フリーレンが しょっ引かれちゃった。グラナト領の街に入ってすぐにね。魔族が居たからゾルトラろうとしたんだけど、どうもその魔族が和睦の使者だったのがダメみたい。衛兵に取り押さえられた後、荷物みたいに担がれてお持ち帰りされちゃったんだよ。ドナドナド〜ナ〜だね。
それと、件の魔族がグラナト伯爵と戻る時、妙に私を見てたんだけど……もしかして、昔会ったことがあるのかな?
なんて考えつつ、牢屋にフリーレンの様子を見に行った帰り道なんだけど、急に視界が暗くなってね。気が付いたら別の場所に居たんだよ。……うん。いきなり過ぎる展開だよね?私も驚いてるんだよ??
「───ねぇ、聞いてるのかしら?」
ありゃりゃ、いつもの現実逃避と回想をして気持ちの整理をしてたのに、リアルに引き戻されちゃったね。そろそろ目を開けて直面してる問題に対処しなくちゃ。
閉じていた瞼を開けて、目の前の魔族と向き合った。やっほ。久しぶりだね、アウラさん。元気にしてたかな?フリーレンから話を聞いてすぐに再会だなんて運命を感じちゃうね。
何処かの廃墟の中にある椅子に縛られた私は、豪華な椅子に座って足を組む『断頭台』の二つ名を持つ七崩賢の一人と再会した……。
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私がクヴァールさんの伝手で魔王さんや七崩賢と顔合わせした時、アウラさんとも出会ったよ。散々馬鹿にされたのを覚えてる。魔力が一切無い雑魚中の雑魚だってね。
こんなのが私達と同じ七崩賢だなんて気に入らないって感じで、その場でアウラさんの操る首無しの鎧に首を刎ねられそうになったんだけど、もちろん効かなかった。
カウンターで鎧を殴り飛ばして、その鎧をアウラさんにそっくりそのまま お返ししたんだよ。変な声を出して鎧と一緒に すっ飛んで行ったアウラさんはちょっと面白かった。
魔力ゼロ(表面上は)の私が魔王さんや他の七崩賢の前でアウラさんに恥を欠かせたのが良くなかったのか逆ギレしてたよ。懲りずにまた幾つかの鎧を差し向けて来ようとしたけど、それは魔王さんの覇気で止められてたね。
その時に私の実力が評価されたのか、正式に魔王軍の仲間入りを果たしたんだよ。パチパチパチパチ〜〜───はぁ……(感嘆の溜め息)
暗い気持ちになっちゃったけど、状況を細かく整理しなくちゃね。私が縛られている椅子は拷問用かな?この世界には似つかわしくない鉄製なんだよ。多少錆び付いてるけど、ガッチリしてる。
腕は後ろ手にされて、手首同士を縛られてるみたい。全然動かせない。足も同じだね。椅子の脚に縛られてる。これだと『勢い』が光の速さに変わる私の力が発揮出来ない。
ちゃんと私の弱点を抑えてる辺り、七崩賢の名は伊達じゃないかな。私は単純な力は見た目通りの幼女だもん。勢いが出せない以上、この拘束は破れそうにないんだよ。
それにしても、私はどうやって拉致されたんだろう。結界の中にいたから、外にいたアウラさんからは干渉出来ない筈だよね。
……と言うことは、何かしたのは妙な視線を向けてた和睦の魔族っぽい。対象を任意の場所に飛ばす魔法とか?
そういえば、アウラさんがヒンメルに追い詰められた時、離脱の魔道具で逃げ延びたって聞いたことがあるような……。
もしかして、それを私に使って結界の外に出したのかな?……う〜ん、憶測の域を出ないね。
「自分の状況は飲み込めたかしら?」
私がいつまでも頭を捻ってたから、痺れを切らしたアウラさんの方から話し掛けてきた。ごめんね。ちょっと考え事が長引いたみたい。
……うん。この拘束全然抜け出せそうにないや。それで、どうして私を攫ったのかな?特に利用価値は無いと思うよ?クヴァールさんの時も言ったけど、私を盾にしてもフリーレンは私ごとアウラさんを撃ち抜くだろうからね。
「あぁ、やっぱりクヴァールはあなた達が殺したのね?そうだと思ってたわ。あと、あなたを盾として使う気は無いの」
………クヴァールさんは殺してないけど、敢えて黙っておこう。なんか勘違いしてるし、そのままにしておいた方が良い気がするんだよ。
クヴァールさんのことは風の噂で知ったのかな?それとも手下の魔族に調べさせた?まぁ、それは良いんだけど、だったら私をどうしたいのかな?
一応、拘束が緩まないかギシギシと縄に力を込めてるけど、やっぱりダメみたい。すごくキツく縛られてる。
そんな無駄な足掻きがアウラさんを喜ばせることに繋がったみたいで、彼女はその可愛い顔を満面の笑みに変えて私の疑問に答えた。
「あなた、私の首切り役人に加わらない?」
……それはアウラさんの部下になれってこと?私がヒンメル達と魔王さんを殺したことを知らない訳じゃないよね?謂わば仇なんだよ??
