教師「可愛い教え子たちから失望されたいンゴねぇ……せや!」   作:羽虫の唄

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ドラゴンデッキを組みたいけど全然ドラゴンが引けないので初投稿です。


あとすいません。めちゃくちゃ長くなっちゃいました。


(|)「勝負だナナチ! 必殺!」

 さて。

 改めて仕切り直された、ボン()ルドとアルハンブラによる対戦。先攻であったアルハンブラが、引き続き手札を切る。

 

 

「手札から、〝狐憑き・カル〟を召喚! 私は先攻なので──そうじゃなくてもホロたちは攻撃出来ませんが──これで、ターンエンドです!」

 

 

 

狐憑き・カル
属性:闇 種族:ゴースト/イリュージョン・ビースト

分類:召喚 PP:1000

▪︎このモンスターは攻撃を行えない。

 

▪︎このモンスターがバトルゾーンに出た時、若しくは、他の自分の、名前に〝狐〟、〝霊〟・種族に「ゴースト」、「イリュージョン・ビースト」と無いモンスターがバトルゾーンに出た時、このモンスターを〈憑依〉させても良い。

 

▪︎〈憑依〉

対象のモンスターにこのモンスターのPPを+し、更にLPのブレイク数を+1する。(〈憑依〉した対象のモンスターが破壊された時、このモンスターも破壊された扱いとなる)

 

 

 

 アルハンブラのバトルゾーンに並ぶ、タオルケットを丸めた様なモンスターと、デフォルメされた狐の様なモンスター。

 

 ホロを始めとしたモンスターが持つ〈憑依〉による、『PPとブレイク数の増加』の能力は、中々に脅威だ。

 …が。その効果が最大限発揮されるのは、他のモンスターが居てこそである。

 

 

「私のターン、ドロー。──手札から〝苗床の少女〟を2体召喚します」

 

 

 

苗床の少女
属性:闇 種族:プレイアー

分類:召喚 PP:1000

▪︎このモンスターは攻撃を行えない。

 

▪︎このモンスターがバトルゾーンに出た時、次の内の効果から、どれか1つを選び、発動しても良い。

 

1.デッキから、種族に「パラサイト」とあるカードを1枚選び、手札に加える。

 

2.手札から、種族に「パラサイト」とあるカードを1枚選び、バトルゾーンに出す。選んだカードが進化カードであった場合、このモンスターを素体として扱う

 

 

 

『先生も闇属性のカードを……!?』

 

『あっ。結構可愛い』

 

 

 バトルゾーンに現れたのは、ドレスを纏った見目麗しい2人の少女。小さな両腕を合わせ、祈りを捧げる彼女たちに、周囲の生徒が、最初は驚愕の声を上げたものの、何人かはその見た目から興味を持ったらしい。

 それらを聞きつつ、彼は続ける。

 

 

「〝苗床の少女〟の効果。手札から、〝本の虫、グリモワーム〟2体をバトルゾーンへ!」

 

 

 

本の虫、グリモワーム
属性:闇 種族:パラサイト

分類:召喚/進化(Ev) PP:3000

▪︎〈Ev〉

このモンスターをバトルゾーンに出す時、特定のモンスターを素体として扱い、そのカードの上に重ねて出す。

 

▪︎このモンスターが破壊された時、相手は自身の手札を2枚捨てる。

 

▪︎Eブレイク

このモンスターは、相手のLPを1枚ブレイクする。

 

 

 

 直後、少女の体を内側から食い破り、無数の本を纏った巨大な芋虫が2体、姿を現した。

 

 

『ぎゃぁああ!? 美少女がァ!?』

 

『ひぃっ!!』

 

『な、なんて悍ましいモンスターなんだっ!』

 

 

 辺りから悲鳴が上がるが、ボンボルドは気にしない……と言うより、元々は、人々に嫌悪される目的で作ったデッキだ。

 彼からすれば、寧ろ好感触と言える。

 

 

「続いて、〝災い招きの鈴〟を発動! 効果により、グリモワームを1体破壊します」

 

 

 

災い招きの鈴
属性:闇

分類:呪文

▪︎自分のモンスターを1体破壊する。

 

▪︎デッキの1番上を捲り、表向きにする。そのカードが闇属性だった場合手札に加え、それ以外だった場合は墓地に送る。

 

 

 

「表向きにしたカードは闇属性なので、手札に……グリモワームの破壊時の効果発動。アルハンブラ、手札を2枚捨ててください」

 

