【第1章完】お嬢様はゴールキーパー!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第4話(3)お嬢様、愛でる

                  ♢

 

「……というわけでシェアしてはもらえませんでした……」

 

「そりゃあ食べかけのラーメンはシェアしないでしょ……」

 

 しょぼんとする最愛に雛子が呆れ気味に答える。

 

「それはそうですよね……でもそのラーメンはなんとか食べきりました!」

 

「あら、偉いじゃないの」

 

「ありがとうございます」

 

「まあ、今度からは自分が苦労しないような量を注文しないとね……」

 

「はい、まったくもっておっしゃる通りでございます。すみません……」

 

 最愛が頭を下げる。

 

「アタシに謝られても……反省しているのならそれでいいわよ。目的は果たせたの?」

 

「はい、それは果たせました」

 

「それなら良かったんじゃないの」

 

 雛子が笑顔を見せる。

 

「はい! 今度はうどん屋さんにご一緒させてもらうことになりました! さらにその次はパスタ屋さんにも!」

 

「麺類が続くわね!」

 

「え?」

 

 最愛が首を傾げる。

 

「い、いや、別に何でもないわ」

 

「はあ……」

 

「それで? なんでアタシのところに来たの?」

 

「ええ……百合ヶ丘さんから、チームメイトのことをよく知るべきだと言われまして」

 

「なるほど、恋から言われたわけね……」

 

 雛子が納得したように頷く。

 

「それで、もしよろしければオフの時間を御一緒させて頂ければと思いまして……」

 

「……」

 

「どうぞお願いいたします!」

 

 最愛が丁寧に頭を下げる。

 

「う~ん……」

 

「だ、駄目でしょうか……」

 

「駄目ってことはないけど……あまり気乗りはしないわね……」

 

「ええっ⁉」

 

 最愛が驚いて顔を上げる。

 

「というかアタシ、プライベートの時間は大切にしたいのよね……」

 

「そ、そうですか、そうですよね……」

 

 最愛が露骨にがっかりとする。

 

「え、えっと……?」

 

「とってもご迷惑でしたよね……」

 

「い、いや……」

 

「お時間を取らせてしまい、申し訳ありませんでした」

 

 最愛が深々と頭を下げる。

 

「え?」

 

「それでは失礼させて頂きます……」

 

「あ~あ! ちょい待ち!」

 

 頭を上げて、その場を立ち去ろうとする最愛を雛子が呼び止める。最愛が振り返る。

 

「はい?」

 

「べ、別に迷惑だなんてこれっぽっちも思ってないわよ? 着いてきたければ着いてくれば良いんじゃないの?」

 

 雛子は腕を組んで、指で毛先をくるくるとさせながら告げる。

 

「おお……教科書通りのツンデレっぷり……」

 

「何か言ったかしら?」

 

「い、いえ、なんでもないです!」

 

 最愛が慌てて首を左右に振る。雛子と最愛が向かい合う。

 

「……」

 

「………」

 

「着いてきてもいいわよ」

 

「! ありがとうございます」

 

 雛子の後に続き、最愛はあるお店の前に立つ。

 

「今日は特に予定はなかったんだけど、せっかくだからこの店にしたわ」

 

「このお店を……」

 

「買い取らないわよ」

 

 雛子はブラックカードを取り出そうとした最愛を牽制する。

 

「ぐっ……」

 

「そんな苦しげな声を出さなくても良いでしょう」

 

「す、すみません……」

 

「それじゃあ、入るわよ……」

 

「ニャ~」

 

「ニャ、ニャ~⁉」

 

 思わぬ出迎えに最愛が面喰らう。

 

「あ~ら、皆、元気だった~?」

 

 雛子が膝を突くと、周りの猫が一斉に群がる。

 

「む……」

 

「あ~良い子良い子」

 

 雛子は猫を両手で抱きかかえ、至福の表情を浮かべている。

 

「これは……どういったお店ですか?」

 

「あら、猫カフェ知らない?」

 

「猫カフェ……?」

 

「猫をこうして愛でることが出来るお店よ。ここでアタシはいつもリラックスしているの」

 

「ふむ……」

 

 最愛が俯く。雛子が問う。

 

「お気に召さなかった?」

 

「いえ、等々力さん……」

 

「ん?」

 

「猫カフェ……最高ですね!」

 

 顔を上げた最愛は満面の笑みを浮かべている。

 

「そうでしょう? 貴女も気に入った猫ちゃんと触れあいなさいよ」

 

「はい。 ……そこのすみっこにいる子……遊ばないかしら?」

 

「? ニャア~」

 

「なんだか退屈そう、ごめんなさいね。お休みのところ……」

 

 最愛が振り返ろうとしたその時。

 

「ニャア~!」

 

「わ、背中に抱き着いてきました⁉ ははっ、ツンデレフェイントに引っかかりました……」

 

「ニャン! ニャン!」

 

「うわっ! なんかちょっと大きな猫ちゃんが攻撃的に……あ、もしかして、背中に乗せている猫ちゃんと仲良くしているのが気に入らないの? ごめんなさい、今下ろすから……」 

 

 最愛が背中から猫を下ろす。ちょっと大きな猫とイチャイチャしだす。

 

「普段はツンツンしているけれど、仲の良い子とはデレデレしたい……等々力さんと真珠さんの関係性みたい……」

 

「うおい! 何を勝手にあてはめているのよ!」

 

「す、すみません! なんだか二匹の雰囲気がお二人と似ていまして……違いましたか⁉」

 

「……違わなくもないかな。ねえ……」

 

「は、はい?」

 

「……アタシのこと雛子で良いよ。こっちも最愛って呼ぶから」

 

「あ、ありがとうございます! では、雛子さん! この真珠さんっぽい大きな猫ちゃんを抱っこしてあげて下さい!」

 

「い、いや、アタシっぽい猫には懐いているんだけど、アタシにはさっぱりなんだって!」

 

 猫カフェ内に雛子の声が響く。

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