やぁ、みんな!私は今、パパの支配してる『無法都市』を離れた別の街の中を歩いてるんだよ。パパの側近さんに支配者の娘(仮)として顔見せをする為にね!高いビルが建ち並ぶ間を人や車が沢山行き交う光景は大都市ならではなんだよ〜!!
自由に出歩けるようになって暫く経つけど、最近は各地にいるパパの配下さん達に挨拶して回ったり、この世界の常識を学ぶ日々が続いてる。
もちろん、自分探しも怠らないよ!美味しいものを食べたり、知らない景色を見たり、仲良くなった人達に頭を撫でて貰う催促をしたりね!(自分探しとは?)
この世界の言語も覚えようとしたんだけど、過保護なパパが『あらゆる言語を理解する個性』を付与してくれるから、ついついそれに頼って言葉の勉強が疎かになっちゃうんだよね。
便利な方へ流れちゃうのはダメなんだろうけど、ある物は何でも使っちゃえの精神だから仕方がないね。
ただ、私の体は個性の定着がイマイチだから定期的に貰い直さないといけないのが難点かな。左目の力を使って『翻訳の個性』を持ってる人と仲良くなれれば話が早いんだけど、魔王の娘だから相性の良い人が見つからないんだよね〜
……え?まだ左目の解説をしてないから言ってる意味が伝わらないって?そういえばそうだったね!歩きながら話しちゃうんだよ〜
えっと、一言で言うと『個性の意思』と関われる力だね。個性の意思が何かはドクターの説明が難し過ぎて理解出来なかったんだけど、要するに その人の『半身』と関われる力みたい。
この世界の人達は『個性』って特別な力を持ってるんだけど、それには意思が宿ってるんだって。まだ証明されてない概念だけど、私の力がそれを裏付けたみたい。ドクターが発狂して喜んでたのはそれが原因かな?
……ん?見えるだけじゃ何の役にも立たないだろうって?お話には続きがあるんだよ?最後まで聞いてね〜
それで、ここからが肝心なんだけど、私は個性と少しだけお話が出来るの。片言だったり、ほんのり考えが分かるとか そんなのばっかりだけど、確かに気持ちが伝わるんだよ。
中には意気投合して仲良くなれる個性もいて、長々とお喋りしたり遊んだりもしたんだけど、その時に気が付いたことがあるの!
なんと、仲良くなった個性の『個性』が私も使えるようになってたんだよ!すごいでしょ〜!指先からライターくらいの小さな火がシュボッて出た時はびっくりしちゃったよ〜
まるでパパの個性『オールフォーワン』みたいだよね。強制的に奪い取るのと違って、私の場合は個性と仲良くならないといけないから、そこがすごく大変なんだけど……。
……え?どうして大変なのかって?だって私はパパの娘なんだよ?魔王の娘ってレッテルが快く思われないのは当然でしょ??
実験でパパ達が何処からか捕まえて来た人達の個性とお話をしようと頑張ったんだけど、皆んな敵意の篭った眼差しを私に向けるばっかりで、とても喋れる感じじゃなかった……。
一部の個性とは仲良くなれることもあるんだけど、大半はそうならないんだよね。無理矢理に連れて来たんだからそうなるのも頷けるんだよ。
兎に角、私に対して悪意を持たせたらアウトみたい。
ただ、パパから付与される個性は問題無く使えるんだよ。前述した通り、私の体とは定着させずらいから、一定の時間、もしくは一度使うと無くなっちゃうんだけどね〜
さて、私の左目に関しての説明はこんな感じだね。他に質問がある人は挙手するんだよ〜!
うわぁ……手を挙げてる人多いね。面倒だから全員無視するんだよ!(ど畜生)
私がいつもの独り言を話してる間に目的の場所が近付いてきたね。あの一際高い建物がそれかな?
そうそう。今日会う側近さんについてだけど、パパの兵士として働く『ノーム?』って言う改造人間の生産 兼 実験場で待ってるらしいよ。
人間を改造って言うのは私的にはアウトだけど、タマと杏のこともあるし、人攫い諸々目を瞑ってる。思うところはあるけど仕方がないよね。見ず知らずの人よりもタマ達の方がずっと優先度が高いんだもん。実験に巻き込まれた名も知らない一般人さん達、ごめんだよ。恨むなら人の心を持ち合わせないパパを恨んでね。
そういえば、その側近さんはパパがすごく好きらしい。パパが近付くと何処からともなく現れて飛び付いて行っちゃうくらいにね。ムムム、パパが好きだなんて豪語されると娘(仮)としては対抗したくなるよ。よし、後でパパに抱き付いてどっちが愛情をたくさん貰うかの勝負を申し込もう!