「うぐぅ…っ」

 

 

 苦しそうに表情を歪ませつつ、アルハンブラは手札から、2枚を墓地へと送り、それを確認したボンボルドは、アタックフェイズへ。

 

 

「グリモワームでLPへ攻撃します」

 

「……あ! アサシン、カー、ド……。う、ぅーん。…──発動します!」

 

 

 

霊障
属性:闇

分類:呪文/奇襲

▪︎相手のモンスターを1体、行動不能にする。

 

▪︎自身の場に、種族が「ゴースト」のモンスターが居た場合、代わりに破壊する。

 

 

 

「グリモワームを破壊します!」

 

「……破壊時の効果が発動します。大丈夫ですか?」

 

「う、え、ええっと…。た、たぶん!」

 

 

 対戦相手ではあるが、同時に、ここでは教師でもあるボンドルド。手札より、LPの確保を優先した彼女に声をかけるボンドルドに対し、微妙な表情で返すアルハンブラ。

 

 攻撃する手段を失った為、ボンボルドはターンを終了。手番をアルハンブラへ。

 

 

「私のターン、ドロー…。呪文〝ルゾルの秤〟。カードを2枚引いて、1枚を墓地へ…──やった、来た!」

 

 

 

ルゾルの秤
属性:闇/銀

分類:呪文

▪︎デッキから2枚ドローする。

 

▪︎手札を1枚捨てる。

 

 

 

「〝狐憑き・カル〟を墓地に送り、エリアカード〝ハロウィンパーティ!〟を展開!」

 

 

 

ハロウィンパーティ!
属性:闇

分類:設置

▪︎展開した時、自身の墓地にある、種族に「ゴースト」とあるモンスターを、好きな枚数バトルゾーンに出しても良い。

 

▪︎このカードの効果によってバトルゾーンに出た、種族に「ゴースト」とあるモンスターは、そのターンに限り、「このモンスターは攻撃を行えない」の効果を失う。

 

▪︎このカードとこのカードの効果によってバトルゾーンに出たモンスターは、ターン終了時に全て墓地へ送る。

 

 

 

 廃墟と化した街並みの一角がバトルゾーンに出現し、そこから無数の霊たちが踊り出る。墓地にあった、「ゴースト」のモンスターは5枚。

 バトルゾーンに、いっぱいに現れたモンスターを前に、ボンボルドは素直に賞賛を送った。

 

 

「──なんと、素晴らしい。〈憑依〉を主軸にしたデッキ構成かと思いましたが、見事なミスディレクションですよ、アルハンブラ」

 

 

 本来であれば、こんなにも早く動き出すデッキではなかったのだろう。それも偏に、ボンボルドが行った手札への妨害行為(ハンデス)によるものだ。結果的に、それはアルハンブラへの手助けとなり、今こうして、牙を剥き始める。

 

 

「順番に、LPへ攻撃します!」

 

「1、2、3、4、5──。アサシンカードはありません。……おやおや。中々、手痛いですね」

 

「た、ターンエンドです!」

 

 

 ボンボルドのLPは、これで10から()5へ。

 1ターンで──見たこともないカードと言うことも合わさり──周囲の生徒たちは、俄かに、騒がしくなる。

 

 

『なっ、先生のLPが一気に半分になっちまったぞ!?』

 

『こ、こんな効果のカードがあるだなんて…』

 

『──もしかして。闇のカードって……すごい?』

 

 

 ──そんな、周囲からの声。

 ボンボルドは仮面の下で口角を僅かに上げる。

 

 

「アルハンブラ」

 

「は、はい!」

 

「──レガリアは、楽しいですか?」

 

「……はいっ!」

 

 

 少女の笑顔に、仮面の下で浮かべていた笑みを、ボンボルドは深くする。

 

 しかしまだだ。ここで満足してはいけない。

 もっともっと『魅せ』なくては。

 

 バトルは、その後も進んでいく。

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

 ボンボルドVSアルハンブラ。

 闇属性VS闇属性。

 

 その対決も、いよいよ佳境に入ろうとしていた。

 

 

『転入生のLPはまだ6枚もあるけど、ボンボルド先生のLPは、後2枚しか無いぞ……』

 

『嘘だろ。先生の方が押されてるってのか!?』

 

『でも、あの子の方も決め手に欠けてる! まだ勝負は分からないわ!』

 

 

