幼女だよ。異世界を巡って自分探しをしてるよ   作:KDAL

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第二十話 実戦に勝る経験は無いよ。だからって普段の特訓を怠ったら一歩も前進しないんだからね!(実体験)

 

 

 

この世界に来て数年が経ったんだけど、ちょっと話すと長くなるから、駆け足であらすじを話していこうと思うよ。別に『のわゆ』知識が浅いから深掘り出来ないとかじゃないんだよ?そこら辺を深く追求しようとするなら大社に消してもらうから覚悟してね?(社会の闇)

 

 

 

-----あの後、目的地に着いた私達は事情を知った大人達に病院?らしき所に連れて行かれた。

 

他にも星擬き……『バーテックス』と戦った女の子達がいたみたいで、各地で入念に身体検査とかされてるみたいだね。もちろん、私もそれを受けたよ。

 

でも、針が通らないから血液とかの採取はされなかった。大人達の驚いた顔を見せてあげたかったよ。面白かった!

 

私の大切な一張羅の白ワンピも調べられたよ。何だか未知の素材で構成されてるとかで『だいがく?』に預けて欲しいと言われた。……いや、流石にそれは断ったよ?『私』に繋がる唯一無二だし、会ったこともない人達に渡すのは嫌だもん。信用とか以前に顔も見たことないんだからね。それでも逆ギレ気味に食い下がって来たから、ちょっとイラッとして床に小さなクレーターを作っちゃったよ。流石に黙って諦めたね。怖い怖いだよ〜(私が)

 

その代わりに瞬間移動を見せてあげた。針が通らなかった時よりもびっくりしてた。ギア5のルフィ見たいに目が飛び出してたんだよ!……誰のことだろうね?

 

検査が終わって、わかば には『ゆーしゃ?』の適性があるとわかったんだよ。ひなた には『みこ?』の適性があることもね。私はそのどっちも無かったよ。面白くないね!(妬みじゃないよ〜)

 

でも、何故か適性の無かった私の方が変に特別扱いされた。クレーター作ったり瞬間移動したり左手の『一発芸』を披露したせいかな?なんだろうね。

 

その後、私達は一ヶ所に集められた。みんなで自己紹介をしたんだよ。わかば と ひなた の他に『ゆーな』『たま』『あんず』『ちかげ』の四人とだね。

 

ゆーな とはすぐに打ち解けられたよ。いつも元気で楽しそうで、居るだけでこっちまでニコニコ嬉しくなるんだよ!太陽の神が宿った木ノ実とか食べたりした?

 

たま と あんず は姉妹みたいに仲が良いんだよ。衝撃的な出会いをしたとかで凄く心の距離が近かった。二人で音楽を聞く時もイヤホンを片耳に一つずつ付けて頭を こっつんこ してるくらい物理的にもね。私はそんな二人の間に挟まってることが多い。たま は『また妹が増えたぞ〜!』って喜んでたよ。あんず も私を膝の上に乗せて撫でてくれるから好き。『お姉ちゃんになれて嬉しい』って言ってたよ!

 

ちかげ とは仲良くなれるか心配だったけど、携帯ゲームを覗き込んだ時、口をついて『スマブラだ!…あれ?ソラがいないね?』と言った瞬間に目の色が変わって、両肩を掴まれながら色々質問責めにされた。なんて言ってたかな?最後の ふぁいたー が発表される前にバーテックスが攻めて来たとか何とか言ってたけど、よくわからなかったんだよ。その後は沢山ゲームの話しで盛り上がって、すっかり仲良し!家に遊びに行った時も対戦で盛り上がった!ちかげ が持ってるかは分からないけど、じゅうはちきんってゲームもあるみたい。大人向けなんだって!きっと高難易度なんだよ。いつか遊ぶのが楽しみ!

 

それと、私のことも包み隠さず話したよ。まだ言葉がわからなかったから上手く説明出来なかったんだけど、ひなた が噛み砕いてみんなに代弁してくれた。お陰でトントン拍子だったよ。本当に頭が良いんだね?通訳兼 私のお世話役として異世界に付いてきてくれない?

