幼女だよ。異世界を巡って自分探しをしてるよ   作:KDAL

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第?-5話 私は受けた恩のお返しをするのが苦手なの。返すまでに別の世界に旅立っちゃうことが多いからね。だから、お返しはなるべく早くするように心掛けてるんだよ

 

 

 

ハイターとのお別れから数年後、フェルンは一人前の魔法使いとしてフリーレンに認められた。最終試験として、一人で魔物を倒せって言われた時は戸惑ってたけどね。遭遇早々 脱兎の如く逃げ出した時は慌てちゃったよ。咄嗟に助けようとしたらフリーレンに止められて余計困惑した。結果としてフェルンは怪我せず討伐を終えられたけど、フリーレンって以外とスパルタ教師な一面があるよね?見てるこっちがヒヤヒヤしちゃうんだよ〜

 

さて、それで今何をしてるかだけど、森の中に開けた場所を見つけたから、ここで絶賛戦闘の訓練中なんだよ。フェルンの為にね。

 

普通の訓練と侮ったらダメだよ。フリーレンが繰り出す変幻自在の魔法弾を最小限の防御魔法で捌き切る訓練だもん。集中力とか魔力がガンガン削られて、あっという間にグロッキーになるんだよ。大変だね。フェルン〜負けるな〜がんばぇ〜〜!

 

離れた場所でフェルンに声援を送りながら、何処から取り出したのか自分でも分からないミラクルライトで応援する。う〜ん、改めて見ると攻撃魔法って危険だね。破壊の痕が えげつないもん。地面がアイスクリームを掬い取ったみたいになってる。なるほど、開けた場所でないと実戦的な訓練は出来ないってフリーレンが言ってたのも納得なんだよ。

 

……え?お前は魔法の訓練に参加しないのかって?うん、しないよ。と言うより出来ない。私は魔法適性がゼロだからね。要するに魔法が使えないの。

 

それが判明した時はショックだったよ。私も空が飛びたかったし、カメハメ波とか撃ちたかったのに〜!

 

まぁ、出来ないものは仕方がないからね。無い物ねだりはみっともないんだよ。それに、私には安心と信頼の『左手の力』と『宙渡り』(瞬間移動) 、それに不死身の身体があるからね。それ以上を望むのは贅沢なんだよ〜

 

……え?それより、やけに お話が飛んで無いかって?蒼月草を探したり、フェルンの誕生日回があっただろうって?

 

そうだね。フェルンを仲間に加えてから色々あったけど、なんで君達がそれを知ってるのかな?まぁ、聞かれたから話すけど、特に目立ったことは無かったよ?これまで通り行く先々で魔導書を探したり路銀集めの依頼を受けて回ってただけだもん。

 

中には変わった依頼や長期間のものもあったよ。例えばヒンメルの銅像の錆を落とす依頼とかね。錆落としに関しては魔法で ちょちょいだったけど、その周りに植える花……さっき言った蒼月草を探すのに手間取った。ヒンメルの故郷の花だって言うから何ヶ月も探したんだよ。二人が探してくれたから、飛べない私は文字通りお荷物でね。その間は村でお世話になってたお婆ちゃんの手伝いばっかりしてたよ。肩叩きとかお部屋の掃除とかね〜

 

フェルンの誕生日だって特に何事もなかった。フリーレンは髪留めを送って、私は『膝枕してあげる券』を渡したんだよ。……ん?どうして自分がして貰う側なんだって?そんなに不思議なことじゃないんだよ。だって、フリーレンもフェルンも私の『膝枕役』を巡って喧嘩することがあるからね。私を撫でたり膝枕すると すごく落ち着くらしいよ。私の力は魔力を分け与えることだから、そこに関係してるのかも知れないね。それはさておき、いざって時に取り合いにならないように優先券を渡しておいたの。やめて!私の為に争わないで!状態になると困るもん。

 

私自身は撫でて貰うと嬉しいし気持ち良いから全然良いんだけどね。もっと撫でて欲しくなっちゃうんだよ。ちなみに、その後フリーレンが『私の誕生日にもそれ(チケット)頂戴』って要望して来た。勿論だよ!同じ物じゃ詰まらないから『添い寝してあげる券』なんてどうかな?今からチケットのアイディアが止まらないんだよ〜

 

……相変わらず、私は誰に向かって説明してるのかな?時々脳内に変な声が響くけど、もしかしてあなたは私のイマジナリーフレンドなのかな??

 

遠巻きに二人の戦闘訓練を流し見しつつ、私は頭を捻って謎の声に話し掛けた。でも、既にその声の主は遠退いてる感じがする。本当に何なんだろうね?

