今回はガッツリとネタバレるから注意なんだよ〜
第?話 正直な所、この世界には私が介入する余地なんて無いと思ってた。だって完璧な家族構成だもん。そこに割って入るのは不可能だってね。でも気が付いたの。『彼』の立場を奪取すれば可能だってね!
授業でお菓子を作る。学校から帰ってきたアーニャがワクワクしながら張り切ってた。テレビの上で大きく欠伸をしながら、タイミングを同じくして仕事から戻ってきた両親のロイドさんとヨルさんと共に詳しい話を盗み聞く。
ふむふむ。校長先生が生徒の作ったお菓子を評価するから、その ほっぺを落とさせれば『ステラ』獲得のチャンスと。それは頑張らないといけないね。私も精一杯協力するよ。この身体で出来ることなんてあんまり無いかもしれないけれどね。
ロイドさんは校長先生に作るお菓子は『メレメレ』が良いと言ってる。子供にも覚え易い良い名前だね、メレメレ!どんなお菓子なのかは皆目見当がつかないけど。
アーニャは自分がメレメレを食べたいと言ってる。折角のステラ獲得の機会だよ。流石に我慢しようね?孤児院からずっと一緒なアーニャだけど、未だに何を考えてるのか分からない事が多い。子供は未知の生命体だもん。仕方がないよね。
ん?ロイドさんが実際にメレメレを食べに行こうと言ってる。なるほど。本場の味を確かめてより一層完成度を高めるつもりだね。フリジス地方に変わったメレメレを出してくれるお店があるんだって。何で知ってるのかはさておき、つまるところ家族旅行だよ!
ヨルさんもボンドも喜んでるね。家族旅行なんて初めてだもん。テンション上がっちゃうんだよ〜!
「おでけけ!おでけけ!ボンドとキメラ長官も一緒におでけけ!!」
アーニャがボンドを もふもふして はしゃぎながら、テレビの上で寝転んでる私にも声を掛ける。ボンドの野太い『ボうフッ』の鳴き声に続いて、私もアーニャに返事をした。『にゃ〜』ってね。
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旅行計画がトントン拍子に進んで、あっという間に列車の中だよ。北国は寒いからね。家族全員冬用の服に着替えてる。普段見ないから新鮮だね。
客室上部に取り付けられた荷物置きの上から、難しい顔をして勉強をするアーニャを見下ろす。頭から煙を上げて教科書に苦戦してる。それに付き添って面倒を見てくれてる両親を一瞥しながら、この世界でのことを簡単に説明しておこうかな。
世界渡りをした私はウェスタリスと呼ばれる国に来た。相変わらず言葉は分からないし、見た目が純白幼女だから周りの訝しむ表情が刺さる刺さるだった。後から知ったけど、保安局って呼ばれてる人達にも追い回されて散々だったんだよ。
いよいよ困ったから、万能な左手の力を使ったんだけど、まさか『純白毛並みで赤目の子猫』になるなんて思わなかった。すごい小さな猫だね。『すずめ。優しい。好き』とか言いそうなダイジン的サイズ感の真っ白な子猫なんだよ。お陰で保安局の目を掻い潜れた。最後に助けてくれるのは安心と信頼の左手だね。
そのまま猫の姿で街を散策してた時に出会ったのが孤児院で ひとりぼっちだったアーニャだよ。集団から浮いてる感じがしててね。漂う雰囲気が異質で変な子だな〜って思いながら窓の外から見てたんだけど、不思議とそんな考えが伝わったみたいで、ムスッとした顔で睨まれちゃったのがファーストコンタクトだった。
何となくアーニャが気になったから暫く孤児院に居候させてもらいながら一緒に過ごしてたんだけど、そうこうしてる間に孤児院のみんなとも仲良くなって、結局は居着く事になっちゃった。
その頃からアーニャに『キメラ長官』と呼ばれる様になって、周りにもそれが定着したみたい。長官って呼ばれると何だか偉くなった気がするね。悪くない響きで気に入ってるんだよ〜
そんな長官な私を孤児院の酔っ払い院長は事あるごとに追い出そうと駆けて来たけど、泥酔気味のヨタヨタ走りで猫になった私に追いつける筈ないのにね。じっくり48時間掛けてお酒を抜いて出直してくるといいよ。幸せスパイラルから脱した後で鬼ごっこの再戦を受け付けるんだよ〜
