訓練生はルビコン川を渡ることが出来るか?   作:明田川

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第八話 重装機動砲台

「お前か!市街地の仲間をやったのは!」

 

「BAWSのAC!?」

 

「やめろツィイー、前に出るな!」

 

オレンジ色のACが両手に構えたのはハンドグレネード、立ち止まって撃たなければならないがその大きさに見合わない火力を持ち合わせている。

 

「解放戦線のACはお前がやれ、俺はMTの相手だ」

 

「了解」

 

解放戦線の防衛部隊は仲間のACを庇うようにして動き、苛烈な砲撃を加えてくる。しかしそれに対してG4は分裂ミサイルを投射、大量の子弾が彼らを襲う。四脚MTも居る上に数が多い、彼らを押さえ込むにはキャノンヘッドが適任だろう。

 

「BAWSの二脚AC、時代遅れとは思えない性能だが…」

 

両肩のミサイルを同時に放つが、狭い屋内では数発が壁に当たって爆発する。だがそれでも回避を強要するというのはAC同士の白兵戦では大きなアドバンテージだ、特に今回の相手は移動しながら撃てる武器がない。

 

「ツィイー!」

 

「よそ見してんじゃねぇ、死にてぇらしいな」

 

BAWSのMTがタンクのブーストチャージを喰らい、装甲を凹まされた上で吹っ飛ばされる。そして数回転がった後に爆散し、それを見た解放戦線の面々は一瞬動きが鈍る。

 

「私だって解放戦線の戦士なんだ!」

 

「ならもう少し機体構成を勉強しておくんだな」

 

「しまっ…」

 

G13の放ったライフルのバースト射撃が突き刺さり、解放戦線のACは姿勢を崩す。ACSの負荷が限界を越えたのだろう、ならばやることはひとつだ。

 

「悪い、先輩を待たせられないんだ」

 

パイルバンカーの一撃が機体胸部を貫通し、パイロット諸共機体の内部構造に致命打を与える。黒煙を噴いて燃え始めた機体から離れると、背後からキャタピラの走行音が聞こえて来た。

 

「手を貸す必要は無かったか、先進むぞ」

 

既にACの援護を行おうとしていた解放戦線のMT部隊は彼によって既に残骸へと姿を変えていた、流石はレッドガンというべき手際の良さだ。

 

「はい」

 

杭にこびり付いた機械油を振り払い、壁上へと続くエレベーターを目指す。ジャガーノートは簡単に倒せる相手だとは思わないが、G4との協働であれば話は別だ。

 

「ジャガーノートに関して、何か情報はありませんか?」

 

「キャタピラで動く大砲の塊ってことしか分かってねぇ、調べようとしたがアーキバスの野朗共に先を越されたらしくてな」

 

何も分かっていない相手に殴りかかれと言われてここまで来てしまったというわけだ、笑うなら今しかないだろう。二機のACを乗せた昇降機はゆっくりと上昇している。

 

「…出たとこ勝負、ですか」

 

「そうなるな」

 

大きなシャッターが上がり、二機は雪の降る壁上へと進む。噴射炎と轟音を伴いこちらへと正面を向ける巨大な砲台、ジャガーノートに向けて武器を構えた。

 

「思ったより動く!」

 

「糞がッ!コイツとじゃあ相性が悪ぃ!」

 

キャノンヘッドは脚部にタンクを採用しているため、機動力に難がある。特に上昇力に関してはお察しであり、敵の突撃を避けるのは熟練者であってもキツイものがある。

 

「…自分が囮になります、先輩は敵の弱点を狙って下さい!」

 

「イグアスが居れば囮役なんざアイツに頼んだんだがな。仕方ねえ、やれるだけやってみな」

 

G5イグアスの駆る機体は二機での連携を前提に構成されているためか、パルスシールドやリニアライフルなど、継続的に圧力をかけられる武装を搭載している。彼がこの場にいれば状況は更にレッドガン側に傾いていただろう。

 

「テメェが生き残れたら他の奴を紹介してやるよ、そんでミシガンから上位ナンバーをもぎ取るんだな」

 

「了解!」

 

迷いなく放たれたグレネードは接近するジャガーノートに直撃したが、効いている様子はない。やはり見た目通り正面装甲は分厚いようだ、別の方向から攻撃する必要がある。

 

「こっちだデカブツ!」

 

ライフルは装甲によって弾かれるが、そんなことはお構いなしに撃ち続ける。そして今まで温存して来たミサイルを一気に発射、通常型と垂直発射型が異なる方向から敵に殺到した。

 

「…ACSの負荷が溜まってる、垂直ミサイルが効いてるのか」

 

「なら話が早え、お前は上を狙え」

 

二脚の強みは汎用性、その一言に尽きる。他の脚部のような尖った一面は無いものの、どんな状況でも柔軟に戦い方を変えられるというのは機種転換が難しいACにとって非常に大きなメリットだろう。

 

「上からなら通常のミサイルでも…!」

 

ジャガーノートの突撃を避けつつ飛び上がり、返す刀でミサイルを叩き込む。背部の大きな噴射口から大きな車体を機敏に動かすだけの推力を得ているのだろう、弱点は見つかった。

 

「先輩!背中です!」

 

「おうよ」

 

G13の機体にばかり集中していたジャガーノートは、いつの間にか背部に回り込んでいたG4からの手痛い攻撃を受ける。大豊とメリニットのグレネードが炸裂し、敵機は大きく揺れた。

 

「負荷限界か、これなら」

 

しかし相手はまだ動く、鬱陶しい蠅を叩き潰すべく砲口が上へと向けられた。上昇を続けていたためにエネルギーは枯渇し、ペダルを踏み込んでもクイックブーストが起動しない。

 

「不味っ!」

 

直撃する砲弾が脚部をもぎ取り、コックピットの中ではACSの負荷限界を知らせる警告音が鳴り響く。そして敵機はこちらに突っ込んで来ており、ここままでは地面に落ちる前に衝突するだろう。

 

「新入り!」

 

「すみません先輩、しくじりま…」

 

大質量をぶつけられたACは装甲を歪ませ、身体中のパーツをばら撒きながら放物線を描く。そして市街地にまで落下し、かろうじて無事だったパイロットは壊れたコックピットの中でジャムになった。

 

「…やれる奴だとは思ってたが、事故ったか。最初からG7を与えてやれば死なずに済んだのかもしれねぇな」

 

相性の悪い相手だとは理解しつつも、G4として背を向けるわけにはいかなかった。こんな時にG5が居れば、そう思うのも無理はないだろう。




兵器の脆さはムービー仕様、ACの腕もバンバン捥げる。
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