【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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2章 めんどくさいこと押し付けたり間違えて配信したり
11話 願いの泉的なので女の子になった僕


「願いの泉……私もそのような場所があるとは聞いていませんね……」

 

救護班さん――九島さんって言うポニテの子が言う。

 

「そうですか。あれからいろんな掲示板の書き込みまで探したんですけど、やっぱりそうなんですね」

 

深谷さん――「るる」って呼べって言われたっけ――るるさんから借りているカーディガンの柔らかさと、るるさんの匂いに包まれている僕が言う。

 

願いの泉。

 

僕が勝手にそう勘違いした不思議なエリアのこと。

1年前に僕が金髪ロリな女の子になっちゃった場所のこと。

 

「……ねぇ、えみちゃん本当に大丈夫? もう1回殴っとく?」

「大丈夫よ、るる。どうやら私は正気を失っていたみたい」

 

るるさんのとなりできりりとしているのは、背も高いしおっぱいも見上げるほどでかいし切れ目でやり手って感じの……誰?

 

いや、これが三日月えみさんって人なんだよね……ネットで見てみたけどやっぱヘンタイさんと同一人物って信じられない……。

 

でもたんこぶ痛そう。

 

高レベルでも防御解くと簡単に怪我ってするもんね。

つまりは彼女なりに反省してますってことなんだろう、きっと。

 

「ま、まぁ、深谷さんの命の危険ということで……ということにしておきましょう……ええ」

 

「そうですね、身近な人が一時行方不明だったんですから」

「ハルたん……! 私のことを庇って……!!」

 

常識的な判断で理解した僕をばっと振り返って、がばっと両手を広げるヘンタイさん。

 

「やっぱりもう1回殴るね? えみちゃん」

「ぐふぅっ」

 

「おっぱい大きいし僕もハグされて嫌な気持ちしないから良いかな」って思ったけども、そこから真横にストレート。

 

うわ、痛そ……でも「ハルたん」は止めて……「ハルちゃん」なら我慢するからさ……。

 

――この体になってからっていうもの、家の中では基本的にシャツとぱんつだけで過ごすのが日課だった。

 

だって洗濯物減るし汗かかなくなるし、目の保養だし。

 

でもさすがの僕でもやばい目をしたヘンタイさんもいるし、救護班さんから「そういう扇情的な格好は性犯罪を生み出します。客人がいるときだけはブラを着けてズボンを……緊急事態で押しかけたのはこちらとは言いましても……」って冷静な顔で言われたらしょうがなく、外に出る格好にはなる。

 

でもでも「あ、僕元々男ですし、この体、胸ないからブラとか買ってません」って言ったらもう1回ヘンタイさんもとい三日月さんが鼻血噴いて倒れたし、救護班さんは「これは学校教育から……小学校高学年くらいからやり直し……」とか怖いこと言うし、深谷さんはなんかじっと見てくるしで居心地悪かった僕。

 

良いじゃん家の中くらい……裸族とかじゃないんだからさぁ……。

 

ダメ?

ダメっぽい。

 

そんなわけでさっさと切り替えた話題が、僕が女の子になった元凶。

 

ちなみに僕はちっちゃいからブラじゃなくてキャミソールって言うので良いんだって。

 

それなら洋服屋さんの言われるままに買ったのがあるからってお胸を保護。

まだぽっちが痛くなる年齢でもないから変わらないんだけどなぁ。

 

「で、とにかく1年くらい前にそこで……なんかこう、モンスターが出ないセーフエリア的なところにあったそこで祈ってみたら何も起きなくってがっかりして」

 

「あ、すぐにはならなかったんですね」

「そんな場所あるんだ――……へー」

 

「で、がっかりしながら帰って寝たら、次の日にこうなってました」

「……何でそこですぐ届け出なかったんですか征矢さん!?」

 

ポニーテールを振り回すまじめな救護班さんがツッコミ要因と化している。

 

「いやだって……こういうのってなんか、めんどくさくないですか?」

「めんどくさい!? 大変なことですよね!?」

 

「はい。こうやって1から事情を説明するのって。あと」

 

こっそりと正座したまま脚をいもむしみたいに動かして近づいて来ていた三日月さんをつんって小突くと「あふんっ!」とか言って部屋の隅の方へくるくると。

 

……女の子で良かったね、君。

 

男なら通報してたよ?

 

「……こういう状況じゃなければ。信じます? 男がこんな女の子にって。顔も何も違うんですよ? 個人情報なんて連続していませんよ?」

 

「……それは……確かに……」

 

「多分両親も信じませんし。『男の僕に攫われてきたこの僕がそう言えって言われたんだね』って哀れまれるだけです。聞く耳持ってくれて、色々昔話して何時間……で、ようやくでしょうし?」

 

「ん――……私なら信じるけど、大人の人はそうかも……」

 

「ですよね? 普通なら家出少女とか虐待とかで施設へ直行です」

 

だからめんどかったの。

 

……あと、親から信じてもらえなくって、逆に「うちの馬鹿息子が拉致監禁してごめんなさい」って真摯に謝られたら立ち直れないって思ったし。

 

僕は高レベルにはなってるけどメンタルは打たれ弱いんだからね?