 

『異世界』って言葉に、みんなは少し動揺してたけど、バーテックスみたいな怪物がいるんだし、別の世界があっても不思議じゃないよな!…と、たま が言って、それもそうか…みたいな感じで受け入れてくれた。ちょろくて嬉しい(こら)

 

その話の後は私への質問やら異世界がどんな所だったのかとかの話しをしたよ。鬼殺隊とのことはオブラートに包んだけどね(化け物幼女)目の中の『無弦の零』の文字も見てほしかったけど、いつの間にか消えてたんだよ。消して欲しいと言ってたけど、無くなっちゃうと少し寂しいと感じちゃうね。代弁役の ひなた はオーバーヒート寸前だったよ。みんな興味津々だった。

 

そうそう。たしか『しんじゅ』って言う木の神様も現れたみたい。バーテックスから人間を守る神様だって聞いたよ。まだ発音が難しかった頃、しんじゅ を 『いんじゅー』って言ってたんだけど、一部の人から変な目で見られたよ。ひなた も顔を赤くして『あまりその呼び方はしないでね』みたいに言ってた。何でかな?わかば にも聞いてみたけど『?』を浮かべてたよ。ほんとになんなのかな?

 

呼び方と言えば、その頃からかな?私のことを大人が『よーせーさま』と呼ぶようになったんだよ。何となく返事してたら、それで大人には定着しちゃったね。しんじゅ のことを呼び捨てにしたり不思議な力を使ってるから、しんじゅ と同格の存在なんじゃ……なんて噂が立ってたみたいだけど、まさかね?

 

……え?何で神樹を『様付け』しないのかって?簡単だよ。私が神を恨んでるからだね。二号達との悲劇的な別れを私はまだ根に持ってるんだよ?一目だけ、一言だけってあんなに願ったのに…。たぶん、しんじゅ は あいんくらっど にいる神とは別人…いや別神なんだろうけど、兎に角『様付け』はしたくないんだよ。八つ当たりだろって?そうだよぉ?(悪意有り)

 

みんなとは『バーテックス』と戦う仲間として、ずっと一緒に行動してる。毎日訓練をして、訓練で汚れた体をお風呂で流しっこしたり、勉強したり、検査を受けたり、『うどん』を食べたり、遊んだり、夜にお泊まり会(合宿?)をした時は、世界を救った後、みんなで何をするかとか何処に行くかとかの話で盛り上がった。

 

そんな生活だから『私』に関する手掛かりを探す自由時間が全く作れないのが残念だけどね。夜中にこっそり抜け出して情報収集に行こうとしたら、監視でもしてたのか大社の人達がワラワラと集まってきて止められたよ。涙目で『よーせーさま 行かないで下さい!よーせーさま!!』みたいな感じでね。流石にそこまで言われたら出掛けられないよ。何だか可哀想になってきちゃったもん……。

 

数年経って、みんなは みるみる成長していったよ。わかば は幼い雰囲気を残しつつ、大人っぽい素敵な中学生さんになったし、ひなた 達も同じ感じだね。私は相変わらず純白幼女のまま1ミリも伸び縮みしてないんだけど、みんなは全然気にして無かった。……冗談っぽく『歳を取らない化け物って言われたらどうしようかと思ったよ〜』と言ったら、割と本気で わかば に叱られた。二度とそんなことを言わないでくれって。……嬉しかったなぁ

 

 

-----そんなある日、長野って場所がバーテックスに襲撃されたと連絡が入った。わかば と通信で交流していた 長野の ゆーしゃ とも同日に連絡が途絶えて、みんなは不安に呑まれそうになってたんだよ。

 

そして、その数日後-----私達も遂にバーテックスとの戦いを迎えた。

 

 

 

 

 

---------------

 

 

 

 

 

「はあぁぁああぁあ!!!」

 

若葉(わかば)は怒声と一緒に一筋の青い線となって飛んでいく。相手はバーテックスだ。でも、何度も戦って来た雑魚の星擬き…いや『星屑』じゃない。もっと巨大で特別な姿をしてた。

 

個体差はあるけど、それぞれ30メートルくらいあるよ。進化したのかな。鬼みたいに人を食べて強くなった可能性もあるよね。

 

厄介なのは、巨大の中に星屑を格納していて、叩く度にそいつらが体外に出て来て邪魔をすること!みんなは神樹の聖衣を身に纏ってるけど、私と違って不死性は無いからね。噛まれたら痛いじゃ済まないんだよ。

 

……え?私?いつもの白ワンピだけだよ。なんでかって?私は『勇者』じゃないもん。部外者だからね。仕方ないよね。でも、さすがは勇者に選ばれたみんなだ。敵の攻撃を受け、去なし、隙を見つけては重い一撃を与えていく。四体いたバーテックスも全体的に弱ってる感じだよ。でも、攻撃すればするだけ星屑も増えてこっちの負担も重くなる。早く倒さないとね!