「魔王様を殺したことに付いては、それ程 何とも思ってないの。だから気にしなくていいわ」
七崩賢は、別に魔王さんに忠誠を誓ってた訳じゃない。恐怖によって従ってたのと、お互いの利益の為だね。中には忠誠を誓う義理堅い魔族もいたけど、少なくともアウラさんはそう思ってなかったみたい。……ところで、私を仲間にしたい理由は何かな?
その言葉で、アウラさんは自分の目的を話した。グラナト領の結界を『私の力』で無理矢理に突破する。そして、中の人達を皆殺しにして自分の不死の軍勢と魔力を高めつつ、更なる力を求めて世界中を巡るんだって……。
要するに、次の魔王の座に就きたいのかな。それとも世界征服がしたいとか?そもそも、グラナト領の結界が破れないなら、さっさと別の街を襲えば良いのに。
……と言ったんだけど、どうもアウラさんのプライドがそれを許さないみたい。『諦める=敗走』って捉えてるみたいだね。五百年以上生きてるのに器が小さくないかな?
あ、そうだ! アウラさんの勧誘に答える前に、私の質問に もう一つ答えて欲しいんだよ。良いかな?良いよね??(半ば矯正の眼差し)
質問に質問で答えるのは行儀が良くないけど、こうでも言わないと聞き出せそうにないからね。
アウラさんが あからさまに不機嫌になってるけど、一応聞いてくれるみたい。やったね。じゃあ聞きたいんだけど………。
───アウラさんって、ここ最近もう一人の〝私〟に会ったかな?
「はぁ?あなたなら、私の目の前にいるわ。もう一人のってどういう意味かしら?」
………フリーレンから簡単な『嘘』の見抜き方を教わってるけど、アウラさんの瞳の動きも仕草にも違和感は無いね。知ってて誤魔化してる感じはないんだよ。本当に何のことか分かってないみたい。
アウラさんは狡猾に見えて案外脳筋だからね。たぶん嘘は付いてないと思う。フリーレンならもっと上手くやれる筈だけど、付け焼き刃の私のやり方じゃ これ以上は探れそうにないや。
……となると、アウラさんはシュタルク(本人の希望で呼び捨て)の故郷を襲った魔族とは繋がってないのかな?魔王さんがいなくなった今、力を持ってる魔族達の繋がりが希薄になってるぽいし、もう一人の私ついて知らないのも当然かもね。
私の言葉が引っ掛かってるのか、アウラさんが訝しんでるね。変に気に掛かられても面倒だし、さっさと話題を変えちゃおう。
え〜っと、取り敢えずアウラさんのスカウトは断るね。役人入りは遠慮させてもらうんだよ〜
え?断る理由?そんなの決まってるんだよ。私は勇者パーティの前衛だもん。今更そっちには戻らないんだよ。
「………あら、それこそ今更よね?だって───」
疑念の篭ってた眼差しを一転させて、さも不思議そうな顔付きになったアウラさんは、椅子からスッと立ち上がった。
そのまま私の目の前まで来ると、腰を落として私と目線を合わせた。そして、疑問を持った声色でこう言ったんだよ………。
「───ヒンメルは、もういないじゃない?」
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「やっぱり こうなったか……」
すっかり夜になって星が出始めた頃、フリーレンが呟きながら空から ふわふわと降りてきた。遅いよ〜フリーレン。早く来てくれないから、私が全部終わらせちゃったんだよ!
辺りを見渡すフリーレンと一緒に、私も少しばかり周りに視線を向け直す。丘の上に沢山いたアウラさんの不死の軍勢は、魔力の繋がりを断たれたことで全て倒れてる。魔力源が無くなったんだから当然だよね。
「アトリ。アウラは?」
わかり切ったことを聞いてくるね?奥に見える廃墟の中で倒したよ。今度私を拘束する時は『頭』も動かないように固定しておくべきだね。心無い言葉にカチーーン‼︎と来ちゃって、思い切り『頭突き』しちゃったもん。
光の速度の頭突きを諸に食らったアウラさんは、変な声を出しながら建物の壁までぶっ飛んで死んじゃった。私の頭突きは炭治郎の比じゃない威力だからね。アウラさんの頭がその衝撃でグチュっと潰れ───いや、ちょっと活字にするにはグロ過ぎるね。そこら辺は想像にお任せするんだよ(もう遅い)
頭突きの勢いで私を縛ってた椅子の拘束も壊れて自由の身になれた。なんか原作の名言や名場面も一緒に潰した気がするけど、仕方がないよね?私を怒らせたアウラさんが悪いんだもん。異世界転生してビッグマックの美味しさに涙してて欲しいんだよ〜(何の話?)
取り敢えず、お腹が空いたし遅くまで起きてたからほんのり眠たいね。美味しいものを食べた後でフェルンに膝枕して寝かし付けて貰わなくちゃ……。
また出た『ゲンサク』って言葉に引っ掛かりつつも、後から駆け付けてきたフェルンやシュタルク、それにグラナト伯爵や御付きの兵士達とその後のなんやかんやを行ってたみたいだけど、その頃には私はフリーレンの腕の中でぐぅぐぅ寝ちゃってた。
〜嘘か本当かシリーズ〜
▶︎原作通りに殺された首切り役人の皆様から一言!◀︎
役人の皆様「「「解せぬ」」」
転生先でビッグマックの美味しさに感涙する予定の断頭台さん「同上じゃない」