とある魔術の獅子星座   作:あべるはうけ

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漫画返却

生まれた時から人とは僕は他の人とは違っていた。

その違いは他人から疎まれる材料足り得たし、僕の人格形成にも大きく影響した。他人と違う身体。きっと普通ならその身体にコンプレックスを抱き、心を病んでしまったりするのだろうが、僕は違う。

それは矛。それは盾。僕という存在足らしめるための長所。

僕はこの身体であっても、いやこの身体だからこそ言える。

 

僕は満ち足りた存在だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<1>

 

学園都市第七学区

なんの変哲もない高校生が通う学校。

特にこれといった特徴はない。高位の能力者が通っている訳でもなければ、偏差値が高い訳でもないスタンダードな高校。

だが、通っている生徒も一様にスタンダードというわけでもない。

やはりどの学校にも問題児はいる。

 

「いいか、上やん。これは偶然だったんだ。何も悪いことじゃない。偶然であって必然じゃない。開き直ればいい。それで全て解決する」

 

「そうとは言いますが流石にこれは、、」

 

「んなことより2人とも、まずは先に言うことがあるやろ?せーの」

 

『吹寄さんごめんなさい』

 

「しね」

 

事は数分前に遡る。

といってもそこまで複雑なことではなく、上条当麻。土御門元春、青髪ピアスの3人で歩いていたところ、何もないところで突然青ピがこけ、土御門にぶつかり、上条にさらにぶつかり、そして上条のもつ水が対面から歩いてきた吹寄制理の制服を濡らし、その下着を露わにした。という訳だ。

 

「まさか学校のなんの変哲もない廊下でピタゴラスイッチが見れるなんて思わなかった。いい見せ物だったよありがとう」

 

「クソ、自分は関係ないからって高みの見物決め込みやがって、、」

 

3人を馬鹿にする男はレグルス・コルニアス。

その名前から外国人と思われがちだが、ちゃんと国籍は日本である。

3人とはいつも時を同じくする友人であるが、見捨てる決断は早い。

絶対優位な立場は保持するものであるからだ。

 

「事故なんです吹寄さん。上条さんのいつもの不幸なんですよこれは」

 

「誰の透けブラが不幸だって?」

 

「暁光です!」

 

「あ"??」

 

「なんて言えば正解だったんでせうか!?」

 

不幸を嘆く上条の肩に手が添えられる。

そこにはサムズアップした土御門と、悟りを開いた青ピがいた。

 

「1人じゃないぜ上やん。たとえ火の中だろうが水の中だろうが、吹寄の鞭打の雨だろうが一緒さ」

 

「ボクら、友達やろ?」

 

「遺言はそれでいいか」

 

殺意の波動を感じさせる程怒り心頭の吹寄を前に友情を再確認した上条当麻。例えその原因が何もないところでこけた青ピであったとしても、3人でこの危機に向き合って行こうと思った。

 

 

「それで上条ちゃんたちはそんなに顔が腫れちゃってるんですね。先生上条ちゃんたちがいじめにあったのかと心配しちゃいました。吹寄ちゃんやりすぎはダメですよー」

 

「すみません、ついカッとなって、、」

 

「ほっほひっへふははひ」

 

「なんて?」

 

「……」

 

上条、土御門、青ピの3人はこれでもかというほど顔が腫れている。

フグのような頬では上手く喋れないのか出る言葉全てが、は行で完結している。

 

「はあ、はひふふ、ひょーはひょはふへはんはへほひへへふへへん?」

 

「僕は利益にならない会話はしないタチだから二度と喋りかけないでくれ」

 

「……」

 

キツい言葉とは裏腹にレグルスは口元に笑みを浮かべている。

どうやら喋りかけても何も理解してもらえない3人を面白がっているらしい。青ピもこれ以上話しかけるとさらにイジられることを理解したのか、他人とのコミュニケーションを諦めた。

 