ん?そのパパは今いないのかって?そうだよ。私は一人で側近さんに会いに来てるの。渡されたスマホの地図アプリに従って宙渡りを繰り返しながらここまで来たんだよ。パパは別の用事があるから顔見せが終わった頃に迎えに来てくれるんだって。帰りには一緒にファミレスで晩御飯を食べる予定だよ。デザートには苺のパフェも付けて欲しいな〜
……ただ、少し気になったことがあるんだよ。出発前にパパから『
なんて思いながら歩いてたら、目的の施設に辿り着いたよ。おぉ!大手企業の工場だ。街で何度も見たことのある有名なロゴが建物の側面に掲げられてるから驚いちゃった。読者のみんなにも分かり易く例えると、S●NYとかNINTEND●が魔王の傘下だったみたいな衝撃だね。……『読者』って何のことだろ?
私がいつもの謎台詞に疑問を抱いてると、施設の扉が開いて、中からこの施設の管理人さんが手を揉みながら出て来た。
律儀に私が来るのを待っててくれたのかな?一応パパの部下さんだもんね。仮にも娘の私を出迎えないのはマズイと思ったのかな?ならその気持ちは汲んで上げないとね。こんにちは!お出迎えご苦労様なんだよ〜
あ、その手揉みはやめた方が良いよ。とっても小物に見えるからね!(思ったことがすぐ口に出ちゃう系幼女)
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積もる話とかは無いから、そのまま実験場に通された。施設の地下に造られたサッカー場みたいに広い場所にね。観客席の代わりに分厚い壁が用意されてる。騒音、耐久、その他諸々が施された壁なんだって。ドクターのテストルーム程の強固さは無いみたいだけどね。間違って壊さないようにしなくちゃ!(フラグ)
ん?もしかして、実験場の中央に立ってる大柄な人がパパの側近さんかな?お〜い!そこのおっきな人〜。パパの娘(仮)が顔見せに来たんだよ〜!!
ぴょんぴょん跳ねながら手を振って近づいたら気が付いてくれた。振り返ったことで、側近さんの全身がよく見えるようになったよ。……うわぁ、殆ど裸だね。ズボンだけだもん。シャンフロの主人公みたいにマーキングでもされて呪われたのかな?
今日はよく飛び出す謎台詞をキメた辺りで、側近さんが屈んで私を見つめて来た。それでも私は見上げないといけないくらいの大きな体格差だね。首が痛くなりそうだよ!(ならないけど)
「………
………しゅ?……何かな?よく聞き取れなかった。もう一度言ってほしいんだ───
いつもの『だよ〜』口調まで言い切れないうちに、何かすごい衝撃をお腹に受けて実験場の端までぶっ飛ばされちゃった。
頭から壁に激突して壁面がぐっちゃぐちゃに壊れたね。砕けた壁がガラガラ音を立てて崩れた。フラグ回収が早過ぎるんだよ〜!
壁に叩き付けられた衝撃で口に入った破片を吐き出しながら、私を殴り付けたらしい側近さんに視線を向ける。
……うわぁ、何で泣いてるのかな?何で咽び泣いてるのかな?突然腹パンされて泣きたいのはこっちなのにね。
「おおおぉぉぉ!主よォ!!弱い!!脆い!!幼く弱小!!こんな者は相応しくない!!主の後継として、あまりにも不適格だァァァァ!!!!」
……怖いね。すごく怖いんだよ。怒りながら大粒の涙を流してる。とんでもない変質者さんなんだよ。こんな人がパパの側近だなんて、何かの間違いじゃないかな?
あ、今度は突進して来た。すごい速さだね。目で追い切れない。ほら、もう目の前まで辿り着いた……かと思ったら脳天カチ割れるじゃ済まない特大の拳骨が振り下ろされた。
むぎゅッ!って、変な声を出しながら深々と地面にめり込まされたんだよ。幼女に対してここまで心無い暴力が振るえる辺り、やっぱりパパの側近かもね。でも変質者さん呼びは変えてあげないよ。
……すごいね。すごい殴ってくる。さっき説明したばかりの頑強な床は冗談みたいに軽く抉られて、私は床下まで埋められ行く。
それでもまだ殴ってくるんだよ。酷いね。モラルがカケラも感じられない。こんなに殴られたのは鬼殺隊の名も知らない大柄な柱にタコ殴りにされた時以来じゃないかな?