 

なんて思ってたら、フリーレンがそこそこ本気でフェルンを攻撃し始めた。うわぁ、いつもながらヤバぁな魔力弾だね。触手みたいにウネウネしながらフェルンに迫って防御魔法を貫通しちゃった。唖然としてるフェルンに強めな指導が入ってる。やっぱりスパルタだね〜

 

でも、最近やたらと訓練が多く感じる。普段からフェルンに細かな魔力操作は教えてるけど、ここ暫くは特に戦闘訓練の頻度が多いんだよ。まるで何かに備えてるみたい。

 

あ、フェルンがフリーレンの魔法弾で派手に吹っ飛ばされちゃった。空中で大回転してる。フィギュアスケートの技みたいだね。とっても綺麗なんだよ〜

 

お空で美しい弧を描いて飛ぶ(飛ばされる)フェルンを眺めながら、その見事な飛びっぷりを評価して私は10点満点のプラカードを掲げた。

 

 

 

---------------

 

 

 

「明日にでも封印を解いて、クヴァールを片付けよう」

 

あの訓練から数日後、とある村の奥に封印された魔族を触りながらフリーレンが言った。

 

───腐敗の賢老 クヴァール

嘗てヒンメル達が倒せず、封印するしかなかった魔王軍の凄腕魔法使い。その封印が解け掛けてるから、討伐する為に来たんだって。なるほどね。その為の訓練漬けの毎日だったんだ。納得なんだよ。

 

彼の手によって、この辺りの冒険者と魔法使いの大半が殺されたって聞かされたフェルンが動揺してる。一人前になったとは言え、実践経験の浅いフェルンには怖い存在だろうね。大丈夫だよ。私とフリーレンが居るんだもん。フェルンは何も心配することはないからね!

 

ふんすッ!と、やる気に満ちた私を見て、フェルンは少し安心したみたい。優しく頭を撫でてくれた。えへへ、気持ちいい……。旅を通じて私への対応も柔らかくなったよね。最初のツンツンしてた頃も可愛かったけど、やっぱり私は優しくされる方が嬉しいんだよ〜

 

……それにしても、相変わらずクヴァールさんは大きいね。私の十倍以上ある巨大だ。近くまで寄ったら、そのサイズ感に圧倒されちゃう。

 

身体が大きいから彼の自室の家具もサイズ感バグってたのが思い出される。お陰で私はそこでの生活に慣れるまで そこそこ苦労する羽目になったんだよ……。

 

「……アトリ。戻るよ」

 

いつの間にか村に引き返そうとしていたフリーレンに呼ばれるまで、私は岩のように動かない大魔族を見上げていた………。

 

 

 

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「じゃあ、封印を解くよ。油断しないようにね」

 

次の日の朝、予定通りクヴァールさんの封印を解くことになった。フェルンが緊張の面持ちでいる中、フリーレンはいつも通りの表情だった。勝ちを確信してるみたい。まぁ、そうでないとフェルンを同行させてないだろうからね。

 

フリーレンが軽く杖を振ると、クヴァールさんを抑えていた魔力が霧散していく。少しずつ彼の身体が色を取り戻して、指先がピクピクと動き出す。仮面みたいなツギハギの顔に生気が現れた頃、のっそりとその巨大を起き上がらせた。

 

「………久しいのう、フリーレン」

 

八十年も封印されていたとは思えない雰囲気で接するクヴァールさんだけど、私は不思議と懐かしさを感じなかった。『勇者を殺して来る』って言って部屋を出て行ったのが、つい昨日のことみたいに思い出せるもん。

 

目を覚ましたクヴァールさんは、フリーレンと幾つか言葉を交わした後、その視線を私へと向けた。

 

「……お前も、元気そうじゃのう。……ヴァイス」

 

その言葉にフリーレンとフェルンが眉をひそめた。あぁ、そうだったね。私はそっち(魔王)側にいる時はそう呼ばれてた。すっかり忘れてたんだよ。名前の意味は……何だったかな。思い出せないや。

 

やっほ。久しぶりだね クヴァールさん。ちょっとコンビニ行ってくる〜の乗りで勇者を倒しに出掛けたのに、いつまでも帰って来ないから、代わりに私がヒンメル達に挑まされることになったんだからね。

 

「……フリーレンの隣に立っているということは?」

 

そうだね。クヴァールさん達が付いた『嘘』はバレてる。ヒンメルのお陰で、私は取り返しが付かない所まで堕ちずに済んだんだよ。それでも、たくさんの人を傷付けて、虐殺したことに変わりはないけど……。

 

『虐殺』という言葉にフェルンの顔が強張った。私の過去については あんまり話してないからね。私の口からは話したくないから、そのうちフリーレンにでも聞いてよ。酷く幻滅するだろうけど、それは仕方がないよね……。

 

「………そうか」

 

おっと、クヴァールさんが動いた。魔王さんの敵討ちかな?前から思ってたけど、妙に律儀な所があったもんね。魔族にしては人間味を強く感じられてたよ。

 

フリーレンとフェルンが杖を構えて臨戦大勢に入った。クヴァールさんの代名詞と言える魔法『ゾルトラーク』(人を殺す魔法)を防御魔法で受けるつもりだろうね。

 

木の幹を彷彿とさせる腕をのっそりと動かしつつ、胡座をかきながら座り込んで……て、ありゃりゃ?