そんな生活を続けてたら、アーニャに人生の転機が訪れた。里親のロイドさんとの出会いだよ。アーニャを見るや否やあっという間に連れ帰ることになってね。ちゃんとお話もしてないのに変だな〜って思ったんだけど、アーニャは何故かワクワクしてるし、成り行きに任せる事にした。ちなみに、私を抱き抱えて一緒に行こうとしてたアーニャだけど、ロイドさんは猛反対。猫が嫌いだとか猫アレルギーとかじゃないみたいだけど、余計なお荷物扱いされちゃった。すっかり私に懐いてたからアーニャも大号泣。まぁ、私もアーニャと離れたらダメだって本能が訴えてたから、後でこっそりと後を付けるつもりだったんだけどね。……なんて考えてたら、何故かアーニャはあっさりと私を手放してニコニコしながらロイドさんに付いて行った。まるで私が追い掛けるのを分かってるみたいな反応だった。本当にアーニャは変わってて面白い。私に相応しい未知を秘めてるね。
その後も紆余曲折あった。アーニャが誘拐された場所を私が猫特有の嗅覚でロイドさんに知らせて、正式に家族に迎えられたり、学園に入学する為にヨルさんと仮初の夫婦になったりだね。
そう『仮初』なの。アーニャは知らないだろうけど、何とこの夫婦はスパイと殺し屋なんだよ!少し前に気が付いたの。お互いの目的の為の偽装家族みたい。ロイドさんの部屋からは薬莢特有の匂いがしたし、ヨルさんからは返り血を浴びたみたい異臭が漂ってたからね。猫の身軽さと宙渡りを駆使して二人を尾行したらそれが判明したんだよ。それをお互いが知らないのが面白いよね。純白幼女は娯楽に飢えてるんだよ〜
そういえば、その頃からアーニャが私を見る目も変わった気がする。羨望とか憧れとか、そんなものに近い眼差しを感じる様になったんだよね。この前なんて『キメラ長官が人になったら〜』とか言い掛けて咄嗟に口を手で押さえてた。一瞬ギョッとしちゃったよ。もしかして私が別世界の人間だってバレたのかと思ったけど、アーニャの前でボロは出してないし、子供特有の妄想かな?……なんて考えたけど、その後 益々目をキラキラさせて見つめられたのが印象的だった。本当に不思議な子なんだよ〜
それにしても、私を含めてロイドさんやヨルさんがお互いの秘密を知っちゃったらどうなるんだろう。それでも信頼し合うのか、それとも崩壊しちゃうのか…。ルプスレギナさんが居たら身を震わせて興奮しそうなシチュエーションだけど、私はサディスト?じゃないと思うし、円満な家庭を継続して欲しいと感じてる。私自身、家族の一員だって言って貰えて嬉しかったし、珍しく私がゆっくりと過ごせる世界だもん。ずっと続いたら良いなと思ってるんだよ〜
誰かに向けた回想を終えて、再び荷物置きからアーニャを見下ろすと、教科書を凝視して唸り声と変顔を披露していた。そんな姿を流し見しつつ、私は毛繕いをしながら車窓から見える雄大な山々を眺めた…。
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何だこのオッサン。と、率直な感想が頭をよぎりつつ、ボンドと一緒に飲食店内の雰囲気が変わったのを見てる。
特別なメレメレを出すお店の料理に舌鼓を打っていたフォージャー家の前に現れたのは口髭の軍人さん達。なんとこの人達、旅の目的のメレメレをアーニャから取り上げちゃったんだよ。酷いよね。それが最後の一つだったのに。遠路遙々私達がココへ来たのは、そのメレメレを食す為だったんだよ。後から入ってきた軍人が子供から横取りだなんて大人気ないとか思わないのかな?
ほら、アーニャがすごく悲しそうな顔をしてる。アーニャが悲しくなると私も悲しくなっちゃう。猫化を解いて純白幼女の不死身パンチをお見舞いしちゃおうかな。でも、それをすると私の正体がみんなにバレちゃうし、また保安局に追われるかもしれない。何よりも、お世話になってるフォージャー家に迷惑を掛けることになるし……どうしたらいいかなぁ。ねぇ、ボンド。どうするのがベストな選択かな?
