訓練生はルビコン川を渡ることが出来るか?   作:明田川

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第十二話 強襲

パルスシールドが過負荷により火花を散らし、叩き込まれた蹴りによって展開機構がひしゃげて折れる。そして間に入ろうとしたG7は放たれたミサイルによって吹き飛ばされる。

 

「クソッ、機体がイかれたか!」

 

「先輩、脱出を!」

 

「馬鹿野郎、テメェだって…」

 

レイヴンを相手にレッドガンの二機は満身創痍、イグアスのヘッドブリンガーに至っては片腕がパルスブレードの直撃によってえぐり取られていた。

 

『こちらヴェスパーⅣラスティ、改造されたジャガーノートはこちらで撃破した。そちらも終わりそうとは驚いたな、流石はウォルターの猟犬』

 

「壁の上で爆発…まさかジャガーノートが」

 

「別働隊かよクソったれ、ふざけんな!」

 

別ルートから侵入していたヴェスパー部隊は壁の上で砲撃支援を担当していたベイラム・ジャガーノートを強襲、その特性を知っているかのような動きで撃破して見せた。既に情報が出回っていたのだろうか、手慣れ過ぎている。

 

『調整中のタンク型ACも撃破した、後はその二機だけだ。加勢に向かうとするが…存外早く終わるかもな』

 

「ヴォルタ!返事しやがれ、オイ!」

 

調整中だった所を狙われ、キャノンヘッドも撃破された。パイロットのG4の安否は不明だが、返答が無いということはそういうことだろう。

 

「ヴェスパーⅣ、4でこの実力…」

 

戦闘能力を喪失したG5を庇うように前に出たG7は既に機能を喪失し鉄塊と化したパイルバンカーを構えた、殴ることはまだ出来る。

 

「先輩、脱出してください」

 

「二回も言うんじゃねえ、後輩に舐められるほど俺は…」

 

「早く!今なら二人で死ななくて済みます、貴方だけでも生き残ってください」

 

彼の異能であるリスタートだが、いつまで使えるのか分からない。死ぬまで分からないという特性上、使えなくなっているのに気が付くのは絶命する瞬間以外に無い。ならば何があってもループを前提に切り捨ててはならない、これで死んでも構わないと思えるような生き方を毎度毎度するまでだ。

 

「短い間でしたが、レッドガンに在籍出来て光栄でした」

 

「テメェ!」

 

レイヴンの斬撃をパイルバンカーと機体自身で無理やり受け、機体の内部に流れ込んだパルスが回路を破壊する。弾け飛ぶディスプレイ、針が振り切る計器、ショートして火花の散る全ての部品。しかしパイロットの命が1秒後に絶たれようとも、まだ一つの機能だけは動いていた。

 

「お元気…で!」

 

アサルトアーマー、機体を中心としてパルス爆発を引き起こす機能だ。そんな動作に機体が耐えられるはずもなく、発動と同時に機体が内側から吹っ飛んだ。

 

「クソッ、クソックソッ!があああぁぁッ!!」

 

その爆発を目くらましにイグアスは脱出レバーを引き、機体から脱出した。

 

この戦闘によってレッドガンはG4とG7を失い、生き残ったG5も乗機を失った。駐留していたMT部隊も壊滅し、壁はアーキバスの手に落ちることになったのだった……。

 

 

ーーー

ーー

 

 

「…まだ勝てない、か」

 

壁上での待機、交戦前の時間にまで死ぬことで戻って来たG7シナノはそう呟いた。技量に差があり過ぎる、レイヴンであればG4とG5のコンビでさえ正面から打ち砕けるのではないかという程に強い。

 

「この武装じゃ対AC戦で押し切れない、もう少し何か尖ったものを…」

 

「考え事かよ、そんな調子で流れ弾を喰らって死ぬ気か?」

 

「すみません、少し武器構成に悩んでいて」

 

対AC戦の基礎は如何に相手のACSに負荷を与え、姿勢制御を崩すかという所にある。ミサイルはその点優秀で、回転率の良いタイプであれば敵に回避を強要させると言う副次効果も発生する。

 

「ミサイルは必ずしも当たらない、射撃武器で削るべきか」

 

今装備しているライフルは非常に優秀で弾持ちも良く、中距離戦では他の武器にも劣らない。だがレイヴンとの近接戦においては別の武装を使うという選択肢もあるだろう、ACの汎用性を活かすべき時だ。

 

「オイ、今更んなことで悩んでも…」

 

そう言ってイグアスの機体が片手を上げた時、その手に保持されている武器が目に入った。ベイラム製のマシンガンだ、軽量かつ高火力で上手く叩き込めば一瞬で体勢を崩すことも不可能ではない。

 

「マシンガン、マシンガンか!」

 

「うおっ」

 

「すみません、少し武器を持ち替えて来ます!」

 

「…好きにしろよ、全く」

 

格納庫で整備士と話すヴォルタが急に帰って来たシナノに驚きつつ、武器だけを持ち替えて巡回に戻るのを見て首を傾げたのは言うまでもない。

 

「そうだ、今は拠点に居るんだから同じ武器で戦い続ける必要は無い。なんで気が付かなかったんだ!」

 

敵の特性に合わせて武器を持ち替え、ループによる情報の持ち越しによって後出しジャンケンで有利に立つ。実力の勝る相手に勝つためには手段は選べない。

 

「マシンガンだけじゃない、ショットガンやグレネードだってまだ試せるんだ。効果のある武器を割り出して徹底的に対策して、レイヴンはこの戦闘で撃墜する!」

 

既に数回の死を経験した彼だったが、先の見えないレイヴン討伐に光明が差したのはこの瞬間だったと断言出来る。G4をヴェスパーⅣにやらせず、レイヴンも撃破し、G5も撃墜されることなく敵集団を撃退する。過去最高の難易度だが、やってやれないことは無いと彼は自らに言い聞かせた。




アーマードコアってこういうゲームだよなって。
相手の機体見てアセンブルを繰り返し、最適解を導き出して殴殺するのが醍醐味よぉ!

追記
大抵火炎放射器で焼けばなんとかなる。
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