 

「……では、潔く屠られることにするかのぉ」

 

その場に座ったクヴァールさんは、深く息を吐きながら あっさりと敗北を受け入れた。呆気に取られるフェルンに代わって、フリーレンが鋭く冷めた視線を崩さないまま、クヴァールさんを問い詰める。

 

「……なんの真似?お前が降伏するとは思えない。罠でも仕掛けてるの?」

 

杖の先をクヴァールさんに向けたままのフリーレンに、彼は覇気も無く首を左右に振った。

 

「お前達にヴァイスが付いた以上、儂に勝ち目は無い……」

 

原因は私だった。全員の視線を一点に感じる。ちょっとちょっと、人を何だと思ってるのかな?私は魔王さんよりも強くて、クヴァールさんの魔法でも傷一つ付かないだけの純白幼女なんだよ。

 

人畜無害なんだよ〜……とは、流石に言わなかった。それなりにこの世界の人達に被害を出したと思うし……殺してるからね……。

 

本当に犠牲にした人達には申し訳ないんだよ。心からごめんなさいって思ってる。

 

しゅん…と、落ち込んでる私の頭をフェルンが撫でて慰めてくれた。事情も知らないのに優しいね。ありがと、フェルン。

 

そんな私達を一瞥したフリーレンは、クヴァールさんに変わらない敵意を向けたまま、杖の先に魔法陣を生み出す。膨大な魔力が集まって、クヴァールさんを確実に屠る一撃の準備が整えられていく。

 

「そう。じゃあ殺すよ」

 

「………。」

 

己の死を受け入れたクヴァールさんは、ただでさえ細い目を更に閉じて頭を垂れた。杖の先が青白く光を帯びて、傍目からも分かる程の膨大な魔力が解き放たれようとしてる。

 

それは魔族を殺す魔法(ゾルトラーク)。クヴァールさんが生み出して、フリーレンが改良を加え続けている強力な魔法。アレを正面から喰らえば、クヴァールさんは塵になって確実に死ぬ。これまでの冒険で何度も見てきたから、それは確実なんだよ。

 

間も無く消え去るクヴァールさんを見つめていると、この世界を訪れた日のことが思い出された……。

 

『世界渡り』の直後、クヴァールさんの頭の上に落っこちての邂逅。早速の現地人発見に喜ぶ私と、問答無用で攻撃してきたクヴァールさん。

 

それから、なんやかんや有りつつも一緒に暮らすことになって、それなりに長い付き合いになったよね。

 

………そういえば、この世界に来て私が初めて見た(受けた)魔法って、クヴァールさんのゾルトラーク(人を殺す魔法)だったなぁ。

 

 

「ゾルトラーク」

 

フリーレンの発した短くもハッキリ聞こえる言葉で、杖から旋風と共に魔力砲が吐き出された。それは地形を抉りながらクヴァールさんに迫り、彼を簡単に飲み込んで───殺す筈だった。

 

 

 

---------------

 

 

 

「……何のつもり。アトリ」

 

普段のフリーレンを知っている者からすれば、その声に怒気が含まれているのを実感しただろう。側にいたフェルンも肌を走るピリピリとした感覚に僅かな恐れを感じている。

 

ゴクリ……と、唾を飲み込んだフェルンは、フリーレンが向ける視線の先を見た。

 

そこは、今しがたゾルトラーク(魔物を殺す魔法)が放たれた地面。クヴァールが居た場所だ。歪に抉れた大地は、フリーレンの魔力がどれ程に高威力かを如実に表している。それを受ければ、どんな魔族だろうと ひとたまりもないだろう。

 

だが、それを受けたクヴァールは……いや、受ける筈だったクヴァールは、その場から少しズレた地面に座ったままの姿勢で存命していた。

 

本人の意思で避けたのではない。外部からの干渉があったのだ。そして、それを行なった存在は、クヴァールの隣に立っている幼い少女。先程フリーレンが名を告げたアトリだ。

 

「ごめんね、フリーレン。やっぱりクヴァールさんは死なせたくないんだよ。この世界での私の初めては、クヴァールさんだから……」

 

いつに無く真剣な顔でフリーレンと対峙するアトリ。その顔を見て、フェルンは反射的に思った。───アートリクス様は、本気だ。本気でフリーレン様と……戦うつもりでいる!

