第十八話 新しい環境ってドキドキしちゃうよね。普段はのんびりしてる私でも瞳孔開いて警戒したり、シャーッ!って威嚇しちゃうよ(猫かな?)
夜空から落下する真っ白い幼女は誰でしょう。はい、私だよ!……うん、落ちてる。すごい勢いで急降下してるんだよ。飛んでるんじゃないよ。落ちてるだけだ。かっこつけてな!(無限の彼方へ)
異世界に渡って いきなり空の上は酷いんじゃないかな?落下中の風音が耳にうるさいし、白いワンピース一着しか来てない私には少し肌寒いね。せめて地に足を付けられる所に出たかったよ。白く長い髪はゴンさんみたいに真上に伸びてる。落下の速さを物語ってるね。じゃんけんでもする?
世界渡り最初の謎台詞を喋りながら、私は腕に抱える籠が消えていないことを喜んだ。
……良かった。無くなってないね。世界を移動したら、前の世界から持ってきた物は消えちゃうんじゃないかと思ったよ。もしもそうなったら堕姫ちゃんに悪いもんね。
飴色をした竹製の籠は同じ素材の蓋で密閉されてるから、中身のお菓子達が空に飛び散る心配はない。
地平線が弧を描いているのがわかる程の高い空から、地上をキョロキョロと見渡す。
広い海と茂る森、そして たくさんの建物や人工物。うん。間違いなく新しい世界だ。これまでの何処とも違う雰囲気を感じるね。
後は何処に降りるかだね。私に選ばれる幸運な第一村人さんは何処かな〜?
なんて考えてると、夜空の星々が煌めいた気がした。おぉ、地上ばかり気にしてたけど、この世界って星がすごく綺麗だね。ろじゃ や あいんくらっど、それに
幻想的だね。見えてるお星様が全部動いてるもん。それに消えない。流れ星って一瞬、そして一つくらい視界に入れば幸せだって堕姫ちゃんが言ってたのに、それが全部。比喩でも何でもなく『全部』だよ!全部のお星様が動いてるんだよ。お願い叶え放題だね。このフリーザを不老不死にしろーーー!!あとギャルのパンティおくれーーー!!!
誰の台詞かな?私は既に不老不死だと思うし、ギャルのパンティを願う おバカな人なんて居るわけないもんね。自分で買いに行ったらいいんだもん。
なんて思いながら星に願うことを考えてたんだけど……なんかおかしいね?
お星様が異常に多い。多過ぎるね。
夜空の黒い面積よりも流れ星の面積の方が多くなってないかな?それによく見ると直線的じゃなくて、ウネウネ動いてるよ?……もしかして、お星様じゃない?
そんな疑問の答えは、星自身が運んできてくれた。文字通り自身の身体でね……
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お星様は白い怪物だった。お兄さんに乗せてもらった『車』と同じくらい大きくて触手みたいなのも生えてる。全体的に丸みがあって袋に近い姿だね。でも目を引くのはびっしりと歯が生えた口なんだよ。それに唇が無いから歯茎が丸見えだ。青海苔とか付いてたら一発でバレちゃう。
同じ怪物同士、お兄さんみたいに仲良く出来るかな?こんにちは!私は
にっこりとフランクに接することが出来たんだよ。お兄さんの時は『にっこり+泣き顔』だったからイマイチだったけど、今回のファーストコンタクトは大成功だと思うよ。
-----ダメだった。星擬きは私を捕食しようと大口を開けて迫って来た。この時点で敵対関係は確定なんだけど、私は今大切な籠を持ってるんだよ?いつものように戦ったら籠に衝撃が走って壊れちゃうかも知れない。
だから今回は逃げの一手だよ。もしかしたら、まだ仲良くなれる道も残ってるかも知れないけど、一旦は お別れなんだよ。次に会う時は菓子折りでも持ってくるね。あ、このお菓子はダメだよ。堕姫ちゃんから貰った大事なやつなんだから!
