第?話 モンハンワイルズの発売日が決まったね。オトモアイルーが普通に喋ってて驚いたよ!……いや、前から喋ってたけど、ボイス付きなのが新鮮過ぎたね。早くアイルー達で癒されたいんだよ〜!
「にゃんにゃ〜ん♪」
『ぐるにゃ〜!』
「にゃんにゃにゃ〜〜ん♪」
『ぐるにゃんにゃ〜ん!』
まだ太陽も顔を見せてない とある街の食事場で、猫耳をすっぽり覆うコック帽を被った
あ、一般コックの猫ニャンと戯れてたら、この食事場を任されてる料理長猫ニャンが来た!おはようなんだよ〜!
手を振って挨拶したら目礼で返された。隻眼でワイルドな猫ニャン料理長。相変わらずシブくてカッコいいね。
そうこうしてると続々と食事場担当の猫ニャン達が集まって来た。私と にゃんにゃんしてた猫ニャンも仕事が始まるから行っちゃった。私の癒しタイム(物理)は終了だよ。
ここからは見て和む『間接的』な癒しの時間だね。猫ニャン達が見渡せるテーブル席に座って成り行きを見守ろう!
まだ朝にもなってないからか、私と猫ニャン達以外には誰もいない。厨房と食事処が一体化した慣れ親しんだ食事場をぐるりと見渡しながらそんなことを思った。
段々畑みたいになってる食事場の一番上。そこは勿論料理長猫ニャン率いるコック猫ニャン達の厨房だよ。目を引くのは飛び切り大きな釜戸だね。そこまで大きい必要あるのかなって感じちゃう圧倒的なサイズなんだよ。
厨房から下は扇形の机が段々に連なってる食事場部分。両端には長いスロープがあって、配膳猫ニャン達が滑り台みたいに ご飯をハンターさん達に運ぶんだよ。楽しそうだから私も真似して滑ってみたんだけど、料理長猫ニャンに叱られちゃった。遊び道具じゃなくて、彼らの大切な仕事道具だもんね。ちゃんと謝ったし、それ以降二度と滑ってないんだよ〜
ん?食事場が一望出来る特等席に座って足をパタパタ動かしてると誰かが食事場に入ってきたのが見えた。私はそれが誰か分かってるんだよ。毎日のルーティーンだからね。
やっぱり。受付嬢のお姉さんだ。おはよう〜相変わらず早いね〜!
手を軽く振ったら気付いてくれた。受付嬢のお姉さんはトコトコと階段を登って私の前まで歩いて来る。受付嬢さんは毎朝ココに来て目覚めの一杯をカップに注いでからクエストカウンター前に行くんだよ。それをチビチビと飲みながら沢山のハンターさん達にお仕事の受注処理をしてるの。……あ、頭撫でてくれるの?えへへ、気持ちいい〜
受付嬢さんがこの時間に来ることを分かってたのは私だけじゃなくて猫ニャン達も同じ。受付嬢さんからの撫で撫でタイムが終わるタイミングを見計らって、コーヒーが注がれたカップを配膳猫ニャンが運んてきた。
挨拶しながらそれを手にした受付嬢さんは私にバイバイした後、階段を降りてクエストカウンターに行っちゃった。このままお昼過ぎまで ずっとお仕事だもんね。一つ所に居続けられない私には苦しいお仕事なんだよ。尊敬しちゃうな〜
さて、また私の のんびり癒しタイムが再スタートなんだよ。ひたすら猫ニャン達による朝食の下拵えを目に焼き付ける。一挙手一投足が可愛いね。お魚の鱗を身の丈程のナイフで削ぎ落としてる。肉球付いてるのに器用だよね。
あっちではパン粉と水を混ぜ合わせて、よく洗った手足でコネコネしてるよ。足で一生懸命に踏み踏みしてるのが可愛いね。……え?猫毛が混ざったりしないのかって?なんか気合いでどうにかしてるらしいよ。赤猫?とか言う風来の麺職人さんから伝授してもらったとかなんとか言ってたかな。パンを捏ねながら鼻歌交じりに聞こえる にゃんにゃんボイスが本当に癒されるよ〜
お!奥からは昨日狩られたモンスターの大きな お肉が運ばれてきた。沢山の猫ニャンに神輿みたいに担がれてる。天辺で扇子を振りながら音頭を取ってる一匹が特に可愛い。今日は炙って燻製かな?それともシチューの具になるのかな?
料理長猫ニャンも気張ってるね。大きなナイフ……いや、身体の大きさを考えたらソードって感じかな?それを目にも止まらない速さで動かしてお肉や魚を捌いてる。あっという間に朝食の具材だね。涎が出そうだよ……。あ、もう出てた。
猫ニャン達が にゃんにゃんしてる間にお日様も顔を出したね。食事場に沢山ついてる窓の外からハンターさん達が朝の挨拶をする声が聞こえてくる。それに吊られて街のみんなも起き始めたみたい。
あ、噂をすれば食事場に一組のハンターさん達が入って来た!モンスターの鱗や皮で出来た立派な防具を付けたグループが今朝の朝食の一番乗りだ。G級って呼ばれてる人達で、この街でもトップ3に入る凄腕ハンターさん達だよ。おはよう〜!