 

知恵の無さそうな見た目なのに統率力が高いね。何百の星屑がウネリながら向かってくる様は、まるで一匹の巨大な蛇なんだよ。物量にものを言わせて突っ込んでくる。でも、私達だってチームワークは負けてないんだよ。

 

「来たな…。無垢(むく)!私を奴の頭上へ!」

 

星屑に押し戻された若葉の手を取り、右手を翳して……飛んだ。特攻してきた星屑達は目標を見失い右往左往だよ。ほらほら、私と若葉は君達のボスの真上なんだよ!星屑が気付いた時には若葉は大型バーテックス……キャンサーの頭部に刀の一線をお見舞いしてた。弱点を狙われたそいつは、神樹の結界の底へと落ちていく。体が崩壊しながらだから、やっつけた筈だよね?深追いせず、次の大型を仕留めないと。

 

「乃木さんッ!無垢ちゃんッ!気を付けて!!」

 

千景(ちかげ)の注意と共に、高圧の水光線が若葉と私に向けられた。むーちゃんの毒液を彷彿とさせる切れ味のいい水の刃だ。喰らえば若葉の体が真っ二つにされちゃうね。でも、そんな事はさせないんだよ!

 

「……‼︎…無垢、すまない!」

 

いいんだよ。グリーンだよ!……と、よくわからない台詞を呟きながら、若葉と手を繋いだまま すかさず右手を翳して飛んだ。水の刃は空振りだよ。

 

「よぉし!そのバーテックスはタマに任せタマえ!」

 

「タマっち先輩、私も一緒に行きます!」

 

タマと(あんず)がアクエリアスと呼ばれる水を出してきたバーテックスを引き受けてくれたね。なら、私と若葉は残ったニ体を……て、うわぁ!?

 

「しまった!…無垢!!」

 

油断したんだよ!神樹の大きな根っこの間を掻き分けて来た『鎖』が私に巻き付いた。その拍子に若葉と手が離れちゃった。そのまま私を地の底に引き摺むように鎖が引き戻っていくんだよ。右手ごと体に鎖が巻き付いてる。そのせいで宙渡りで抜け出せないよォ!

 

「勇者ァ!パーーーンチィ!!」

 

横から頼もしい声が聞こえた瞬間、私を縛る鎖が砕けた。慣れ親しんだ友達の声は心身ともに安心させてくれるね。ありがと、友奈(ゆうな)

 

「無垢ちゃん。ここは大丈夫だから、ぐんちゃんとあのちっこいのをやっつけて!」

 

友奈の指差した先には、ジェミニのバーテックスが二体並んで走ってる。私を鎖で拘束しようとしたのは、あの二体の仕業なんだよ。

 

若葉は溢れた星屑を抑えてくれてる。友奈も手助けに行くみたいだね。タマと杏も見事な以心伝心で連携しながらアクエリアスを追い込んでる。なら、ジェミニは私と千景に任せタマえ!…なんだよ!

 

「うん!信じてるね!無垢ちゃん、ぐんちゃん!!」

 

タマの口真似だと気付いた友奈は笑みを溢して若葉の所に跳んで行く。私も右手を翳して千景の横に飛んだ。今の話は聞こえていたみたいだね。さぁ、千景!手を取るんだよ!

 

「えぇ、無垢ちゃん。行きましょう!」

 

千景と手を握り合って、遠退いて行くジェミニに手を翳す。視界に写る限り、私に物理的な距離は無いようなものなんだよ!

 

ぎゅっと右手を握るとジェミニの真上に出た。千景は鎌を、私は拳を握り締めて、仲良く並走するジェミニに渾身の一撃を-----打ち込めなかった!?

