幼女だよ。異世界を巡って自分探しをしてるよ   作:KDAL

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第?-7話 物語にはロマンスが必要だよね。旅の仲間に一人男の子がいるだけでストーリーの幅が広がるんだよ!

 

 

 

赤いドラゴンだ!大きいね!きっとお肉は霜降りで美味な筈なんだよ〜。……え?あれは魔物だから倒しても塵になって消えちゃうの!? あぅ、残念……。

 

崖の下で ぐぅぐぅイビキを立てるのは真っ赤な鱗がチャームポイントのドラゴンだよ。折角久し振りにお肉をお腹いっぱい食べられると思ってたのに、フリーレンから叶わぬ願いだと聞かされてテンションだだ下がり。ガッカリ・オブ・ガッカリなんだよ。

 

でも、しょぼくれてる私とは対照的にフリーレンはわくわくしてる。なんでもドラゴンの巣には魔導書やレアな魔道具が沢山集められてるんだって。ドラゴンは魔力を放つ物を集める癖があるとかなんとか。カラスが光る物を集めるのと同じかな?

 

じゃあ、私が行ってサクッと終わらせてくるよ!ドラゴンなんて私の不死身パンチで巣ごと粉々なんだよ〜!!

 

……なんて言ったがばかりにフリーレンからノーエンカウントの注意が入っちゃった。ほんの冗談のつもりだったんだよ?心配しなくても魔導書に被害が出ないようにするからさぁ〜

 

ありゃりゃ、ダメみたい。信用が無いのか、代わりにフェルンが魔力弾でドラゴンを倒すことになっちゃった。強過ぎるが故の降板なんだよ〜

 

すっかりお姉さんに成長したフェルンは、その魔力量も比例して増えた。それに、私の力で一度大質量の魔力を放ってる分、魔力パイプが拡張されたのか、原作よりも膨大な魔力砲を撃てるようになってる。フリーレンには一歩及ばないけど、ゾルトラークも見事にモノにしてるんだよ。………ん?ゲンサクって何だろう??

 

またしても頭を過った謎の言葉。他の世界でも時々出るけど、相変わらず何のことかサッパリなんだよ。

 

私が首を傾げてる間にフェルンの準備が整ったみたい。眼下で鼻提灯を作りながら気持ち良く寝てるドラゴンに向けてゾルトラったんだよ。

 

ぶわーって音を出しながら(語彙力欠損幼女)フェルンの渾身がドラゴンに命中したね。……ありゃりゃ、ゾルトラがドラゴンの表面を撫でるように滑りながら弾かれた。ドラゴンの鱗は魔力を跳ね返すのかな?

 

「やっぱりドラゴンは硬いね。アトリ、離脱よろしく」

 

はいは〜い、任されたんだよ〜。私の肩を掴んだフリーレンから『逃げよう』の発言を受けた。左手でフェルンの杖を掴みながら、反対の手で遥か後方に照準を合わせるんだよ。

 

寝起きドッキリを受けたドラゴンがすごい睨んで来るけど、残念。私達は君が飛んで来る前に宙渡り(瞬間移動)で逃げちゃうんだよ。じゃあね〜〜!

 

怒りに震えるドラゴンが翼を広げたと同時に右手を ぎゅっと握り込んで、私達はその場から一瞬で掻き消えた。瞬きの間に遠くまで逃げ延びたんだよ。

 

 

……はい。あっという間に渓谷から離れられたね。何回か宙渡りを繰り返しても良いけど、そこまで深追いはして来ないでしょ?

 

フリーレンもフェルンも背は低めで体積が小さいからね。バタンきゅ〜にはギリギリならないよ。でも、あと一人お仲間が増えたらこの手は使えないね。悪いな のび太、この宙渡りは三人用なんだ!

