そんなの無いよ
伏線まみれの作品を見たいってのなら黒い太陽の方に行ってな
って事で5話、よろしやす
いやぁ……前回は思いの外出しゃばっちゃったね。
反省反省っと。
さ、前回のあらすじと行こう。
ヴェルドラと別れ、再び歩みを始めたプロス=テンペストは、ユニークスキル『仮面ライダーデモンズ』の力を元にベルト、バイスタンプを創造した。
その力は使えなかったものの、彼らはようやく洞窟から抜け出し、太陽を拝むことが出来た。
そこで出会ったゴブリン達……彼等との邂逅は何を意味するのか……ってね?
「グガッ……強キ者達ヨ……コノ先ニナニカ用事ガオアリデスカ?」
散策を開始していた俺達の前に現る30人程の弱そうなゴブリン達の内、恐らくリーダーであろうものが口を開いて話しかけてくる。
僅かでも敵意があるようなら直ぐにベルトを出現させて変身してたのだが、そんな物は感じ取れなかった。
あるのは畏怖。
そして僅かながらに感じ取れる希望に似た何か。
恐らくだが、コイツ等は俺達に助けを求めているのかもしれない。
となれば人として、『仮面ライダー』として、俺として救わなければなるまい。
まぁ何より、縁が出来たからな。
『進……成長したのね。お兄ちゃん嬉しい』
何故か兄弟ズラしてるバカ悪魔はこの際無視して、この勇敢なゴブリン達と対話すべく俺は口を開く。
「えーっと……」
俺が本題を話そうとするのよりも前に、リムルも対話を試みるために口を開く。
それが駄目だった。
「初めまして!俺はスライムのリムルという!」
ほんの一瞬ではあったが、意識が飛んだ気がした。
どもどもネクスです。
恐らく今、皆様はこのドアホボケナススライムであるリムルの激ヤバさをお理解していらっしゃらないでしょう。
何せこの文章じゃどれ程の声量か、どれ程声が震えていたか、どれ程狂気的だったのかがわからないのです。
ので、書き直しましょう。
正確にはこう。
「初めまして!俺はスライムのリムルという!」
これが正しい表記。
うん、死ぬかと思った。
「うっるせぇ!!!」
『やべ鼓膜ないなったかもしれん。俺ちゃんのないなった鼓膜へ、†AMEN† 』
リムルの放ったクソデカ雑音に耐えかねて両耳を塞ぐ俺と、すべてを諦めたような顔で十字を切るネクス。
ゴブリン達も覇気に気圧された上で慄き、その場に跪いてしまう。
化け物が。
「……あれ、思念が強すぎたか?おーい、大丈夫か?」
「一生恨む」
『予備の鼓膜何処やったっけ……』
手始めに俺達を心配したのはリムルなりの優しさなのかもしれないが、今の俺はそんなことがどうでも良くなるくらいにやリムルのことを恨んでいる。
このスライムは後でボール代わりにしてネクスとドッジボールする。
「お前達も悪かったな。まだ調整が上手く出来なくてな」
「オ、オソレオオイ!我々ニ謝罪ナド不要デス!」
「謙虚だな……そんなに恐縮せんでもいいのに」
『おいおい、考えても見ろよ進。相手はただのゴブリン、対するは俺ちゃんとお前の最強無敵コンビ。ふっつーは恐れ慄くってもんだろうがよ』
「まぁそれもあるだろうけど……」
一応ネクスの言ったことを肯定しつつ、リムルに視線を落とす。
中身さえ知らなければ可愛らしい流線形のスライムボディーから溢れ出す、尋常ではない量の魔力。
量や質、どれにおいてもヴェルドラ並と言っても過言じゃない。
「……メインの理由はこれだろうな」
そんな自分の現状に恐らく気付いていない愚か者を見て、溜め息を解き放ちながらそう呟く。
「……んだよ。その呆れきった顔は」
「何でもねーよアホスライム。んで?ゴブリン達、お前等は一体何故ここに?お生憎だが、俺達はこの先に何ら用事はないぞ」
またリムルと言い合うのも時間の無駄になりそうだったんで、リムルからの返答が来るよりも前にゴブリン達に質問する。
リムルがなにか言いたげな顔をしていたが、そんなのどうでもいい。
……まぁ最も、表情なんて読み取れないんだけど。
「左様デシタカ。コノ先ニ我々ノ村ガアルノデス。強力ナ魔物ノ気配ガシタノデ警戒ニ来タ次第デス」
「強い魔物の気配?」
「あぁ……」
『もう察したよね』
リーダー格のゴブリンの問への答えを聞き、先程までの疑いが確信になる。
それでも尚、当の本人は赤の他人ごとである。
そろそろ教えといてやるか。
「なんだっけか……お前のユニークスキル」
「ん?『大賢者』のことか?それがどうしたんだ?」
「そうそれ。それで自分の事を三人称視点で見てみろ」
「?ま、まぁやってみるか……」
俺の司令に従って、リムルは『大賢者』を使用して、今自分の姿がどうなっているかというのを第三者視点で見ることに成功しただろう。
「んなっ!?」
どうやらようやく気付いたようで、リムルの口から驚きと捉えられる様な音が鳴る。
魔力全開で居続ける……それは前世で言う所の「社会の窓全開でドヤ顔で街を闊歩する」事と同意義。
ヤツはずっと醜態を晒し続けていたのだ。
(お前……気付いてたなら言えよ)
(視線で伝えていたはずなんだがな……鈍感クソニブスライム君にゃ通じなかったか?)