思い出したら何だか腹が立って来たね。私に対してじゃなくて、
痛くは無いけど、良い加減 理不尽に殴られ続けるのは嫌だから、ちょっと反撃しようかな?たぶん、この施設の管理人とかも監視カメラで現状を見てるんだろうし、パパの娘……いや、『魔王の娘』としての威厳を見せ付けておくんだよ。なるべく殺さないように頑張るけど、それなりに痛くはするから覚悟してね?
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───あり得ない。それが主の後継を見た時の思い。
こんな小さく矮小な存在が、主の……後継?
夢でも見ている気分だった。それも、悪夢。
俺の居場所は後にも先にも主の下にしかない。それがどうだ?
後継の候補に御目通りが叶うと知った日から一ヶ月。嬉しさと興奮で一睡もしないまま、この場で待っていたのに……。
これが……、後継の……、候補???
「───嘘だァァアアアアア!!!」
オロローーーン!!!と口から目から、俺の絶望が声と涙になって溢れ出す。腕を振り上げずにはいられない。振り下ろさずにはいられない!
眼下の『嘘』を消し去らねば!これは何かの間違いだ。雑に作られた偽の後継だ。こんな物、主の紛い物として あまりにも不出来!
何かの手違いで主の目や耳に入ることすら烏滸がましい!全くもって酷い贋作だ!!塵芥の一つも残らぬ程に埋めて隠さなければ!!!
拳の一撃一撃に魂を込めて振り下ろす。消えろ消えろと念じて叩く。
俺の求めている後継は、コウケイは、光景は……『コレ』じゃない!!!
……悲しい。かなしい。哀しい!!!
同時にツラく、信じ難い痛みが胸を襲う。きっとこれは俺の心が苦しんでいるのだ。目の前の贋作を受け止められない俺の心が──────
──────あァ?
これはなんだ?胸元に鋭痛がする。錯覚か??………いや、本当に痛む。胸に何かが突き刺さっている実感のある痛みだ。
絶望に涙を流す目元を擦って胸元を見下ろす。そして、やっと気が付いた……。
───俺の胸に、贋作の腕が深く突き刺さっていた事実に………。
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私のパンチが決まったんだよ。
深く掘られた穴の底から思いっきり地面を蹴って飛び上がると同時に、咽び泣く変質者さんの胸に重めのを叩き込んであげた。
岩みたいな見た目の肌だったけど、ドクターのテストルームと変わらない柔らかな肌質だね。私の腕が難なく突き刺さったんだよ。心臓までは届いてないから死ぬことはないかな?
変質者さんは、まだ ボケ〜っと惚けてる。状況が飲み込めてないみたいだから、目覚ましの意味も込めて無惨さんにしてた時のビンタもお見舞いしてあげるね?歯を食い縛らないと何本がすっ飛んで行くかもよ??
大きく振りかぶった平手で〝おりゃッ!〟て、音速の重々ビンタを顎に打ってあげた。
……あ、ちょっと力を入れ過ぎたかも!顎どころか首が ぐりんって回りながらメキョッ‼︎て音を立てて実験場の端の壁までぶっ飛んで行っちゃった。
変質者さんが私に打ったパンチの何倍も威力があるビンタが効き過ぎたのか、壁は大きく抉れてクレーターを作ったよ。ベジータが岩盤されたみたいな状態になってるね。毛布はいかが?(空耳)
あ、生きてた。頭を抱えながら何とか起き上がろうとしてるね。良かった。万一殺してたらパパにどう言い訳すれば良いか分からないところだったよ。
ホッと息を吐いた私を、変質者さんは倒れたままキョトン……と見詰めてる。ごめんね〜!でも、そっちが先に殴ったんだから、原因の十割はアナタにあるんだよ〜〜!
距離が開いちゃったから、ある程度大きな声で叫んだけど聞こえたかな?……あ、聞こえてるみたいな反応だね。こんな時、半沢さんならやられた分はキッチリ倍返しにするんだろうけど、私は寛大な心でさっきのパンチとビンタの一発ずつで変質者さんのラッシュをチャラにしてあげるんだよ。魔王の娘(仮)だもん。そのくらいのサービス精神がなくちゃね?
