奇抜な服装だよ。本人には言ってない。前に童磨さんがその点に触れたら首をもがれてたからね。怖い怖いだよ。

 

「ヒョヒョッ!これだから子供は騒がしさと豪華さの区別も付けられない……」

 

「な、なによ!?目立った方が客引きになるでしょ!私間違ってないわよ!」

 

玉壺さんは体をくねらせて小馬鹿にしたような口ぶりで否定してるね。それに怒った堕姫さんはプンスカと反論だ。この二人の掛け合いも珍しいね。面白い!

 

「良いですか?あなたも良くご存知の通り、花街とは紳士の社交場。そこには大人の色香、静けさ、そして何よりも品性が求められるのです。下手に悪目立ちするだけの陶芸品など飾っては、客ではなく違和感を招くだけなのです!ヒョッヒョッ〜!!」

 

「だったら何でそんな物をここに並べてんのよ!私は『店に出す良い壺』を作ってって頼んだでしょ!?」

 

「それはあなたの品格を試す意味合いがあったのです。結果は……全く残念な お子様品格でしたがね!」

 

「あ〜んたねぇ!上弦の俉だからって調子に乗らないでよね!たった一つ階級が上なだけの癖に!」

 

「そのたった一つがどれだけ高い壁かもわからない程に堕姫はお子様だったのですねぇ?ヒョッヒョ〜!!」

 

玉壺さんは堕姫さんの心の炎によく薪と油を投入するんだよ。偶に童磨さんも一緒に焼べてる。でも粛清されるのは何故か童磨さんだけなんだよ。もうやめたげてよ〜

 

ほらほら、ぶっつん…と、堕姫さんの頭から糸の切れる音がしたよ。まずいね、また無限城が身内の喧嘩でボロボロになっちゃうよ。(実体験有りの戦犯幼女談)鳴女さんが修復に血を使い過ぎて貧血で倒れちゃうね。誰かコンビーフ買って来てあげて。

 

取り敢えず、話をもとに戻してあげないと。堕姫さ〜ん!お店に飾る壺なら斜め左の壺がいいんじゃないかな?

 

「アぁん!?……あぁ!(うめ)ちゃんッ!!」

 

私に気が付いた堕姫さんは、仁王像みたいな表情を一瞬で消して、周りにパァッと花が咲いたような素敵な笑顔を見せた。すごく綺麗で可愛い表情だね。さっきの形相とのギャップで倍可愛く見えてるよ?お見合いがあったら今の作戦で行こうね!仲人は童磨さんで決まりだ!(大波乱待った無し)

 

膝を折って屈み、両手を左右に広げて待機してる。まるで親が子供を胸元に招くような仕草だね。もちろん、私はそれに応えるんだよ。

 

「堕姫さ〜ん!!」「梅ちゃ〜ん!!」

 

助走を付けて駆け、ぴょ〜ん と堕姫さんの胸に飛び込んだ。そんな私を優しく抱き止めてくれた。堕姫さんのお胸が暖かだよ〜

 

「ちょっとぉ、梅ちゃん。私のことは『さん』付けなんてしなくて良いって言ったでしょ?堕姫で良いのよ」

 

あぁ、そうだったね。でも呼び捨てにするのは嫌だから、堕姫ちゃんって読んでもいいかな?

 

「もちろんよ!私も梅ちゃんには『ちゃん』付けなんだし、お揃いね〜」

 

頬っぺを すりすりし合いながら二人して もちもちの肌に きゃぴきゃぴと はしゃぐ。

 

「ヒョッ!流石は『白魚様(しらうおさま)』。この壺を選ぶとは お目が高い……ちなみに、何故これを選ばれたのですかな?」

 

う〜ん。選んだと言うか、その壺が呼んでた気がしたから?何となくそう思っただけだよ。

 

「……な、なんと!……選んだのではなく、選ばれた!? そんな考えが、価値観が、表現が!!? いやはや、白魚様の言葉はいつも私の美的感覚に刺激を与えてくださる。芸術家の生み出した作品。……それが芸術家を逆に!逆に選び取る……面白い、面白いですぞ!……あァ、沸く、わく、湧く!!新たな作品の心象!これはすぐにでも形としなければ!お二方、私はこれにて失礼しますぞォ!!」

 

頬を赤く染めながら、くねくねくねっと高速で動き悶えていた玉壺さん。私達の返事も待たずに しゅるりと壺に収まると瞬きする間に消えちゃった。相変わらずの移動方法だね。どうなってるんだろう?