そんな3人を置いて授業は通常通り進んだ。

小萌先生は頬の痛みを訴える上条達に普通に教科書を読ませた。可愛い顔して鬼畜である。吹寄はやりすぎたと少し罪悪感に駆られ、レグルスは終始ニヤニヤしていた。

 

1日の授業が終わる頃には腫れも引いていて、3人とも自由に話せるようになっていた。

 

「あそこで助け舟を出してくれてもよかったと思うですけどどうなんですかねレグルスさん」

 

「どうしようもなかったろ?あそこで下手に君たちを庇うよりこれ以上犠牲者を出さないことに気を配ったのさ。合理的じゃないか」

 

「きっとコイツには何言ってもダメだぜ上やん。コイツは仲間を見捨てるクズなのさ。酷いやつだぜまったく」

 

「まともに喋れないボクにあのキツいひと言リフトオフ。忘れてへんで」

 

非難轟々だ。当のレグルスは意に介していないとでも言うように帰る準備を続けている。3人は手を動かしながらもまだレグルスを非難していた。

 

「まったく、過ぎた事をそう引きずるものじゃないよ。今を生きてる僕らは今に集中するべきだ。ちっぽけな僕らに出来ることはそれだけ。さあ、前を向いていこう。今日の献立の話でもしようじゃないか」

 

「そんな台詞並べても中身のないことは分かってんだよ」

 

「今日は舞花がハンバーグにするって言ってたにゃー」

 

「ええな、ボクもいってええ?」

 

「お前ら、、、」

 

もう馬鹿らしくなったのか上条も今日の献立を考えているようだ。

レグルスはそんな必要はない(・・・・・・・・)でぼーっと歩いている。

 

「あ」

 

ふと、何かを思い出したのかレグルスが上条に向き直った。

 

「そういえば、この前借りた漫画。返すよ。展開が複雑すぎて僕には理解できなかったね。君の価値観にケチを付けるわけじゃないけど、あんなもの読んでるからいつもテストで赤点なんじゃないの?」

 

「お前から読んでみたいって言っておいてなんでそんなボロクソなんですかね!?なんだよ、面白いだろ江戸幕末百鬼ロボ」

 

レグルスのひどい物言いに上条は憤慨する。

上条の言ったタイトルに覚えがあるのか土御門があーっという声を出した

 

「江戸幕末百鬼ロボってあの稀代の狂作って言われてるあれかー」

 

「上やんそないなの読んでたん?やめといたほうがええで、アホになる」

 

「なんだよ!お前らあの漫画が評価されてから吠え面書くなよ!!クソーーーッッッ!!」

 

「おい、漫画、、、ったく……」

 

よほど漫画を馬鹿にされたのが応えたのか泣きながら全力疾走で帰っていく上条。レグルスが声をかけた頃にはすでに上条の背中は豆粒のように小さくなっていた。馬鹿は無駄に身体能力が高いな、、とレグルスは悪態を吐く。

 

「それ上やんに俺が返しておこうか〜?」

 

「いや、読む気力が起きなくて1月も借りてしまった。流石にこれは僕からしっかり返そう。こういうものはしっかりとやるべきだ」

 

「案外律儀よね、レグルスは。ボク、キミは読み終わったらドブにでも捨てるタイプやと思うとったわ」

 

ひどい言い草だ。こっちはわざわざ腰を低くしてまで本を返しに行こうという真摯な態度をとっているというに。レグルスの性格であっても流石に人の借り物をドブに捨てたりはしない。

 

「お前の中での僕はどういう人間なの?そんな礼儀知らずな印象なわけ?」

 

「じゃあボクこっちやから。ほなまたなお二人さん」

 

「俺もこっちだから〜ばいばいにゃ〜」

 

「はぐらかすな!!」

 

レグルスが少しお怒りモードなのに気付いたのか二人はそそくさと家路と向かっていった。レグルスもお怒りモードとはいえ追いかけて問いただすほどの事でもないため、悪態を吐くだけに留めていた。

 

 

 

 

 

<2>

 