 

「星屑が!まさか、誘い込まれてたの!?」

 

私達が来ることをわかっていたみたいにジェミニの足下から大量の星屑が競り上がって来た。あっという間に円柱形の壁となって渦巻く星屑の中心に囚われちゃった。まるで檻みたいだね。そのまま高速で回転しながら中の私達をミキサーしようとしてる。……なるほどね。完全に私対策だよ。視界全部に星屑がいるから、宙渡りが出来ない。やっぱりこいつらを統率してる『天の神』はかなりのやり手なんだね。でもね。私には奥の手……いや、左手の力があるんだよ!この世界に来た当初は使い道がわからない『一発芸』な左手君だったけど、訓練を経て、やっとその能力が判明したんだからね!千景!お願いするんだよ!

 

「任せて。私が突破口を開くから!」

 

本当なら大ピンチだと思うけど、千景は何一つ焦る様子も不安も無いみたいだね。だからこそ、私も安心して『左手』で千景の腕を取った。

 

淡い発光と共に、私の左手が力を魅せる。腕から生えるのは数多の茎。それは にょきにょき と伸びて、沢山の花を咲かせる。真っ赤に咲き誇る『彼岸花』だ。青いのが混じってないかな〜と いつも期待して見てしまうね。職業病かな?

 

私の腕から咲いた彼岸花は千景の体に這い伸びていく。やがて全身に柔らかく巻き付くと、綺麗な発光現象を呼び起こした。

 

千景の姿が変貌する。白く全身を覆うフード付きの装束に赤いラインが あしらわれた姿。頭には一輪の大きな彼岸花を付けていて とっても可愛いね。お人形さんみたい……という表現が当て嵌まると思うんだよ。

 

そして、変化はそれだけに止まらない。千景の周囲を取り囲むように、同じ姿の千景が六人現れる。『七人御先』と呼ばれる精霊の力で更なる変身を遂げた分身能力だよ。

 

この状態なら千景は全員が同時に殺されない限り、何度でも七人にまで増え続けることが出来る。手数と広範囲に渡る索敵が強みだね。

 

でも、強い力には代償が伴うものなんだよ。勇者のみんなは千景と同じ精霊の力で二段回目の変身が出来るけど、それは著しく命を消費するんだよ。三分間しか使えないし、力を使えば使うだけ、自分の体が壊れて傷付く。正しく諸刃の剣…『切り札』だね。

 

……でも、今の千景には、それらの代償が掛かってない。だって-----私が左手の力で代償を打ち消してるんだもん!

 

「「「「「「「はぁああぁぁぁ!!!」」」」」」」

 

七人の千景は螺旋状に大葉刈をミキサーと化した星屑達に走らせる。集まっても所詮は星屑。まして精霊と『妖精』の力で過剰に強くなった今の千景の敵じゃないんだよ。切り札って名前は返上だね。切る札が……代償が無いんだもん。

 

「無垢ちゃん!行って!!」

 

バラリ…と、りんごの皮剥きみたいに裂き切れた円柱型の星屑の隙間からジェミニを睨む。視界にさえ入れば宙渡りが出来るんだよ。手を伸ばして空間を掴み取る。その瞬間、私はジェミニの前にいたんだよ。相手も唐突に現れた私に驚きつつも、鎖を鞭みたいにしならせてきた。でも、もう遅いんだよ。食い縛る歯は無いだろうけど、我慢してね?

 

私の拳は二体並んだジェミニを一纏めに貫いて、星屑が溢れる間も無く消滅させたんだよ!タイミングを同じくして、背後でアクエリアスが消滅する光も見えた。キャンサーもきちんと倒せていたみたいだね。星屑達が慌てて逃げて行くんだよ。

 

敵を倒し切ったと判断したのか、神樹の結界は嵐のような花弁と共に消失して、私達は現実の世界へと帰って行く。

 

勇者の初陣は、完璧なまでの大勝利だったんだよ!やった〜〜!!ご褒美は何かな?未知!私は未知を所望するんだよ!!え?ご褒美は『旅館』にお泊まり?何それ?どんな未知なの??

 

 

 

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