隣で同じように家族の心配をするボンドを見上げながら訴えたけど、ボゥフぅ…と、気の抜けた返事を返されるだけだった。 あ、ロイドさんが口髭軍人とのメレメレを賭けた何らかの勝負に負けたみたい。取り戻せなかったんだよ。残念……。
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こらぁ!アーニャを離せ!このロリコン変質者どもめ〜!!
店長さんから『メレメレの材料を集めてくれれば作れる』と言われた。お使いクエスト開始だね。でも、最後の一つがどうしても見つからなかったんだよ。半ば諦め掛けてたんだけど、アーニャとボンドの謎のファインプレーで最後の材料が手に入った。やったね!ドラゴンなクエストやファイナルなファンタジーだと、ここから更に別のお使いクエストに派生するけど、そんなことも無くミッションコンプリートだよ。
意気揚々とロイドさん達の待つ宿屋に戻ろうとした私達だけど、いきなり現れた変質者二人にアーニャが捕まっちゃった。幼気な女の子を攫おうなんて許せないんだよ!ボンドはポッチャリした変質者に食らいついて、私は細身の変質者の顔に飛び掛かって高速猫パンチをお見舞いする。イエス・ロリータ・ノータッチを弁えない悪いオジサン達にはキツイお仕置きなんだよ〜!!このこのこの〜〜!!
でも、うっかりしてたよ。この姿だと純白幼女の時の不死身パンチみたいな強い威力が出せないんだった。首根っこを掴まれて、そのまま地面に叩き付けられちゃったよ。小さくて軽い私の子猫ボディは何度も地面をバウンドした。この姿でも不死身属性は健在だから痛くはなかった。すごく不快感があっただけ。でも、ボンドも蹴り飛ばされて、その間にアーニャが車に連れ込まれて攫われちゃった。咄嗟に宙渡りで車を追いかけようとしたけど、目を回したボンドが私の上に覆い被さったせいで、それは叶わなかったんだよ。ちょっと!重たいったら!早く退いてよ〜!!
ボンドの下敷きになってジタバタしてる所をロイドさん達に救出された頃には、アーニャを乗せた車は何処かへと走り去った後だった……。
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アーニャを誘拐した人達はすごく危ない組織のメンバーだったみたい。ロイドさんがトバリって呼ばれてる女の人と話してるのを聞いちゃったんだよ。その誘拐犯とアーニャは行きの列車で接触してたっぽい。その時の私は毛繕いに勤しんでたからね。全然知らなかったんだよ!(無能猫)。マイクロフィルム?を食べたとか何とか言ってたけど、詳しくは分からなかった。でも、アーニャがピンチだってことは理解したんだよ。
その後すぐにロイドさんは骨董品みたいな戦闘機に乗って行っちゃうし、ヨルさんも気付かれないようにそれに同行しちゃった。それで、残された私はどうするか。……もちろん追いかけるんだよ!アーニャは私の『大切』の一つだもん。地の果てまでも助けに行くからね!
ボンドはお留守番だけど、私は宙渡りを繰り返してロイドさんを後ろから追うことにした。天候が荒れてきたせいで、吹雪と暴風に身体が煽られちゃう。軽い子猫ボディじゃ追うのも大変だったけど、何とかアーニャが囚われてる巨大な飛行戦艦に到着したよ。各所に機関砲やミサイルが搭載されてる。この時代にしては行き過ぎた技術だね。進撃の巨人の世界に突然飛行船が出た時の衝撃を思い出したんだよ。
到着して間も無く対空砲の的になったロイドさんだけど、流石の操縦テクニックで被弾を極力避けてた。それでも何発かは当たっちゃってたけど、なんとか戦艦の上に着陸して内部へ潜入したんだよ。ヨルさんも無事みたいで、ロイドさんとは別ルートから船に入って行った。……さて、私はどっちに付いて行くべきかな?