 盤面は、アルハンブラ側が、彼女のデッキの中でも、最高火力を持つモンスター・〝ル・ドヴォロスの怨霊〟。墓地に「ゴースト」が10体以上居る時に限り召喚が可能であり、10000に届くPPと、ブレイク数もD(3)と、破格である。

 

 対して、ボンボルド。

 手札への妨害が逆効果であると知ると、即座に戦法を切り替えた彼は、相手の攻撃を防ぐ、〈盾〉の効果を持ったモンスターを並べ、アルハンブラの猛攻をギリギリのところで防ぎ続けており、何とか王手をかけられることを免れている。

 

 ドヴォロスの攻撃を、1回でも防げなければ、その時点でボンボルドの敗北が決定している状況。

 しかし、焦りを見せているのは、アルハンブラの方である。

 

 

(まずい──攻めきれない、決定打に欠ける! ()()()……っ)

 

 

 ちらりと、彼女は視線を向ける。

 

 ボンボルドのバトルゾーンに並ぶ、頭蓋骨に似た甲殻を背負う、半分溶けている様な肉体を持つモンスター・〝骨喰腐虫、ダ〟──の、奥に控えている、巨大な『卵』を。

 

 

 

ディザイア・クレイドル

属性:闇

分類:設置

▪︎このカードを展開後、自身の墓地からモンスターがバトルゾーンに出た時、カウントを1進める。

 

▪︎カウントは、1ターンに1回まで進められる。

 

▪︎カウントが6になった場合、このカードを()()()

 

 

 

(よく分からないけど…──とにかく、マズイ気がする!)

 

 

 アルハンブラは、あのカードを発動されれば最後。その時点で、自分の敗北が決定すると、直感的に悟った。

 

 故に、ドヴォロスで果敢に攻めるも──ボンボルドは、骨喰腐虫で防ぎ、それが破壊されれば、呪文やエリアカードの効果を使い回収し、再びバトルゾーンへと登場させる……を、繰り返している。

 

 

(攻めきれれば勝てるのにっ。骨喰腐虫のPPを超えられるのがドヴォロスしか居ないし、もう一度、〝ハロウィンパーティ〟を使おうにも、そっちは〝墓守サービス〟の効果で発動出来ない!)

 

 

 初めて見る筈にも関わらず。こちらのデッキ構成を知って居たのかと、疑いたくなる様なほど、絶妙な対策具合であった。

 その後もアルハンブラは攻め続けるも、終ぞ、その努力は報われず──その時が来てしまう。

 

 

「私のターン。──開始時に、〝骨喰腐虫、ダ〟2体と〝墓守サービス〟を破壊し、墓地から〝蝕虫死欲物ウツロカズラ〟をバトルゾーンへ」

 

 

 

蝕虫死欲物ウツロカズラ
属性:闇 種族:シャドー・グラス/パラサイト・イーター

分類:召喚 PP:8000

▪︎墓地以外からバトルゾーンに出た時、このモンスターは、代わりに墓地へ送られる。

 

▪︎ターン開始時、このカードが墓地にあった場合、バトルゾーンにある自身のモンスターを、3体破壊しても良い。その中に、名前に〝虫〟、若しくは種族に「パラサイト」とあるモンスターが含まれていた場合、このモンスターをバトルゾーンに出す。

 

▪︎このモンスターが相手のLPをブレイクする時、自身のLPを1枚墓地へ送る。

 

▪︎Dブレイク

このモンスターは、相手のLPを3枚ブレイクする。

 

 

 

 バトルゾーンに躍り出る、腐り、枯れ、焦げた、巨大な植物の化物。

 そのモンスターも、確かに強力だ。

 だが、()()は──…。

 

 

「──これによりカウントは6へ。ドローをし、次に〝ディザイア・クレイドル〟の効果を処理します」

 

 

 ボンボルドの言葉。アルハンブラは、プレッシャーから、気付かずに生唾を飲み込んでいた。

 

 彼女の視線の先で、ガラスの様な『卵』が割れ──

 

 

「〝果ての姫(ファプタ)〟、来なさい」

 

 

 

果ての姫
属性:闇 種族:フォーリナー/ジェノサイダー/プレイアー

分類:天浄天華(アルティメット) PP:15000

▪︎〈天浄天華〉

このカードはデッキに1枚しか入れられない。

 

▪︎このモンスターがバトルゾーンを離れる時、代わりに裏返し、裏側のカードとしてバトルゾーンに残しても良い。

 

