ダンジョンにサイヤ人が入るのは間違っているだろうか? 作:雲呑麺
主人公以外で、ドラゴンボールがダンまちに入り込むことは想定しておりません。
※黒竜の戦闘力がおかしかったので修正しました。
ピー!ピー!ピー!
「ぅ……」
朝か……?
「んん……?」
あれ……?
ここは……?
「…………ああ、ポッドの中か」
寝ぼけた……。
そう、俺は地球から惑星ベジータに転生したサイヤ人、リーク……。
星を脱出し、平穏を求めて宇宙に飛び立ったんだ。
「ふわあ~~……」
うん、目が覚めた。
さて、ここはもうフリーザ軍の観測も及ばない暗黒宙域……俺はこの宙域の中から、自力で定住する星を探さなければならない。
「ま、とりあえず飛び回りながら探すか」
手動操作に切り替えて、いざ星探しへ――
まずは恒星を探す、つまり太陽だ。
太陽の光と熱は、生命を育むに不可欠な要素の一つ。
太陽から程よい距離にある惑星は、地球型惑星になる可能性が高い。
俺はポッドを操作し、宇宙空間の光とポッドのコンピューターを頼りに恒星を探し、その周囲の星を探査して回った。
ポッドに積まれた最低限の非常食と水では流石に持たないので、何度か生命の氣を感じ取った星に降りて、水や食料を手に入れつつの旅だ。
どんどん未開宙域を奥へと進んでいくが、中々丁度いい星が見つからず、探索は10日に及んだ。
あっという間に地球から太陽系の外まですっ飛ぶ宇宙ポッドで飛び回っての10日だから、距離としては何億光年という次元だ。
そして遂に、その惑星を見つけた――。
「お~、これは良さそうだぞ!」
見た目は殆ど地球だ。
太陽との距離も適度、見える地表には緑がある。
ポッドのコンピューターの測定でも温度や湿度も適正値、大気成分も酸素・窒素・二酸化炭素・水素など地球とほぼ同じ組成と出ている。
そして何より、沢山の人間の氣を感じる。
これは期待できそうだ。
「よし、着陸開始!」
操作するとポッドはその星の大気圏に突入――隕石のように地表に落下していく。
全く、高度な技術を持ちながら、なんで軟着陸する仕様になってないんだか……。
呆れながら見ていると、あっという間に地面に激突――着陸が完了した。
中に衝撃や音が伝わらないのは、凄い技術なんだが……。
プシュー!
エアロックが解放され、ハッチが開く。
外に出ると周囲はクレーター……一応、生命体の氣が密集していないポイントを指定して着陸したはずだが、大丈夫かな?
「すぅ~……はぁ~……うん、良い空気だ」
多少、土埃の匂いはあるが、清涼な空気と言える。
それに体が軽い。
どうやら重力も地球に近い1G程度の様だ。
気を付けないと、体が跳ね上がるかも知れない。
「さてと」
飛び上がって辺りを見渡すと、どうやら山の奥地の様だ。
見える範囲で人里は見当たらない。
クレーターにも人里の痕跡はないし、落下の衝撃で吹き飛ばした~なんて事もなさそうだ。
「よしよし」
降りる。
宇宙を探し回るのも飽きたし、この星に決めよう。
氣を感じる限り、この星の最大戦闘力は大体1300前後だろう。
それもたった一つだけ……って、あれ?
なんだか近い、というか近づいて来ている?
『グワアアアァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!』
「うおっ!?うるさッ!?」
咆哮!?
空から!?
見上げると、上空を黒くて巨大なモノが横切った――あれは!
「ドラゴン!?」
旋回して戻ってくるそれは、間違いなくドラゴンだ。
山の様な巨体、漆黒の鱗、二対の翼、鋭そうな爪を備えた両腕(前脚?)、長い尻尾、角が生え鼻先が尖った頭……体形的に西洋竜と呼ばれるタイプの竜だ。
神龍(シェンロン)みたいな蛇型の東洋龍は違う。
あ、よく見れば片目が潰れている……何かで斬られた様な傷跡がある。
という事は、何かと戦って斬りつけられたってことか。
『グルルルル……!!!』
眺めていたら、黒いドラゴンが近くに降りてきた。
風圧で土埃が舞う。
ええい、汚れるだろうが。
『グワアアァァァァァァァァァ!!!!!』
なんだなんだ?
