第六話 同じ草原だと思った?残念、別の草原でした。なんなら世界も違うよ
なんだろう…?
草の匂いがする。風が集まって…なんだろう?
目を開けると、そこには満天の星。綺麗…。
……待って。デジャブだ。
すぐに立ち上がり辺りを見渡す。
背が高い草野原。近くには森、遠くには山々、それに人工物としか思えない円柱状の大きな建物…いや、柱かな?
さっきいた場所じゃないのはわかるよ。匂いが違うもん。ガラッと違う。
海特有の潮の香りも無いし、なんなら風に乗る香りが別物過ぎる。なんだろう?
辺りをキョロキョロしても、ろじゃも れりーもいない。
何となくだけど、近くにはいない感じがする…。
そのままパタリと野原に倒れる。
あ、マズい。バタンきゅ〜だこれ。なんで?私しか移動してないのに…、すごく疲れて…眠い………
瞼が重過ぎるよ。無理無理、抗えないよ……おやす…みぃ……
ーーーーーーーーー
朝だ。太陽の光が眩しい。
眠るまでの虚脱感はなくなってる。
清々しい朝だと言えるね。
改めて辺りを見渡す。………ここは何処だろ?
まず驚いたのは海が無い。
山はあれど海が無いんだよ。どゆこと?
地平線を掴んだ訳でもないのに、私はどこまで飛んだんだろ?
……わからないことは考えても無駄だ!まずは朝ごはんにしよう。
夜は暗くて気が付かなかったけど、近くに街道があるし、遠くには街が見えてる。
あそこまで行けば何かしら進展あるよね?
ろじゃと れりーとはまた何処かで会えそうな気もするし、気にしない気にしない!
よし。じゃあ早速右手を翳して……ぎゅっと!
はい。到着だよ。握った時にはもう着いてる。早いね。秒だよ秒。コンマ一秒の世界だよ。
さてさて、高い塀に囲まれた街みたい。
何処かに入り口がないかな〜っと。
相変わらず裸足で草の生い茂る地面を歩いてるとそれらしい門が見えた。あれがそうかな?
門は開放されてるし、見張も付いてないのはちょっと不自然だけど、遠慮なく入ろう!お邪魔するよ〜。
おぉ!広い街だ!すっごく広い!!
巨大な門を抜けた先はひろ〜い道になってて、左右に街路樹。その向こう側はレンガ造りの建物がひしめいてる。
ず〜っと奥にもドーム状の大きな建物があるし、所々に鋭く尖った塔も見えてる。
この前立ち寄った港町もすごかったけど、ここと比べると全然違う。
目がキラキラ輝いてる。全部が新鮮だ。森とか寄らずにすぐここに来て良かった!
ペタペタと目新しさに感動しながら道を進む。けど………
おかしいな。こんなに立派な街なのに、人が一人も歩いてないね。
これだけの街なのに人間が誰もいない。どゆこと?みんな家に引きこもってる?それとも全員街の外に出掛けてる?
妙に生活感も感じさせない煌びやかな街は不自然極まりないね。それにすごく静かだ。音がないみたい。耳がキーーンてしちゃうくらい静かだよ。
なんて訝しんでたら市場に出た。と、同時に人も見つけた!第一村人発見だよ!
やっと話が聞け……話通じるかな?
言葉が通じない可能性大だけど、話さないと進まない。どうか私の知ってる言葉であって!そうであれ!!
手近な武器屋らしきオジサンに声を掛けてみた…。
…あぁ、ダメだね。何言ってるかちんぷんかんぷんだ。とほほだよ。
その他のお店も一通り声を掛けたけど、みんな何言ってるか(略)
それに れりーから分けてもらってた『お金』も使えなかった。
果物を買おうとしたのに受け取ってくれないんだよ。というより、みんな私と目も合わせてくれない。
ずっと一点を見つめて口だけパカパカ動かしてるの。不気味になっちゃったよ。
市場を後にして、とぼとぼ歩いてるとゴチンッと、何かにぶつかった。
壁だ。見えない壁がある。
触ると水面みたいにぷるん…と震えて強い弾力で押し返そうとしてくる。なにこれ?
何となくだけど、この先に見えてるものは幻なんだと感じた。
まだ立ち入れないって感じかな?
その後も街を探索しようとしたけど、殆どの場所がぷるぷるで通せんぼされてた。これじゃ行けるところなんて殆どないよ。
結局市場の人達も何言ってるかわからないし、その場から微動だにしないから、門を出て街道を適当に歩いてる。
すごく違和感を感じながら進んでると、なんということでしょう。目の前に可愛い…くはないね。大きな犬…いや、オオカミ…かな?…が現れた。
目を真っ赤にひん剥いてグルル…と唸ってる。え〜っと、もしかして私を狙ってるかな?きっとそうだろうね。
ほらぁ!飛びかかってきたよ。ちょ、やめてよ、噛まないでよ!痛くは無いけど不愉快だよ!
右の手首をガブガブ咀嚼するオオカミ。これでも海兵さん達を纏めて倒したくらい強いんだよ?君だって同じようにしてーーーーーーありゃりゃ、びくともしないんだけれど?
払い除けようとしても全然ダメでした。なにこれ?どうして?普通の女の子くらいの力しか出てないんだけれど。
移動で逃げたくても肝心要の右手は咥えられてるせいで使えないよ。
取り敢えず体勢が悪い。一先ず起き上がってからじゃないと何も出来ない。
そう思って自由に動く左手をオオカミのお腹に当てて強く押し返す。ど〜い〜て〜よ〜〜!…て、あれ?
一瞬左手が黄色く光ったと思えば、オオカミがすっと退いた。私の横にちょこんとお座りして尻尾を振りながら犬特有の息遣いをしてる。……懐いてない?手のひら返しが怖いくらい懐いてない?
試しに頭を撫でてみる。おぉ、ふかふかだ!君本当に野良のオオカミ?毛並み良過ぎるよ。すっごく気もちいいよ〜。
高級な毛布みたいな ふかふかを堪能してると、オオカミ君も擦り寄ってきた。油断させて首元をガブリ…ではないみたい。本心から懐いてるね。可愛い!私ペットは犬でも猫でも鳥でも均等に愛せるよ。
でも、ごめんね。私は今ペットを養う余裕がないの。自分のことで手一杯でね。
だから君はお家にお帰り。あ、ちょ、舐めないでよ。擽ったいな〜。そんなに好き好きアピールしてもダメなものはダメだよ。私には『私』を探す使命があるの!君とふわふわしてる訳にはいかないの〜!
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オオカミの名前を決めました。『おーちゃん』だよ。
え?飼うのかって?ちょろイン過ぎないかって?
しゃらっぷだよ。ふかふかの魅力に堕とされない幼女はいないんだよ!
それにこの仔はとっても賢いよ。その辺の地面を唐突に掘り出したかと思えば『硬貨』を見つけてくるし、果物がなってる木も見つけてくれる。
きちんと役に立ってくれる素晴らしいモフモフのオオカミなんだよ。今だって冷たい夜風から私を守るように包まってる。れりーが掛けてくれたタオルと良い勝負する『ふかふか度』だよ。
そうそう、明日は街と反対方向に進んでみるつもり。大きな山があったからね。気になるんだ。
新しい発見とかまともに相手してくれる人に会えるかも知れないし。
あ、おーちゃん優しい。私が寝易いように体勢を調整してくれてる。よしよし、明日はおーちゃんの気にいる餌も探さないとね〜。じゃ、おやすみ〜……
もうすぐ四千人◯すK氏「私の世界に異物が混ざり込んだな。ベータテスト開始前に調べておかなければ…」