 

アトリとの付き合いは長く、ハイターが存命していた頃からになる。純粋で素直、嘘を付くのも下手なアトリの心情は読み易い。だからこそ、今のアトリの顔付きから漂う威圧感が恐ろしく見えた。しかし、それに臆すこともなく、フリーレンは言葉を続ける。

 

「……アトリが言ってた『第一村人』の話?そうだとしても、それで見逃せる程 そいつは弱くない」

 

フェルンには何のことか分からないだろうが、まだヒンメルが生きていた頃、アトリは自身の身の上の話を少しだけ聞かせてくれた。

 

その中の一つに、渡った世界で初めて出会った存在を『第一村人』と呼ぶようにしていると語っていたのだ。

 

アトリは世界を渡った際、第一村人の存在を大切にする節がある。それが人間で有ろうと無かろうとだ。勿論、アトリ自身が気に入らなかった場合はその限りではない。

 

その観点ならば、クヴァールはアトリのお気に入りにはならない筈だった。魔族であり、人間を殺す魔法を己の存在理念とするクヴァールは、寧ろアトリが忌み嫌う存在と言えるだろう。

 

だからこそ、アトリはクヴァールがこの世界の人々に取って害になる存在だと察した時は困った。何故なら、それを知ったのはクヴァールと過ごす(一方的に彼の下に居着いただけ)ようになって暫く経った後だったからだ。

 

煙たがられながらも言葉を教わり(半ば無理矢理)、彼の研究室に置いてもらい(勝手に住み着いた)、食事も提供して貰っていた。(魔法の実験に用いる食材を物色)

 

クヴァールにはそれなりに恩を感じていたし『ヴァイス』という名前まで付けて貰っていたのだ。その事に一人悩んでいたヴァイスは、クヴァールに自分の気持ちを素直に打ち明けることにした。

 

自分が人間を好いていること。魔族が人間を無意味に殺し続けるのなら、敵対しなくちゃいけないこと。クヴァールとは戦いたくないし、出来れば人類と仲良くしてほしいこと……。

 

クヴァールからすれば、何を馬鹿なと思っただろう。魔族と比べて遥かに劣る人間など、殺して食うか自身の研究対象(ゾルトラーク)としての価値しか無いからだ。

 

だが、それを素直に伝える程、クヴァールは愚かではない。その頃には彼はヴァイスの力量を知っていた為、少女を敵に回すことが魔王軍の壊滅に繋がると分かっていたからだ。

 

そこで『賢老』と称されるクヴァールは、純粋なヴァイスに対して残酷で恐ろしい嘘を吹き込むことにした。自身の膝の上に小さなヴァイスを乗せて、まるで子供を諭すように無垢な少女へと呪詛を刷り込んだ……。

 

『───実はの、儂らは嘗て人間であった。そして、今世に蔓延る人間共こそが『悍ましい魔族』なのだ……』

 

遥かな昔、恐ろしい魔族達の大魔法により、人間と魔族の『地位』や『姿』、『生態』までもが逆転し、我々は魔族へと堕とされた。それを知る存在は双方に殆ど残っていない。だが、我らが王(魔王様)はそれを知る数少ない者の一人。故に、その事実を知る人間達は、王を殺すことでその事実を完全に隠し、消し去ろうとしているのだ。その先兵として『勇者』という存在を差し向けて来る。儂らは、ただ自分達を守り、奪われたものを取り返そうとしているだけなのだ……。

 

その他にも、クヴァールが吐く数々の虚言は真実に擬態し、憐憫の面持ちで話を聞くヴァイスの真っ白な心を黒く染めていった。

 

『賢老』の入れ知恵は、聞く耳を傾けたヴァイスを捉え、身じろぎも出来ない程にキツく縛り上げてしまった。その結果、ヴァイスは彼らの言葉を信じ、以降ヒンメル達と対峙する日まで『魔王軍のヴァイス』として、クヴァール達と共に人類を殲滅し続けることになった……。

 

 

「……ヴァイス。何故儂を庇う。もしや───」

 

「間違っても寝返ったとかじゃないから、変な期待はしないでね」

 

クヴァールの脳裏を過ぎる僅かな可能性を、アトリは真っ向から否定した。その言葉には、はっきりとした怒りが込められている。……当然だ。クヴァールは人が好きなアトリを誑かし、その手を血で染めさせた張本人。本来なら、アトリの手でクヴァールを屠っていてもおかしくは無い。だが、それでもクヴァールを助けたのは、そうすべきだ!と、アトリに言い聞かせた少女自身の『本能』に従ったからだ。

 

アトリの裏切っていないと言う発言は、完全に蚊帳の外にいたフェルンの胸を撫で下ろした。だが、それで収まらないのがフリーレンだ。

 

「そこを退いて。アトリの気紛れで、クヴァールを生かすことは出来ない」

 

見せ付けるように杖の先端をクヴァールに、そしてアトリに向けるフリーレン。いつもの穏やかな表情は隠している。『葬送』と呼ばれた凍て付く視線。この世で魔族が最も恐れる大魔法使いの顔に置き換わっていた。

 