 

「……え?…ちょッ!……私の壺は!!?」

 

本来の目的を忘れて帰っちゃう所も相変わらずだね。後には私を抱く堕姫ちゃんと幾つかの壺達が残るばかりだった。あ、壺はさっき私が選んだのが良いとおもーよ?

 

 

 

 

 

---------------

 

 

 

 

 

上弦の陸、堕姫ちゃんとの出会いは衝撃的だったんだよ。

 

上弦の鬼達との会合で目が合った瞬間、いきなり発狂されたんだもん。ものすごいよく覚えてるよ。インパクト強すぎたね。鳩尾に穴が開きそうな衝撃だったもん(開かないし開けられない)

 

後で話を聞くと、私の姿が人間の堕姫ちゃんに似てたみたいで、その頃の記憶が蘇ったみたい。堕姫ちゃんのお兄さん、妓夫太郎さんにも影響したらしくて、同じく記憶を取り戻してたよ。

 

でも、特に何も変わることなく、二人は上弦の鬼としてお兄さんに改めて忠誠を捧げてたよ。二人とも今の生活が気に入ってるし、下等な人間には戻りたくないとかなんとか。……う〜ん、そこはノーコメントで!

 

後は堕姫ちゃんの性格が人の心を取り戻したことで柔らかくなったらしいね。私は前の堕姫ちゃんを知らないけど、今の堕姫ちゃんは大好きだよ。あはっ!頬っぺた突っつかないでよ。擽ったいってば〜

 

無限城の廊下を堕姫ちゃんに抱えられながら歩いていると、不意に頬をツンツンされた。他者が見れば、姉と妹みたいに写ったかもね。

 

「ねぇ梅ちゃん。本当に私の遊郭で一緒に暮らしましょうよ。美味しいお菓子も たっくさん用意出来るし、梅ちゃんくらいの女の子もいるから、きっと楽しいわよ!」

 

気持ちは嬉しいんだよ。でも『私』を探したり、彼岸花を探しに行くのには無限城に住んでた方が何かと便利だからね。気持ちだけいただいておくね。

 

そうそう、堕姫ちゃんは私を『梅ちゃん』って呼んでる。人間だった頃の堕姫ちゃんの名前らしい。自分の名前を私にくれても良かったの?と聞いたら『前の名前には未練が無いし、あなたが使ってくれたら嬉しい』とのことだった。自分の生き写しみたいな私に相当愛着を持ってくれてるのが伝わる。なら、お言葉に甘えて、私は『梅』の名前を借りるんだよ。

 

記憶が戻ったことで、鬼の残虐性が薄まったのか、堕姫ちゃんは自分のお店の人達にも明るく接するようになったらしい。

 

この前、京極屋さんにお邪魔した時も お三津さんや小さな女の子達と楽しそうに談笑してた。時折ぷっつんしちゃう癖は健在みたいだけど、まぁ本質は鬼だからね。ある程度は仕方ないよね。

 

……。

 

…………。

 

記憶が戻ると性格も変わる。私が『私』を取り戻した時、今の私はどうなるんだろう。

 

「大丈夫。記憶が戻っても梅ちゃんは梅ちゃんのまんまよ。私だって前の『私』を忘れた訳じゃないし、人間の頃と溶け合った感じね。でも怖くも痛くも何ともなかったわよ?」

 

発狂してたけどね。うぁあああぁぁぁ!!って叫んだ瞬間、背中から妓夫太郎さんが『どうしたァ堕姫!?敵かァ!!?』って、にゅるんッと飛び出したのには上弦一同 笑ったんだよ。

 

「こ〜ら!乙女の尊厳を脅かす悪〜い口はこれかしら?」

 

ちょっと擽ったいってば!ごめんなさいだよ〜!

 

私たちは、しばらく他愛無い会話で盛り上がった後、お互いの仕事に戻った。次に会う時は京極屋さんにお邪魔して美味しい和菓子をご馳走になる約束も交わしてね。

 

さてと、私も彼岸花を探しに行こうかな。今日はどの辺りを……ん?頭の中に直接声が響いてくる。お兄さんだね。なになに?ファミチキください?(違う)

 

ん?あぁ、何でもないんだよお兄さん!ごめんね。自分でも何のことかわからないことを口走ることがあるんだよ。偶に変な言葉が思い浮かんじゃうの。……あ、今鼻で笑ったでしょ?相変わらず変な奴って思ったよね?

