「貴様は本日よりG7となる、分かったか!」
「は、はい!」
壁越えの前にG13というナンバーを貰っていたとはいえ、こうしてレッドガンの隊員として正式に顔を合わせるのは初めてだ。歩く地獄と称される男はその名の通りの覇気を纏っており、ベイラムにこの男ありと言われる訳を彼は理解した。
「壁越えは非常に見事だった。しかぁし!貴様の機体の扱いはなっとらん、ACというのはただ動き回れば良い物ではない!」
「はい!」
「貴様は貴様より高価な玩具を壊さず使えるよう努力しろ、浪費家はレッドガンには要らん!手隙のG6を付けてやる、レッドガン流の訓練を味わって来い!分かったな!」
「はいッ!」
「分かったならサッサと走れェ!時間を浪費するものに得られる教訓はないと知れ、貴様に今最も必要なのは戦場から離れた状態で身につく知見だ!」
百聞は一見にしかず、そうは言うが即死する攻撃を見てはい分かりましたとは言えない。その一見で死ぬのがAC乗りであり、またそれが許されないのもまた然りという話だ。
「G6レッド!レッドガンの末席に加えてもらっている、貴様と同じ若輩者だ!」
「G7シナノ!先程頂いたばかりのナンバーですが、レッドガンの一員として全力を尽くす所存です!」
「ではこのまま走るとしよう、一にも二にも体力だ!」
レッドガンの中でも経験が少なく、そして将来有望な若者である二人は共に走り出した。基礎的な体力は必須事項だ、ACとは言えど衝撃を全て消せるわけではない。
「…どうだ、新入りは」
「ふん、咄嗟の対応力には目を見張るものがあるが…技量はまだまだ、付け焼き刃と言ったところか」
聞いたのはG2ナイル、レッドガンのNo.2であり上層部に対し太いパイプを有するベイラム出身のパイロットだ。対してそれに応えるミシガンは元来ファーロン・ダイナミクスの出、レッドガン創設により古巣から移籍した男だった。
「ミシガン、お前にしては高評価だな」
「背伸びしたひよっ子に上も下も無い!奴は単純な足し算でのし上がれると思い込んでいるようだが、ここで掛け算を覚えるべきだ!」
座学に訓練、そして実戦。実戦だけで優秀なパイロットは育たない、育つ前に死ぬからだ。死ななかったとしても歪な形で成長する、木々を真っ直ぐ育てるのであれば剪定する他人の手が必要だ。
ACの特性、根幹を成すコア理論、武装の種類、動作への理解。どれも落ち着いて学ぶ機会が無ければ身につかないものだ、特にレッドガンというその手のプロフェッショナルによって教えられれば大豊の訓練期間よりも実りの多い物となるのは間違いない。
「あの跳躍と着地を繰り返す回避機動は確かに大豊の教本には無い動きだ、そしてあの動きを始めたのは記録によると独立傭兵との戦闘の後…」
「奴には初陣でこびり付いた何かがある、だが!そんな物を後生大事に抱えられては機体の重量が嵩む!上っ面だけを鍛える奴などレッドガンの隊員ではない!」
あの回避機動は通常の機動と比べ、脚部にかかる負担は大きい。特に重量二脚を採用しているループザループにおいて、製造元である大豊の樹大枝細の理念は寧ろデメリットとなりかねない。機体の中心に行くほど太く、外に向かうほど細い。その理論では末端である脚部への連続的な負荷は、ベイラム系列特有の頑丈さはあったとしても無視出来ない。
「慣れた脚部を手放せないのはよくあることだが、機体への負荷を度外視するのは頂けないな」
「奴にお似合いなのは中量二脚だ。自身の適性は把握しておけと言ってやりたいが走りに行って帰ってこん、レッドは本気で走らせる気らしい」
「その話は走り切れてから言うことだな」
G13改めG7となったシナノは、レッドと共に格納庫の外に出てひたすら走った。気がつけば他の隊員も加わっており、聞けばミシガンに見習えと言われたそうだ。
「壁越えのG7!ハークラーの野郎にも見せてやりたかったぜ!」
「あの時補給を見守ってたのは俺とコイツだ!儲けさせて貰ったぜ元ラッキーナンバー!」
「G13のジンクスを打ち破ったのは久しぶりだな、歓迎するぞ!」
「まだまだ走れるぜェ!レッドォ!」
騒がしいMT乗り達に背後から追いかけられつつ、シナノは新たな環境に来たと言うことを理解した。夢にまで見たレッドガン、そしてそのG7。これからの道はきっと険しいだろう、だが共に戦う仲間を手に入れられたのはこれ以上ない幸運だ。
「速度を落とすな、最低ラインはまだ先だぞ!」
「了解です、先輩!」
「…先輩か、そう呼ばれるとはな!」
レッドガンはG7という戦力を受け入れ、壁を新たな拠点としてコーラルの調査を再開した。壁越えを成功させるとは思わなかったアーキバスは出遅れたものの、着実に動くための準備は行われていた。次の戦場が何処になるのか、それはまだ誰にも分からないことだった。
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クソ強G4がそう簡単に死ぬわけねぇだろ!!!
アリーナで一番強いまである、ガチアセンにガチタンク。