横顔しか見えていないが、その表情を見たフェルンは一歩後ずさる。怖いと思ったのだ。これまでどんな訓練や魔物との戦いよりも、今のフリーレンが一番怖いと、そう感じさせる威圧を放っていた。

 

だが、それはフリーレンも同じだ。彼女は内心で酷く焦っている。何故なら、アトリを敵に回した場合、自分ではどうしようもないからだ。

 

……迂闊だった。と、フリーレンは唇を噛み締める。アトリは魔王軍に居たのだから、クヴァールと面識があるかも知れない程度には思っていた。だが、あの子を騙した本人であるクヴァールを守るとは思ってもみなかった。

 

それ程まで あの子にとって『第一村人』とやらは大切な存在なのか?それが分かっていれば、この場に同行させたりしなかったのに。

 

あの子はその頃の話をしたがらない。無理に聞くことも出来ただろうが、辛そうな顔をするアトリの顔を見ると、胸が締め付けられたから……敢えて聞かなかったのだ。

 

もし、万が一にもアトリがクヴァールに付くことになったら……。

 

そんな思いがフリーレンの額に汗の粒を生み出す。冷静さを欠けばクヴァールにも見抜かれる。怒気を纏わせてでもそれを掻き消し、アトリの妨害を掻い潜って奴を滅ぼさなければ。

 

頭の中に幾重にもこの場を切り抜ける計画を練り続けていたフリーレンだが、その前に動いたのはアトリの方だった。

 

「!!……アートリクス様!?」

 

フェルンの口から叫びにも似た声が上がる。それもその筈だ。突如としてアトリが膝から崩れ落ち、地面にうつ伏せに倒れたのだから。

 

その光景を見て、又しても理解出来なかったのはフェルンだけだった。何故なら、残る面々は原因を即座に理解したからである。

 

───宙渡りによる自滅。

それが双方の頭に浮かんだ。アトリの能力である宙渡り(瞬間移動)は、大凡人一人分以上の体積より大きな存在を移動させると昏倒してしまう。

 

クヴァールの体積はアトリと比べるまでも無く巨大。彼をゾルトラークから守った時点で、アトリの体力はとっくに尽きていたのだろう。

 

これを好機としたフリーレンは、即座に杖をクヴァールへと向けた。アトリの横槍が入らない今が最大のチャンスだからだ。だが、それはクヴァールも考え及んでいた。

 

「───待て、今撃って良いのか?」

 

杖の先端が光り輝き、ゾルトラークを撃ち出す一歩手前まで迫った時、クヴァールが制止を促すように片手をフリーレンに突き出した。

 

それを見たフリーレンは、ゾルトラークを称えるのを止める。同時に杖が折れる程に強く握り締め、今度こそ強い怒りを露わにした。

 

「……卑怯だね。流石は魔族だ」

 

「命が惜しくないのかと問われれば、否だからのぉ……」

 

突き出した手には、項垂れるアトリが握り締められていた。小柄な胴体を強く圧迫されており、時折小さく呻く声が漏れている。

 

「何が潔く屠られるだ。賢老の名が泣くよ?」

 

「お前こそ、たかが仲間一人の為に儂を討つチャンスを棒に振るのか?」

 

両者の間にある緊張がフェルンに伝わる。自身も杖を構えるが、重圧で杖が小刻みに震えて止まらない。これが大魔族と大魔法使いの出す威圧なのか……。実践経験の乏しいフェルンには苦しい空間だろう。吐き出さないだけ、よく耐えていると褒めてあげたい程だ。

 

その間も『葬送』と『賢老』は脳をフル回転させていた。片やどうやって相手を殺すか、片やどうやって生き残るか。表情には一切出さない。お互いに相手を侮っていないからだ。まるで世界が止まっていると錯覚してしまう静寂が場を支配している。一触即発とは正しく今、この瞬間のことを言うのだろう……。

 

 

「……ダメだよ……、クヴァールさん」

 

その均衡を破ったのは、又してもアトリだった。彼の手の中に拘束された幼女は、急激に怠くなった身体を動かしてクヴァールに振り返る。目に光は灯っておらず、意識を保つのがやっとなのだと誰の目にも分かった。

 

「フリーレンは……私ごと撃つよ。私が、どんな攻撃でも傷付かないの……知ってるでしょ?……フリーレンは、ただ私に魔法を撃つのが嫌で、躊躇してるだけだよ。だから、踏ん切りが付いたら……クヴァールさんを、撃つ」

 

「…………。」

 

辿々しく語るアトリの言葉を聞いて、クヴァールは僅かに考えた後、いつの間にか空へと浮かび上がっているフリーレンを見上げた。

 

その目には確かな殺意があり、今のアトリの言葉で腹を決めたような冷徹な眼差しが感じられる。あと数秒もすれば、フリーレンは迷うことなくアトリごとクヴァールを撃ち抜くだろう。