 

「───あ」

 

ん?フリーレンが何か不穏な一文字を発したけど、どうしたんだろう。───あ。

 

私が左手で掴んだ筈のフェルン。いや、正確にはフェルンの〝杖〟を掴んで宙渡りしたんだけど、私の手の先が掴んでたのは、その杖だけだった。フェルンの姿は影も形も無いんだよ。やっちゃったね。

 

 

その後、激おこドラゴンの前に残された上、杖まで没収されたフェルンが私達の所まで猛ダッシュで逃げて来たのは言うまでもないね。

 

仁王像みたいな表情で見事なアスリート走りを披露しながら私達に迫ってくるんだもん。ドラゴンよりもずっと怖かったんだよ。その場に正座(何故かフリーレンも)させられて小一時間説教されちゃった。ごめんなさいなんだよ〜(反省)

 

 

 

---------------

 

 

 

ドラゴンに魔法は効果が薄いんだね。そうなると、強力な戦士クラスのアタッカーをぶつけるしかないんだって。ふっふっふ、やっぱり私の出番みたいだね。音速を超える(本当に超えるかはさておき)不死身パンチでドラゴンをワンパンしてやるんだよ!

 

やる気いっぱいに腕をぶんぶん振り回しながらドラゴンの巣に戻ろうとしたんだけど、フリーレンに首根っこを掴まれて止められちゃった。ぐぇッ!急に引き止めないでってば!痛くはないけど不快なんだからね。

 

どうも私の不死身パンチでドラゴンごと巣まで粉微塵にする可能性を危惧してるみたい。信用が無いんだね。確かに過去にも二、三度似た状況で宝箱諸共粉砕したことはあったんだよ。でも、今度は大丈夫!確信とか保証なんて1ミリも無いけど、私に任せてほしいんだよ!!

 

そんな台詞を吐いて『良いよ』って言われると本気で思ってた自分が恥ずかしいね。ジト目で『ダメだよ』と言われちゃった。ションボリなんだよ〜

 

「仕方ない。素直に仲間にするか」

 

どうも前衛の候補者が近場の村にいるみたい。アイゼンのお弟子さんなんだって!となると、やっぱり種族はドワーフなのかな?

 

……あれ?ちょっと待ってよ!前衛ならフリーレンの前に立派な純白幼女がいるでしょ!!私以上のアタッカーなんてこの世界にはいないと自負してるんだよ!!!

 

「いや、欲しいのは程々の戦力だからね。アトリのパンチじゃ辺り一面が更地になるから」

 

当然でしょ?みたいな顔付きで言われちゃった。フェルンまで頷いてる。てっきり私の味方だと思ってたのに……。ぐぬぬ、程々の強者を求めてるなら仕方がないね。自分の存在理由を脅かされそうだけど飲み込むんだよ。

 

でも、私に次ぐくらいの実力者じゃないと認めないからね!仮にも元勇者のパーティなんだもん。生半可な前衛は許さないんだよ!これでもアイゼンと一緒に数多の魔物に先頭切って挑んでたんだからね。そこはプライドがあるんだよ!!

 

頬を膨らませて ぷんぷんしてる私に、やれやれ……みたいな顔付きでフリーレンが頭を撫でてくる。

 

もしかして、それで私の機嫌が治ると思ってるのかな?甘く見られたものだね。そんな単純な幼女じゃないんだよ。そんなことで私のご機嫌を取ろうなんて……、取ろうなんて…………。

 

………もう少し上をお願い出来るかな?そう、もうちょっと上。……そこっ!そこなんだよ。そこを重点的に撫でて欲しい。えへへ……気持ちいぃ〜❤︎

 

 

───とろん……と、溶けた表情で至福の笑顔を浮かべる純白幼女と、その子を撫で付けるエルフのやり取りは暫く続いた。

 

そんなアトリの様子を見ていたエルフの弟子は、犬と猫の良いところ取りみたいな小動物だなぁ……と、思ったとか思わなかったとか。

 

 

 

---------------

 

 

 

「あなたを前衛とは認めない!認めてほしいなら、この私を倒して勝ち取ってみせるんだよ!!」

 

村に到着早々、前衛候補のお兄さん……村の人からは『シュタルク様』と敬称まで付けられてる人に宣戦布告したんだよ。

 

居場所を聞いて、いても立ってもいられなくなった私は、宙渡りを連続使用して彼の下まで一気に来ちゃった。フリーレン達は後から来ると思うんだよ。

 

ふんすっ!と、鼻息荒く言い放った私の言葉に恐れ慄いたんだろうね。驚いた表情のまま固まって微動だにしないもん。私は勇者パーティの前衛だからね。きっと溢れ出る前衛力(?)に圧倒されたんだよ!

