【第1章完】お嬢様はゴールキーパー!   作:阿弥陀乃トンマージ

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第4話(4)お嬢様、楽しむ

                  ♢

 

「猫カフェ……とっても有意義な体験でした」

 

 最愛がしみじみと呟く。

 

「それは何よりでした……」

 

 ヴィオラが頷く。

 

「ええ」

 

 最愛が頷き返す。

 

「良かったじゃないですか。今度は皆で出かけてみるのも良いんじゃないですか?」

 

「皆で?」

 

「はい」

 

「なるほど……皆で古着屋さんに行って、お揃いの古着を購入して、ラーメンを食べて、猫カフェに行くのですか……悪くはないかもしれません」

 

「い、いや、何も全部乗せしなくても良いと思いますが……」

 

「え?」

 

 最愛が首を傾げる。

 

「そんなにスケジュールを詰め込んだら、疲れてしまいますよ」

 

「そうですか」

 

「そうですよ」

 

「ふむ……」

 

 最愛が腕を組む。

 

「それで?」

 

「はい?」 

 

「私のところに来た理由は?」

 

 ヴィオラが尋ねる。

 

「ああ……百合ヶ丘さんから、チームメイトのことをよく知るべきだと言われまして」

 

「ふむ、なるほど……ゴールキーパーはチーム全体を見渡せるポジションにいますからね。チームメイトのことはよくよく把握しておかなければならないでしょう」

 

「よくよく把握……」

 

「そうです」

 

「住所や電話番号なども?」

 

「まあ……」

 

「誕生日や血液型なども?」

 

「ま、まあ……」

 

「体重やスリーサイズなども?」

 

「そ、そこまでは把握しなくてもいいです!」

 

 ヴィオラが声を上げる。

 

「把握しようと思えば、出来ないことはないのですが……」

 

「え?」

 

「諜報班に頼めば……」

 

「諜報班⁉ 耳慣れない言葉!」

 

「おや? お抱えではないですか? 諜報班?」

 

「ふ、普通は抱えていませんね……」

 

「へえ……」

 

「と、とにかく、恋さんが言いたかったことはそれぞれの趣味や好きなことなどを知るべきだということですよ」

 

「趣味や好きなこと……」

 

「ええ、そういうことを知ることによって、性格や人となりというものが見えてきます。もちろん、それがその人のすべてではありませんが」

 

「性格が見えてくる……」

 

「そうなると、各々のプレースタイルというものが見えてきます」

 

「プレースタイル……」

 

「それらを把握しておいて損はないですね」

 

「ふむ、なるほど……」

 

 最愛が頷く。ヴィオラがぶつぶつと呟く。

 

「恋さんもちゃんとそこまで説明すれば良いのに、あの人も……まあ、変に構えない方が効果的ではありますか……」

 

「なにか?」

 

「いいえ、なんでもありません」

 

 ヴィオラが首を左右に振る。

 

「そうですか……それで、もしよろしければヴィオラさん。オフの時間を御一緒させて頂ければなと思いまして……どうぞお願いいたします!」

 

 最愛が丁寧に頭を下げる。

 

「やはりそうなりますか……」

 

「駄目でしょうか?」

 

 最愛が頭を上げる。

 

「いえ、別に構いませんよ」

 

「ありがとうございます!」

 

 最愛が笑みを浮かべる。

 

「そうですね……せっかくですから遊びにいきましょうか?」

 

「遊び……闇カジノですか?」

 

「行きませんよ! なんですか、闇カジノって⁉」

 

「いえ、なんとなくイメージで……」

 

「どんなイメージですか……」

 

「聖女様もパーッと息抜きをされたいのかなと……」

 

「法に触れるでしょう……もっと違うところですよ」

 

「はあ……」

 

「それでは参りましょう」

 

 ヴィオラの後に最愛が続く。二人はある施設に着く。

 

「ここは……」

 

「アミューズメント施設ですね。ここで遊びましょう」

 

「分かりました」

 

「……これなんてどうでしょう?」

 

 ヴィオラがバッティングセンターを指し示す。

 

「これは……見たことがあります」

 

「そうですか、たまには違うスポーツをやってみるのも良いですよ」

 

「あそこから飛び出すボールを受け止めれば良いのですね?」

 

「い、いや、怪我しますから! 打つんですよ、バットで!」

 

 ヴィオラが最愛を慌てて止める。

 

「ふむ、バットで……」

 

「上手く打ち返せば、良いストレス解消になりますよ」

 

「……そんなにもストレスを?」

 

 最愛が目を細めてヴィオラを見つめる。

 

「い、いいえ! そこまでではありませんよ! と、とにかくどうぞ……」

 

 最愛はバットを手にゲージに入る。

 

「……ふん! ……むん!」

 

「打ち返している……動体視力がやはり良いですね……」

 

 最愛のバッティングを見て、ヴィオラが感心する。

 

「……なかなか楽しかったです」

 

「それは良かった。それじゃあ、ゲームでも……UFOキャッチャーなんてどうですか?」

 

「ああ、これも見たことがあります」

 

「ちょっとやってみますね……ああ、難しいですね。それでは最愛さんの出番です」

 

「はい、分かりました……よっと」

 

「なっ⁉ あんな難しい場所のぬいぐるみを簡単に⁉」

 

「……ほっと」

 

「い、一気に三個取り⁉」

 

「欲しい物はなんとしても掴み取れと耳にタコが出来るくらい言われてきましたから……」

 

「そ、それにしても凄いですね……」

 

 その後はヴィオラと最愛はアミューズメント施設を楽しんだ。

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