籠を左手に抱えて、右手を地上付近に翳す。そのまま握り込むと私は姿を消した。
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降り立った場所は何処かの山の上だね。それも神社かお寺みたいな場所の屋根の上だ。良かった。勢い余って突き抜けたら罰当たりだもんね。周辺に人は……うん。いるね。たくさんいる。前の世界と違う服装だけど人間だよ。第一村人だらけだね。
それにしても、正しくたった今 星擬きの侵攻が始まったって感じかな?みんな慌てながら空を見たり指差したりしてるもん。
地上にも星擬きが降り始めてる。てっきり空はあの星達の領域で、地上とは不可侵的な世界観かと思ってたけど、阿鼻叫喚の地上を見るに……これは完全に唐突な侵略っぽいね。
たくさんの人達が星に追われて逃げ惑ってる。星は車を砕き、家を壊し、逃げる人達を無差別に殺してる。……仮にも鬼の一派な私が言うのも何だけど、ちょっと不快だね。
お兄さん達は生きる為に人を殺して食べてた。刈り取った命を極力無駄すること無くね。でも、あいつらは違う。ただ殺してるだけ。噛み砕いて擦り潰してその場に捨ててる……。
私は人間が好きなんだよ。この世界に来て10分も経ってないし、どっちが悪なのかも知らない。もしかしたら、この世界の人はあの白い星擬きを怒らせることをしたのかも知れない。でも、それを確かめてる間にどれだけの人が殺されるかわからない。
なら、私がやることは一つだよね。きっと『私』も許してくれる。
籠を屋根の安定してる所に下ろして、私は近くの街に右手を翳し-----飛んだ。
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キリがないね。本当にこの星擬きは何体いるのかな?あれからずっと戦ってるんだけど、減らせてる感じがしないよ。なんなら増えてないかな?それとも星擬きが私を集中的に襲ってるからそう感じてるのかな?
あ、また腰に齧り付いて来た。コラコラ、いい加減に理解してよ?傷なんて付けられないでしょ?
私の身体に噛み付いてそのまま力任せに擦り潰そうとしてる。でも、砕けたのは星擬きの歯の方だった。痛みを感じないのかな?構わずガブガブしてくる。……えいっ!
頭に拳を落とすと、星擬きは簡単に潰れて消えた。中身は赤黒いガスの塊なのかな?しゅわしゅわ音を出した後、跡形も無く消えるんだけど。面白いね。これで生き物として成り立ってるのかな?
あ!逃げ遅れた親子らしき女性と女の子が襲われてる!やめろ〜このやろぉ!!
右手で急接近して同じく拳を叩き付ける。さっきと同じで簡単に掻き消えちゃった。あ、親子と目が合った。唖然と私を見てるね。言葉は……やっぱり通じないか。なら笑顔!ニコッと笑ってあげるのが一番のコミュニケーションだよ!
純白幼女のスマイルが効いたのか、二人の強張った表情は少し柔らかな笑みに変わった。よしよし、この辺は危ないから、あっちの方に逃げてね。戦いながら探してたけど、さっき私が降りた山には星擬きが集まってないから、ここよりは安全だと思うよ。お!身振り手振りが伝わったのか、何度もお辞儀をしながら走っていった。本当は送ってあげたいけど、ちょっと余裕がないね。今この瞬間も星擬きは人を殺してる。……全員は救えそうにないけど、せめて手の届く範囲の人達は助けてあげるからね!
-----群がる星を砕いては進み、襲われてる人を救っては笑顔を向ける純白の妖精の姿を、この世界の人々は目に焼き付けた。そして、憧れと羨望、畏怖の念を込めて、後の世まで語り継ぐことになる。
〜嘘が本当か天の声シリーズ〜
天の神「なにあれ?(絶望)」
もうすぐ 神樹「なにあれ?(希望)」