ダンジョンにサイヤ人が入るのは間違っているだろうか? 作:雲呑麺
毎日投稿している方々は本当に凄い……。
※9/11誤字脱字を発見し、修正しました。
※9/23ご指摘を頂き、主人公の口調を微修正しました。
「皆、朝食の前に聞いてくれ。僕らの新しい仲間を紹介する。リークだ」
「リークだ。先輩方、これからよろしく!」
「「「よろしくー!」」」
「みんな、仲良うするんやで。新人いびりとかしたらあかんで~?」
「「「しないって~!」」」
入団から一夜明け、俺はフィンさんとロキの紹介の元、広い食堂に集まったファミリアの団員達に入団の挨拶した。
こうして集まった団員を見ると、何というか女が多い……。
猫人、
こっそり隣のフィンさんに女多めの件を尋ねると――
「ああ、ロキの趣味でね……」
と、苦笑いしていた……。
なるほど……。
ともあれ、入団挨拶は恙なく終わり、俺も朝食の席に混じる――。
「リーク、朝食が終わったら昨日の部屋に来てくれ」
席に着く前にフィンさんに言われた。
きっと、昨日言っていた件――フィンさんを含めた幹部3人との試合の話だろう。
幹部……まだ紹介はされてないが、目星は付いている。
1人はドワーフ――茶色でボサボサした髪、髪と繋がって顎から鼻の下までを覆う髭、ずんぐりと太い胴、フィンさんよりは高いが程々の背丈、もう「ドワーフとはこう!」という外見をしたオッサン。
戦闘力はフィンさんと同等、75かもう少し大きいぐらい。
見える限り、体形はずんぐりだが筋肉量は多そう……やっぱり斧とかハンマーで戦うのかな?
もう1人はエルフ――長い透き通る様な緑色の髪、切れ長の目、白い肌、シュッと高い背丈、背筋も伸びて気品を感じる立ち姿、忘れちゃいけない長く尖った耳、全体的に少々キツめな印象の美人という印象のお姉さん……歳下の娘から『お姉様』とか呼ばれそう。
戦闘力は70ぐらい、エルフは魔法が得意と聞いているが魔力とかは氣の大きさに関係するんだろうか?
フィンさんと合わせて、ロキ・ファミリアの最強格は間違いなくこの3人――
この3人と試合をするのか……う~ん、どうしよう?
戦闘力三桁にも届いていない人達、下手をすると致命傷を負わせてしまう恐れがある。
氣を抑えて手加減して戦う必要があるが、余り露骨に加減するのは失礼な気もする……。
悩ましいな……。
「う~ん……パク、モグ、パク、モグ……あ」
もう朝飯なくなった、全然足りない……。
「先輩、朝飯ってお代わりできる?」
隣の先輩に聞く。
「ん?ああ、もう食べたのか。出来るぞ、あそこのカウンターで言うといい」
「ありがとう」
トレイを持って先輩に教えてもらったカウンターに向かう。
結果から言って、お代わりしても全然全く足りなかった……。
でも食い足りないからって満腹までお代わりなんて、そんな厚かましい真似はできないので我慢する……。
拙いな、ファンさん達との試合の時間によっては空腹で力が抜けるかも……さりとて外で食べようにも、手持ちはミア母ちゃんの心付けのバイト代のみ、ダンジョンに潜って稼ぐまでは節約したい。
時間もないし、やはり我慢だ……。
そして朝食を終えて昨日の部屋で待つ事暫し――
「待たせたね、リーク」
フィンさんが、ロキともう2人――俺が当たりを付けていたドワーフのオッサンとエルフのお姉さんを連れてやって来た。
「紹介しよう。僕と同じく、ロキ・ファミリアの古株で幹部を務めているガレスとリヴァリアだ」
「ガレス・ランドロックじゃ。よろしくな坊主!」
「私はリヴァリア・リヨス・アールヴだ。よろしく頼む」
にこやかなオッサンと、クールなお姉さん――ドワーフとエルフという所を除いても対称的な2人だ。
おっと、名乗られたなら俺も名乗らなければ。