 

「私は信じますよハルちゃん!!!」

 

「あ、ヘンタイさんはどうでもいいです」

「幼女にジト目で罵られる快感!!」

 

「…………えみちゃん……手遅れさんだったんだね……」

「ロリコンは病気です。女性でも発症しますから……」

 

「矯正施設」とか「隔離」とか物騒な言葉が聞こえるけどどうでもいいや、僕のことじゃないし。

 

「ちなみに救護班さん、これ、僕の代わりに協会とか役所とかに説明してくれます? じゃないと僕、めんどくさくてする気になれません。 このまま普通に暮らします。ここから逃げ出してでも」

 

「逃げ……私が担当しますから逃げないでくださいね……」

「で、それって僕も行かなきゃダメですか? ここで話しておしまいには?」

 

「駄目……でしょうね」

「えー」

 

ノリで「良いですよ」って言ってくれるかって思ったのに。

 

「本人確認として、征矢さんのお知り合いやご家族の方からの聞き取り、記憶の照合に征矢さんの今の体の検査……精密検査で、ダンジョンでの呪いで他にも何か起きてないか見なきゃですし……あ、そもそも今回の事故で深谷さんと一緒に受けてもらうことにはなりますし」

 

「えー」

 

めんどくさそう……やっぱ見つからなきゃ良かった。

 

「……私がお世話するから大丈夫です!」

「深谷さん?」

 

「るるちゃんって呼んでください! じゃないと泣きます!」

「あ、うん、るる?」

「るるちゃんです!」

 

ヘンタイさんより素早く抱きついてきていた深谷さん改め、るる。

 

……え?

 

……女の子なのに……ない……?

 

あー、貧乳さんなのか。

 

ふっくらしていなくて予想外の鎖骨の感触から頭を上げる。

 

ごめんね、一瞬男の娘ってやつかって思っちゃって。

今の僕も胸ないから許して?

 

「ハルちゃんって、女の子になってから困ったり!」

「してないですね。トイレとかおふろも1回すれば慣れたし」

 

「ぐっ……で、でも、かわいい服とか……ブラとか買ってないし!」

「そういうるるさんも着けてないですよね?」

 

「だからるるちゃんって! ……え?」

 

「違うの! るるは小さすぎるからスポブラかキャミソールしか必要ないんです! つまりは今のハル、あなたと大差は――」

「乙女の情報を勝手に言わないでよえみちゃん!? ハルちゃん男の子なんだよ!?」

 

そこは男の人って言って欲しかったなー。

 

「いや、だって……配信とかでとっくにファンのみんなは知っていますし……」

「うぐ……そうだけど……」

 

……本物の女の子なのにかわいそう。

 

でもそれ言ったら本当に泣いちゃうだろうから黙ってあげる僕はえらい。

 

「と、とにかく! これまで平気でもこれから平気とは限らないし! ……あと、私のせいで絶対配信とかめんどくさくなるし……あとあと、そんな珍しい見た目ならそのうち外で歩いていても『もしかしてハルちゃん?』って言われるようになっちゃうかもですし……」

 

「……確かにそうですね。登録者が10人から……えっと、80万人? にまで増えてるみたいですし……」

 

「は、はちじゅう……私が1年かかって伸ばした数字ぃ……」

「えっと……ごめん?」

 

「ううん、いいの……今回のは完全に私のせいだし、むしろハルちゃんが守ってくれなかったらもう死んでたから……」

 

僕は普段、スマホは1日に何回も見ない。

 

特にソシャゲとかもしてないしSNSも見る専のだし、そんなヒマあったら本読んでるし。

 

だから配信が終わってからものすごい数の通知とかが来ていたらしい。

 

それで80万人。

 

……実感は湧かないなぁ。

 

「多分時間が経てば元通りに」

 

「ならないと思いますよ? 征矢さん……」

「ならないんじゃないの? ハルちゃん」

 

「ならないと思います! なにしろ君の活躍と美貌はるるの配信で、るる自身があなたのことを『お姫様みたい』と言ってしまいましたから! たとえ今後も顔出し声なしでも確実に同接は以前とは桁違いのはずだし私の同類が寄ってたかってファンになろうと押しかけてくるし、話題の配信者だから絶対に君の配信している場所へ同接目当てに同業が押しかけてくるんです! 間違いないありません!」

 

「ヘンタイなロリコンさんの言うことですから間違いなさそうですね」

「はうんっ!」

 

あと自然に普通の話し方になってるよ?

僕は別に気にしないけどさ、そういうの。

 

「……ハルちゃん……えみちゃんって一応、私の保護者的な扱いされててね? 慈母の女神とか言われててね? 格好良かったんだ……」

 

「そうなの? これが? 信じられませんね」

「金髪ロリに『これ』呼ばわりされるのがこれほど……!!」

 

「三日月えみさんと言えば、深谷さんより前から活動されていてトップランカーとしての実力とカリスマ、後輩のお世話での優しさで人気……でしたからね……」

 

しかたなくシャツの上にカーディガン、胸元はボタンで閉じてぽっちが見えないようにぱんつを穿いてズボンも履いた僕のことを食い入るように見てくる三日月えみさんを見つめる。

 

「……こんな人が?」

「ああ、ぷにぷになほっぺの上の蒼い瞳でジト目で罵られる快感!」

 

「……この方が、前回の人気投票で……」

「えみちゃん……私だけは見捨てないからね……」

 

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