教師「可愛い教え子たちから失望されたいンゴねぇ……せや!」   作:羽虫の唄

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ランクマで、フレアエッグ→バルガドライバー→鬼丸覇→追加ターン→バルガドライバーにドラゴ大王を呼ばれるとか言う、地獄のコンボに遭遇したので初投稿です。


ちょっと遅れてしまい申し訳ない。
感想・評価・お気に入り、ありがとうございます。


(|)「なんと…。実験に、この私の命を使えと……?」

 ──レガリアを学ぶならばスビアだろう。

 

 人々に、そう言われるだけの功績を今なお残し続けている、世界でも有数のレガリアの名門・スビア学園。

 

 名を馳せる、偉人の殆どがスビアで学び、また、こうしている今でも、レガリアの歴史を1人で進め続けている、生ける伝説が教師を務めていることもあり、今日も多くの人がスビアの門を叩く。

 

 海を渡り、山を越え。

 そうしてやって来た彼ら彼女らは、今日も研鑽を重ねていた。

 自身が理想とする、最高の決闘者(レガリスト)へ成る為に。

 

 

「──俺のターン、ドロー! よし! 来た来たァ! 手札から、〝華美たる森の王者ゲキシンバラクロス〟を召喚! LPに攻撃、これでトドメだぁ!」

 

「うわぁあああ!?」

 

 

 モコモコとした、ワインレッドの頭髪。鼻の辺りに、うっすらと一文字の傷が走っている少年が、レガリアを行っていた。

 彼の名前はゲッキと言う。

 

 今し方、ゲッキによってバトルゾーンに召喚された、バラの花を背負った、カブトムシに似たモンスターによって、対戦相手の少年が撃破され、悲鳴を上げた。

 

 白熱していた彼らの声は、日常生活の中では、声量を抑えてほしい代物ではあったが、ここはレガリアを学ぶ為の学園である。似た様な光景がそこら中で見られ、彼らを注意する人間は存在しない。

 

 

「いやぁ。強いな君! 俺の自慢のデッキだったけど、まさか手も足も出なかったとは……!」

 

 

 負けこそしたが、それ以上にゲッキのプレイングを素晴らしいと思ったのだろう。少年は素直に賞賛をし、それを聞いたゲッキは、照れ臭そうに鼻下を指で掻く。

 

 

「へへっ! 俺は最強のレガリストを目指してるんだ! そう簡単にはやられねぇよ!」

 

「へぇ……『最強』と来たか。それは、大きく出たな!」

 

 

 ゲッキの言葉に、少年はニヤリと笑った。

 最強の、最高の、最大の。様々な二つ名をその頭に飾り、それを目指すレガリストは多い。

 

 少年だって、もちろん。その1人なのだろう。

 しかし、()()()それを語ると言うことは、つまり、ある男を越えることを、必然的に意味した。

 

 曰く、最強のレガリスト。

 或いは、無敗の王者。

 即ち──生ける伝説。

 

 その表情から、彼が言おうとしていることを理解したらしい。ゲッキもまた、口角を上げ、笑顔で応える。

 

 

「ああ。伊達や酔狂で、俺は最強を目指すつもりはねぇ。言うからには、あの男を──俺は、『伝説』を越えてみせる!」

 

 

 それは、闘志に満ちた言葉だった。

 彼の名はゲッキ。若きレガリストである。

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

 さて。そんな、生ける伝説と呼ばれる男、改め。

 仮面とスーツを纏った、ヘンテコ教師・ボン()ルド。

 

 既存の型に囚われないプレイング。一度デッキを組めば、それだけでレガリアの歴史を進めてみせる、幾つもの逸話を残し、そしてこれからも作り続けるであろう、比喩でもなんでもなく、文字通り、最強のレガリスト。

 

 レガリアを行う者ならば、畏敬の念を抱かずには居られない、神に等しい存在である。

 

 ()()()()()()()()()、そんなボンボルドであるが、彼は現在、のっぴきならぬ状況下にあった。

 

 

「──さて。ボンボルドよ。此度の一件、どの様な意図があってのことなのか。そなたの口から、詳しく話を聞かせてはもらえないだろうか」

 

 

 そう言ったのは、長い顎鬚を携えた、老齢の男性である。

 

 金刺繍の施された、豪華絢爛な衣装に身を包み、特徴的な被り物を頭に飾った男性。

 彼が何かと言えば、国主である。ボンボルドたちが暮らす、この国を運営している人間だ。

 

 それが今、ボンボルドの目の前に居る。

 

 

「闇属性のカードをレガリアに用いることは、禁忌とされている。この思想は、今や世界中で共通の物だ。お前の行いは、それに、真っ向から対峙する形となった訳であるが……」

 

 