▪︎このモンスターが相手のモンスターを破壊した時、行動状態を回復する。

 

▪︎Vブレイク

このモンスターは、相手のLPを4枚ブレイクする。

 

 

 

 現れたのは──

 

 

「〝果ての姫〟でドヴォロスを攻撃」

 

 

 瞬間、闘技場そのものが大きく揺れた。

 

 それほどの衝撃を生み出したのは、ドヴォロスへと突撃を仕掛けた、白く、美しいモンスター・果ての姫である。

 

 どこか、蚕と人とを合わせた様な見た目のモンスター。

 その出現に、周囲からは悲鳴にも似た声が上がった。

 

 

『ほあァ!? 素でPPが10000越え!?』

 

『て言うか、アルティメット? って何……??』

 

『アホ! 前の授業でやったばかりだろ! そうでなくてもそのくらい知っとけ!』

 

『せ、世界でもまだ20枚も見つかってない、同名のカードが存在しないとされる究極の1枚……!』

 

『ゆ、夢でも見てんのか…?』

 

 

 アルティメットカード。

 文字通り、唯一無二の究極の1枚。その希少性から、一部の階級の人間や、国主でなければまず手に入れられないであろうその1枚が、今、この場に顕現する。

 

 

「うそ……アルティメット、だなんて…」

 

 

 アルハンブラが、力無く呟いた。

 まだ、彼女が勝てる確率は()()()()ない。しかし、そんな。可能性がどうのと言う話ではなく、アルハンブラは、もうどうしようも無い、と。

 思考が止まってしまう。

 

 

「果ての姫で、LPをブレイク。4枚です」

 

 

 守りも無い今、いや。あの高いPPと理不尽な効果がある。

 本当に、どうしようもない。──勝てるビジョンを浮かべられない…っ!

 

 1枚、2枚……と、ブレイクされたカードを確認していくアルハンブラ。

 そして。

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

『──が、頑張って!』

 

「え?」

 

 

 声。振り向いてみたのは、とある女子生徒。

 もちろん、今日来たばかりのアルハンブラは、彼女の名前なんて知らない。

 

 アルハンブラや、周囲の生徒から注目を浴び、若干顔を赤くしながら、その生徒は、

 

 

『や、あの! まだアサシンカードがあるかもしれないし可能性はあると言うかそのあなたのプレイ見てたら応援したくなったと言うかあのえと…!!』

 

 

 慌てふためくその姿に、アルハンブラも「は、はぁ…」と微妙な反応。

 しかし、だ。

 

 

『──あ、ああ、そうだ、頑張れ! まだ君のLPは残ってるんだから!』

 

 

 慌てふためいていた女子生徒。その近くに居た、男子生徒が。

 

 

『こっからの逆転も、あり得なくはないんだ。応援してますよ!』

 

『頑張れー!』

 

『さ、最初闇のモンスター召喚しちゃった時、うわっとか言っちゃってごめーん!!』

 

 

 他の男子生徒が、向こうに居た女子生徒が、別の誰かが。

 

 どんどんと繋がっていった、応援の輪。

 一体、何がきっかけとなったのか。

 

 初めて見る闇属性のカードを何度も目の当たりにしたからか。禁忌とされているカードを扱う者が現れたからか。その人物が──とても、楽しそうだったからか。

 

 理由は分からない、それでも。彼ら彼女らの中で、何かに変化が起きたのは、明白だった。

 

 

(そう、だよね)

 

 

 ──変化はもちろん。その『中心点』であった、アルハンブラにも。

 

 

(まだ負けてない、可能性はある!)

 

 

 ──生まれて。初めての、声援。

 それで、これまで彼女が受けて来た迫害による苦しみが、癒やされるわけではない。過去の出来事が帳消しになるわけではない。

 それでも。

 

 

(──こんなに。嬉しいものなんだね)

 

 

 だから、まだ諦めてはいけない。

 

 少女の心に、火が灯った。

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

「おやおやおや」

 

 

 目前の光景に、ボンボルドは声を漏らす。

 今や一丸となり、全員が、1人の少女へ声援を送り続けている。なんと心打たれる出来事か。なんと尊い光景か。

 

 普段、伝説と称されているからこそ──勝つ事は当たり前、とさえ思われているからこそ、声援なんてものとは程遠い存在であるボンボルドは、仮面の下にて。様々な感情が入り混じった涙を流していた。

 