 

「…………見ない……、顔だな。………迷子か?」

 

迷子!? 失礼しちゃうんだよ。私はアートリクス。あなたの実力を計りに来た勇者パーティの前衛なんだよ!勇者一行の銅像とかで見たことないかな?……あ、私は銅像作って貰ってなかったかも。

 

「………。」

 

……あれれ?何故かシュタルクさんの纏う雰囲気が変わったような気がする。空気がピリピリし始めたんだよ。なんでかな?

 

「そうか。お前が師匠の言ってた、魔王軍の七崩賢なんだな」

 

おぅふ。その話はしたくないかな。七崩賢なんて知らない間に付けられてた肩書きだもん。幹部的なポジションだって分かった時にすぐ返上したから私には関係無い話なんだよ。その役職には何年も就いてなかったと思うし、綺麗さっぱり忘れてほしい。忘れろ!(記憶ぶっ飛ばしパンチ思案中)

 

思わぬ所で黒歴史を引っ張り出されて ちょっと慌てちゃった。ぐぬぬ……古傷を抉ってくるなんて、なかなかやるね。精神攻撃は基本だけど、幼女に対してやってくるとは思わなかった。意外と侮れない お兄さんなんだよ。

 

「ねぇ、あなたどこから来たの?お名前は??」

 

あ、ちょ、シュタルクさんの周りにいる取り巻きの子供達が人懐っこそうな笑みで寄って来た。人里離れた村の子供は相変わらず好奇心旺盛だね。え〜っと、こんにちは!私はアートリクス。王都から来たんだけど、今はシュタルクさんと お話を───

 

「王都から来たの!? ねぇねぇ、このお菓子 お母さんが作ってくれたんだけど一緒に食べよう!王都のお話とか旅のこと聞かせてよ!!」

 

やった〜!食べる〜〜!!(クソちょろ幼女)

 

 

籠の中に詰められた美味しそうな焼菓子を視界に捉えた瞬間、それまでのシリアスな(私の中では)雰囲気は掻き消えて、フリーレン達が到着するまで子供達とお菓子を食べながら楽しくお喋りしちゃうのだった。

 

まさか子供達まで利用して私の戦意を削ぐなんてね。悔しいけど認めるんだよ。お兄さんって すごく狡猾なんだね。シュタルクさん……すごい人だよ。あなたがナンバーワンだ!

 

誰とも知れないベジータブルな戦闘民族の台詞を心の中で口走りつつ、私は焼き菓子を口いっぱいに頬張りながら街の子達との親密度をみるみる上げちゃってた。

 

ただ合流したフリーレン達とお話をしてたシュタルクさんの視線がずっと私に向いてたのが気になったね。なんだろう。この鋭い視線には覚えがあるけど……、何の視線だったかな?

 

 

 

---------------

 

 

 

あっという間に次の日なんだよ。……え?色々とすっ飛ばしてないかって?物語にはスピーディーさが必要だからね。盛り上がる部分を重点的に描いていかなくちゃ!(何の話?)

 

……本当はお菓子を食べた後、子供達と沢山遊んで そのまま疲れて寝ちゃったんだけどね。まさか次に起きたら夕食の時間だとは思わなかったんだよ。

 

シュタルクさんとは次の日にドラゴン討伐の現場で落ち合う事になったみたい。実力は二人が保証するって言ってたよ。どうしてフェルンまでシュタルクさんの力を認めてるのか疑問だったけど、夕飯の後で彼の修行を目撃したからみたい。ちなみに、私はそれを見てないから、シュタルクさんの実力は知らないんだよ。

 

え?その時 私は何をしてたのかって?夕飯の後で仲良くなった村の子供達と遊戯に興じてたんだよ。大人数で遊ぶの楽しいよね。無限に続いて欲しい時間だった!

 

さてさて、お話を戻してドラゴン討伐の現場付近、鬱蒼とした森の中がシュタルクさんとの待ち合わせ場所だよ。

 

………お兄さん来てないね。お寝坊さんなのかな?それとも髪の毛のセットが遅れてるとか?