 

───浅慮だったか……。

命の危機に瀕しているとは言え、深く考えの及ばなかった自分の甘さに再び諦めの表情を浮かべたクヴァール。アトリを握る手から力が抜け、役に立たなくなった彼女を手放そうとした所で、アトリがもう一度口を開く。

 

「クヴァールさんはね……。間接的にだけど、ヒンメルやフリーレン、……世界を、救ってるんだよ?」

 

発せられた言葉は、再びの静寂を呼んだ。フリーレンとフェルン、そしてクヴァールですら、その言葉に唖然とする。その突拍子もない発言の真意を問いただしたのはフリーレンだった。

 

「……何を言い出すの?冗談にしてはタチが悪いね、アートリクス」

 

クヴァールがどれだけ人類を殺したかは前述した通りだ。それだけの事をした魔族がヒンメルを……世界を救った?

 

そんな発言は看過出来ない。それどころか、今まで魔族と戦い散って逝った、もしくは犠牲になった全ての人類に対する侮辱だ。フリーレンの目の色が変わる。アトリをフルネームで呼ぶ辺りに、その怒りの度合いが窺い知れる。だが、それを無視してアトリは言葉を続けた。

 

「私は……クヴァールさんに、この世界の言葉を教わったよ。私が騙されてるって……止めてくれたヒンメルの言葉が理解出来たのは……、クヴァールさんのお陰……。クヴァールさんがいなければ、私はヒンメルやフリーレンを……、殺してたよ」

 

「……そんなことは───」

 

───無い。とは、フリーレンは言えなかった。アトリと初めて遭遇した時のことが脳裏に蘇ったからだ。

 

 

ヒンメル達が魔王城を目指す道すがら訪れた原っぱ。そこに突如として現れたのがアトリ……いや、ヴァイスだった。瞬間移動で現れたヴァイスは、一切の魔力を放つことなく接近しており、フリーレンの高度な魔力感知にも引っ掛かることなく奇襲をしてみせた。

 

無防備なアイゼンの背中を拳で打ち抜き、流れるようにハイターの横腹を蹴り破り、フリーレンが虚空から呼び出した杖を握ったかと思えば、それを瞬間移動で何処かへと消し飛ばした。

 

数秒にも満たない奇襲の中、唯一反応出来たヒンメルが、ヴァイスの肩口から袈裟斬りで剣を振り下ろした。だが、その柔らかな肌を傷付けることは叶わず、カウンターの要領でヒンメルは腹を殴られた。

 

……それだけだ。たったそれだけで勇者一行は壊滅寸前に追いやられた。アイゼンは背負ったハルバードごと背骨を砕かれ、ハイターは腹に穴を開けられ、フリーレンは杖を失ったことで無力化。ヒンメルはヴァイスの拳が直撃する直前で受け身を取り耐えたが、それでも肋骨が折れる重症だった。

 

あれだけ苦労して封印したクヴァールや取り逃したアウラが可愛く見える程の強者。単純な戦闘力だけなら七崩賢の誰よりも……いや、魔王よりも強いヴァイスの前に、勇者一行は呆気なく倒れたのだ……。

 

 

あの後、ヒンメルが機転を利かせてアトリを説得していなければ、今の世界は無かっただろう。言葉が人を謀る魔族の常套手段だと考えてるフリーレンには、絶対に思い付かなかった糸口だった。

 

もしも、アトリが初めて出会ったのがクヴァールではなく、その他の魔族だったら。その魔族が言葉を教えず、アトリを道具のように使うだけの存在であったら。

 

いや、そんな魔族をアトリが気にいるとは思えない。もしもそうなった場合、魔王軍はアトリの手によって根絶やしにされていた可能性の方がずっと高い。だが、それは たらればの話だ……。そもそも、アトリを悪の道に引き摺り込んだのもクヴァールではないか。

 

 

「……だとしても、クヴァールは殺す。そいつが人類にとっての脅威であることに変わりはないよ」

 

改めて杖を構え直すフリーレン。杖の先に魔法陣が生成され、再びゾルトラークを発動できる状態が整う。もう迷いはない。あの子ごと撃ち抜く罪悪感は凄まじいだろうが、それに耐えられない様では勇者パーティの魔法使いは務まらないのだ。

 

「じゃあ……、クヴァールさんが……人類に危害を加えなければ……良いんだね?」

 

いよいよ意識が朦朧としているのか、アトリの言葉が少しずつ小声になっていく。それでも、その声はしっかりとこの場の全員に届いた。

 

重たい身体を動かして、アトリは背後のクヴァールに振り返る。よろよろと左手を持ち上げ、いつもの無邪気な笑顔を無理矢理に作り出し、その小指を立ち上げながらクヴァールへと話しかけた。

 

「───クヴァールさん……、『ゆびきり』……しよう?」

 

 

 

---------------

 

 

 