元気に手を振ると、彼らも気がついたみたい。近寄ってきて軽く朝の挨拶なんだよ。うん、今日も狩猟頑張ってね。〝希望を胸にファイト〜!〟
『左手の力』で真っ白なポンポンを召喚してエールを贈ってあげると、G級ハンターのみんなからキラキラした光のエフェクトが浮かび上がる。……はい、バフ付け終わったよ!猫ニャン達のご飯のバフと重ね掛けしてね〜
お礼に気持ちばかりのお金を受け取って、G級のみんなは猫ニャンの朝食の注文をしに行っちゃった。注文したメニューを見ると……火事場の付きそうなメニューを頼んでる。死ぬか生きるかの極限バトルの予感だよ。手に汗握る戦いになるかもね!
私も小腹が空いてるし、朝食を貰おうかな。猫ニャ〜ン、美味しい朝食をお願〜い!
手を振った私に気が付いた猫ニャンがウインクで返してくれた。了解ってことかな?こっちも同じくウインクで返しておこう。飛魚のお兄さんみたいな似合わないウインクになってないと良いな〜
さてさて、次に朝食を摂りに来るのは誰かな?……むむ、あの人はソロ狩りの鬼───『出来過ぎ君』だね。……え?ドラえもん?何の話かな?彼はソロ専ハンターの出来過ぎ君だよ。彼は本来パーティで挑まないと倒せないモンスターを次々と単独で倒しちゃうの。あまりにも出来過ぎだから私が勝手にそう呼んでるんだよ。お〜い、おはよう〜〜!
あ、こっち来た!きゃぁ!擽ったいよ〜。頬っぺを優しく撫でてくれる彼はとっても紳士さん。
よ〜し、じゃあ出来過ぎ君にもバフを贈るね!〝希望を胸にファイト〜!〟
ポンポンをフリフリして光を発生させる。これで猫ニャンのバフ効果二倍だよ。今日もお仕事頑張ってね〜!
出来過ぎ君からバフの御代を貰ったのと同じタイミングで、私のテーブルに甘いココアっぽい飲み物とサンドイッチみたいな朝食が届いた。ありがとね、猫ニャン!
トレーから朝食を受け取って、代わりにお代を乗せる。すると『ぐるにゃん!』と鳴いて来た道を戻っていく。う〜ん、香ばしい匂いがするね。
お皿に乗せられてるのは、表面をさっと炙った狐色の食パン。それに厚切りのハムとスクランブルエッグが挟まれたトーストなんだよ。パクッと口にしたのと同時に、今度は二つのグループが会話をしながら入ってきた。どっちも『ニュービー』って呼ばれてるハンターさん達だ。サンドを頬張りながら手を振ろう!
弓使いの女の子と片手剣を装備したお姉さんが手を振り返してくれた。嬉しい。
私のバフは後回しに、先に朝食の注文みたい。ふむふむ……今日は卵の運搬クエストかな?それ系のバフが付きそうなメニューを選んでるね。なるほど。二つのグループで一つのクエストを受けるみたい。片方は運搬、もう片方がその護衛みたいだね。ランポスとかランゴスタの妨害が面倒だもんね。良い作戦かも!じゃあ、私もそれっぽいバフを掛けてクエストクリアに貢献してあげよう。
ペロリとサンドイッチを平らげた頃、新しいお客さんが入って来た。続々と来店だね。あ、竜人族のリリちゃんだ!長い耳をぴこぴこさせて笑顔で挨拶してくれた。おはよう〜!
え?……あぁ、この前のことなら気にしないでいいんだよ。納品のお手伝いに付き添うくらい何のこともないんだよ。ん?その時のお礼?別に良いのに〜。でも、折角だから遠慮無く頂くんだよ。でないと、また受け取ってくれるまで離れない〜って ずっと抱き付かれそうだもん。
リリちゃんから毒々しいキノコと珍しい薬草、それと光る木の皮が入った袋を貰っちゃった。リリちゃんは独特な感性を持ってるから、お礼の品も個性的だね。どんな効果があるのか期待大だよ。後で道具屋のおじさんにどんな物なのか聞きに行かなくちゃね。えへへ、頭も撫でて貰っちゃった。リリちゃん好き〜
私の頭を撫で撫でしたリリちゃんは、今日は師匠の手伝いがあるからと言って、名残惜しそうにしながら行っちゃった。料理長猫ニャンに何か話してるね。朝食と昼食の同時注文みたい。リリちゃんのお師匠さんは古代の遺跡調査をしてるからね。たぶん今日もそこに行くのかな?道中気を付けて行ってね〜
お!なんて考えてると続々とハンターさん達が集まって来たよ!朝食ラッシュ開始だね。猫ニャン達も腕が鳴るって感じでやる気十分だ。……と言うことは、同時に私のお仕事も忙しくなるんだよ。よ〜し、みんなにキラキラのエフェクトを振り撒いてあげるね!〝希望を胸にファイト〜〜!!!〟
老若男女問わず、沢山のハンターさん達にバフを贈る私は、みんなから『祖龍ちゃん』とか『ミラちゃん』なんて呼ばれてる。
ふわふわの白いポンポンと長い白髪。純白のワンピースに紅い目をした私は、この世界の伝説の龍に似てるらしい。そんな所から名前が付けられたみたいだね。でも、特に何とも思ってはいないよ。私は私がやりたいように、この
───笑顔とポンポンを振り撒き『龍の加護』を与えてくれる『祖龍の娘』が暮らす拠点は、これからも血気盛んなハンター達の活躍により、広く大きく発展していく。
そして、ある時ハンターギルドなる組織から、少女に『禁足地』への同行を求める依頼が入るのだが、それはまた別のお話………。