えっへん!と、胸を張ってドヤ顔を決めたんだけど、どうも向こうにはその意志が伝わってなかったみたい。
一瞬のうちに距離を詰めた変質者さんがドヤる私の身体に音速のタックルをして来たもん。絶対に伝わってなかったよね?
体全体に不快感を叩き込まれたから、ふみャッ!?って可笑しな奇声が出ちゃった。そのまま突貫して来た変質者さんごと背後の壁までぶっ飛ばされたんだよ。
鼓膜が破けそうな程の衝撃波を起こしながら、また壁に大きなクレーターを生み出しちゃった。もう実験場はしっちゃかめっちゃかだね。何度も言わせないで!痛くはないけど、すごく すご〜く不快なんだからね!!
良い加減 カチンッ‼︎ と来ちゃった。でも、本気の不死身パンチだと殺しちゃうから『左目』を使うんだよ。パパから付与された個性を幾つか掛け合わせれば変質者さんを わからせることが出来ると思う。
………そうだ!折角だからパパにオススメされた『アレ』を試してみよう。
何をされたのか ちゃんと理解してもらう為に軽めのパンチをお見舞いして、変質者さんには私から もう一度距離を取ってもらったよ。『一回』しか使えない大技だし、声に出して技を出すから しっかり見聞きしててね?
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「───筋骨バネ化……」
「………ッ!!!??」
耳を疑った。受けた拳の衝撃で、俺の耳がおかしくなったのかと思ったが、ハッキリと聞こえている。
それは……主がお使いになる複合個性の出だし!!
「瞬発力×4、膂力増強×3、増殖、肥大化、鋲、エアウォーク、槍骨……」
贋作の『左目』が青く燃えたかと思えば……主と同じ力を魅せ始めた。
ふわりと宙に浮かび上がると同時に、その華奢な腕が肥大して何倍にも膨れ上がっていく。
腕の内側からは抑え切れない高密度のエネルギーが紅い光となって漏れ出ている。まるで太陽のように熱く強い輝き、それ以上の濃密な力……。
その白く長い髪が、血のように赤い瞳が、主と重なり、交わる……。
………あり得ない。
最初と同じ思いだが、今度のものはそれとは別種の想い。
俺は、今。───感動している!!!
数分前の俺を殴りたい、埋めたい、殺したい!!!
矮小だと?悪夢だと!?贋作だと!!?嘘だと!!!?
求めていた
全くの間違いだ。巨大!吉夢!!真作!!!
俺の求めていた……欲していた存在は、間違いなくこの
感謝します主よ! 感謝します後継よ!! 俺は……俺は………、何処までも貴方様と共にある!!!!
「───主よォォオオオオオオ!!!!!」
「───パパ直伝、魔王パァーーーンチぃ!!!」
衝動的に後継に飛び掛かった俺は、開放された赫い輝きによる絶対的な破壊の一撃を浴び、身体の殆どをバラバラに砕かれた。
心地良い激痛を全身に感じると共に、自身の血飛沫が眩しい光の粒子となって舞い散り、俺の世界を彩ったのだ………。
───監視カメラを通して 魔王の娘とギガント・マキアのやり取りを見ていた施設の人間達は、その光景に震え上がり、孫の代まで続くだろう絶対支配の未来に怯えた……。
求められてた後継「うわぁ…バラバラになっちゃった…これ絶対助からないヤツだよ。どうしよう……」
バラバラ変質者「───ッ主の後継www!!!私の全ては貴方様の物ですぅwwww!!!(歓喜)」
求められちゃった後継「───生きてるww!!!??(ドン引き)」
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〜嘘か本当かシリーズ〜
とある研究者の殴り書き③
存在Xを手中に収めるのは困難極まる。不老不死の身体故に、殺してから傀儡にすることは不可能だろう。最先端のスキャニングでも満足な結果は得られなかった。
髪の毛一本、皮膚の一部すら剥ぎ取れないなど、生命体として根本から逸脱している。真に不可思議だ。
だが、サンプルを手に入れる術が無い訳ではない。身体の構造は我々と遜色ないのだ。ならば、既に『空いている穴』からなら内側へアーム等の挿入も可能だろう。
毒ではなく促進作用のある薬なら、僅かだが摂取させることも出来た。特注の薬を用いれば、本来未発達な内臓の活性化も進められるやも知れない。
存在Xの遺伝子サンプルさえ手に入れば、そこから我々に従順な存在Xのコピーを作り出すことも夢ではない。この歳になってまだ心が躍るとは、人生とは本当に面白い。