初対面なのに敵意剥き出しだな。
もしかして、この辺りは奴の縄張りか?
『グ、グゥルルル……!!?』
今度は戸惑いだしたな。
俺が威嚇に無反応なのがそんなにおかしいのか?
まあ、そうなのかもな。
この黒いドラゴンはこの星で最強の生物だろう。
他に感じ取れる氣は、大きいものでも戦闘力の数値にして200以上300未満というところ。
この星のレベルは、ドラゴンボールの、悟空とマジュニア(二代目ピッコロ)が天下一武道会で対決した頃の地球と同程度なのだろう。
戦闘力1800超――現状は、下級戦士に当たる悟空の兄ラディッツをちょっと上回る程度の俺でも、異次元の怪物になってしまう訳だ。
『グ、グ、ゥゥ……!!』
さっきまでの勢いが完全に萎んだな。
野生の勘か、この黒ドラゴンは俺との戦闘力の差を感じ取ったらしい。
本能的な恐怖に体が竦んだらしい。
しかし、残った片目の奥に濁った怒りと憎悪の炎が見える気がする。
疑う事のなかった自分の最強が揺らいで、揺らがせたのが俺みたいな人間(サイヤ人だが)のガキで、認められなくて、許せない……そんなところか。
『グゥゥゥ……ッッ!!ガアアアアァァァァァァァァ!!!!!』
一際デカい咆哮を上げ、黒ドラゴンは俺に炎を吐きかけてきた。
俺は高速移動と舞空術の併用で上空に退避――戦闘力が高くても火が熱くない訳じゃないので。
「あっ!?」
しまった!
ポッドが!?
宇宙空間と星への墜落に耐えられる外側の装甲板は大丈夫でも、操縦席と操作パネルが!!
「くそっ!」
すぐさま手に氣を集中――エネルギーの円盤を作る。
「『気円斬』!!」
最強の純粋地球人クリリンの必殺技!
ナメック星の最長老に潜在能力を解放され、戦闘力13000近くに上げたクリリンが使って、戦闘力100万以上のフリーザ第一形態の尻尾を斬り落とした技だ。
当然ながら、戦闘力1300程度の黒ドラゴンに、この至近距離で防御も回避も出来るはずもなく――
『ガァッ?!』
高速回転するエネルギー円盤が通り過ぎ、黒ドラゴンの首が飛んだ。
と、そこで驚きの現象が発生――斬り落とした黒ドラゴンの頭が、砂?塵?灰?になって崩れたのだ。
更に、頭に続くように、頭を失ったドラゴンの胴体が地面に倒れると同時に崩れた。
なんだあれ?
真っ当な生物じゃないのか?
降りて確認してみる。
「って、暑っ!」
さっきヤツが吐いた炎で、周囲の地面が広範囲にわたって溶岩になっている。
おかげで熱気が酷くて汗が噴き出る。
って!
そうだ、宇宙ポッド!!
慌てて確認すると、崩れたドラゴンの体だった塵でクレーターが埋まってしまっている。
先ず掘り起こさなければ――
「ふん!」
ドンッ!
気合砲で塵を吹き飛ばし、宇宙ポッドを露出させる。
しかし……開いたハッチ、そこから見えるシート部分が完全に焼け焦げている……。
宙に浮いたまま近づいてみると……操作パネルは黒焦げ、あちこち罅が入っていて、完全にお釈迦だ……。
「あ~あ……」
これで否応なく、この星に定住することを余儀なくされた訳だ。
まあ、元々そのつもりだったから、そこはいい……いいんだが、なんだろうな?