 

いつまで待っても来ないから、フリーレンがフェルンに『ドラゴンと鬼ごっこだね』って言い始めた。木にしがみついてイヤイヤと抗議するフェルンだけど、私はあのお兄さんが逃げ出したとは思わないかな。何となくそんな気がするんだよ。

 

目で『助けて』って訴えるフェルンに同情の視線を向けてたんだけど、そうこうしてたら………ほらほら、やっぱりお兄さんが現れたんだよ。木々の隙間を抜けてテクテクと歩いてくる。おはよ〜!トイレが長引いたの?それともそのツンツンヘアのセットが終わらなかった?……あ、それ天然なんだ。

 

 

 

---------------

 

 

 

「よくやったね、シュタルク。偉いぞ」

 

ドラゴンとの戦闘はシュタルクさんだけで終わっちゃった。実際に目の当たりにすると凄いね。一撃の重さが ずば抜けてるんだよ。流石はアイゼンのお弟子さんだね!

 

ちょっと暴れたかったから私は消化不良気味だけど、巣に一切の被害が無くてフリーレンはホクホクしてる。スキップする勢いで巣にルパンダイブをキメてるんだよ。不二子ちゃんはいないだろうけど、女性のナイスバディが拝める『服が透けて見える魔導書』が手に入ったもんね。代用するには十分なんじゃないかな。……え?使い方が違うって?それ以外にこの魔法の使い道あるの??

 

「……なぁ、アートリクス」

 

ん?ドラゴンを倒したシュタルクさんが私に話し掛けてきた。あぁ、そういえば私に認めて貰うのが前衛の加入条件だったよね。忘れてたんだよ。

 

うん。ドラゴンを一撃で倒せる力は本物だもんね。勿論、オーケーなんだ─── 「俺と戦ってくれないか?」

 

……あれ?なんか全く予想してなかった言葉が出て来たね。巣の中でお宝を吟味してたフリーレンとお目付け役のフェルンにも聞こえたのかな?振り返って私達を見てる。

 

シュタルクさんと私の周りを変な空気が取り囲んでるね。最初に彼と会った時のピリピリした感覚だ。ドラゴンを討伐する時ですらシュタルクさんはそんな空気を纏ってなかったのにね。急に私と戦いたいなんてどうしたのかな。もしかして、戦闘民族の血が入ってたりする?その茶髪が金髪に変わるのかな??(変わらない)

 

 

 

---------------

 

 

 

「制限時間は日没まで。相手に参ったと言わせるか、気絶させること。それが勝利条件だよ」

 

向き合う私とシュタルクさんにそれを伝えたフリーレンは、崖の上で待つフェルンの所まで ふわふわと飛んで行く。

 

遠くなるフリーレンの背中を見ながら、シュタルクさんには ちょっと勝利条件が厳しくないかな?って思っちゃった。その条件だと彼が私に勝つのってほぼ不可能な気がするんだけど……。

 

フリーレンがそのくらいのことに気が付かないとは考え難いんだよ。そもそも、この戦いの勝敗がどうでも良さそうに見えた。なんか不自然だね。ここ数日のフリーレンにはずっと違和感を感じてるんだよ。何なんだろう………。

 

 

戦いの舞台はドラゴンを倒した深い渓谷。いきなりの申し出には驚いたけど、詳しく話を聞くとアイゼンが関わってたみたいだね。

 

シュタルクさんは小さい頃からアイゼンに旅の話を聞かされてて、その度に私が難攻不落の城砦みたいな存在だとか、全ての戦士が目指す頂点だと評価してたらしい。

 

えへへ、褒めても何も出ないし、嬉しくなんてないんだからね!もっと言って良いんだよ〜?(くそちょろ幼女)

 

あからさまにデレデレして喜んでる私を前に、シュタルクさんは変わらない淡々とした口調で話を続ける。ふっふっふ、他にはどんなお褒めの言葉が頂けちゃうのかな?

 

照れながら彼のお話に耳を傾けると、シュタルクさんはポツポツと小声で言葉を綴り始めた。

 

 

シュタルクさんの故郷は、戦士を多く排出していた話。

 

その故郷が魔族に滅ぼされた話……。

 

故郷を襲撃した魔族は『二人』いた話…………。

 

一人は大きなハルバードを使っていて、もう一人は小さな女の子。外見は頭から足まで白い姿をしていて、血みたいに赤い瞳を持っていて……………。

 

 

…………………………………。

 

 

……………………魔族からは、ヴァイスと呼ばれていたって。

 

シュタルクさんの言葉を受けて固まっている私に、彼は瞬間移動と錯覚する速さで目の前に迫った。

 

そして、手にした大きな斧を掲げて、私の頭に───思いっ切り振り下ろした………。

 

 

 

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