 

それで、どうしたのかな?何日か前に実験したいことがあるって出て行ったきりだったけれど、それはもう終わったの?

 

……あぁ、人間を殺してたんだ。……今一瞬怯えたでしょ?気にしないでよ。前にも言ったけど、私の目の届かない範囲なら目を瞑るよ。今回のことも……うん。納得はしてないけど、妥協はするからね。それで、それがどうかしたのかな?

 

……え?……あ〜、なるほどね。だから私を呼んだんだ。この前はあんなに天女プレイを馬鹿にしてたのに、こんな時だけ使おうとしてるんだね。いや、行くよ。むざむざ死なせたくはないからね。お兄さんは先に無限城に帰ってていいよ。事後処理は私がやっておくからね。……うん。はいは〜い。

 

繋がっていた糸が途切れた感覚の後、私は鳴女さんにお願いして、お兄さんに指定された山へと飛んだ。……雪が降り積もる冬の山の中へと。

 

 

 

 

 

---------------

 

 

 

 

 

これはまた、酷い有様だね。

 

お兄さんの実験現場はとても散らかっていた。山奥にポツンと佇む雪が積もった藁葺き屋根の一軒家。『こんな所に』の制作スタッフが喜びそうなロケーションだね。(何の話?)

 

そんな雪の世界で赤はとても目立つね。それも大量の赤だ。その赤が全て血液なのは言うまでも無い。血は家屋の床と壁、天井までを覆い尽くし、見た人に一生消えないトラウマを植え付ける光景になってる。

 

家の人達はみんな絶命してるね。母親や子供達が何人もバラバラになって散らばってる。

 

……確かに妥協はすると言ったけれど、もう少し加減をしてほしいんだよ。これはあまりにも酷いもん。今から帰ってくる生き残りの子供が不憫でならないよ。

 

お兄さんは、この家での実験が終わった際、子供が一人残っていると気付いたみたいだね。その子供は近くの隣人宅で夜を明かしたらしく、もうしばらくした後、この家に帰るらしいよ。

 

お兄さん曰く、本当なら無視して帰っても良かったんだけど、私が残された遺族のことを気に掛けることが多いから、今回は急遽呼び出したみたい。

 

『そんなに気になるなら自分で好きに捏造すれば良い』と言ってたね。まぁ、一応気遣いが出来るようになっただけ、お兄さんの心境も変わってきてるのかな。なら、あと一歩進んで綺麗な状態で殺すことも覚えようね。

 

さて、取り敢えず『隣人』達に協力をお願いして、この悲惨な現場は何とか綺麗にしたい……と、思ってたんだけど間に合わなかったね。予想よりも早く帰ってきた。途中で駆け足にでもなったのかな?

 

「……ぁ、……っ…」

 

息遣いが聞こえる。私の背後にはこの家最後の生き残り、その子供が立ってるんだろうね。

 

どんな顔をしてるんだろう。

 

この世界でお兄さん達と行動を共にしてきたけど、犠牲になった人達の顔は大体同じだ。きっとこの子も酷く『絶望』してるだろうね。

 

いや、いつもの天女ムーブを忘れちゃいけない。ゆっくりと振り返って優しく話をしてあげなくちゃ。

 

降り積もる雪をザクザクと踏みながらその場で回転し、遺された子供に視線を-----

 

え?待っ-----

 

目の前に迫ったのは『刀』だった。咄嗟に避けちゃった。当たっても何とも無かったんだろうけど、本能って怖いね。体が勝手に動いちゃったよ。

 

ふぅ。それで、目の前の人間は鬼殺隊の剣士さん。いや、柱だよね?普通の鬼殺隊は黒い隊服だけど、目の前の人は左右で柄が違う羽織を着てるもん。水色の刀は独特な色合いを帯びてるね。何度か目にした日輪刀で間違いないね。油断無く私にそれを向けてるんだよ。

 

「……!!…お前は、まさか…!?」

 

あぁ、そうだよね。鬼殺隊なら私の目を見たら気がつくよね。瞳に反映された『無弦』の文字。その意味を理解したのか、男の人の持つ刀が僅かに揺れる。

 