 アルハンブラが、〝果ての姫〟によってブレイクされたカードを捲る。3枚目。…──アサシンではなかったらしい。

 既に、祈りを捧げる者まで現れる中。アルハンブラが、ブレイクされた最後の1枚を手札へと加えた。

 

 

「──来た! アサシンカードッ!!」

 

 

 わぁ、と歓声が──それでもまだ、逆転の一手となり得るかは分からない。少し経てば、緊張を孕んだ静寂に包まれる。

 

 その中で。アルハンブラが提示したカードは……。

 

 

 

冥魂さん、いらっしゃ〜い!
属性:闇

分類:呪文/奇襲

▪︎自身のデッキを、分類がモンスターのカードが出るまで捲る。

 

▪︎そのカードの種族が「ゴースト」だった場合、それをバトルゾーンに出しても良い。それ以外だった場合は、手札に加える。

 

▪︎このカードの効果終了後、捲ったカードは全てデッキに戻し、シャッフルする。

 

 

 

『こ、これで次の攻撃を防げるカードが出てくれれば……!』

 

 

 ──緊張の一瞬である。

 アルハンブラがデッキの1枚目を捲り……呪文。次に、エリア。また呪文。呪文。そして、モンスターカード。

 カードの名前は──

 

 

 

低級霊・ホロ
属性:闇 種族:ゴースト

分類:召喚 PP:1000

▪︎このモンスターは攻撃を行えない。

 

▪︎このモンスターがバトルゾーンに出た時、若しくは、他の自分の、名前に〝霊〟・種族に「ゴースト」と無いモンスターがバトルゾーンに出た時、このモンスターを〈憑依〉させても良い。

 

▪︎〈憑依〉

対象のモンスターにこのモンスターのPPを+し、更にLPのブレイク数を+1する。(〈憑依〉した対象のモンスターが破壊された時、このモンスターも破壊された扱いとなる)

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

『ああっ』

 

『そんな……』

 

 

 周囲から聞こえた声に、しかし、アルハンブラは。どこか、嬉しそうな表情を浮かべていた。

 

 別に、今ある手札と組み合わせることでホロが逆転の一手となるわけではない。ここまでだ。ここで彼女は負ける。

 ──が。

 

 

「そっか。貴方が──最初の1枚(あなた)が、来てくれたんだね」

 

 

 それは、祝福によって手にした、初めてのカード。

 文字通り。苦楽を共にした、相棒である。

 悔しい。悔しい、が……それでも。

 

 

「……ありがとうね」

 

 

 前を見る。最初、対決の、1番初めにホロを召喚した時とは異なる、憑き物が落ちたかの様な、清々しい表情を、アルハンブラは。

 

 

『──え。なに、あれ』

 

 

 ふと、声。

 

 ざわり、ざわり、とした、どよめき。なんだろうかとアルハンブラは、ざわつく彼らの視線の先を追い、探す。そこにあったのは──。

 

 

「え──っ。か、()()()()っ??」

 

 

 今し方、バトルゾーンに出た〝低級霊・ホロ〟。

 そのカードが、光を放っていたのだ。

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

守護騎霊カルカジ・ロロ・ホロア
属性:闇 種族:ゴースト/ガーディアン/ソウル・メイト

分類:召喚/魂鎖(ユニゾン) PP:10000

▪︎〈魂鎖〉

指定した1枚がバトルゾーンに出た時、または使用した時、この効果を発動出来る。この効果はゲーム中、1度しか発動出来ない。

 

▪︎〈盾〉

この効果を持つモンスターは相手モンスターの攻撃を防ぐことが出来る。

 

▪︎ターン終了時、このモンスターの行動状態を回復する。

 

▪︎相手のモンスターとバトルする際、このモンスターのPPは、自身の墓地にある、種族に「ゴースト」とあるカードの枚数分+1000される。

 

▪︎Fブレイク

このモンスターは、相手のLPを5枚ブレイクする。

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

 ──光が収束し、現れたのは。それまでとは異なる姿となった、どこか、騎士を思わせる出立ちのモンスターだった。

 

 角を有した甲冑。たなびくマント。携える、重厚な槍と盾……。

 

 魂鎖と呼ばれる現象。

 レガリストの魂と繋がった、運命の1枚とも呼ぶべきそのカードが、ある時をきっかけに、バトルの最中で変貌を遂げると言う──()()()()()()()()()()()()()()()()()更に稀有な、奇跡の現象。

 

 