「改めて、リークだ。よろしく、ガレスさん、リヴェリアさん」
「ガッハッハッ!そんなに畏まらんでもいい。もっと気安く呼んでくれて構わんぞ」
「えっと、じゃあ……ガレスのおやっさん」
「んんっ?おやっさん?おやっさんか……フッ、ガッハッハッハッ!いいな!気に入ったぞい!今後はそう呼べ!」
何となくで呼んでみたらウケた。
「全く騒がしい……。まあ、ガレスに同調する訳ではないが、私達は同じ主神を仰ぐ仲間――謂わば“同胞”だ。最低限の礼を失さなければ、喋り方も呼び方も好きにして構わない」
「分かった。じゃあ……リヴェリア姐さん」
「む……『ねえさん』か……ふむ、まあ言った手前だ。好きにしてくれ」
リヴェリア姐さんも、気に入ったかは分からないが受け入れてくれた様だ。
「ところでフィンさん……いや、フィン団長」
敬意を込めて呼び直すと、フィン団長は特に感情の変化などは見せずにこっちを向いた。
「おやっさんと姐さんに、俺の事はもう?」
「ああ、昨日聞いた話はロキと一緒に話してあるよ」
それでも、おやっさんや姐さんの態度は、俺を訝しむ感じではない。
「おやっさんも、姐さんも、信じてくれるのか?俺の話……」
「他所の星からやって来た戦闘民族、そして前世の記憶を持ちながら転生した……まあ、どちらも信じ難い話ではあったがのう。ロキから見て、嘘がないという事なら信じるしかあるまい」
「我々が暮らすこの世界が、空に浮かぶ太陽や月と同様、全容が分からないほどの巨大な球体であるという学説は知っていた。それが真実であるとすれば、この大地の他にも人間や生物が暮らす星があっても不思議ではないと唱える者もいたと聞く。無論、ロキの保証があってこそ信じられた事実はあるが、子供が夢想した夢物語としては少々高度過ぎるからな」
なるほど、ロキの、神の嘘を見抜く能力のおかげか。
この星では、それほど当たり前に受け入れられている事なんだな、覚えておこう。
「それでフィン、本当にリークと私達で試合を行うのか?」
リヴェリア姐さんが振り返ってフィン団長に尋ねる。
「ああ。そこはリークにも納得して受け入れてもらっている。リークは僕らが初めて出会う未知の人種だ。僕らのこれまでの常識が通用しない可能性もある。そんな彼をファミリアに誘い、彼から自身の秘密を打ち明けてもらった僕には、その能力を正確に把握する義務があると思っている。ただ僕とロキだけでは視点が少ない。そこで、ほぼ同期で信頼のおける君達に情報を共有してもらいたいんだ。君達なら、僕とはまた違った視点でリークを測れると思ってね」
「なぁに、小難しく考えることはあるまい」
そこでガレスのおやっさんが口を挟む。
「こうして言葉を交わせておるのだ。どこで生まれたどんな種族であろうと、リークの坊主はワシらと大して変わらん“人間”じゃ。少なくともワシは、坊主を見てそう思った。ならばやる事は詰まるところ『新人の歓迎を兼ねた腕試し』という事じゃろう。ワシに異存はない。寧ろ、フィンにあそこまで言わせた坊主の実力とやらに、大いに興味をそそられるわい!ガッハッハッ!」
豪快に笑い飛ばすガレスのおやっさん。
「ふぅ、やれやれ……。まあ、いいだろう。多少抵抗はあるが、お前達の言う事にも一理ある。私も参加しよう」
溜め息交じりに言うリヴェリア姐さん。
どうやら話は纏まった様だ。
「よし、決まりだ。それじゃあ、各自準備を整えて玄関に集まろう。揃い次第、ダンジョンに向かう」
「おう。さて、一応、装備一式持っていくとするか」
「そうだな、近頃オラリオはより不安定になっている。不測の事態にも対応できるよう、準備するとしよう」
そう言いながら、おやっさんと姐さんは部屋を出て行った。
オラリオが不安定……?
