数回のリスタートの末、G13はジャガーノートを追い詰めつつあった。ある程度損傷を蓄積させると被害を度外視したのか地雷すらばら撒き始めたことには驚いたが、それでも対処可能な範囲内だ。
「地雷かコイツは、クソッタレェ!」
「一定時間で爆発します!」
「そうかい」
性質を理解したG4は地雷原を大きく迂回、敵の背面を取るべく動き始めた。そしてG13は滞空可能な時間を理解し、エネルギーの回復と跳躍を一定の間隔で繰り返していた。
「…本当に訓練生だったのかよ、飲み込みが早え」
G4は経験の浅い筈の後輩が敵の攻撃を即座に理解したことに驚きつつ、リロード中のグレネードでの砲撃を諦め、接近してベイラムの誇る長射程ショットガンを叩き込む。噴射ノズルが引き裂かれるが、そんなことはお構いなしに燃料を噴き出しながらジャガーノートは突き進む。
「オイオイ、自分たちの拠点で暴れ過ぎじゃねぇのか」
「大人しくさせますか?」
「当たり前だ、ここは俺達が再利用すんだからな」
上空からのミサイルが直撃し、機動砲台のACSが負荷限界に陥った。そこに叩き込まれるのはパイルバンカーとグレネード、ベイラムの火力が叩き込まれた。
「吹っ飛べ!」
「あの馬鹿も羨ましがるだろうな、デケェ花火になるぜ」
損傷を無視して稼働させられていたブースターは漏れ出た燃料に火をつけた。そして火は内部の燃料タンクにまで火をつけ、アレほど強固だったジャガーノートは内側からの圧力に耐えかねるように変形し始めた。
「クソ上層部に捧げるってな」
大量の部品を飛散させながら、重装機動砲台ジャガーノートは爆散した。交戦したG13、G4共に損害は軽微、戦い方さえ分かれば楽な相手だった。純粋に技量が高いACを相手にするより余程やり易い。
「後は制圧だな、市街地に戻るぞ」
「待ってください、何か光って…」
市街地の建築物に直撃したのは、見覚えのある砲撃だった。それは一度では終わらず、一定の間隔で降り注ぎ続けている。
「市街地ごと吹っ飛ばす気か!」
これはまさか、そう思ったG13に通信が入った。それはオペレーター兼ヘリパイロットの相棒からであり、何やら切羽詰まった状況であることが声色から分かる。
『おいシナノ!敵の増援部隊が広域レーダーに引っかかった、明らかに大きい反応が一つある!』
「今ソイツから砲撃を受けてる!」
『じゃあジャガーノートで決まりじゃねぇかよ!どうすんだ!?』
「シェルパを2機分用意してくれ、先輩と打って出ればあるいは…」
「ジャミングで自分の目を潰しちゃ世話ねぇな、増えた仕事を片付けるぞ」
「了解!」
二機は急遽派遣された補給シェルパを使った後、急行するべく壁から飛び降りた。
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結論から言えば、壁はベイラムの手に落ちた。G13の活躍により主力部隊の損耗は避けられ、G4との協働によって最大の脅威であるジャガーノートを二機とも撃破するという大戦果は大きなニュースとなった。
「よかったな、勲章貰ったって聞いたぞ!」
「退職後の年金が増えるメダルだ」
そう言って手のひらサイズのメダルをポケットに押し込み、相変わらずボロボロになって帰って来た愛機ループザループに視線を移した。メダルが何枚あろうとレイヴンに勝てるわけではない、そして無邪気に喜べるほど精神は健康な状態ではなかった。
「もっと喜べよぉ〜!撃破数はG4と同じくらい叩き出したんだろ!?」
「もう四脚MTはしばらく見たくない、それくらいは倒したかな」
「まあそうだろうな」
MTのマシンガンにより受けた被弾痕が目立ち、一部の機能使用中に展開される機体背部のヒートシンクに至っては壊れて閉じれなくなっていた。
「変えのパーツで機体は組めるそうだが暫く出撃は無理だろうな、予定通りレッドガンと正式な顔合わせでもして来いよ」
「G4のヴォルタ先輩にはお世話になったしな…そうするよ」
「インパクトのある自己紹介で印象残して来いよ、語尾にシナノ付けるとかさ」
「それはもうレッドガンを辞めさせられるわ」
一度の作戦でループを繰り返せば記録に残らない搭乗時間は膨れ上がっていく、それが彼の急成長の原因だ。本来なら学びを得る前に並みのパイロットは死ぬ、彼は積み上げた死による教訓で一つ上の段階にまで到達していた。
「毎度毎度機体をぶっ壊してまあ、なまじ戦果を上げてる以上何も言えんが」
「これだけぶん回しても大丈夫だったんだ、流石の頑丈さだよ」
「そこは華奢なシュナイダー製とは違う所だな、どうしても機動性に関しちゃ劣るが」
ベイラムの番号付きともなれば、対抗馬のアーキバスのヴェスパー部隊とも相対することになるだろう。そうなった場合、初めて死を体験したような戦闘の再現となる可能性は高い。
装備の整っていない独立傭兵ですらあのレベルが紛れているのだ。強化人間の上澄みが集められたヴェスパーとなれば最低でも同レベル、大多数はレイヴン以上だと考えた方が良いと彼は思った。
「…まだ足りない、か」
積み上げられる物は、全て積み上げる必要がある。