「フリーレン様。これで良かったのでしょうか?」

 

「この子は言い出したら聞かないからね。仕方がないよ」

 

村外れの大きな木の下、木漏れ日と風が心地良い草原に彼女達は座っていた。フリーレンの膝枕の上には、大質量(クヴァール)を瞬間移動させた反動により昏倒したアトリが寝ており、小さな寝息を奏でている。

 

フリーレンはクヴァールを見逃した。能面の様な表情をした感情の読み難いクヴァールだったが、去り際の顔は安堵とも苦渋とも取れる顔をしていた。

 

『───この借りは忘れぬ……』

 

今にも意識を失いそうなアトリに向けて投げられた言葉は、素直に恩を感じていたのか、それとも……。果たしてどちらの意味を持っていたのか、それは本人にしか分からないだろう。

 

「フリーレン様、アートリクス様が使った あの魔法は?」

 

思い立ったフェルンが問い掛けたのは、アトリとクヴァールの間で行われた儀式。お互いの小指をくっ付けて行われた不思議な魔法のことだった。

 

見たこともない文字が刻まれた魔法陣が幾重にも重なりクヴァールとアトリを包む光景。それは別世界で魔王と呼ばれたアインズ・ウール・ゴウンが見せた超位魔法発動のそれに似ていたが、遥かに複雑怪奇な陣だった。

 

「あれは『ゆびきりげんまん』だよ。アトリが使える唯一の魔法」

 

ゆびきり?と、少々物騒な言葉に思わず鸚鵡返しをしたフェルン。そんな彼女にフリーレンは思い出しながら説明をする。それはアトリの故郷らしい場所の魔法だそうだ。『らしい』と言うのは、アトリにもそれをいつ、何処で覚えたのか思い出せないからだとか……。

 

「魔法……とは言ったけど、あれは(のろ)いに近いものだと思うけどね」

 

(のろ)い……ですか?」

 

本人には呪いって言わないでね。嫌がるから。と、前置きを挟んだ後、フリーレンはそれについて語り出す。

 

『ゆびきりげんまん』とは、交わした相手と約束を交わすこと。それを破った場合、何処からともなく無数の青白い拳が出現し、凡ゆる防御を貫通して袋叩きに殴られる。更に、身体の中心から千本の針が突き出て確実に死に至る呪いだと説明した。聞いたこともない呪いだが、フリーレンは実際に目の当たりにしたらしく、本当のことだそうだ。たが、事実だとすれば、何と恐ろしい呪いだろうか……。

 

 

『───直接的にも間接的にも、人を傷付けたらダメだよ』

 

それがアトリがクヴァールに求めた約束だ。クヴァールに取って、それはある意味死の宣告にも近いものだった。魔族は己の存在を賭けて一つの魔術に一生を費やす。クヴァールにとってのそれは『ゾルトラーク(人を殺す魔法)』だ。それを絶たれるとは、事実上の死に等しい。当然クヴァールはそれを拒否したが、アトリはそんな彼に精一杯の笑みを浮かべて告げた。

 

『クヴァールさん……、ここで一度死んだと思って、新しいこと(魔法)にチャレンジしたら良いんだよ」

 

それでもクヴァールは首を縦には振らなかった。彼がゾルトラークの研究にどれだけの月日を注いだか。今更ゾルトラークを捨てるなど出来ない。もう遅いのだと……。

 

だが、その考えは、アトリが更に続けた言葉で揺らぐことになる。

 

『……私のいた世界には、こんな言葉があるんだよ───何かを始めるのに、遅過ぎるということはない……』

 

その後、クヴァールはアトリと『ゆびきり』による約束を交わすことになった……。

 

だが、そうだとしてもフェルンにはフリーレンが見す見すクヴァールを逃したことが理解出来なかった。賢老と称された大魔族だ。復活してすぐに一般攻撃魔法を防ぐ防御魔法の仕組みを理解する知恵者。あの場で倒さなければ、いつかアトリの呪いを克服し、再び人類に甚大な被害を出すかも知れない。それにも関わらず、フリーレンはクヴァールの殺害から手を引いた……。

 

「アトリの呪い……魔法はね。強力なのにいい加減なんだ。曖昧で穴だらけなのに、それでいて永遠に続く解呪不能な魔法……」

 

眠る幼女の頬を指で突っつきながら、フリーレンは話を続ける。突かれることが擽ったいのか、煩わしいのか、その度に むずがるアトリに僅かな笑みを浮かべながら。

 

「直接的にも間接的にも人を傷付けたらダメ。それがアトリが誓わせた約束だ。でもね、これってかなり無茶な要求なんだよ?」

 

フリーレンは、そう言いながら自身の側に落ちている石を拾い、それを少し離れた草の中へ ポイっと投げた。意図が掴めなかったフェルンは、顔を顰めながらフリーレンに顔を向ける。すると、彼女は面白そうな表情で言葉を続けた。アトリがクヴァールに誓わせた約束を、そのまま私が受けたと仮定して聞いてね。と、喋りながら……。