「……フィン団長、リヴェリア姐さんが言ってた『オラリオが不安定』って、どういうことだい?」
「そうだね、今は時間が余りないから簡単に説明しようか」
フィン団長の説明によると――
オラリオには8年前まで、とある2つのファミリアが君臨し、その圧倒的な戦力で都市を治めていた。
『ゼウス・ファミリア』『ヘラ・ファミリア』、屈強の猛者揃いのファミリアは半ば同盟関係にあり、他の追随を許さなかった。
そんな二大ファミリアが合同で、総力をもって挑んだとある『
最強最悪のモンスター『隻眼の黒竜』の討伐――『黒き終末』・『生ける厄災』と言われるそのモンスターに挑み、二大ファミリア連合は……見事に返り討ちに遭った。
二大ファミリアは屈強の猛者だった筈の団員の殆どを失い、その力をほぼ完全に失い、果てはオラリオから追放される事になった。
「なんで追放……?クエスト失敗の責任か?」
「……まあ、そういう側面もあったけど、殆どはオラリオにおける勢力争いの結果かな」
なんと、ゼウス・ファミリアとヘラ・ファミリアを追放に追い込んだのは、他ならぬロキと『もう一柱の女神』だというではないか。
しかも、そうして空いたオラリオの頂点の座……二大ファミリアの後釜に座る形で、ロキ・ファミリアともう一柱の女神のファミリアが台頭したと……。
思わずロキを見てしまう。
「そ、そんな目で見んといてえや、リークたん!しゃーない事やったんや……
そう言って気まずそうに頭を掻いたロキ……その様子を見て、何となくだが、ゼウス・ヘラの追放には単なる私利私欲とは違う“何か”がある様な気がした。
「……分かった。その件について、俺は何も言わない。ロキを非難もしないよ」
「……ありがとうな、リーク」
そもそも新参者の俺が、聞いた話だけでロキを責めるなんてお門違いだ。
過去はどうあれ、俺も今はロキの眷属――ロキ・ファミリアの仲間だ。
大事なのは仲間、仲間の方が大事だ。
さて閑話休題――話のポイントはここから。
最強のゼウス・ヘラの二大ファミリアが去った後、厄介な連中がこれ幸いとオラリオで暴れだした。
俗に『
そいつらは都市を崩壊させたいらしく、あちこちで
その所為で、オラリオ中のファミリアは治安維持や闇派閥討伐に駆り出され、ダンジョンの探索が思うように進められず、ダンジョン産の魔石やドロップアイテムの輸出を主要産業の1つとしていたオラリオの景気も士気も日々下がり続けているとか……。
どこの世界にもいるんだ、他人を苛まなければ生きていけないというような輩が……胸糞悪い。
つまり、ガレスのおやっさんやリヴェリア姐さんが装備を持ってくるというのは、途中で闇派閥が現れた時に戦えるように――という事な訳だ。
「だから今後、リークも注意を払ってほしい。現オラリオの二大派閥であるうちの団員……特にステイタスの未熟な新人は狙われやすい傾向にあるからね」
「分かったよ、団長」
俺はフィン団長に頷いて見せた。
さて、俺も準備を――って何もなかった……。
あれ?
そう言えば……フィン団長が言っていた『三大
俺がこの星に来て、最初に倒したあの黒ドラゴン……そう言えば、片目が潰れて隻眼だったな……。
史上最強の二大ファミリアを壊滅させた……?
最強最悪のモンスター……?
俺……アイツ……一撃……。
…………。
よし、墓まで持っていこう……!