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こっそりヨルさんの後を追ってきたけど、たぶんこっちに付いて来て正解だったと思う。何故かって言うと、サイボーグみたいなヤバぁな奴にヨルさんが
いつもの刺突武器も無いヨルさんじゃ、全身がアイアンマンなアイツには敵わないかも。左右の腕にはガトリングガンを搭載してる。……と言うよりも、腕そのものが ガトリングにすげ替えられてる。やっぱりこの時代の技術にしては飛躍し過ぎてる気もする。けど、現に目の前に居るんだから言っても仕方がないね。
二人の様子が一望出来る高い天井付近に子猫ジャンプでよじ登って、身を潜めて成り行きを見守るんだよ。激しい攻防のせいか、辺りが段々と火の海に変わっていく。ちょっとちょっと!ここ空の上だからね!?そんなに大暴れしたら事後処理が大変なことになるんだよ!!
これ以上戦いが長引くと飛行戦艦が墜落コースだ。ヨルさんも少しずつ息が上がってる。何とか私も加勢したいけど正体がバレると困るし、どのタイミングで出て行けば良いだろう……。
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決め手にかける。その場で相対する両者は目の前の強敵に対して同じ考えを持っていた。
片や銃火器と鋼鉄の身体を持つ
ヨルはどうやって目の前の敵を倒せば良いかと思考を巡らせつつ斧を振るう。自慢の刺突武器でなくとも、彼女が手にすればどんな物でも確殺の凶器に変貌する。しかし、届かない。眼前の敵を屠るには、それでは足りない。何か無いのか。どうにかして敵を処理する手段は無いのか。
そんな時、ふと視界の端に白い何かが写り込んだ。辺り一面は火の海であり、且つ多数の瓦礫に混じって落ちる小さな物体だ。常人では見つけることは出来なかっただろうが、アフリカのマサイ族もビックリな彼女の視力はそれを取り溢さなかった。瓦礫に隠れる様にして頭上から落ちてくる白い物体。それは彼女がよく知る姿をしていた。
(え!?キメラさ───)
大切な家族の一人。一匹の子猫の名前が脳裏を過った時、激戦の均衡が崩れた。視線を敵からズラした瞬間、一気に距離を詰めたタイプFによって手にした斧が弾かれた。そして、反対のガトリングガンの銃身がヨルを捉える。
やられる!……ヨルがそう思った刹那、二人の頭上で白く輝く発光が起きた。フラッシュバンかと目を細めたが、見上げた視線の先にいたのは、純白のワンピースと真っ白な長髪を靡かせながら迫る幼女の姿だった。
その姿を見て何かを感じ取ったのか、ヨルはその場から信じられない跳躍で離脱した。だが、タイプFは違う。脳みそまでサイボーグ化されているのか、生物としての『危機感』が欠如していたのかも知れない。新たに現れた異物を排除するべく両手のガトリングガンを幼女へと向ける。銃身が鳴り響き、内包する数多の弾薬が打ち出された。
だが、人の身体を容易く蜂の巣にする銃火器が、その純白幼女にとっては豆鉄砲にも満たない火力にしかならないなどとは、タイプFは思いもしなかっただろう。その柔らかな体表に銃弾が軽く弾かれるのを認識したのは、純白の幼女がすぐ目の前に迫った後だった。
「───不死身、パーーーーンチぃ!!!」
落下の勢いに乗せた拳をタイプFの顔に叩き込んだ幼女。そのパンチがこの世界で最も重たい拳だと知らないタイプFは、長い戦いでボロボロになっていた鉄の床ごと打ち抜かれ、爆音と煙を巻き上げながら幼女と共に船底の奈落へと落ちて行った。
後に残されたのは、今の衝撃でポッカリと空いた巨大な穴と火の海。そして、離れた場所で その光景を見ていたヨルだけだった……。
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船の高度が落ちてる。原理は分からないけど、大きな気球で浮いてる船だもんね。それが轟々と燃えたら落ちちゃうのは私にも分かるんだよ。
眼下で意識を失ってるサイボーグを尻目にしながら、これからどうするかを考える。