このやり場のないモヤモヤした気持ちは……。
「はぁ……」
モヤモヤするが、もういいや。
引きずっても仕方ない。
悟空みたく「まっ、いっか」の精神でいこう。
さて……じゃあ、気を取り直して確認作業だ。
辺りに積もった黒ドラゴンの残骸というか、なれの果てというか……黒くて細かい何かの山……。
「ったく、折角倒したのに肉も鱗も骨も取れないとか何だよ……」
ぼやきつつ黒ドラゴンのなれの果てを触ってみる……。
手で掬ってみると、サラサラと僅かな風に舞って散っていく。
儚い……これがあの巨大ドラゴンだったとは思えない儚さだ。
死ぬと灰だか塵だかになって崩れるとか、本当にどういう存在なんだか……。
このドラゴンだけがこうなのか……それとも、この星の生物が皆こうなのか……?
「ん?」
なんだ?
塵の中に光る物が……デカそうだな。
「はっ!」
もう一度気合砲で塵を吹き飛ばす。
すると、見上げるような巨大な宝石が現れた。
「何だこりゃ!?」
ええ?!
体が塵になったかと思えば、その中から宝石が現れるって、本当に何なんだ!?
この星、変だ……。
ドクン
「うん?」
心臓の鼓動の様な音が聞こえた。
今度はなんだ……?
音の方を見ると、残っていた塵の中から、何か肉塊が覗いている。
あれもデカそうだ。
宝石だけでも腹一杯なんだが……見つけてしまった以上、気になって確認しない訳にはいかない。
また気合砲――そして今度現れたのは、やはり巨大で赤黒い肉塊だった。
しかも……
ドクン
脈打つように動いている。
脈打つ……心臓?
しかもよくよく感じてみると、僅かに氣が残っている……!
まさか、心臓だけが残って生きているのか?!
本当の本当にどうなってるんだ、この星のドラゴンは?
訳が分からん!
「ええい!もうッ!」
訳が分からないこと続きでイライラしてきた!
深呼吸して落ち着いて考えてみる……。
とにかく、この脈打つ肉塊が黒ドラゴンの心臓だと仮定する。
そして、今現在脈打っているという事は、こんな状態でもまだ生きている可能性がある。
生きているという事は……もしかして復活するんじゃないか?
ドラゴン――竜――龍――龍族――ナメック星人――再生する
そんな連想ゲームが頭の中を駆け抜けた。
あの黒ドラゴンとナメック星人を一緒にするのは、ナメック星人に失礼かもしれないが、一度連想するとそれが正しいのではという気になってくる。
心臓から再生したら、それこそ人造人間セル並みにヤバい化け物だ。
真偽はさておき、この心臓は始末しておいた方が良いだろう。
見た目で食欲も湧かないし、放っておいて本当に復活しても面倒だ。
セルを連想してしまったので『復活したら前よりパワーアップ』というイメージが頭にこびり付いた。
俺はベジータの様に『相手がどれほど強くなるか』に興味をもって、倒せるのに敢えて見逃すような気質は持っていない。
敵は倒せる時に確実に倒しておくに限る。
という訳で、脈打つドラゴンの心臓(仮)にエネルギー弾を発射――
ドオォォンッ!
ドラゴンの心臓(仮)は爆散した。
魔人ブウの例があるので、暫く飛び散った肉片を観察していたが動き出す気配はなく、集中して氣を探ってみても虫ほどの氣も感じ取れないので、今度こそ完全に死んだだろう。
「やれやれ……」
星に降りてから1時間もしない内に、怒涛の展開だった。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
この日……
世界各地に点在した『黒竜の鱗』と呼ばれるものが、突如として灰となって崩れ去る事件が発生……。
その黒竜の鱗によって、モンスターの襲撃から身を守り、一種『守り神』として崇めていた村々が一時恐慌状態に陥ったという……。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ダンまちは、アニメ・wiki・ゲームアプリ『ダンまち~メモリア・フレーゼ~』等から知識を抽出しています。
※ちなみに主人公はダンまちを知りません。