 

日も暮れて夜の街のライトに照らされながらレグルスは上条当麻の寮へと向かっていた。ここは学生寮の多い地区なため、学生達はすでに部屋に帰宅しており、人の往来は少なく、レグルスの私服である白を基調とした僧衣のような格好が肌や髪の色と相まってこの空間から1人ぽつりと浮き出ているような神秘的な感覚を覚える。

 

当のレグルスは神秘とは無縁の存在であり、無神論者+自分の存在以上のキセキは存在しないと考えている。最も完成された存在が自分自身であり、それより優れたものはいないため無神論者である。

 

「………?」

 

ふと、何かが通り抜けるような感覚にレグルスは襲われた。

といっても違和感。で済まされるようなレベルの小さいものだ。

無神論者のレグルスだが、幽霊は信じているので少し当たりをキョロキョロする。少し前に、幽霊が周りの温度を下げるというのならそれを使って幽霊エネルギーを作り出す。というようなネット記事を見たため、最近はこれでノーベル賞が取れるんじゃないかと躍起になっている節があった。

 

だが幽霊とはそう簡単に尻尾を掴めるものじゃないということもレグルスは早々に諦めて、改めて上条の寮へと向かう。

 

「へぇ……」

 

違和感を感じてから数分。上条の寮へと到着したレグルス。

そこは一転して火の海へと化していた。

ベランダから炎の巨人が顔を覗かせ、上条当麻へと迫っていた。

炎の巨人を生み出し操る能力。レグルスは能力について詳しくないためあまり分からないが、レベルは3もしくは4はあるのではないかという炎の熱に、感嘆の声をあげた。そして感嘆は歓喜へと変わる。

 

「ただ漫画を返しにきただけだったんだけど、、これは………困るなあ」

 

 

 

<2.5>

 

異能を打ち消す右手。

この右手に掛かればどんな異能も魔術も神の奇跡も打ち砕ける。

今その右手が、押されていた。

 

「くっ…………」

 

右手で上条は魔女狩りの王(イノケンティウス)から生み出される炎を受け続けていた。確かに右手は炎を打ち消している。だが炎の全てを打ち消せるわけではない。これ以上近づけば炎を直接受けずとも全身が燃えてしまうだろう。隙を見て逃げるしかない。

 

                  

 

灰は灰に(AshToAsh―――)塵は塵に(DustToDust)吸血殺しの紅十字(SqueamishBloody Rood)!!」

 

大量の熱が背後から放たれる。魔術師ステイル=マグヌスから生み出された炎の剣だ。だが上条はイノケンティウスの炎を打ち消すことで精一杯。イノケンティウスを放ってステイルの攻撃を防ぐか、ステイルの攻撃を放ってこのままイノケンティウスの攻撃を防ぐか、2つに1つ。

 

迷う暇は無かった。

 

 

「うおおおおおーー!!!」

 

「あのさ、ここ学生寮な訳。公共のマナーっての?知らないの?」

 

ひどく間の抜けた声だった。まるで昼下がりの公園にいるような、この場に場違いな声。格好も場違いであった。

殺す気はなくとも倒す気はあった魔術師の強めの一撃。

死に物狂いで右手を突き出す青年。

そして彼は、まるでそんなことはなかったのかのように腰に手を当てその攻防の間に直立していた。

 

白い髪。黄金色の瞳。白い装束。そしてどこにでもいるような整ってはいる平凡な顔つきと、華奢な身体。

 

ステイルは知らずとも上条は知っている。

 

「レグルス!!」

 

「漫画。返しに来たんだけど今いる?」

 

 

 




デルタフォースやら吹寄さんやら紹介が雑どころかほぼしてないんですがミスではないです。知ってるだろうなと言う体です。
土御門が地味に難しい。
あと、インなんとかさんとの会合なのに吹寄さんもいる通常授業なのは気にしないでください。きっと夏休みに授業組み込まないと行けないほど日数足りないんだと思います。たぶん
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