アーニャはロイドさんが見つけてる気がするし、難敵っぽいサイボーグさんは私が倒した。なら、後は安全に飛行戦艦を下ろしたいよね。
船体の割れ目から外を見ると、進行方向には街が見える。このままだとそこへ突っ込んじゃうね。映画のラストシーンじゃないんだから、無駄に壮大な展開にしないでもらいたい。
これは私一人の力じゃどうにもならないかな。方向を変える為に不死身パンチをぶつけたとしても、船の表面を壊すだけだもん。宙渡りで別の場所に瞬間移動させるのも有りだけど、こんな巨大な物を移動させたらどれだけの期間
でも時間は待ってくれないね。そんなことを考えてる間に、街との距離がみるみる近くなって来たもん。迷ってる余裕は無さそう。腹を括って宙渡りを使うしかないね。次に目が覚めたら千年後とかじゃなければいいんだけどな〜。おやすみ、キメラ長官。新しい世界で、また会おう。
誰とも知れない人の言葉を浮かばせながら、意識を船全体に集中させて、遠くに見える大きな湖か海に宙渡りの照準を合わせる。後は掲げた手を ぎゅっと握り込むだけなんだけど……ありゃりゃ?飛行戦艦の進行方向がゆっくりと変わってる。街を避けるような進路になった。
誰かが操舵室で舵を切ってくれたのかも。この船に乗ってた悪い人達はバタバタと逃げ出してたし、考えられるのはロイドさんかな?だとしたら問題は無さそう。ロイドさんは過去にも沢山の危機を乗り越えてるもん。今回だってきっと何とかしてくれる。
……え?何の保証も無いだろうって?みんなには分からないかも知れないけど、私はこの世界でそれなりにフォージャー家の一員として過ごして来たんだよ。確かに保証は無いけど、絶対にどうにかしてくれるって信じてる。家族の絆とか愛の力だとか、そんな曖昧な類いの物だけど、それでも確かな信頼を寄せてるんだよ。
轟々と燃える飛行戦艦が どんどん地表と街に近付いてるけど、私は操舵室で奮闘してるだろう『家族』を信じて、宙渡りを使おうとした手を引っ込める……。
その後すぐ、飛行戦艦は大きな水の柱と轟音を叩き上げながら、深い水の中へと着水した。
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フォージャー家はみんな五体満足で生還したよ。当然だね。この世界での私の自慢の家族だもん。この程度でどうこうなるような柔な面子じゃないんだよ。みんなそれなりに疲れたみたいだけど、次の日にはピンピンしてたもん。ちょっと引くくらいに身体が頑丈だね。実はみんなサイボーグなんじゃないかな?腕からガトリングガンとか出せない?(出せない)
飛行戦艦の情報は捻じ曲げられて、試運転中の事故として報道された。悪者の情報は何一つ出なかった辺り、ロイドさんが頑張って隠したみたい。お疲れ様!後で膝上に乗ってゴロゴロ喉を鳴らしてヒーリングしてあげるね。
マイクロフィルムがどうしたって話もあったけど、私はフォージャー家が無事なら後はどうでも良いんだよ。小難しい話なんて子猫の私には関係ないもん。今日も毛繕いで忙しい忙しいだよ〜
旅の目的の『メレメレ』も食べられたし、これでステラ獲得は決まったようなものだね。目指せインペリアルスカラ〜!
……ただ、帰りの列車の中でヨルさんからジ〜ッと見つめられてたのが気になった。もしかして、私の正体に気付かれちゃった?いやいや、そんな筈ないよね。ヨルさんの視界外から瓦礫に紛れて飛び出したし、光っちゃうとはいえ、猫化解除も手早く済ませたもん。
食い入る様な視線は全てを見透かしてるみたいで、猫なのに冷や汗が止まらなかった。アーニャが急に『あ〜、旅行楽しかったな〜。母と一緒に旅行の思い出を振り返りたいな〜』と、やけに棒読みな発言をしてくれたからヨルさんの刺す視線から逃れられたけどね。アーニャ、グッジョブだよ!帰ったら新鮮な野ネズミを枕元に置いといてあげるからね!(猫なりのお礼)
───揺れる列車の中、世界の命運を握る仮初の家族は、他愛無い会話で笑い合いながら 我が家のある首都バーリントへと帰るのだった。
原作キメラ長官「解せぬ」