訓練生はルビコン川を渡ることが出来るか?   作:明田川

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新兵器

「生きて帰ってこれたはいいが、壁がこれじゃあな」

 

「設備の復旧にはそう時間はかからない、それより問題は失った機材の再調達だろうな。BAWSからじゃ買えない物も多いとかなんとか…」

 

G7と相棒のヘリパイロットは壁内部の格納庫で駄弁っていて、手には四角い紙製パックに納められた中華料理があった。大豊系列の飲食店がベイラム社員に提供しているもので、ことルビコンにおいては高級品だ。

 

「でだ、新商品カタログ見たか?」

 

「ああ…大豊の新型ガトリング砲だろ、肩に搭載出来るっていう」

 

「ミシガン総長が作らせたんだとよ、大豊にしては大味過ぎない武器だとかなんとかって」

 

扱い易く軽量で、断続的な射撃が容易に行えるガトリング砲。単体では頼りないが、他の武器と合わせた際の相乗効果には目を見張るものがある。

 

「シュナイダーも新型フレームを発表してる、兵器の実験場同然のルビコンにも投入されるかもな」

 

「へぇ、どんな機体なんだ?」

 

「それがまだ見てなくてな、プリントアウトはして来たから一緒に見ようぜ」

 

シュナイダー社といえば、先日戦ったばかりのヴェスパーⅣが構成パーツを全身に採用していた筈だ。アーキバスの所属機というのに実弾兵器や内燃型のジェネレータが、採用例の少ないウェポンハンガーなどが引っかかるなと考えていたことを思い出した。

 

「軽量機を作っていた企業だよな、一体どんな…」

 

「うっわ…マジかよ…」

 

折り畳んでいた紙を開くと、そこには装甲と言えるものがまるでない機体が現れた。コックピットに関しては丸見えだ、流れ弾一発で死ぬのがありありと想像できる。軽量機というのは機動性に優れる軽量ACを指す言葉であり、目の前にあるのは戦闘用の兵器とは思えない。恐らくレーシングマシンか何かだ、そうに違いない。

 

「…正気じゃ無いらしいな」

 

「なあ、俺達こんな奴らと戦わないといけないのか?」

 

「仕事だからな」

 

「ウワーッ!死にたくねぇ、絶対ヘリでも逃げらんねぇよ!」

 

「投入される前提で話すなよ!こんなコンセプトモデルがそのまま生産されるわけねぇだろ!」

 

「それもそうか」

 

見なかったことにしよう、戦場で遭遇したとしてもシュナイダーの妖怪か何かだ。そう片付けてある程度平静を取り戻した二人だったが、G7はある用事を思い出した。

 

「この後機体のアセンブルがあるんだ、もう行くよ」

 

「おう頑張れ…とは言ってもACのことは詳しくないから何も言えんが、悔いのないようにな!」

 

空になった紙パックをゴミ箱に入れ、格納庫から立ち去った。既に彼の愛機はこの場に無く、この後向かう別の格納庫へと移されているのだ。

 

「レッドガンに入ってから多少マシにはなったが、どうにもなぁ」

 

ーーー

ーー

 

「おう来たな新入り、補給が届いてるぜ」

 

「補給ですか?」

 

「俺達は使わねぇからな、まあ好きに使えや」

 

そう言ってG4とG5の二人が示す先には、大豊製の肩部ガトリング砲が用意されていた。ミシガン総長の計らいだろうか、予備の砲身や弾薬も潤沢に揃っている。

 

「お前がばら撒き役をやるってんなら都合が良い、載せるなら載せな」

 

「次の任務で試してみたいな…ちょっとテストして来ます!」

 

ループザループは中量二脚にしては機体重量が多い方であり、その理由は大豊の大容量ジェネレータを採用しているからである。エネルギー容量の少ないジェネレータを使い熟せる技量に達していないこと、現場への急行と離脱が容易であること、何よりレーザーやプラズマと言った系統の兵器を使うことがないからという理由があった。

 

「重量がカツカツだな、かといって別のジェネレータに変えるのも…」

 

焦りから咄嗟の回避を連発してしまうことが多いため、あまりエネルギー容量は減らしたくない。増え続ける敗北回数が勝った自信を押し潰してしまっているのだ、リスタートがあるからといって死ぬ時の痛みは消えない。

 

「いや、慣れたジェネレータが一番か」

 

両肩に取り付けたガトリング砲と両手のマシンガンは、確実に相手を削り殺すという殺意に満ちていた。特に他の機体と動けば彼は第二の火力要因としても前衛としても戦えるだろう、敵からすれば厄介な構成だ。

 

「少し乗り心地を確認する気だったけど、やっぱり重いのはすぐに分かるな」

 

機体の動作は以前と比べて重いが、それでも十分動ける範疇だ。コレで敵に向けて腕とは別に攻撃を行えるのであればリターンの方が大きいだろう、無論使い熟す必要はあるが。

 

『お前出撃してたのかよ、緊急連絡だ』

 

「どうした?」

 

『あんまり荒立てたくない話でな、解放戦線の密偵と思わしき反応をレーダーが捉えたんだ。一気に部隊を動かせば逃げられちまう、排除に向かえるか?』

 

「願ってもない任務だ、任せろ」

 

市街地の建物や土地自体の起伏を利用し、敵MTに発見されにくいであろうルートを選択して移動する。そして隠れてはスキャンを繰り返し、敵機の居場所を探っていく。

 

「案外近くにまで潜り込まれたな」

 

『そりゃ向こう側からすれば勝手知ったる元我が家だぞ、広域レーダーの死角を突くのは難しい話じゃない』

 

相手はMT、いくら機体が重くとも機動性ではこちらが有利だ。相手が咄嗟に逃げようとすれば追いかけて排除出来るが、そう簡単に居場所を晒すようなパイロットでは無かったらしい。

 

「…打って出るか」

 

大きく跳躍し、照準をマニュアルに切り替える。そして各個に照準、MTが隠れられそうな遮蔽物全てに武器を向けた。

 

『炙り出すってわけか、容赦ないねぇ』

 

「効率的だ、試射もしたかっ…あれ?」

 

手持ち式のガトリング砲とは違い、数秒とたたずにオーバーヒートだとして射撃が止まる。しかし放熱もまた数秒でおわり、発射体制はすぐに整った。

 

「やっぱり毛色が違うな、慣れが必要そうだ」

 

残った遮蔽物に狙いを移すと、その中の一つからMTが飛び出した。しかしそれを逃す筈も無く、解放戦線が放った偵察機は砲弾の雨に晒される。四脚MTならまだしも二脚MTに耐えられる筈もなく、転がった後地面にぶつかって爆散した。

 

「MT部隊を排除する任務があったら、最優先で回してくれ」

 

『ストイックというかなんというか…無理すんなよ』

 

ループザループはまたも装備を改め、打倒レイヴンを現実にすべく行動を続ける。本格化する調査活動は大陸へと主戦場を移すことになるのだが、それはまだ少し先の話だ。




アプデ記念、みんなアーマードコアやった?
クリスマスはルビコンに無ぇ、ランクマに行こう。

うんまあ、敵が強すぎて大抵死ぬんですが。
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