(言葉にしないと伝わらない事だってあるんだぞ)
(それとこれとは話が別だ。去れ)
そんなやり取りをしつつも、リムルは溢れ出ていた魔力を抑え込む。
「ふ、ふふふ……わかるか?」
あからさまな嘘をつき、それらしい事を言うリムル。
アホみたいにわかりやすかったのだが、そんなのでもゴブリン達は騙せたようで、そこから様々な会話をしつつ、その流れで俺達はゴブリン達の村にお邪魔することになった。
んで、会話を進めてくたびに彼等の言葉もクリアに聞こえるようになった。
「あそこです」
この通り。
『魔力感知』バンザイってわけだ。
ってなわけで到着したゴブリン村は、村と呼ぶにはあまりにもボロボロで、村というよりも集落と呼んだほうが正しい感じだった。
んで、そこの村長さんと話すべく、俺とリムルは村の中で一番でかい家で待機することに。
「お待たせいたしました、お客人。私はこの村の村長をさせて頂いております」
そう言いながら先程のリーダー格のゴブリンに支えられながら家に入ってきたのは、だいぶヨボヨボなご老人のゴブリン。
だいぶ年行ってそうだと思い、ネクスにこのゴブリンがどんなもんか聞いてみた所……
『こりゃ数年もせずにぽっくり逝くタイプのご老人だな。喰っても美味くない』
……とのこと。
そんな事を考えてると、村長は俺達に向けて頭を下げ、リーダー格のゴブリンは片膝を立てて跪く。
「貴方様方の秘めたるお力、息子から聞き及んでおります。我等の願い、何卒聞き届けては貰えませんでしょうか」
「……内容によるな。言ってみろ」
「ははっ」
その願いにリムルは少し考えてから答え、村長達は顔を上げる。
そして言われた通り、村長は今この村で何が起こっているかを語った。
一月前、この地を護る竜の神が突如として消失し、それ故に縄張りを求める魔物達がこの森に目を付けたとの事。
その中でも牙狼族という魔物は強く、1匹に対してゴブリン10匹で挑んだとしても苦戦する程。
牙狼族の数量は100匹程はおり、それに比べてゴブリンは雌を含めて60匹程度。
絶望的な戦力差である。
「牙狼族が100匹程っていうのは確かなのか?」
用意されていた湯呑みと思われる物に入ったお茶を飲みつつ、リムルがそう尋ねる。
すると、今度はリーダー格のゴブリンのほうが口を開いて説明する。
何でも、リグルという名前のゴブリン……そう、リーダー格のゴブリンの兄が、牙狼族との死闘を経て手に入れた情報らしいのだ。
とある魔神に名を授かり、村一番の戦士として活躍していたとのこと。
今彼らが生きているのも、リグルが居たからこそなのだと。
「……もう居ないのか?リグルは」
「……」
リムルの問いに、返ってきたのは沈黙。
つまり、そういうことなんだろう。
己の命を代償にし、仲間の為になる情報を手に入れる。
なんと誇り高い精神を持った男だったのだろう。
これもある種の自己犠牲というものなのだろうか。
「弱き者が散るのが宿命だとしても、息子の誇りにかけて我等は生き残らねばなりません」
再び村長達は頭を下げ、
……となれば、やる事は一つだけだろう。
うーむ……どうするべきか。
別に気まぐれで助けてやってもいいんだが、そうするとこれからに影響を与えかねない。
ここは一つ、体裁を整えるべきだろうか……。
「……わかった、引き受けよう」
先程まで何も関与せず、ただただ静観していたプロスがようやく口を開く。
あまりに呆気なく提案を受け入れたのもあって、どんな顔してそんな事言ってるのかと思い、俺は視線を上にずらし、プロスの顔を見る。
そこに居たのは、まるで独裁者のような冷たい目をした、俺の知らないプロスだった。