「おやおやおや」

 

 

 ボンボルドは、目前で起きた奇跡に、自然と声を漏らしていた。

 

 

「おやおやおやおやおやおやおやおやおやおや」

 

 

 自身の〝果ての姫(アルティメット)〟にも。負けず劣らずのプレッシャーを放つ、霊の騎士。

 

 

「素晴らしい。素晴らしいですよ。アルハンブラ」

 

 

 ターンエンドの宣言をし、手番を回すボンボルド。

 

 アルハンブラのターン。

 守護騎霊が、槍を構え──駆けた。

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

「──ふがっ」

 

 

 場所はスビア(学園)

 その教室の1つにて。とある女生徒が目を覚ました。

 

 

「──おはようございますアルハンブラ。君はお寝坊さんですね。他の生徒の方は、もう既に下校の準備を終えていますよ」

 

 

 覚醒と同時に彼女の視界に映り込んだのは、ヘンテコな仮面を被った人物である。ボンボルドだ。

 

 

「や、やば! 寝ちゃってた!?」

 

「デッキ構成に夢中になってしまうのは仕方がないですが、眠ってしまうまで続けるのは良くないですよ。さあ急いでください。君が最後ですから」

 

「ひえ〜、ごめんね先生! 直ぐ済ますからっ」

 

 荷物を纏め、その途中。危うく転びそうになるアルハンブラに、ボンボルドが「おやおや」なんて言う場面を交えつつ。下校の準備を終えた彼女と並び、ボンボルドは玄関に続く通路を進む。

 

 

「──あ。思い出した」

 

「おや。どうされましたか?」

 

 

 道中、ふとした様子でアルハンブラが切り出した。

 

 

「そうそう、さっき、夢見てたんだ。内容思い出した。初めて先生とレガリアした時の夢だった」

 

「ほう。それはそれは」

 

「先生、覚えてる? 私とレガリアした時のこと」

 

「もちろんですよ、アルハンブラ。なんなら、1ターン目からどの様に進んだか、お答えしましょうか?」

 

「いやいや、流石に先生でもそれは無理でしょ──無理だよね?」

 

 

 ボンボルドの言葉に、笑って済まそうとしたアルハンブラが、微妙な表情となる。

 いや、生ける伝説であれど流石にそこまでは……。いやでも、生徒のデッキ構成は全部把握しているしなぁ、と。口の中でぶつぶつ呟く彼女は、まあいいかと話を戻した。

 

 

「にしても、懐かしかったなぁ。凄かったよねー、あの日の対決」

 

「ええ。とても心躍ったと記憶しています」

 

「えへへ。そう言われると私も嬉しい。──うん、でも…」

 

 

 一呼吸挟み。

 

 

「…──まさかあそこから勝たれるとは思わなかったかな」

 

「懐かしいですね。あの後私、職員室で吊し上げにされまして……」

 

「う、うわぁ」

 

「心外ですよね。どんな相手であろうと、レガリアでは真剣に臨まなければ。アルハンブラも。後で私に手を抜かれたと知れば、我慢出来ますか?」

 

「あー、うん。多分一生引きずっちゃうと思う」

 

 

 でしょう? とボンボルドが言う。

 どこか……こう、ぷりぷりしている様子の彼に、中々レアなものが見られたと思考する、アルハンブラ。

 

 さて。そんなやりとりをしている内に、玄関へと到着する。

 

 

「じゃーねー! 先生! また明日ぁーっ!」

 

「はい。気をつけてお帰りください」

 

 

 大きく手を振りながら、駆けて行く自身の生徒に、ボンボルドも、その姿が見えなくなるまで手を振り返した。

 

 

「──懐かしいですね。そんなことも、確かにありましたか」

 

 

 当時、目前で奇跡を引き起こした少女。

 今を比べると、随分と垢抜けたものだと、彼は感慨に耽た。

 

 

「あの様な対決。そう忘れられるものではありません。特にあのターンでは──…」

 

 

 楽しそうな呟きは誰に聞かれることなく、夕日が差し込む校舎の通路に、静かに溶けて、吸い込まれていく。

 

 男の名前はボンボルド。

 人は「黎明卿」と彼を呼ぶ──様になった、そのきっかけとなった戦いを、彼は懐かしんでいた。

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

「──ごめーん先生! 忘れ物あったぁ!」

 

「おやおやおや。君はそそっかしいですね」




主人公より主人公してねーかこのキャラ。
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