【2巻発売中】TSしたから隠れてダンジョンに潜ってた僕がアイドルたちに身バレして有名配信者になる話。~ヘッドショットロリがダンジョンの秘密に迫る配信~   作:あずももも

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134話 とりあえず1人でなんとか生き抜こう……とりあえずは貯金が尽きるまで

わきわき。

 

……ちっちゃい手。

まぁ、身長がこれだけ縮めばねぇ……。

 

しげしげと眺めているのは、前の僕と手相とか変わってる印象のある小さな手のひら。

 

使ってみて分かったけども、スマホをいじるのもパソコンのマウスとキーボードいじるのも、それ以外の家事全般もことごとく不便になってるちっちゃな手。

 

こういうので「ああ、僕は子供なんだ」って自覚する。

 

「……………………………………」

 

で。

 

また洗面所……や、さっきみたいに脱がないよ?

 

そこで、後頭部を壁にくっつけて鉛筆で薄く印を付け、身長を測ってみる。

 

ついでにそっと、体重計にも乗ってみる。

 

「……………………………………」

 

体重、えっと、20キロとかなんだけど。

身長も……全国平均で……7歳とか? なんだけど。

 

「えぇ……うそぉー……」

 

まぁ、そうだよねぇ……普通のシャツが膝まで来るんだもん……。

 

……う、うん。

 

の、呪いっぽいのが解けたら戻るでしょ。

 

……戻るよね?

 

戻るって信じとこ……こわいし……。

 

ぺいって巻き尺さんを投げ捨てて、部屋に戻って来てベッドにダイブ。

 

軽すぎる体重で、ぽふってなるだけ。

むしろバウンドする。

 

……けど、こういう場合ってどこに連絡するのかなぁ。

 

ダンジョン関係の通報……は「緊急性がある場合のみ」かぁ。

じゃあダメだよね、別に死にそうなわけじゃないし。

 

さっき何回も見た、ダンジョン協会のHPのタブを閉じる。

 

命の危険とかなさそうだしダメだよねぇ。

こういうのはちゃんと必要な人のためにあるものなんだから。

 

年齢的にはむしろ若返ってるしさぁ……おじいさんになってたら寿命的に駆け込んでただろうけどさぁ……。

 

じゃあ警察?

事件性がないのにどうしろと。

 

救急車。

だからケガとかしてないんだって。

 

その他は……え、ない?

 

僕の貧弱な想像力からもたらされた緊急連絡先は全部ついえた。

 

……そっかぁ、そうだよねぇ。

 

「ダンジョンで呪われました」ってのも、100%じゃないもんねぇ。

 

「……え?  あれ?」

 

はたと気が付く僕。

 

……僕、ひょっとして……助けてもらえない?

 

「え?」

 

孤立無援。

 

この状況を自分でどうにかしろっていう、無理難題。

 

……うん、そうだよねぇ……「ダンジョン関係で被った損害は、ダンジョン内ならダンジョン協会へ即刻に。 人同士なら、警察が動かないのなら当事者同士でなんとかしろ」って、さっきのHPにも書いてあったし……。

 

まぁねぇ、自己責任だもんねぇ、ダンジョンって……。

 

僕も男だし、何とかがんばるしかないのかぁ……あー、めんど。

 

 

 

 

「ふぅ」

 

良し。

思わずでお酒をあおったら何か元気になった。

 

ま、どうしようもないことなんていくらでもあるよね!

 

そう思えてきた。

 

「冴えない顔と冴えない体つきとー、特技があるわけでもない体ー」

 

鏡に映る、だぶだぶで肩が出てもうちょっとで片方だけぽろりしちゃいそうな僕自身を見ながら言い聞かせる。

 

「太っているわけでも痩せているわけでもー、背が高いわけでも低いわけでもー。 コンプレックスがあってどうとか言うわけでもなくってー」

 

あー、声はかわいい。

素直にそう思える。

 

この姿?