 ──ボンボルド、国主様からの直々なお呼び出しであった。

 

 招聘(しょうへい)──名前だけは──の理由は、つい先日にスビアにて行われた、とある生徒との対戦にて、彼が闇属性のカードを用いたことに対してである。

 

 つい先ほど。国主が述べた様に、闇属性とは、長らく禁忌とされて来ていた。それは世界の共通認識であり、不変的なもの……にも関わらず。

 ボンボルドは、そんなもの関係無いとばかり。唾棄すべき闇属性のカードを、ふんだんに使ったデッキをレガリアに用いたのだ。

 

 彼の教え子に、『祝福』によって闇のカードを手にした少女が居たことは、国主や──この場に呼び出された、他の高位の人間たちも知り得ては居る。

 禁忌とされているが、それは祝福による物。少女の今後を、慎重に観察していこうと、議論に議論を重ねて結論を出した直後に、なんら関係無いボンボルドによる、闇属性のカードの使用である。

 

 それが何を意味するか。

 国主を皮切りに、数人の老人たちが声を荒げた。

 

 

「祝福によるものならばまだしも、なんら関係の無い貴方がそれを扱うなどと…! ご自身の立場。()いては、影響力と言うものを認識してのことなのですか!?」

 

「闇属性とは、過去に起きた大戦の、忌むべき侵略者たちの力である! それを使用するとなれば、見ようによっては、国や世界そのものに対する叛逆にも取れるのですぞ……!」

 

 

 大臣や、隣国の教皇などなど。

 口々に、糾弾の声を上げる彼ら。それらに対し、ボンボルドは。

 

 

(や──っ。やっべえええええ!? いくらなんでも後先考えなさすぎだったああああァ!!?)

 

 

 ぐるりと周囲を取り囲まれ、その中心点に立つ、ボンボルド。その心境は、さながら。証言台に立ち、死刑判決を下された被告人であった。

 

 そのヘンテコな仮面の下で、冷や汗を滝の様に流し続ける彼。

 既に。緊張のしすぎで、却ってその体は微動だにしていない。

 

 

「……何か。言ってはどうかね、ボンボルド」

 

 

 国主の低い声に──彼の精神は、音を立てて切れてしまった。伝説だのなんだの言われても、根は、小心者なのである。

 

 そんな彼が、選んだのは……。

 

 

(た、たたっ、た! 助けてぇボン()ルドぉ──っ!?)

 

 

 ──自身が模倣する存在の、完璧な成り切りであった。

 世間一般では、これを思考放棄。または現実逃避と呼ぶ。

 

 

「──今や常識に左右されない、新しいアプローチが試されるべきと考えただけのことです」

 

「……ほう?」

 

 

 一切の緊張の感じられない、落ち着いた(様に聞こえる)声音。

 その言葉に、国主の眉根が僅かに動いた。

 

 

「……この場の発言によって、君の処遇が決まる。発言には気をつけたまえよ」

 

 

 言外に、もう貴方たちは時代遅れだと言われ、微かに声を震わせながら、大臣の男が声を発した。

 

 

「構いませんよ」

 

「な……何…?」

 

 

 だからこそ、次のその発言に、意表を突かれた。

 ボンボルドは語る。

 

 

「レガリアとはかつて祭事でした。モンスター、または我々人の闘争を、神々への供物として捧げて来たのです。レガリアによって死ぬと言うことは、神にこの身を委ねると言うこと」

 

 

 むしろ本望だ、と。レガリアに生き、レガリアに殉じることが出来るのならば。

 ボンボルドのその言葉を聞き、場が静まり返った。

 

 もちろん、ボンボルドとて死ぬ気は毛頭無い。

 無い、が。今の彼は、緊張と恐怖のあまり、頭をすっからかんにして、『度し難い』に成り切ることに、全てのリソースを割いている。最早彼の意識は、この場をどう切り抜けるかすら考えてはいない。

 

 彼の頭にあるのは、『闇属性だってレガリアなんだから少しくらいいいでしょ』と言う、1人のレガリストとしての、レガリアに対する熱意。

 そして、先日、己の脳を破壊するに至った、恐るべき存在に対しての知識だけだ。

 

 

「ふむ。あくまで貴様は、国家叛逆の意思など持たず……純然と、ただレガリアを発展させたいと。そう言いたい訳なのだな?」

 

 

 国主の言葉に、ボンボルドは毅然とした態度で首肯する。

 

 常人であれば、この場で命乞いの1つでもするのだろうが、ここに立つのは、常人の枠に到底収まらない、規格外の伝説(かいぶつ)である。

 

 故にこそ。禁忌などで彼の、レガリアに対する探究心が止まりはしない。

 

 ──ごくり。誰かの、生唾を飲み込む音が響いた。

 

 異常であり、狂気。それほどまでの、レガリアに対する、純粋な熱意。

 この場に居る人間も、ボンボルドと同じく、レガリストの1人である。しかしながら、目前の男の異質さに、本当に自身と同一の存在なのか?