今まで見たことのなかったプロスに戸惑いを隠せない俺には目もくれず、プロスは更に言葉を紡ぐ。
「ただ条件なしってわけじゃねぇ。生憎、コチラは慈善事業で誰かを救ってるわけじゃねぇんだ。俺達がお前達を助けた暁にゃ、お前達は俺達に何を捧げる?」
そう言うと、どこから取り出したかすらわからない簡易的な椅子にふんぞり返ったように座り、ギロッと睨む。
思わず背筋がビクッとしてしまう。
ゴブリン達もその威圧感に怯えるように震えていたが、覚悟が決まったようでプロスに目を合わせて堂々と宣言する。
「……我々の忠誠を捧げます!我らに守護をお与えください!さすれば我らは、御二方に忠誠を誓いましょう」
「誓いましょう!」
「……」
その答えを、プロスは目を閉じて聞く。
部屋全体に緊張が走る。
その緊張をぶち壊したのは、プロスだった。
「ふっ……フハハ……ハーハッハッハッハ!!!」
仰け反る位の高笑いをしながら、何時ぞやに取り出した扇子を開くプロス。
少し見えにくくはあったが、その顔に冷たい雰囲気なんてものは無かった。
「いやぁ〜結構結構!それが聞けて十分満足だ!」
取り出していた椅子を何処かにしまい、俺の隣にあぐらをかいて座る。
扇子を自分に向けて仰ぎつつ、俺の頭をポヨポヨと叩きながら、更に言葉を述べる。
「忠誠を誓うってんならリムルだけにしとけ。後々権力が二極化したりすると色々と厄介だし」
「で、ですが……」
「それにだ、俺は本当に見返りが欲しくてさっきの質問をしたわけじゃない。お前達の誠意がどれ程かってのを知りたかっただけだ。俺は何も求めねぇよ」
ケラケラと笑いつつも、扇子をバシッと閉じるプロス。
先程までのアレは何だったというのか。
っていうか、俺も別に忠誠が欲しいとか思ってないんだけど?
「何より、今の俺達には縁がある」
閉じた扇子を村長さん達に突き刺すように前に出し、ニヤリと笑う。
そういやそうだった。
コイツは目を合わせただけでも縁が出来たとか言うような危険人物だったんだ。
「少なくとも俺はあんたらとは良縁でありたい」
先程とは打って変わって、落ち着いた雰囲気の声でそう言うプロス。
言い終えたのとほぼ同じタイミングで、外から空を裂くような魔物の吠える声が響く。
牙狼族の遠吠えだ。
その鳴き声を聞き、あるゴブリンは怯え、あるゴブリンは逃げようと焦りだす。
村長達や落ち着いてる面々が収めようとするも、聞く耳を持たない。
(なぁプロス。結局の所、どうするんだ?)
(んだよ。そんくらいなら言わなくてもわかるだろ?)
(……だな!)
オレの方を向き、いたずらに笑うプロスに笑い返し、人置きおいてから声を上げる。
「怯える必要はない」
「そうそう。どーせ今から倒す相手だ。怯えてちゃ、勝てる勝負も勝てなくなるぞ」
「では……」
村長達から期待に似た眼差しが向けられる。
その期待、応えてみせよう!
「約束しよう。この村、そしてお前達はこの俺、プロス=テンペストと」
「リムル=テンペストが!」
「「守り抜いてやるよ!」」
こうして、俺達はゴブリン達の主、守護者となったのだ。
「……あ、マジで忠誠はリムルだけでいいからな?俺はそういう、誰かの上に立つような存在になるのは嫌いなんだ」
「あんだけ理由述べてたくせに結局は私情かよ!」
『締まらねぇなぁ……』
青メッシュ様から評価10を貰っちゃいました
なんならこれまでに2名(リア友)からも高評価を貰ってました
もう死んでもええ
まだまだ先の話にはなりますが、リメイク前でヒロインしてたあの鬼の娘、名前はそのままでだいぶキャラが変わります
1年もありゃ癖は変わるってもんよ