アイスを食べてから随分と歩いたね。地下四階までまだあるけど、そろそろゆっくりと休める所を探さないといけないんだよ。あ、私はさっきまで寝てたから元気いっぱい!ライオスが執拗に私を寝かし付けるから目がギンギンなんだもん。
でもみんなは少し疲れが出始めてるね。今日はお菓子しか食べてないからかな?それじゃ力が出ない筈なんだよ。お腹に溜まる物が食べたいよね?
う〜ん、今私の力で出せるのは『センシ農場』で採れた僅かな お野菜のみなんだよ。殆どはオークさん達に施しちゃったから。簡単なサラダくらいなら作れるけど、お肉が食べたい所だよね?何処かに都合良く落ちてないかな〜
ん?ライオスが通路横に掛けられてる絵画を見て唸ってる。ふむふむ、絵の中に描かれた料理を食べたいんだね。気持ちはわかるんだよ。私も大きなケーキが描かれてるのを見て 良いなーって感じたことがあるもん。アドレーヌなら実際に絵に描いて出してくれるんだけどなぁ〜
……とか思ってたら、絵が掃除機みたいな吸引でライオスを飲み込もうとして来た!ライオスのピンチなんだよ!!
呑まれそうになるライオスと絵画の間に割って入って、すかさず不死身パンチで絵画を粉砕した。壁ごと木っ端微塵で事なきを得たんだよ。ふぅ、危なかったね。
でも、何故かライオスに怒られたんだよ。どうも絵の中に入って食料を調達する気だったみたい。理不尽に怒鳴られた私は ぴえーって泣きながらマルシルに抱き付いて慰めて貰った。うぅ……私はライオスを助けたかっただけなのに……ぐすん。
マルシル達からの刺す視線(子供泣かせやがったなコイツ……の眼差し)を受けたライオスが謝罪して来た。流石に何の説明もしてなかったライオスが悪いってことになったんだよ。私が動かなかったらマルシルが魔法でドカン‼︎としてたって言ってる。
でも、それは絵画の中に入るのを諦める理由にはならなかったみたい。再度挑戦するって言ってる。懲りないね。でも、私も興味があるんだよ。絵の中の食べ物ってどんな味がするんだろう?見た目通りなのかな?それとも……。
なんて考えてるとライオスが絵画にルパンダイブを決めて飛び込んで行っちゃった。今度は命綱付きだから、何かあってもすぐに引っ張り出せるんだよ。どんな食料を持って来てくれるかな?楽しみだね!
---------------
ガッカリ・オブ・ガッカリなんだよ。絵画を変えつつ何度もチャレンジしたけど、結局ライオスは食料を持って帰って来られなかったんだもん。最後には絵の中の人に侵入者だってバレて えらい目に遭ったって言ってる。
自分は絵の世界でお腹いっぱいに食べたみたいだけど、それもこっちの世界に帰って来たら満腹感は消えたみたい。何処かの調査兵団の隊長さんみたいに 何の成果も得られませんでしたーー!って言わせようかな?
うぅ、結局食べられず終いかぁ。絵の中の食べ物の味が気になったんだけどな〜
無駄な時間を過ごさせて〜ッ!って、ライオスがみんなから責められてるのを横目に、私は残った幾つかの絵画を流し見して───
……ん?なんか、この絵に描かれた褐色のエルフがこっちを見てる気がする。なんだろう、私が左に動いても右に動いても視線が追ってくる感じなんだよ。モナリザみたいで面白いね。ふっふっふ、私の高速反復横跳びについて来られるかな?りーりーりーなんだよ〜(←使い方違う)
「シェリフ〜。追いてっちゃうよ〜」
あ、待って マルシル!今行くんだよ〜〜!!
いつの間にか出発してたマルシル達をパタパタと追いかけて、その腕に すっぽりと抱かれた私は、みんなと更に下層へと進んで行くんだよ。
そんな背中を尚も絵画の褐色エルフが見つめているとも知らずにね……。