 彼らは等しく、ボンボルドの放つ『圧』に飲まれていく。

 

 この人たちがボンボルドの真意を知ったらどうなるんだろうか。

 

 

「…──ボンボルドよ、1つ訊かせてくれ。何がお前をそこまで動かすのだ?」

 

「愛です」

 

 

 即答。

 国主の問いかけに、ボンボルドは迷うことなく応えた。

 

 

「──愛ですよ、皆さん」

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

 ボンボルドの、闇属性のカードを使用したことは、結果を述べると、不問と言う形となった。

 

 

「よ、よろしかったのですか? 如何にボンボルドとは言え、不問にするなど…」

 

 

 全ての一件の元凶たる、ボンボルドだけが退出したその場所。残された彼らの中で、国主に質問をしたのは大臣だ。

 無論。最後の判断を下した、国主の決定に背くつもりは毛頭無い。

 

 しかし、皆が皆、その判断に全面的に賛同できているわけではないのも事実だ。代表して、彼が訊ねれば、国主は僅かに眉間に皺を刻みながら、

 

 

「……あくまで()()不問だ。当然、監視は配置する。──ソルンドロット聖」

 

「なんでしょう」

 

「『()()()』の力をお借りしたい。宜しいか」

 

「! は、確かに。承りました」

 

 

 ──失望されたいと言う、1人の男のその願望。

 それにより、少しずつ。何かの歯車が、ゆっくりと。確かに動き出していく。

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

「せ、先生が戻って来てから延々とデッキ構成を続けている」

 

「何事も無かった……と言うことで、いいんすよね…?」

 

「あ、先生! お待ちになられて! ワタクシ、今の構成から新たな閃きを得られそうで…あぁっ! せめてメモを取らせて下さいまし!」

 

「待たれぃ、ボンボルドよ! 今し方の組み合わせ、儂のデッキに組み込むことが出来れば…!!」

 

 

 ボンボルドの、闇属性のカードを使用した一件。

 

 国主からの呼び出しを受けた際は、(本人含めて)生きた心地のしなかった、スビアの教師陣。

 学園長や教師だけでなく、あの試合を実際に目にしていた生徒たちや、その時の対戦相手の少女も、必死に訴えかけたものの、それが聞き入れられることは無く…。

 

 やって来た兵隊に連行されていくボンボルドを見て、全員が最悪の結末を想像していた……そんな中。

 

 一件、まるで何も無かった様子のボンボルドであるが、戻って来るなり一切の報告もせず、一心不乱にデッキの構成と解体をひたすら繰り返すだけの、マシーンと化してしまった。

 

 卓上へ、目一杯に広げられたカードたちが組み合わされ生み出される、神がかった構成のデッキたち。

 周囲の教師たちが、繊細でありながらも、大胆なその構成に驚愕の声を上げ、そして一瞬にして解体されていく様に、続けて悲鳴を上げていく。

 

 無事に帰還して来たと言うことは、一応は許されたと言うことなのだろうが、今のボンボルドの様子から、それを聞き出すのは無理だろうと言うことで、トウテツとフウランは、遠巻きに眺めていた。

 …──と。

 

 

「──失礼する!」

 

 

 ばぁんっと、些か、強めに職員室の扉が開かれる。

 立っていたのは、モコモコとした、ワインレッドの頭髪の少年だ。

 

 

「俺はゲッキ! 『最強』を目指すレガリストだ!」

 

 

 突然登場したかと思えば、声高らかに紹介をする少年・ゲッキ。

 彼は数度周囲を見回してから、そのまま、教師たちには目もくれず──ボンボルドへと進んで行く。

 

 

「──アンタがボンボルドだな? 伝説だとか言われてるらしいが、知ったことじゃねぇ。最強の座を賭けて、この俺と勝負してもらおうか!!」

 

 

 熱い、1人の少年による、大胆不適な宣戦布告。

 

 戦いの火蓋が、切られた。

 

 

 

 

 

 ▼▼▼▼▼

 

 

 

 

 

「──熱意に溢れるのは良いことですが、授業を除き、生徒が教師とレガリアを行う際は事前の申請が必要となります。先ずは1階の受付で資料を受け取り、必要事項に記入を済ましてから、それを持参してまたいらして下さい」

 

「アッハイ」




知見を得る為、デュエマのコンボやループを調べてますが、出来栄えや組み合わせに脱帽してばかりです。

アツトで捨てて、スタートダッシュリバイバーで呼ぶぐらいしか思いつかない自分の脳に絶望。
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