うん。動揺してるね。これなら戦わずして勝てそうかな?天女ムーブよりも、先ずは悪役ムーブで心を折っちゃおう。

 

やぁやぁ、こんにちは。鬼殺隊の剣士さん。私のことを知ってるなら、今日の所は見逃して上げるから、回れ右して帰ってもらえないかな?私はこの人達を綺麗にして上げないといけないからね。

 

え?違うよ、勘違いしないでよ。綺麗にって言うのは遺体を食べるとかじゃなくてね?……て、あぁ、マズイね。あなたの背後に隠れてるのはこの家の子供ですか?気が付かなかったよ。大失敗だ。今の話聞いてた感じかな?天女ムーブはもう無理かな?……無理だね。完全に私が殺した空気になってるもん。帰ったらあのお兄さんに往復ビンタだね。顔腫れるまで叩いて童磨さんと一緒に笑ってあげるよ。

 

さて、こうなると穏便には済まないね。幾つかの選択を迫らないと。

 

先ずは鬼殺の剣士さんだけど、利き手を一本貰います。柱である以上、そして敵意が恐怖を上回った今、間違いなく私に切り掛かってくるだろうからね。対処は簡単だと思う。殺さないように立ち回るのが難しいだけだね。

 

それよりも後ろに隠れてる男の子が問題だよ。最期の一人だとしたら相当ツラい立場だよね。自分以外の全員が殺されたんだもん(事後処理の出来ないお兄さんに)

 

このまま生きていくのは苦しいと思う。死んだらそれまで。生きてた者が勝者だ。それが私の考えだけど、生き地獄を味合わせるくらいなら、この場で殺して上げた方が幸せかも知れない。……どうしたものだろう。

 

ん?剣士さんが背後の子供に小声で何か言ってる。時間を稼ぐ間に逃げろ……かな?

 

流石は剣士様、一般人の命を優先する姿勢は素敵だね。尊敬できるよ。

 

……もしも あなた達と……鬼殺隊と最初に出会えていれば、私は迷うことなくお兄さん達と敵対してたと思う。

 

私自身人間が大好きだし、そんな人間を襲う鬼の存在を許さなかっただろうからね。

 

でも残念。私は向こう側に縁が出来たんだ。愛着を持ち過ぎたんだよ。

 

お兄さんも、黒死牟さんも、童磨さんも、猗窩座さんも、お爺ちゃんも、玉壺さんも、妓夫太郎さんも堕姫ちゃんも……。

 

みんな、みんな、みんな……、私の大切な仲間なんだよ。

 

だからごめんね。なるべく痛くしないし、絶対に死なせないと約束するよ。

 

でも、剣士としてのあなたは、今日ここで死んでね。明日からは一般人として、残りの人生を謳歌するんだよ?

 

私が両の手を一度 叩いた瞬間、男の子は踵を返して逃げ始める。そして剣士は雪を踏み締めて向かって来た。

 

私の背後からは大百足の『むーちゃん』が雪の下から現れて、鋭い牙をガチガチ鳴らす。いつも通りで行くよ。殺しちゃダメ。利き手を奪ったら毒を流して戦闘不能にするからね?

 

その意思を汲み取った むーちゃんは牙を擦り合わせ、数多の脚をバタつかせながら突進する。

 

……おぉ!避けたね。直線的な攻撃だったし、避けるのは難しくなかったかな。でも、むーちゃんにはまだ尻尾があるよ?

 

尻尾の太い毒針が剣士さんの横顔に触れそうになった。けど残念、また避けられた。いや、受け流されたね。あの刀の動きは……なるほど、この剣士さんは水の呼吸、つまり『水柱』だね。水の呼吸は受け流しが上手いって黒死牟さんが言ってたもん。

 

直線的な攻撃が主体の むーちゃんじゃ相性が悪かったね。むーちゃんは大百足だけど、まだ幼体だったからかサイズも小さめだし、ジリ貧になりそうだね。

 

この後の掃除もあるし、特別にもう一体追加してあげるね。久しぶりの雪山だし『あの子』を呼んであげようかな。

 

パンッと手の叩く。流石は柱。私が次の一手を出したのに気がついたね。でも、それがどこから出るかまでは掴めてないかな?ほらほら、足下から来るよ!