 

……なんか褒めてもナルシストっぽいし……いや、でもこの見た目、映画とかに出て来そうな金髪幼女だしなぁ……。

 

「学生時代も特に勉強ができたわけじゃないしー、特に人付き合いが得意でも下手でもなかったから嬉しくも悲しくもなかったしー」

 

何かよく分かんないテンションでまくし立てる。

なんか、こうしないと自我が崩壊しそうで。

 

分かる?

 

この感覚。

 

わっかんないだろうなー、普通の人はいきなり幼女になんてならないもんねー。

 

ごきゅり。

 

「ぷはっ……周りがくっついたりー、友達から『あの子がお前のこと「良いな」って言ってたぞ』って言ってきてくれてもー、特に女の子に餓えることもなかったしー、その子もまた特別に好きとかかわいいとかじゃなかったからって理由で、とうとう彼女も作らずに社会人で完全に縁がなくなってるしー」

 

思い出すと分かる、もったいなさ。

 

あーあ、もったいない。

学生時代の僕のばか。

 

社会人にならないと分からないんだ。

同世代の女の子と下心なく話し合えるのって、ぎりで大学までなんだ。

 

女の子がなんとなくで選んでくれるのは学生までなんだって。

 

それを過ぎると、僕は仕事の種類とか年収とかさりげなく訊ねられるようになるし、女の子は女の子でケバくなりすぎてなんかやだし、なにより明らかに品定めされるし。

 

かと言って僕は僕で「やっぱ子供持つなら30までだよなー」って思ったり、「専業主婦狙いは僕の稼ぎ的にちょっと……」ってなるし。

 

あとなんか……こう……仲良くなったって思ったら目つきが怖くなるから僕から逃げちゃうんだよね。

 

うん、まあ僕だって分かるよ?

 

分かるけどさぁ……もっとこう、情緒とかないのかなぁって。

 

「親から彼女とか聞かれたりするでもなくー、お金の無心をされるわけでもなくー。 ケガと病気してないんならって結構呑気に放置されてる感じだしー。 ……………………………………ぐす」

 

……やば、泣けてきた。

 

「ぐしゅ、ぐしゅ……」

 

え?

 

これ、まさか精神状態まで幼女なの?

 

なにそれ怖い……そのうち真の幼女になりそう。

真の幼女って何なのか分かんないけども。

 

「ひっく、ひっく」

 

あー。

 

……お酒のせいもあるんだろうけども、さすがに動揺してるんだろうね、僕……しかも体が幼女化しただけあって、感情がもろに出て来る……。

 

 

 

 

「ふぅ」

 

うん……ちょっと泣いて落ち着いた。

 

別人になったって思ったら想定外に客観視しちゃって、僕にダイレクトアタックだった。

 

涙と鼻水で大変なことになったごみ箱へ、ぺいっとティッシュを投げ捨てる。

 

ま、まぁこれも多分一時的だし?

前向きに行こう、前向きに。

 

いろんなことが起こりすぎてメンタルが錯乱してるんだろう。

大丈夫、まだやけくそにはなってない。

 

鏡の前の僕は、目の周りが真っ赤だけどもちょっと……あ、耳がまだ真っ赤。

 

肌が真っ白だから余計に目立つね……。

 

……こんな女の子になるだなんて、人生何回かやって1回ってレベルなんだ。

 

人生なんてやり直せないし、個人的に死んだらおしまいって思ってるけどさ。

 

でも、せっかくだから楽しまないとね。

 

「……楽しむ」

 

女の子の体を。

 

「……………………………………」

 

ぶんぶんって頭を振ると、ぶんぶんって髪の毛がわっさわっさなる。

 

すごい毛の量。

 

「……そ、そういうのは無しで……なんか女の子の体って怖いし……」

 

同じ男なら怖くないけども、見たことない女の子の体ってやっぱ怖いもん。

 

さっきだって、あるべき場所にないってだけで立ちくらみしたもん。

 

貧弱すぎ?

モテない男を舐めるなよ?

 

まぁ彼女作る努力してこなかった以前に、女の子よりも本にしか興味なかったし、なんなら今だって動揺しつつも「どうでもいいけど」って思ってるし……。

 

そ、それに、そういうのは初めての彼女とだし……ねぇ?

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