 

「今投げた石を、これから十年、百年、若しくは千年後に踏んで怪我をした人がいたら、今この瞬間に私は死んでる」

 

……この人は何を言っているんだろう。と、フェルンは思った。そんな先まで続く契約なんて御伽話や吟遊詩人の歌ですら聞いたことがない。それも未来にまで干渉して即時発動する魔法……いや、呪いであっても規格外過ぎる。フリーレンと言う大魔法使いの元で学んでいるからこそ、フェルンにはそれが冗談にしか聞こえなかった。

 

そんなことありえない。そう訴えたかったフェルンだが、この状況でフリーレンが嘘を付くとも思えず、何処か納得のいかない顔をするばかりだ。

 

「要するに、クヴァールは今この瞬間にも死んでるかも知れないし、近いうちにそうなる。例えば、あいつがゾルトラークを上回る魔法の研究を始めたら、その瞬間に死ぬ。どんな些細な行動でも、それが人間にとって いつか悪影響を与えることに繋がった瞬間に死ぬんだ。そんなの、もうどうにもならないよね?」

 

何故か少し笑みを浮かべて喋るフリーレンに僅かな恐怖を覚えつつ、フェルンは未だに眠り続けるアトリを見下ろした。最初は安らかな寝息を立てていたのに、フリーレンが頬っぺたを突いて悪戯をするから時々うんうんと寝苦しそうに魘されている。可哀想に……。

 

「今の話はアトリにしちゃダメだよ。この子はクヴァールを助けたつもりでいるからね。真実を知ったら悲しむだけだよ?」

 

ぷにぷにの柔肌を弄りながらフェルンに念押しするフリーレンは楽しそうで、普段の物静かな印象が嘘のようだった。

 

ふぅ……と息を吐き出しながら、フェルンは背後の木に寄り掛かり、木漏れ日の隙間から見える青空を見上げる。まるでタイミングを合わせたように木の枝から数羽の小鳥が飛び立ち、自然と目でそれを追ってしまった。

 

クヴァールが去ってからまだ一時間も経っていないとは言え、未だに先程の光景を思い出すと指先が震える。押し潰されそうな重圧。静電気にも似た魔力が迸るピリピリとした嫌悪感。死が直ぐ隣に迫っている感覚だった。

 

だが、それはクヴァールから感じたものではない。アトリを人質に取られた時のフリーレンからだった。フリーレンはアトリのことになると、必要以上に怒ったり感情的になる。彼女に取って、アトリがどれだけ大切な存在なのか窺い知れるというものだ。

 

だが、本当に驚いたのは、それを上回る死の気配を感じさせた存在。……アトリだ。クヴァールを庇った際に見せた、あの表情。もう何年も一緒にいるのに、あんなに怖い顔をしたアトリをフェルンは見たことがなかった。表情自体は無表情なものだったが、その瞳の奥に垣間見える黒い何かが恐怖を掻き立てたのだ。

 

……あの時、アートリクスが私達と敵対していたとしたら、確実に殺されていただろう。そうフェルンに確信させるだけの覇気がアトリから感じられた。

 

この小さな身体の何処に それだけを思わせる力が秘められているのだろう……。

 

そんな想いが浮かぶと共に、フェルンはアトリの頭を撫でた。白金を思わせる白髪は艶やかで肌触りが心地良い。長く旅をする中、まともに髪を洗えない日が続くこともあるのに、アトリの髪はそれでも潤い滑らかだったのが思い出される。

 

撫でる度に、うにゅぅ……と、寝苦しそうに喘ぐアトリの声が返る。すると、何故かその反応に快感に近い感情が芽生え、フェルンはそのままフリーレンと一緒になって柔肌をぷにぷにと弄り続けた。

 

その後、アトリが怒って起きるまで、その行為は続いたとか……。

 

 

 







〜嘘か本当か雑談シリーズ〜

生真面目な弟子「そういえば、前に私もアートリクス様と『ゆびきり』をしたことがありました。街へ買い物に出る際、帰りにオヤツを買ってくるよう言われながら……。あの日はそれをうっかり忘れていたんです。時間も遅くなったので、仕方なくそのまま帰ろうかと思ったんですが、何となく買いに戻ったんです。……もしも、そのまま帰っていたら、私はどうなっていたのでしょうか?」

自堕落なエルフ「…………。」

生真面目な弟子「……フリーレン様。そんな顔で黙らないでください」

その日、弟子は一日中 身体の震えが止まらなかったとか何とか。また、その時のゆびきりは『普通』のゆびきりだったりする。




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───ヴァイス。

ドイツ語で『白』や『知る』を意味する。

また、『悪』『犯罪』『欠陥』などの意味も……。


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