 

私の視線誘導で理解したのか、咄嗟にその場を飛び退いた。その瞬間、地面から大きな拳が突き出し、辺りの雪を巻き上げる。

 

白い体毛に覆われた姿は異質に写ったのか、一層険しい表情になる剣士さん。そうだね、噂には聞いたことがあるんじゃないかな?山の大入道とも雪男とも呼ばれるそれだよ。

 

さぁ、ゆーくん。むーちゃんと協力して剣士さんの利き手を もぎり取ってきてね!くれぐれも殺しちゃダメだよ〜!

 

私の声を聞いた二人は腕と触腕を掲げ、了承の意味を返す。自分が完全な格下だと理解したのか、剣士さんの顔から諦めにも似た雰囲気が漂い始める。

 

何度か むーちゃんの体を刀で切り付けてたけど、大百足の外殻はすごく硬いよ。ここだけの話、猗窩座さんの打撃でも表面に窪みが出来ただけだった。それに私の中に戻すと綺麗に治っちゃうんだよ?やばいね。こんなのチートや、チーターやん!

 

そういえば、花の呼吸を使ってた剣士の女性もそうだったな〜。最初は自分の力を信じて突き進んでくるんだけど、ほんの数回刃を交えただけで理解しちゃうんだよね。

 

私の眷属が単体で上弦の鬼の数人分の力がある、最上位の存在だって。強者故の理解の早さだね。実際に上弦と対峙したことは無いかもだけど、そのくらいの圧は感じてると思うよ。冷や汗もすごいし、そろそろ心が折れる頃かな?

 

右から左から眷属コンビの攻撃が嵐のように続く、足場も雪深いから動きにくいでしょ?残念ながら、ゆーくんにとってはホームだし、むーちゃんは長い体だから深い雪も何のそのだよ。

 

 

 

さて、それじゃそろそろトドメの指示を-----

 

ありゃりゃ、なんだろう?私の首筋に何かがぶつかったね。ガキンって鉄の音が鳴ったよ。

 

振り返ってみれば……おぉ!確か貴女はあの時の!!

 

「やっと見つけた!……姉さんの仇!!」

 

花柱だった女性の……妹さんかな?顔付きがそっくりだね。お姉さんの花柱を継いだのかな?

 

「私は『蟲柱』よ!今でも花柱は姉さんのまま!」

 

「胡蝶ォ!下がれ!!」

 

ありゃりゃ、流石に鋭いね。この短期間で むーちゃんの攻撃が読まれ始めてる。尻尾の先が女の人に刺さる瞬間、水柱さんの横槍で避けられちゃった。

 

一先ず、むーちゃん達を呼び戻して私の側に控えさせとこう。向こうも横並びになって刀を握りしめてるし。

 

むーちゃんは私の周りに蜷局を巻いて長い頭をもたげ、ゆーくんはテンションが上がってるのかウホウホ言いながらヒンズースクワットしてる。その癖やめてくれないかな?なんか締まらないんだけど?

 

「貴様、その目の文字……鬼の最高戦力、無弦の零だな!!」

 

声高々に刀の鋒を向けて怒鳴る剣士さん。……あぁ、どうしよう。今のシチュエーション良い!すごくカッコいい。こういう展開って何だか憧れちゃうよね?悪の親玉、そして正義の味方の初遭遇みたいなの!昔アニメで観てたあの展開だよ!!……あにめって何だろ?よくわからないけど、いいねいいね!とっても楽しいよ!よしよし、なら私もしっかり悪役ムーブを貫くとしようかな。

 

ご名答!私は上弦の月より更に上、無弦の月より出し者……呼び名は無いよ。好きに呼んでね?カッコよくて可愛い……健気で弱い剣士さん達。

 

 

-----雪の世界に降り立った白の怪物は、真っ赤な瞳を揺らして語る。二人の剣士は気が付かない。目の前の存在が、正史で最強最悪とされた鬼の祖を軽く凌駕する力を持つ、正真正銘の『化け物』だという事実に……。

 

 

 

 

 







※しのぶちゃんはお姉さんが殉職しなかったので、常に笑顔でいる必要がなく、子供の頃のツンツンした性格のまま成長してるよ。可愛いね!非番の日は大好きなお姉さんと常に一緒。ベタベタだよ。可愛いね!!何故姉が生かされたのかを気にしてるんだ。現場に出られなくなった姉の葛藤を火種に白幼女への憎しみを育んできた闇深き剣士ちゃんだよ。可愛いね!!!


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。